しげぼうの言いたい放題


・選挙の棄権に「忙しい」は通用しない(2013年07月25日)

世の中、特に日本人には、やたら「忙しい」を口癖にする人が多いようだ。 そこら中にいませんか?「私は今忙しいの!」「忙しくてそんなことやっていられないよ!」とか 言う人。そのような人は「自分は忙しいから偉い」「お前は暇で遊んでいる」などとやたら上から 目線で鼻につくようなタイプの人間である。「オレは月に何十時間残業をやった」などと自慢げに 語る者もいる。
よくよく考えれば、そのような”自称忙しい人”は、自分自身の作業効率の悪いことに対する 裏返しでもある。あるいは、自分の能力の限界を超えて人からの作業を引き受けてしまうという、 いわば出来る作業と出来ない作業の切り分けが出来ない人とも言える。 医者や警察など本当に社会に必要な存在で日々緊張を強いられる方々もいるが、大半が重要でない仕事を 無味に繰り返しているだけのことも多い。
ま、私自身も偉そうな仕事をしているわけでもなく、その割に上記のことばをついつい口に出して しまうこともある。人の振り見て我が身を振り返らねばならない。 問題はそれを自覚出来るかどうかであろう。

さて本論に入ろう。7/21(日)に参議院選挙が行われた。 結果は、予想通りの自民党の圧勝、公明党の完勝、民主党の大幅減となり、共産党が議席を増やした。 が、そんな結果よりも問題は投票率の低さだ。投票率は戦後3番目に低い52.61%だった。 先程述べた”自称忙しい人”が大量に選挙を棄権したのだ。
選挙に行かない理由を尋ねられても「自分一人が投票しても何も変わらない(←バカか?)」「仕事で忙しい (←期日前投票があるだろう。たった5分くらいの時間も割けないほど忙しいわけねえだろ!バカ!)」 「魅力ある候補者がいない(←地方ならともかく、都市部へ行くほど色々いるので迷うくらいだろう。 都市部へ行くほど投票率が低いのはどういうことか?)」「政治に興味がない(←バカか?関心持てよ!)」
朝日新聞に掲載された選挙に行かなかった人の理由をまとめるとこんな感じだ。
本当に、選挙の争点もなく、候補者自体がいないのであれば仕方あるまい。 だが、争点は、経済問題のほかに、社会保障問題、原発・エネルギー問題、憲法改正問題、TPP問題 等、日本の将来にとって大切なものが沢山あった。 候補者だって、多くいた。どんなに田舎で人口の少ない地域でも、自民党、共産党といった正反対の主張をする 政党が選挙区では必ずいた。都市部へ行くと、更に多くの政党候補者が名を連ねており、比例区では主要政党 だけでも9政党あった。

これらの人は、みな痴呆の類であるなら、それはそれで仕方ない面もある。 がそうではないようだ。皆きちんとした職業を持って、まじめに働き収入を得ている人のようだ。 要は、目先の仕事や遊びにばかり関心が偏っており、日本や世界で何が起こっているか全く関心がないのだ。 そうして、忙しいということばを免罪符に選挙を棄権するのだ。
確かにこういう人は、政治には関心を持たなくても、仕事をしたり遊んだりすることで、経済的な面で日本に貢献をしている のだから、それはそれで構わないという方もいるかも知れない。
だが、それこそ為政者の思う壺だ。 経営者の言うがままに無制限に休みなく働き、たまの休みには今迄稼いだカネを全て注ぎ込んで消費に回す。政治的な関心は 一切持たない。こういう国民を為政者は何より望んでいるのだ(ちなみに私はそれと全く正反対のタイプである)。 思い出してほしい。森喜朗元首相が「無党派層は寝ていてくれればよい」と2000年の衆議院選挙で語ったことだ。あれが為政者 の本音なのだ。

為政者の洗脳もあってか、日本民族の愚民化が進行していることを私は大変憂慮しているのだ。東京新大久保や大阪鶴橋では 「韓国人を殺せ!犯せ!」など聞くに堪えないヘイトスピーチを飛ばしている集団も発生している。 日本は右傾化しているという声も聞くが、もはや、この国は右翼とか左翼、保守とかリベラルといった尺度では測れない 状況になっている。これは右傾化ではなく愚民化の進行である。

日本人も目先の仕事の忙しさや遊びの楽しさに目を奪われていると大変なことが待ち受けていると警告しておきたい。 後、3年は選挙がないのだから今後はどんどん自民党の好きなことが出来る。でもそういう結果になってしまったのは 日本国民の責任である。後はどうなっても私は知る由もない。


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