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(2007年7月7日)
長良川脱ダム宣言集会
 一日目
2007年7月7日、長良川河口での「公共工事にレッドカード!”脱ダム宣言”に結集せよ」という集会に参加した。以前から参加したいイベントであった。
カヌーを漕ぎだして8年になるが、よく練習する紀ノ川が年々臭くなるのに加えて、河口堰が建設されているという事実に、疑問を持った。
これまで私のふるさと串本が、埋め立てで町の経済を支えてきたが、結果的にそれがマイナス効果となり、あれほど採れていた蛤や魚が少なくなってしまった。
このままでいいのだろうか、何とかしないとだめなのではないか、という気持ちがいつもあった。
公共事業については、これまでおおかたが、自然に影響なしとの報告書を鵜呑みにし、住民も納得して強行されてきた。
しかし、事業が終わって日が経つにつれて環境破壊のすさまじさで、報告書の嘘を知った。
さらに長野をはじめ各地でダムを止める首長が誕生していることで、思いのまま公共事業をやられると大変なことになると気づきだした。というのが現状ではないだろうか。

私は8年前にカヌーを始めてから、自然のありがたさを身をもって感じ、環境や自然についてどうすべきかを考えはじめた。
長良川や吉野川の河口堰反対運動が直接的なインパクトで伝わってきた。
そして周りを見渡すと、地元和歌山紀ノ川に、河口堰ができてしまっていた。これはショックであった。

「公共事業早く止めナイト」は、6時から始まった。
藤原教授は、河川が海を育てることや、大熊教授は、川沿いの土地の特性などを各専門分野で話されていたがよく分かった。
それを聞いていて思ったことだが、国全体が国民のコンセンサスを得ながら、河川や森林を昔の戻す新しい公共事業のスタイルを打ち出せば、経済活動も活発となり、国土も息を吹き返すのではないかということである。
頭の固いお役人の発想ではなく、地元の子供をはじめとして柔らか頭の人々と、建設業界がよりよい国土作りの提案をして、地元住民に諮り決定させる。
そして地域が決めた事業について、国が補助を与えるようにすれば、自然環境に対する意識も高まり、ひいては文化レベルの向上にもつながると思う。
あとは、利権がらみの運動や手抜きがないかを、住民がチェックすればいい工事ができる。
地元住民全体の同意の元に事業を興すのであるから、無駄な時間を費やすこともなく、よりよい国土作りが可能ではなかろうか。
かなり理想論だが、今のこの状態を変えなければ、日本国土はますます荒む。

長良川脱ダム宣言集会
天野礼子さん
長良川脱ダム宣言集会
司会の旭堂小南陵さん
長良川脱ダム宣言集会
藤原信先生
長良川脱ダム宣言集会
大熊孝先生
長良川脱ダム宣言集会
デイブ・ウェグナーさん
長良川脱ダム宣言集会
(出を待つ田中長野県知事)

天野礼子さんは、「河川政策、世界の潮流」ということで熱弁をふるっていた。かなり前、釣り雑誌で渓流釣りの記事を見て、こんなきれいな方が釣りをしているということであこがれた。それからかなりたったが、雰囲気が、師匠の開高健先生に少し似てきた?
旭堂小南陵さんは講談師らしく軽妙な語りで歯に衣着せない、しゃべりがおもしろかった。
田中康夫長野県知事は、「私の脱ダム論」を時間オーバーで語ってくれた。田中知事になって、脱ダム宣言をしたわけだが、そのインパクトはかなり大きいものがあったと思う。
藤原先生(宇都宮大学名誉教授)は、森林が山を守るだけではなく、川も海も守るということがよく分かった。
さらに森林がなくなった後には必ず災害が起こるというシステムをわかりやすく説明してくれた。

大熊先生(新潟大学教授)は、「ダムに頼らない治水」ということで、非常に説得力のあるお話で、特に、住みやすいところは災害に遭いやすい。しかし災害よりも恵みの方が多いのである。ある程度、災害は避けられないことであるとの説明であったが、これは私も同感である。
デイブ・ウェグナー(河川工学者)先生は、「アメリカはなぜダム開発をやめたか」と訥々と語ってくれた。
コロラド川は1406マイルの長さがあり、そこに114の大きなダムがある。それらのダムはコロラドの99%の水を使いきっているという。そんなコワイ話をしてくれた。ところが、左に立っている通訳さんが1人盛り上がってしまって、トークをぶちこわしてしまった。こういう報告は、大声で聞くより静かに聞く方が説得力がある。
ポップ音楽のイベントではないのである。

写真は暗くて撮れていないが、ヘンク・サエージ教授が
ラインとマース川下流域に見られる川底の汚染について、スライドで説明していた。ラインとマース川にとって最も重要な水の排出場所であるハーリングフリートが河口堰によって閉じられた。これによって河口付近は淡水の川と湖に変質したという。
その対策として堰を撤去すると元に戻りつつあると言っていた。
少し前の新聞で、ライン川に鮭が戻っているという記事を読んだことがあるのだが、これと関係あるのだろうか?  公共事業早く止めナイト第2部は、俳優の近藤正臣さんの司会で始まった。
関西弁で普段着の司会をしてくれたのがよかった。

喜納昌吉さんが歌ってくれた。はじめて聞くステージだったが、そのパワーに圧倒された。
司会の近藤さんが、

「ヘルニアで動ける状態ではなく、風邪ひきで声が出なくて、大変なんですが歌ってくれるそうです」

と紹介していた。
喜納昌吉さんは歌い出すと、そんな体調の悪さも感じさせないパワーでステージを飛び回っていた。
しゃべりは朴訥で、どちらかといえばはっきりしない口調だけれど、いざ歌いだすとすばらしい声とパワーがある。すっかりファンになってしまった。
こうした運動でいつも感じることは、歌というのは長い時間の説得よりも遙かに心に響き、そしていつまでも残るものだということである。
その昔、平和を願った様々な動きが世界的に沸き上がったとき、それをリードしていたのは歌であった。当時参加したデモ隊の中でよく聞いたジョーン・バエズを思い出した。今、若い歌手のヒットソングを聴いて思うことは、人間内面へのメッセージを、歌に託したものが多い。
これからのグローバルな時代に、地球全体をどうするかというメッセージソングが出てこないかなと思う。
そしてそれをインターネットで世界に広め、地球レベルでの共有化ができたらすばらしいと思う。
それを考えるときいつも、ビートルズに行き着く。彼らは、遙か以前にそれをやってのけていることに気が付く。
やはりビートルズはすごい。もし彼らが健在なら、この地球が壊れつつあることに対して、いいメッセージを発してくれたと思う。
はじめてステージを見たがすばらしかった。
近藤正臣さんは、昔からファンであるが、普段はシリアスなドラマによく出ているので実際はどうなんだろうと思っていたが、この司会を聞いて、コミカルな役の方が地だと分かった。

吉野川海苔漁師、四万十川川漁師、川辺川鮎漁師、吉野川海苔漁師、諫早湾海苔漁師、東京湾16万坪船宿の、漁師さんが自分の言葉で、それぞれの海への思いを語ってくれた。特に諫早湾の海苔漁師さんの経済的な打撃は、大きなものがあることがよく分かった。
海が汚れて、今まで普通に採れていたものが採れなくなるという事実は、幼い頃からそれを体験してきただけによく理解できる。
河内屋菊水丸さんの歌で盆踊りがあった。みんな踊りはバラバラだが気持ちは一緒である。
地球を守るということは、私が今更いうまでもないが、自分自身、家族、会社すべてを守ることである。
今日のこのナイトに、自民党の議員さんや国土交通省のお役人が来て、ダムを作る側の論理が聞けたのなら、さらに盛り上がっただろう。

長良川脱ダム宣言集会
(和歌山県丹生川ダム反対のブース)
長良川脱ダム宣言集会
(パソコンでトークを記録。時代やね)
長良川脱ダム宣言集会 長良川脱ダム宣言集会
長良川脱ダム宣言集会 長良川脱ダム宣言集会
長良川脱ダム宣言集会
二日目 
川原にテント泊をした。会場は、いい天気の朝を迎えた。長良川脱ダム宣言集会
会場ではかわさきゆたかさんが、フォーク調の歌を歌ってくれた。
その後各地の脱ダム運動をしている人々のアピールがあった。さらに民主党の菅さんが忙しい選挙戦の中脱ダムへの思いを語ってくれた。もう少し突っ込んだ話を期待したが、一般的な内容であった。選挙期間中でもあり、あまり過激な発言はできなかったのだろう。

感銘したのは、川田龍平さんの話で、エイズにかかった息子を撮り続けた父親の話をしてくれた。死んで行く息子の写真を撮るのは父親としてつらいことであるが、そんな苦しい思いをしてまでもなぜ撮るかという問いには、やはり事実を記録し、後世に人災により犠牲になった人々がいたことを伝える必要があるからだという。
写真をする私にとっても実感として伝わってきた。
水俣にはユージン・スミスがあり、広島も土門拳やたくさんの人が事実を記録している。
そしてそのどれもが、いまだにインパクトを与え続けている。写真により未来にメッセージを引き継いでいかなければならない。
そんな使命感が、悲しみの中でも、撮らずにいられなくなるのだと思う。動く映像記録も大事だが、やはり写真映像も記録し、後世に伝える必要がある。
川田さんは、このステージの壁面の大きな魚のバックがよく似合っていた。  
カヌーデモは、11時頃に始まった。我が家は、2隻のカヌーを出したが、帰りの時間があり、途中で引き返さなくてはならなかった。
時間があれば、カヌーをする人とも交流をしたかった。カヌーは意外に参加が少なかった。
川を埋め尽くすくらいのカヌーが参加していたら、もっと面白かったとは思うが、この不況でそれどころではないのかな。

長良川脱ダム宣言集会
(共産党代表の国会議員さん)
長良川脱ダム宣言集会
(民主党代表の国会議員さん)
長良川脱ダム宣言集会
(ゲストミュージシャンのかわさきゆたかさん)
長良川脱ダム宣言集会
(川田龍平さん)
長良川脱ダム宣言集会
(菅さん)

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長良川脱ダム宣言集会 長良川脱ダム宣言集会 長良川脱ダム宣言集会 長良川脱ダム宣言集会

私の夢は、古来から人が往来した古道や街道を、統一したコンセプトで全国的につなげることである。
そしてその道筋周辺の自然を、今以上に豊かなものにする。当然この長良川も、昔のようなきれいな流れでなくてはならない。
富士山もゴミの山であってはならない。あちこちの海岸の松原も復活したい。観光地などは建物の色彩を統一したい。
暗渠になっている水路は可能な限りオープンにして、絶えず水を身近に感じていたい。
メダカやフナが普通に泳ぐ川であってほしい。貝がふんだんに採れる海辺であってほしい。公害のない町にしてほしい。

荒唐無稽な夢といわれるかも知れないが、わずか40年前の日本は、今の私の夢が夢でなく、公害地域を除いては、日本全国普通の姿であった。
なくなったものを元に戻してほしいだけである。

これからの公共事業は、もとの日本を取り戻すことに力を注ぎ、国民から歓迎の拍手が出るものであってほしいのである。
かなり膨大なお金が必要で、建設業界も潤い、経済的にもいい結果を生むのではなかろうか。そしてそれをやり遂げることで、国全体の文化レベルも上がると信じる。この長良川イベントに参加した多くの人もそう思っているはずである。

今回のこのイベントに参加して、私自身にとってはたくさんのものを得た。来年は、和歌山からももっとたくさんの人が参加するようにはらたきかけていきたい。
みんなで協力して、これ以上国土の荒みをくいとめたい。
 
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(バッタが遊びに来た
長良川脱ダム宣言集会
(トンボもたくさんいた)
長良川脱ダム宣言集会
(アゲハも)

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