しげぼうの言いたい放題


・野党共闘の戦略に問題なし!ブレずに安倍政権を攻め立てろ!(2016年04月30日)

今年の夏の参議院選挙の前哨戦として、京都3区、北海道5区の補欠選挙が4月24日(日)に行われた。 京都3区では民進党の前職が圧勝(自民党は候補立てず)、 北海道5区では自民党候補が野党(民進、共産、社民、生活)統一候補に辛うじて競り勝った。

今回の選挙戦の特徴は、野党が共産党を含めて一つにまとまり自民公明の与党候補に挑む構図となったことだ。 共産党が独自候補を立てず、反自民公明の野党と協調した選挙戦に臨むのは、今迄は沖縄県以外では殆どなかったことだ。 憲法違反の安保法制を強行採決した与党自民公明の強引な政治に対して、何としてもその暴政にストップをかけたい、 と戦略を変えた、この共産党の決断は大いに評価したい。北海道5区では惜しくも敗れたが、 これは戦略的な誤りではなく、候補者の力不足だったとはっきり申し上げたい。 今後もこの戦略で野党はいくしかないであろう。

政治において最もまずいことはブレること、割れることの2点である。これは政策の良し悪し以前の問題である。 1998年参議院選挙で自民党が大敗したのは、当時の橋本内閣が財政再建路線を進めていたのに選挙戦で時の橋本首相が唐突に 減税を口にしたからである。
戦後の日本の政界は、大半の期間自民党が政権を握っていたが、非自民が2回だけ政権を獲得した。 短い期間で崩壊してしまったが、その崩壊の過程は極めて類似している。
55年体制後初の非自民政権である1993年の細川連立政権は、政治改革を旗印に国民の人気は高かったが、 当時の社会党と自民党から分裂した新生党が安全保障政策で対立、 小選挙区制度も新生党が強く推進するが社会党は積極的ではなく、連立政権内での意見の統一が取れずにやがて社会党と さきがけが連立を離脱に至った。社会党側は自民党に持ち上げられる形で政権を取った(村山内閣)ものの、 安保自衛隊問題で大幅に譲歩し、結局1年半程度の短期政権で終わってしまった。 新生党側は、残りの政治勢力で非自民非社会党で新進党を立ち上げたが、選挙で伸び悩み、2、3年程度で結局解党した。 非自民勢力は社会党側も新生党側もどちらも絶対的な力を握ることなく消滅した。
1993年当時の非自民勢力は、その後紆余曲折の末、民主党を結党し、2009年にようやく再び自民党から政権を奪った (鳩山内閣)。 コンクリートから人へというスローガンの元、消費税の増税に頼らず予算の大幅な切り替えで社会保障(子供手当等) を充実させると当初約束した。当初は順調だったが、鳩山は普天間移設問題で二転三転して結局1年も内閣は続かなかった。 そして、菅直人が首相になり、2010年の参議院選挙では、唐突に消費税の増税が必要だと言いだした。 反発の声が上がると年収の低い人は還付すると慌てて軌道修正し、右往左往した挙句選挙で敗北。 この翌年、野田佳彦が首相になると、消費税増税を本格的に決断。当初の約束が違うと民主党内から反発の声が上がり、 小沢一郎など一部議員が党を離脱。更には、大飯原発の再稼働を強行し更なる離脱者を出した。 野田はこのような状態で解散に踏み切り、先の離脱者は未来の党(現在は生活の党)を結党し120ほどの勢力で選挙に挑むも 民主党と票を食い合いどちらも大惨敗。現在の自民党一強体制の足掛かりを作ってしまった。
これら非自民勢力が衰退した要因は、基本政策が定まらず、とりわけ彼らの中でも右派(自民党に近い考えの持ち主) が暴走した結果、分裂を引き起こしたことが大きい。
もっとも、ここまで述べてきたこととは一見矛盾していそうなケースも過去にはある。 2005年の衆議院選挙(郵政選挙)である。時の小泉首相が郵政事業の民営化を主張し反対派を党内から一掃、刺客候補を立て、 強気にブレずに選挙戦を戦い勝った。党が分裂したのに勝ったという稀な例である。 但し、よく見てみると、このケースは郵政民営化賛成の候補者は、各選挙区に1人ずつ候補を絞っており、 賛成派同士では一致結束していたのが大きい。
大切なのは、基本的な政策にブレがなく、なおかつ同じような考えの者が一つにまとまることなのだ。

今迄の野党勢力は、安倍政権の政策に反対することでは一致していたものの、 相手とのちょっとした違いからバラバラに行動した。選挙では同じことを主張する候補が複数出て共倒れを起こしてきた。 こうした事は何としても避けなければならない。
とは言え、民進党の中には、「共産党と組むのは禁じ手だ」、「共産党と組んだら保守票が逃げる」、 「安保法制は反対ばかりしないで政府与党と現実的な議論をしろ」、「原発は必要だ」 などと抵抗する勢力が一部あることも事実だ。 だが、そういう意見の人達が旧民主党を衰退させ、国民の信用を失ってきたことは既に証明済みだ。 はっきりいって、民進党はそうした党内の隠れ自民のような勢力は切り捨てる覚悟を決めるべきだ。 そういう人物の選挙区には刺客候補を立て、 とにかく共産党を含む安倍政治に反対する勢力は小選挙区や1人区では必ず1人にすることだ。 1人という数は、2人でも0人でも駄目だ。

現在の安倍政権は、言論弾圧を行い、憲法を無視した安保法制を強行した戦後例を見ないファシスト政権である。 経済政策も株価操作することしか能がなく、国民のカネを強引に貯蓄から投資へ回させようとし、 更には国民から徴収した年金で株を大量に買い、大損失をさせた国賊政権である。
この政権に反対を叫ぶことは、それだけでも充分に選挙の大義となりうる。 良識ある野党は結束して夏の参議院選挙を戦うことを祈る。


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