今から２年後の２０１８年は、明治維新１５０周年ということで、大規模な記念行事を行うとする動きがある。 それと同時に、１１月３日を「文化の日」から「明治の日」に名称を改めるという動きも自民党内の安倍晋三に 近い議員から出始めたとのことだ。
江戸時代が日本の歴史上一番素晴らしい時代だと思っている私にとっては、明治維新なんて邪悪な時代の始まり
であり、そんなもの祝う気などさらさらない。
徳川250年の治世の間は、対外戦争がなく平和な時代だった。環境にも優しい社会だった。
人々は生ごみでも再利用し家畜の餌にしていた。糞便なども肥しとして農家で野菜を育てるのに役立てた。
壊れたものは修理して使用し、ごみを極力出さなかった。
徹夜で仕事をするようなこともなく、夜になれば誰も家に帰り眠りにつき、無駄なエネルギーを消費することもなかった。
殿様と呼べるような身分の高い人でもその生活は質素なものだった。
鎖国によって国内の産業が守られ、国内の消費だけでも充分に経済は回り、安定した世の中がつくられていた。
それが、明治維新後、日本は戦争をする国になって、徴兵制度も敷かれた。
靖国神社のような邪教も生まれお国のため天皇のため戦争で戦死することは名誉であり
神として祀られるという邪悪な思想が芽生えた。
こうした社会風潮は、昭和の時代になるとより顕著になった。
中国などアジア諸国を侵略し、アメリカへも戦争を仕掛けた。
自分たちが勝手に仕掛けた戦争にも関わらず反撃され、国土は荒廃した。
学徒総動員、特攻隊攻撃などで多くの若者を死に追いやった。
そして広島、長崎に原子爆弾を投下された。
そして、戦争の後は一見平和な高度経済成長の時代が来たように思えた。
しかしそれはボロボロになるまで人々を働かせ、
経済指標をよくするため多くの無駄なものを作り、
使えるものまで捨てて新たなものを買い替えるだけの環境破壊の時代の到来であった。
何のことはない。明治維新以降の軍隊的社会風土は、企業同士の利益獲得戦争という形で引き継がれたのだ。
更には水俣病やイタイイタイ病などの公害も起こり、原発を推進し、無駄な電力を消費した挙句、
最後は福島第一で原発事故で東日本に甚大な被害を引き起こした。
そんなわけで、明治維新なんてまったく私は評価していないし、明治の日なんて名称などとんでもないと思っている。
そうした明治維新の評価の問題も大きいが、何より特定の天皇の誕生日を永久祝日とすること自体が問題である。
日本は神武天皇より今上天皇まで125代の天皇が在位してきた。
その中で、既に昭和天皇の誕生日4月29日は永久祝日化され「昭和の日」という名称となっており、
今回更に明治天皇の誕生日11月3日を「明治の日」として天皇色を強めようとしている。
このように歴代の天皇を評価、差別化し、明治天皇、昭和天皇だけを特別視することは裏を返せば、
この２人以外の天皇はどうでもよい存在だと言っているようなものだ。
他の天皇にとっては、とても失礼な話だ。
天皇制を認めるか認めないかの議論はともかく、
例え天皇制を認めるとしても、天皇の誕生日を祝う祝日は、その時点での天皇の誕生日に限定すべきである。
天皇が退位または崩御した場合は次の天皇の誕生日を祝日に移し、
旧天皇の誕生日は必ず平日に戻すことを今後の未来徹底すべきである。
如何なる例外も認めてはならない。
みどりの日など、別の名称にして存続もダメだ。一人を特別扱いすれば、この天皇も、この天皇もということになり、
歴代全ての天皇の誕生日を祝日にしろ、という非現実的な意見も出るだろうし収拾がつかなくなる。
そこはドライに割り切らないと天皇制そのものの秩序がおかしくなる。
個人的な見解だが、私としては差し当たり、昭和の日はなくし４月２９日は平日とし、文化の日は１１月３日ではなく、
１１月の第一月曜日とするのがよいと考える。
大体この天皇は特に偉いから誕生日は永久祝日にする、この天皇はどうでもよい、という判断基準がさっぱり不明だ。 恐らく明治天皇、昭和天皇の場合、軍事的経済的に行け行けドンドンの時代だったからという理由なのだろうが、 軍事経済以外にも多様な価値観があるはずだし、天皇自身はどの時代でもそれほど政治的には大きく関与しているわけでもない。
そもそも、そのようなことを
国民のほんの一握りの人々が軽々しく判断し、決定しようとしていること自体が異常なことである。
ちなみに主な推進者は、塚本三郎会長＝元民社党委員長、小田村四郎・元拓殖大学総長、櫻井よしこ、稲田朋美・・・
などである。憲法、軍事、歴史認識が偏った極右と呼ばれる人物が顔を揃える。
こういう輩は一体何様のつもりなのだろうか。自分達を全能の神とでも勘違いしているのではないか？
口先では「天皇陛下万歳」を唱え、その裏では天皇の権威を利用し、自分達の都合の良い社会を作ろうとする。
天皇を尊敬する素振りを見せながら、内心天皇を見下しているのだ。
だが、私はそういう輩を決して保守とも右翼とも認めない。
むしろ本当の保守、右翼の方なら「明治の日制定反対」「臣民の分際で天皇を軽々しく差別化するな」
「これは天皇、皇室に対する不敬罪だ」と怒るところだろう。
保守層や右翼の方々こそ、声を上げて偽右翼の国賊を討伐していただきたいと思う次第である。