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(2年にわたり漕いだ) | |||||||||||||||||||||||||
日置川漕ぎ漕ぎ記録 一回目 | |||||||||||||||||||||||||
熊野山岳地帯に水源を持ち、町名のもとになった日置川。その峡谷は、四季折々様々な表情で楽しませてくれる。 また、鮎、アマゴやウナギなどの渓流魚が豊富と言うことであるが、カヌーに関しては以外と知られていない。 ツーリング熊野川、古座川、紀ノ川と下ってきたが、日置川が最後かなと思う。どうも日高川はダムができてから水量が少なすぎる。 私と日置川との関わりは、これまでは河口でのメッキ釣りであった。前から一度下りたいと思っていたが機会がなく、やっと実現したのである。 土曜日でもあり、鮎釣師が上流へ向かう車の中からちらほら見えた。川も細くなっているところにたくさんいる。紀ノ川などではお互い、いつも気まずく漕ぐ場合が多い。少し心配しながら漕ぎだした。 「邪魔してすいませんなー」 「気持ちよさそうやのー」 「はいはい」 日置川の釣師は、カヌーの味方だった。少しほっとする。いつも感じることだが、上手な釣師ほどカヌーに対して理解してくれているように思う。 あまり釣れていない人ほど釣れない理由を、カヌーのせいにしたがる傾向がある。 私はいつも平和共存と言うことで、釣っている後を、艇を下りてかわしたり瀬が狭いときは提げて下る。今回もほとんどそうした 水量が少ないせいで、瀬は少し物足りなかった。3カ所ほど1級の瀬があり、そのクリアを楽しんだ。古座川とよく似た川筋だがそれよりは少し川幅が広い。 実はこの日の夜、蛍を見に行くことになっている。その乱舞の様をカメラにどのようにおさめようか考えながら下った。 そこで駄句をひとつ。 清流や 今宵の蛍に 思い馳せ なんちゃってね。 30分ほど漕ぐと山からの流れ込みがあるが、サポートしていただいた刀根さんから、上に滝があると聞いていた。艇を降りて見に行った。5分ほど歩くと滝はあった。綺麗な滝で、高さも結構ある。こういう自然を目の当たりにするのはうれしい。 滝の名は、「八草(ハソ)の滝」。滝の下には祠と神木がある。 この滝も雨が降ったときなど結構な水量となりこれ以上に見応えのあるものになるだろう。 修行をするには少し滝壺が小さい。 羽黒トンボがたくさん飛び交っていたが、このトンボが多いと言うことは、水が綺麗な証拠である。せっかく艇から降りたので、どんな魚がいるか写真に撮ってみた。水中眼鏡とシュノーケルをつけて堰からの落ち込みを覗いた。ジャコ、ハゼ、エビがたくさんいた。 これが正常な川の姿である。 まだ和歌山の主な川は、これらの生物は豊富にある。 川が汚いと、ストロボに汚れが反射するが、日置川はあくまでクリアである。 堰からしばらく漕ぐと山から大量に水が流れ出ている排水路があった。あとで聞けば、暗渠があり、先の写真の堰から、流れているとのこと。 あんな所になぜ堰があるのか分かった。その排水溝の横に、この暗渠を作った人を顕彰して案内板が建っている。 昔の人はえらい。 今の人で、私財をなげうち公共のために尽くそうという人は少ない。 カヌーを漕ぎだしたとき、日置川の川筋と古座川の川筋とはかなり似ていると思ったが、よく見ると少し違う。それは、古座川の場合周りは硬いつるっとした岩石のところが多いが、日置川は地層のような岩である。 同じように海底が隆起したと思われるが、その隆起した位置によって岩石の形が違うのだろうか。地質学の素養がないのでもどかしい。 カヌーを漕いだ時間は約2時間。約10kmくらい漕いだと思う。今度来たときは、最上流から漕ぐことにする。 それほど危険な場所もなく快適なカヌーイングができた。ここからさらに下って海に出るのも面白いと思う。 日置川町も備長炭や藍染めの宣伝とともに、全国でも指折りの、カヌーができる清流をもっと宣伝すべきである。この日のコースは宇津木からキャンプ場の前の中島までの9kmか10kmくらいではなかったかと思う。4時間コースということで漕ぎだしたが、結果は2時間強で下った。この日のコンディションからすると、ちょうどいい距離であった。 |
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夜は、日置川オートキャンプビレッジさんにお世話になった。夕食までごちそうになった。夕食はカレーだった。美味しかった。ただし周囲の評価は「カレースープ」といっていた。 このキャンプ場の特徴は、管理人さん自身がキャンプをしてる雰囲気であるため、気楽に本来のキャンピングが楽しめることである。 設備はいいが何となく、居心地が悪いというキャンプ場がブームに乗ってたくさんできた。 しかしキャンプはもともと何もないところにするのが原則で、ここはキャンプをするものが、自分のスタイルでキャンプができるところがいい。 ところが私は大きなミスをした。車を止め、テントを張ろうとしたが何となく何かが足りない。 よくよく見れば肝心なポールがない。蛍を撮影するためにザックのポケットに三脚を入れ、ポールを出してそのまま忘れてきたのである。結局RVRのシートをフラットにして寝た。これではお酒を飲んでの車中泊と一緒である。くそ!! 夜七時半頃から蛍を見に行った。ポイントへは40分ほどかかったが、橋の上から見る蛍の飛翔は壮観であった。 聞けばもっと飛ぶときもあるという。しかしはじめてのものにとっては、蛍独特の淡い緑色が、真っ暗闇を飛び交うのを見るのは楽しかった。 写真に撮ろうとしたが、露出も何も分からず、経験と勘でいろいろ露出時間を変えて撮った。 感じが分かったので、来年はうまく撮れるだろう。デジカメはこんな時全く無力であった。ロングタイムが構造的にできない。 というわけで、日置川初体験はテントを張れなかったことをのぞけば、楽しく終わった。 |
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二回目 | |||||||||||||||||||||||||
日置川のドラゴンボートがあるので、それにあわせて、キャンプの用意をし、日置川オートキャンプ場に向かった。 キャンプ場に着いてテントを張り、KG−1を組み立てた。朝からキャンプ用品に洩れはないかいろいろやっていたので遅くなり、出発が遅くなったので、船を出した時は、2時50分を少しすぎていた。 ここ日置川は2度目である。前回は、上流から今日の出発地点まで漕いできたので残りを河口まで漕ぎ下る。 船は、キャンプ場前の河原からすぐ出せる。ここのキャンプ場は、カヌーレンタルと搬送もやっており、この日は、リバーカヤックで対岸の小さな滝に、カヌーを突っ込み遊んでいた。 この日は、台風で降った雨の名残で、水位が普段よりもかなり高く、流れも速かった。キャンプ場から漕ぎだしてすぐに、短いがうねりの大きい瀬があり、デッキを洗われた。キャンプをしている人が、たくさん見ていたので、ここで沈するわけにはいかない。デッキが波につっこみスプレースカートを付けてない船に水が入ってきたが、なんとかクリアできた。それからあとは、増水で川幅が広がっている分ゆったりとではあるが、速い流れが船を運んでくれた。 軽くパドルを入れるだけで、思ったよりも早く下った。 ただし所々大きなエディーがあり、下手にパドルを入れると沈になりかねないコーナーがいくつかあった。 安居橋から20分ほどでトロ場にくるが、ここは四駆なら河原に入れるので、魚釣りをするならいいと思う。 漕ぎだして1時間ほどで田野井橋をくぐった。JRの鉄橋が見えたのは、漕ぎだして1時間30分を過ぎていた。 河口の大橋をくぐったのは、4時40分を少し回ったところであった。 約2時間かけて下ったことになる。しかし普段ならもっと時間がかかるだろう。 心配した鮎釣り師は、増水で釣りにならないのか、それほど多くなく点々という感じで釣っていた。増水しているおかげで、川幅が広くなっており、釣り師の間をポーテージで回避する必要もなかった。 「釣れますか」 「あかん」 遠くから見ても、釣れてなさそうなのはわかっていたが、挨拶がてら聞いてみたのである。水の量が多すぎるのか? 「気持ちよさそうやノー」 少しうらやましげに、こちらを見ながら言った。 「はい、この川は綺麗やし、最高です」 日置川の川筋は、増水で拡がり貫禄ある川に変貌していた。ただ、川下に行くほどに山稜が平凡となり、河原も広いため、景色としてはインパクトが少ない。 川にも、形の目立った岩石も少ない。この川は、ゆっくりと時間を掛け、エビや魚を捕ったりしながら下ると面白い川であろう。 上流から、2日くらい掛けてぶらぶらしながら下るのがいいと思う。カナディアンに向いている川かもしれない。 お楽しみの瀬は、デッキを洗う瀬が5カ所ほどあった。水流の盛り上がったところは大岩があるので、それさえ避ければ、危険もなくいい瀬であった。 減水したら大岩がむき出しになるだろう。 川筋では、あちこちの河原で子供達が大人と一緒に泳いでいた。 その前を通る時、「かっこいい」と声がよく掛かった。 古座川では慣れっこになっているのか、そんな声が掛かることはないのだが・・・ 私のこの日の服装は、地味なものであったので、「かっこいい」からはほど遠かった。少し照れる。でも声が掛かるとパドルに力が入る。 カヌーにぶら下がり、泳いで付いてきた浮き輪の子もいた。野田さんふうに、子供達とカヌー遊びたかったが、時間がなかった。 この日、川岸のテトラの間や岩の間を、水中めがねを付けてタモで、何かを探している人が多くいた。 聞けば川エビを捕っているという。 川エビなどが、先日からの雨により、上流からたくさん流れてきており、たくさん捕れるとのこと。こういう自然の恵みはうれしい。 このサイクルができていない川は寂しい川といえる。このエビをねらって、チヌやメッキがあがってきたら、楽しい釣りが出来るはずである。 そう思い、川口でメッキが釣れないかと、ロッドをセットし、船を流れに任せて投げながら下った。 |
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時間がなかったので、ルアーも熱心には打ち込まなかったが、魚も見えなかった。 メッキが回ってきていれば、せめて追いかけてくれと思ったがそれもなかった。 河口に着いたのは4時頃であった。 大橋には、明日のドラゴンボートの準備に、幟があがっていた。 明日ここを漕ぐのである。 すでに夕暮れが迫っており、川筋は陰になっていた。 10km弱を2時間かけて下ったのだが、普段であれば水量が少ないので、もう少し時間が掛かると思 う。 船を堤防からあげて、裏返し乾かしている間に、夜の食事を、すぐ前のスーパーオークワで調達した。 ビールと、バナナやベーコンを買い込んだ。 きわめてシンプルかつ簡単な夕食メニューとした。 KG−1を折りたたんでいると、キャンプ場の別所さんが回収に来てくれた。 時間があれば河口で一泊し、そのまま海に漕ぎだし、江原海岸の景観を楽しんでもいい。 この夏一番の、暑さの中の川下りで、熱中症にならないように、水をたくさん飲んだ。 2リットルのペットボトルは、半分以下に減っていた。 |
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キャンプ場では、一人でありささやかに夕食をした。食べるものもシンプルにした。 今回は、KG−1でバスを使ったソロツーリングで、手提げのバッグにどれだけ詰めればいいかのテストをした。テント、シェラフ、バーナー、ランタン、クッカーをバッグに詰め、それでKG−1を担げばどうなるかを試したのである。しかしキャンプ場では、周りはバーベキューのいい匂いをさせていて、少しプアーな食事であった。せめて、こうしたキャンプ場での食事は、いいものをすればよかったと反省。 このキャンプ場の近くにはクヌギの木があり、雌のカブト虫を捕まえた。家族連れに上げたが、その人たちはさも自分が捕ったようにして、他の人にあげていた。 これはルール違反。あげるのは全然かまわないが、こちらに声をかけるべき。子供の教育にも悪いね。 夜、カヌーを漕いで汗をかいたので温泉につかりたくなり、国民宿谷「ふるさと」に行った。 ここは施設は古いが、フロントも愛想よく、湯もよかった。 |
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