1997/June

             
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JUN/2(MON)
消費税実感、5%引きの日
曜日、ショッピングセンターの駐車場が異様に混んでいるのに驚きます。6時近くでこの人出はどうしたのか、という疑問は入り口の看板ですぐ解決しました。「本日消費税実感5%割り戻しの日」。これが目当てだったのです。
「消費税法案」が通り、増税はもちろん消費税制度そのものに反対してきたいわて生協は、制度の「定着」に抗議するため「5%割り戻しの日」を毎月1日に設定します。この日は原則として全商品を5%引いて、消費税分を還元し、組合員に税の負担を実感してもらうという趣旨で始められました。頭では「2,000円買ったら100円の税」とわかるのですけれども、レシートを見て「−100円」と出ると、「あぁ、あれも買えたかもしれない、これも...」と正直思います。
混雑は生協の中(特に食料品売場)に入っても、周辺のテナント(注:5%引きの店と、引かなかった店と両方あります)でも同様。中だけ見れば「その程度」としか感じないのですが、帰り道、同じような大型店を覗くとがらがらだったので、「5%」の威力を思い知らされます。その店でもセールをやっていたのですが、いかんせん駐車場が埋まってない。消費税の恨みは積もり積もって、形を変えて店に向けられるような気がしてなりません。この心配、杞憂で済むことを願います。(山田壮一)
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JUN/3(TUE)
社長の嘆き
生さあ。俺はへそ曲がりだから、企業と学校の懇談会にもここ4、5年行ってないのさ。だってそうだろう。好況の時は学校は「給料の高い東京に就職しろ」っていうけどさぁ。ここ(岩手・宮古)で12万もらうのと、東京で18万もらうのを比べても、家賃など引かれて手取りで考えればたいして変わりないべ。それをさあ、今更企業訪問されたって、随分都合のいい話だなあと思うわけ。いや、今日こうして訪問してもらったのは正直うれしいけどね。
パン屋っていうのを簡単に考えてるみたいだけどさぁ、ケーキ1つ作るのも大変なんだよ。−−粉塗れになるんですよ−−そうそう。だから、1日工場に来て体験してもらって、それから受験すればいい。最低賃金は払うからさぁ。−−1日様子を見れば、この子がパン屋に合っているかどうかわかるんですよ−−。おたくの学校から採用になった子もうちで1日働いたんだよ。いま店で働いているけどね。性格がよくて、笑顔がいいよ。さすが運動部を出ているだけある。
だから、こうやって先生が顔をつないでくれれば、俺も社長同士のつながりがあるから、電話で「こういう子がいるけどどうだ」って連絡つけてやれるのよ。それを、就職口がないからさぁ斡旋してくれって頼まれても、それだけでは「何言ってるんだ」って気持ちになるよ。
先生はどこの出身で何年いるかわからないけどさぁ、ここにも企業がいっぱいあるんだから、薦めてもらわなきゃ困るよ。求人票は送らないけど、希望者がいればまず工場に来てもらうことだな。とにかくよろしく頼むよ。(山田壮一)
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JUN/4(WED)
ナントカのためのカントカ
近、仕事が立て込んできてホームページの更新がままならない。そのように断っているのですが、1日のアクセスが20にもなると少し考えます。せめて「更新のための更新」にならないよう精進します。精進、なんていわないでルーティン(日課)になってしまえばしめたものであります。あとは、職場で試験問題を作る時間があるかどうかで更新が進むかどうか、です。
試験のための試験といえば、先日ワープロ担当者の集まりがあって「筆記試験を作ってくれ」といわれます。だったら年度当初にそう申し合わせをすればいいものを、試験直前になっていうものですからこちらは強硬に反対します。「授業の方向性をある程度決めるとかね」と後で別の担当者はいうのですが、結局「教科担当の裁量に任せてくれ」「だめ」「じゃ問題は各クラスで作ってくれ」と二転三転します。あぁ。
予算のための予算、株主総会のための株主総会、会社訪問のための会社訪問。何か、身の回りでやっつけ仕事が多くなって、いかんと思います。しかし、私自身もそれをやってもっといかんと思います。(山田壮一)
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JUN/5(THU)
もう巨人なんて...
20年前にファンを止めてます。しかし、テレビ・スポーツ紙・ラジオはなんだかんだと巨人(本当は「読売」なのですが、便宜上「巨人」と記します)を追いかけるのですよ。そのことのおかしさに、まず若者が気づいているのは「年齢別視聴率調査」にはっきりと表れてます。高齢者は「巨人戦」「水戸黄門」「大河ドラマ」を見、若年層は「サッカー」「世界まる見え!テレビ特捜部」「ごっつえぇ感じ」を視聴するというデータだったように記憶してます。さらにとどめは先日の読売・ラジオ欄に載った投書。土曜日の夜民放AM4局が「巨人戦しか中継しないから、若者はラジオを見捨てているのだ」という内容を、担当者はどう見ているのでしょうか。そのことを知ってか知らずか、来週からの聴取率調査に合わせ「ジャイアンツ19連荘(前回は20だったから1つ減ってます)」とやっている局もあります。その局は20年ぶりに聴取率調査のトップから転落してしまったのですが、まだ「メークドラマ・アゲイン」にしがみついているのですね。
昨日巨人戦の後「生でダラダラいかせて!!」を見ました。石橋貴明がナイター中にオリックスのマスコットぬいぐるみの中に入って奮闘する、という内容でした。試合はサヨナラ満塁ホームランでオリックスが勝ったのですが、日本テレビがパ・リーグの面白さをゴールデンタイムで伝えるようになったことに時代を感じるのです。そこは、さすが視聴率3冠王の局です。
さぁ、メディアもそろそろ巨人のみを追いかけるのをやめ、他チームも取り上げてみませんか?若年層は時代に敏感なのですよ。ラジオよりもね。(山田壮一)
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JUN/6(TGIF)
IBC岩手放送の見識
校総体開会式が昨日ありました。しかし、年をおうごとに感動が少なくなってしまってます。それは昨日のはっきりしない天候のせいだったか、私が年々年を感じるせいなのか、セレモニーが形骸化しているためなのか、どうもはっきりしません。去年は入場行進で各校が横断幕を持って歩きましたが、今年は3校だけ(おそらく、大会本部から話があったのでしょう)。しかも去年と同じ文句(「成功させようインターハイ水と緑の北上で」「総合学科で個性を伸ばそう。前進を!」「世界がステージ、未来がテーマ」)で、県教委が喜びそうなものばかりです。
開会式で何が楽しいかといえば、セレモニーの前後の応援合戦です。多くのテレビ局は各校の名物応援を取材し「各校にとって、応援団は年に1度の晴れ舞台」と伝えるのですが、IBC岩手放送はここ数年別の角度で報道してます。夕方の「ニュースエコー」は応援合戦を扱わず、歴代の選手宣誓者を追います。選手宣誓の選考基準は実力主義。各種大会で全国優勝(もしくはそれに準じる成績)を果たした選手のみが宣誓できると伝えてます。昨日宣誓したのは沼宮内(ぬまくない)高校のホッケー部の主将。インターハイ3連覇がかかっています。番組はここ数年間の「宣誓」を取り上げ、さらに5年前に宣誓した不来方(こずかた)高校の主将が小学校の講師をしている姿を追いかけます。他局にはまねのできない「濃い」報道です。
今週は聴取率週間らしいのですが、ニュースエコーは「変貌する商い〜商店街の再生」を特集に組んでます。大型ショッピングセンターが出店することで各店舗はどう対応するのか、東北各地を取材してます。昨日は仙台の家電店戦争を取り上げてました。濃い報道は「重い」と取られてしまうのですが、この報道姿勢は貴重です。そこに老舗放送局の意地を見ます。(山田壮一)
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JUN/9(MON)
あるそば屋の対応
週間前、盛岡の実家に子どもを見せに行くついでに昼食をそば屋で取ります。わんこそばを食べる団体客がひっきりなしで、新築された別館の2階に通されます。ここも団体客がわんこそばを食べるような大広間になってました。わんこそばの合間の接客だったので、わんこそばを食さないわれわれへの応対は後回しになったのは仕方ありません(それをわかって店に入ったのですから)。
さて、養護学校の生徒が修学旅行でわんこそばを食べてました。大人ですらペースをつかめず「こんなもの、2度と食べたくない」(隣の学生客)と思うのに、生徒たちはわんこそばを体験できるうれしさのあまり、食べ過ぎてしまいます。その時、給仕は少しも慌てず「具合悪くならなかった?」と聞き、適切な処置をします。間を取って生徒が落ち着くと、今度は「何杯食べたか数えたい」と言い出します。給仕は一緒になって「いーち、にー、さぁん、しー」と数え、「30」近くまで一緒になって数えたのでした。もちろん彼女がベテランだったこと、学校側があらかじめ予約を入れたこと(でも12時ごろでした)もあっての対応でしょう。しかし付け焼き刃ではできない仕草に、われわれは感心したのであります。
そういえば店主はボランティア活動を長くやっていて、彼らの立場がわかる方といっていいでしょう。それでも給仕にその方針が伝わることと、養護学校がわんこそばを「指名」するようになるには時間がかかったでしょう。この店、観光客だけを見てないで、足元も見ているのです。ちなみに店の名前は東屋別館。著名人も多く寄る店です。(山田壮一)
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JUN/10(TUE)
出張3日前
週が「期末考査」ということで、それに合わせて出張が入ります。私は1週間の上京を控えているのに、6種類(!)の試験問題が手付かずです。出張を控えている同僚も「まずい」を連発し、全く冷や汗ものです。さらに夕べは就寝後腹痛が襲い、眠りを妨げられてしまったというおまけつきで、余計に焦ります。
こういう時に限って仕事が集中し、週番活動、組合の集会(今日・明日)、授業の振り替えと、忙しくなることは増えても暇になることは増えないありさま。そんなこんなで、寝過ごしてしまいました。仕事をちょっとやって、それから出勤します。(山田壮一)
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JUN/11(WED)
市長選、動く
古市長選挙(7/13投票)まで、あと1ヵ月となりました。今までの市長選は市を2分(3分という場合もあったそう)する争いだったのですが、今回はなぜか静かです。私の属する組合支部は今回早々と「自主投票」を決めます。かつ「定期大会」でも「各選挙においては組合員の自主的判断を尊重し、一党一派に偏らない姿勢を貫く。ただし学習の機会は尊重する」という決議が通ってしまいました。ですから「○○を支援する」とか「△△に動員される」ということはなくなります。しかし、他の組織との関係もあるので、労組が推す候補を決議する会議に出ます(まったく、出張直前だっていうのに2日続けてこの手の会議なんですわ)。
今回の出馬予定者は2人とも「保守」で、「革新」である労組にとってはやりづらい選挙(だからこそ、うちの組合は「自主投票」になったのです)。「しかし」と連合・地方労センターはいいます。「現市政が一度として労働団体に目を向けなかったことを考えると、『自主投票』というあいまいな選択ではなく、ベストではないが新人の可能性にかけたい」というトーンで、新人を推すことになりそうです(正式には今日の連合の集まりで決まります)。今日の支部「代表者会議」で支部長がどう伝えるか(注・私は連合の集まりに出ます)になるわけですが、「どっちを選んでも変わりない」という冷めた声が上回るのでしょうか。(山田壮一)
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JUN/13(TGIF)
TIMEOVER
もあれ、出張にこぎつけました。今考えても恐ろしい昨日の仕事ぶりについて、私自身の今後のために記しておきましょう。
昨日の時間割は6時間、そのうち4時間が授業分でした。空き2時間の間に「扶養手当の確認作業」で市役所に行き、残り1時間で「’99岩手インターハイ準備に関する吹奏楽予備調査」の書類を作成します。この段階で試験問題3種類の作成が残ってます。6校時が終わり、清掃の監督がいつの間にか「進路相談」に化け、その足で「週番集会」に向かうとすでに始まってました。生徒の全校週番が点検後、私のところに日誌を持ってきたのですが、職員見回りを同僚に代わってもらいます。
試験問題3種類は2時間ちょっとで編集を終え、何とか仕上げました。うちにある「ワード97」で作成したものが、職場の「ワード95」で読み込めなかったのにはあせりましたが(注・これは「97」を保存する際「95」形式に変えると読めるようです)、うちでの予定稿で何とか対処できました。ただ「情報処理」の答え合わせを試みた時、前頭葉が痛み出したのには参りました。そうこうしているうちに、進路部長がやってきて、最終打ち合わせを口頭で行います。何とか見通しがついたのが6時過ぎ。「火事場のナントカ」でありました。
前頭葉の痛みは職場を出てから1時間ほど続きました。ラジオのクイズ番組を聞いて、また痛み出すというおまけもありました(8択とか10択の問題なんて、やめてくれ)。帰宅したら子どもがドライブ態勢で待ってて、運転して頭痛が残ったというのもありました。それもこれも「TIMEOVER」。1週間の出張に入ります。
興奮のあまり、3時に目が覚めてしまいました。東京1週間なんて、受験の時以来ですもん。(山田壮一)
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JUN/20(TGIF)
「広島に原爆を落とす日」を見る
伊国屋サザンシアターで行われている「広島に原爆を落とす日」を、公演2日目の夜(6/15午後7時〜)に見てきました。稲垣吾郎緒川たまきという取り合わせで前売券は当然売り切れ。しかしチケットセゾンで開演3時間前から当日券の電話予約をしているので、それで前から3列目という席に座れたりします(ただし補助席)。ロビーには花が飾られているのですが、ほとんどが吾郎君あて。で、周囲を見渡すと19:1で女性客。男の客はたいていカップルで、私のように1人で行くのはかなり覚悟を要します。でも吾郎君ファン6:演劇(もっといえばつかこうへいの)ファンが4(注・筆者の勝手な分析)と、意外と一般の客も多いです。
18年ぶりという「広島に原爆を落とす日」(注・当時のキャストは風間杜夫とかとうかずこだったそう)。筋を知らない私は、まず稲垣・緒川がどう演技するかをみたかったのであります。その昔、いのうえひでのり(今回の演出)が衝撃を受けたように、私もいきなり衝撃を受けます。圧倒的な音響と舞台効果。これ映画だよ、まるで。いきなり特攻隊のシーンが出てきて、すわシリアスものかと構えてたら、そこはつかのホンです。しっかり楽しませてもらいます。
舞台は原爆後のドームがセットに組まれてます。これは2時間30分の間、そのまま残ります。ストーリーで「反戦」「反核」などは言いません。むしろ好戦的・差別的な言葉を並べたて、世の偽善ぶりを挑発します。ビアンカ(光浦靖子)の道化振りに笑う我々、ディープ山崎(稲垣)が部下に投げつけるエリートエリートした言動...。
夏枝(緒川)の不思議な冷たさ、美しさと存在感。ディープとのからみがありそうでないさま。はちゃめちゃなストーリーの中にも、すこしずつ核心へ、8・6へと迫っていくさま。テンポの取り方、つかのホンをわかっている脇の芝居は、見ていて安心できます。日本兵(春田)と銀兵/ヒトラーの山崎はその辺よく押さえてました。
で、吾郎君ですが、2日目(数えて4幕目)にしてつか独特の長回しのセリフを無難にこなしている感じです(1か月の稽古ですもん)。その後、風間杜夫が大化けしたことを考えると、彼もこの公演で変わるのではありませんか。汗ぐっしょり、終わった後涙(緒川もでしたが)、全身全霊というのがよくわかります。
ディープ山崎が原爆を投下することを決意した後、数分もの独白があります。それに涙していたのはSMAPの稲垣にではなく、ディープ山崎に向けられていたもの。であれば彼も本望でしょう。
これは許されれば楽日前にもう1度見てみたい芝居です。明らかに吾郎君はこの舞台で成長する−−そう断言します。(山田壮一)
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JUN/21(SAT)
新日本フィル第250回定期演奏会
京シリーズの第2弾は、6月13日に行われた新日本フィルハーモニー交響楽団第250回定期演奏会を取り上げます。渋谷・オーチャードホールでのプログラムはブラームスプロで
・交響曲第3番へ長調
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調(ソロ/戸田弥生)
・アルト・ラプソディ(アルトソロ/ハンナ・シュヴァルツ 男声合唱/晋友会合唱団)
ゲスト・コンサートマスターがステュアート・ケーニン、指揮が小澤征爾です。
最初のブラ3。とても平凡な演奏でがっかりしました。「音がきれい」という声も聞こえた(たしかに翌日、翌々日に聴いたオケと比べればうまかったかもしれません)のですが、こちらに届くものを感じません。それは私自身が小澤+NJPに高い水準を要求していることの裏返しなわけですが、安定した音色が逆に新鮮さを感じなかったのに不満を残します。高音部がキンキンするのはホールだけのせいだったのでしょうか。
さて、気を取り直すことができたのが戸田のヴァイオリンソロでした。ものすごく緊張した様子だった彼女。定期の観客も不安感を持っていたのですが、彼女の尻上がりに良くなっていく演奏に引き込まれます。のこぎりを大鉈でさばくような姿と、ppの落差を両方使い分けられる。第1楽章を見事にこなしたところで、あとは奏者・観客とも安心して聴くことができたのでした。オケは引き立て役に徹したことで、戸田の持ち味が表れます。ただし、戸田がまだオケに遠慮しているところがある分、まだ成長が期待できるのではないかと思います。
7時30分開演、時計は9時20分を回ります。帰り始める客もちらほらと、ふつうならこれで演奏会が終わるのですが、250回記念でもう1曲プロを組んでます。言ってみれば250回定期演奏会感謝プロみたいなもんでしょう。最後のアルト・ラプソディはシュヴァルツの温和な表情が印象的でした。声がとりたてて響く、というわけではないのですが、終始穏やかな顔で歌っていて、そこに安らぎを感じることができました。
さて、このS=15,000円の演奏会をどう見ましょうか。NJPのホームページにある定期演奏会の感想欄に「小澤は疲れている」という評がありました。確かに彼も60を越えてますし、髪の毛の白さも増してますから、それはわかります。でもこういう平凡な演奏を続けられると、再度定期に足を運ぼうという気にはなれません。粗削りの技術でも、心に響くものを持っているオケを、私はいくつか知っています。例えば朝比奈+大阪フィル、小林+日本フィルというような感じを小澤+NJPに求めるのは難しい小澤のタイトなスケジュールなのでしょうか。(山田壮一)
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JUN/22(SUN)
リセットできない死
セットする感性、というのはかつて学級通信で取り上げました。同じことを考えているのが「ヨークマート」社長と、茗荷谷教会の牧師でした。覚えている範囲で言うと、「たまごっち」にはリセットボタンがあって、キャラクターがぐれたりして気に入らないと「リセット」をかけてやり直すことができる。しかし、人生はリセットが利かないのです。社長は訓示でそれを言い、牧師は説教で諭します。そのことと直接関連はないのですが、先週の茗荷谷教会であるホスピス(医者)がこういう話をしてました。
今までの医者は「病気を治す技術」は習得してきているが、その背景にある精神的なものを癒すことについてはほとんどやってきてない。だから、生死の現場に立ち会う時に、その医者の生命観が現れるといっても過言ではない−−。
この言葉を裏付けるべく、前週娘を天に送った遺族が礼拝後、次のように続けます。
娘は抗生物質を投入されたが、病状は回復する兆しを見せなかった。若い医者は「これ以上投入しても娘さんにとって酷です。だから私は抗生物質の投入を薦めません」と言ってくれたのだが、翌日彼の上司が「必ず良くなりますから、投入を続けましょう」と突っぱね、最後はすっかり変わり果てた姿だった。(ここまで父親が話すと、教会のあちこちからすすり泣く声が聞こえます。)妻は、娘が昇天したばかりの時に「生と死について」の話を聞くのはつらいといって、礼拝を休みましたけど、話を聞いてよかったです。
亡くなった娘さんを直接知らないので何とも言えないのですが、おそらく私と同じぐらいの年の頃。前の席に座っていた方は娘さんを高校生時代に亡くしていたので、余計堪えるものがあったのでしょう。この事実の前に、すべてが霞んでしまった礼拝だったのでした。何人か座っていた「リセット世代」にはどんな話として映ったのでしょう。(山田壮一)
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JUN/27
「茶飲み室」の生きる道
京出張の余波をひきずっているうちに、すっかりWebにもBBSにも疎くなってしまいました。ですから大家(ASAHIネット事務局)を訪問した時に、ASAHIネットの一部BBS・インターネット公開が終わったことを聞かされた時も「?」でした。出張から戻り1週間経って事情を飲み込んだ現在、戸惑いが怒りに変わって行くのを覚えます。
こういう事情です。BBS(パソコン通信)だったASAHIネットはパソコン通信Pと手を組むことで勢力を伸ばし、相互乗り入れをすることで「公称」数十万人の会員となりました。しかしASAHIネットの「実名・居住地公開主義」がPに浸透するのは難しく、実際あちこちでトラブルがありました。加えて採算性を重視するPはいくつかの会議室での相互乗り入れを突如中止し、おまけに会議室は他の大家に引越してしまいました。「技術上の理由」ということもありましたが、ASAHIネットがPに加えて供給過多になっていたこともあり、すべての会議室で相互乗り入れを中止したのです。
そこで相互乗り入れの対象だったASAHIネット「カフェテラス東北」のメンバーは一計を案じ、「インターネットからカフェを眺められることにしよう」ということで「ティールーム東北」の旗揚げをすることになりました。技術的にインターネット公開できるのだから、それに乗らない手はないだろうということ。突然乗り入れがなくなったことで困惑しているP会員との接点を作っておかなければいけないという2点が旗揚げに向かわせた原因です。
6月18日、東京は横殴りの雨でした。濡れ鼠状態で大家に行った私は、「一部会議室(BBS)のインターネット公開はなくなりました」という説明が何のことかわかりませんでした。なぜなら、まだティールーム東北の書き込みのうち20本はインターネットから読み出しできたからです。大家の説明がなんとなくわかってきたのはここ数日のことでした。つまり
・インターネット上で実名公開になることへの店子からの反発がものすごく、混乱を避けたい
・ブラウザ(NNやIEなど)からの各会議室に書き込みができるようになったので、実験運用の役目は終了した
ということなんでしょう。と気づいた時「じゃぁ、ティールーム東北って何だったの?」と思いました。だって、あの会議室はインターネットに公開することが1つの柱で、それがなくなったら「カフェテラス東北」とどう差別化できるのだろうか、って考えますもの。似たようなことは「カフェテラス全国」など(この会議室もインターネット公開を目指していたところです)にも言えますが、ね。
さて茶飲み室をどうするかなんですが、バイナリ対応の会議室を1つ作ってギャラリーにする手があるでしょう。あとは東北の事情を深めていくことで盛り上げる。ASAHIネット内部にとどめておくにはもったいない−−そうやって周囲の考えを改めさすしかないんじゃないですか。(ASAHI以外から見ている方、ごめんなさい。内輪ネタで)(山田壮一)
注)インターネットにBBSを作ることで、ここに書いた事実と現状が変わってきているのが3年後の実情です。でもBBSの空間が相当変わったことを感じます。
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