しげぼうの言いたい放題


・自民公明圧勝、全ての元凶は小選挙区制度にあり(2014年12月16日)

記録的な低投票率の中、自民公明の連立与党が3分の2の議席を確保した。 これで、低投票率が定着し、特定の業界団体や宗教団体のみの意見が反映される自民公明の独裁政治 が永久に続くことになってしまいそうだ。 前回と比べ、次世代など極右政党が大惨敗し、共産党が21議席に躍進したのが微かな救いとは言え、 2大政党政治はもはや影も形もなくなったと言える。

今回の衆院選で、自民党の小選挙区の得票率は48.2%で5割を切ったが、 全295選挙区のうち223議席を獲得した。議席占有率は75.6%。 第1党に得票率以上の議席を与える小選挙区制の特徴がまた示された形だ。

これに対し、民主党の小選挙区得票率は22.5%。獲得議席は38議席で議席占有率は12.9% と低迷した。

前々から私は言っているが、小選挙区制度は死票が多く、大政党に有利で民意を反映しないので止めるべきである。 無論現在の自民党はその恩恵に最も授かっており彼らが政権にある間は決してやめるはずはない。

だが、そもそも小選挙区制度を導入したのは自民党ではなかったのだ。
始まりは1993年の中選挙区制の衆議院選挙の結果において、自民党は結党以来初めて野党になったことだ。 1955年に自民党が結党して以来、38年一貫して政権に座にあったのが、 社会・新生・公明・日本新・民社・さきがけ・社民連・民改連の各党の協力関係で初めて非自民連立政権が 誕生した。
が、これらの政党は政策的考え方が当初からバラバラであり、安全保障の問題を巡っては特に 社会党、新生党(旧自民)には隔たりがあった。連立政権を一番仕切っていたのは新生党の小沢一郎、羽田孜 などであった。 彼らはまず目障りな社会党の土井たか子を衆議院議長に持ち上げて、扱いやすい日本新党の細川護煕を首相 に担ぎ上げた。政治改革の名の元、企業献金をなくす代わりに政党助成金制度を通した (現在は企業献金も政党助成金もどちらも受け取れるようになっている)。
そして何を思ったのかカネがかからない制度として小選挙区比例代表並立制の選挙制度の法案を通し、 自民党も賛成した上で成立させてしまった(このとき自民党総裁であった河野洋平も最近になって小選挙区は 間違いだったと反省しているようだが気付くのが遅すぎだ!)。
連立与党としては、構成する8政党全てを一つの政党として自民党と対峙する戦略だった。ところが、 各党間で政策のすり合わせもせずに強引に進めようとしたためついに、社会党とさきがけが連立政権を離脱、 非自民連立政権はあっという間に消滅してしまった。

結果、1996年初めて小選挙区比例代表並立制で選挙を行ってから今回まで7回選挙をやって、自民党が負けたのは 2009年選挙の1回のみ。これでは、2大政党政治とは言えず、行き着いた先は、自民1強時代だったのである。 こんな結末は今迄の日本の政治の現状を見れば私のような頭の悪い人間でもわかるはずなのだが、 当時の連立与党の連中は、それがわからなかった。彼らの多くは、現在の民主党に所属することになったのであるが、 一時は確かに輝いて政権の座についたが、少しボロが出るとメタメタになり、今では菅直人や海江田万里などの幹部 でありながら小選挙区で落選し続ける始末。
民主党が比較的好調だった頃は、こうした人達も「小選挙区比例代表の比例代表の部分を段階的に減らし将来は 完全な小選挙区制度にすべき」と主張していたのだが見事にブーメラン現象となった。 「いや、まだこれは時代の過渡期に過ぎずいずれ自民党と渡り合える強い政党になる」などと未だに夢をみている 者もいるが、誰もそんなことは信じないであろう。

野党だけではなく自民党など与党も政治家としての劣化を招いている。55年体制時の自民党であれば 選挙のときは如何に投票率を増やすかに注力していた。そのため良し悪しはともあれ衆参同時選挙を意図的に行う こともあった。ところが、小選挙区比例代表並立制となって、特に自民党が公明党と手を組むようになって からは劣化が著しくなった。「無党派層は家で寝ていてくれればよい」と2000年の選挙で森喜朗首相が発言したのが もっとも象徴的な例だ。昔の自民党では考えられなかったことだ。 自由で民主的な政党が何故教祖の一声で右にも左にも行く宗教政党と手を組み未だ手を離さないのか? 極めて異常な事だ。国民の民意をゆがめ世渡り上手な政治屋だけが生き残る。 現在の安倍内閣もアベノミクスの利点ばかりを訴えて、集団的自衛権の閣議決定、秘密情報保護法案、 原発の問題などこそこそ隠し、マスコミには報道規制を行い選挙が盛り上がらないようにして、史上最低の投票率に して、業界団体や特定宗教の組織票固めに徹して絶対多数をもぎとった。このような最低の政治システムを作った 国会議員(共産党以外)は、その罪は極めて重い。

そういう意味で私としては、暫くは今回20台に躍進した共産党の動きに注目したい。 共産党を含めたすべての野党がまとまったのが沖縄県で、4選挙区全てで自民党候補を破った。 ここは参考モデルとなるだろう。
現在の小選挙区制は、廃止の方向に将来持っていくとして、差し当たり共産党を交えた野党共闘で安倍政権を 包囲する方向に持っていくしかないだろう。そうして善良な政治家が勢力を伸ばしたところで、小選挙区制度を 廃止し、中選挙区や比例代表を中心とした制度に改めるのである。それが出来ない限り、日本の政治は永遠に 動くことはないであろう。


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