しげぼうの言いたい放題


・アベノミクスは自由主義経済の限界を意味する!(2013年01月22日)

日本の株式市況が好調だ。日経平均は昨年11月には8千円台だったのが、1万円を超えてしまった。 この勢いはまだまだ続きそうだ。
無論、これは安倍晋三が総選挙の時から訴え続けてきた2%の物価目標に期待してのものだ。 実態経済など全く反映していない。
2%の物価上昇が達成されるまで、日銀に札束を刷らせて市場に流し続けるというこの政策に対して マスコミは「アベノミクス」などと騒ぎ立ててきた。

安倍の考えていることは、「今迄、日本経済が20年以上も停滞してきたのは、日銀が市場にカネを供給しなかった からだ。物価が上昇すれば、企業の設備投資が増え、企業が労働者を雇い、賃金も上がっていき、消費が増え、 経済が良くなっていく。」ということなのだ。日銀に国債を市場を通さず、直接引き受けさせる、そのための政府と 日銀の間で協定を結ばせる。物価目標の達成を日銀が出来なかった場合(更に雇用増加も日銀の使命とする)は日銀総裁の クビを切れるなど日銀法の改正も考えているらしい。
何とも無茶苦茶な話だ。何でもかんでも日銀に責任をなすりつけ、恫喝することで国民に「私は仕事をしてます」という 安倍のパフォーマンス以外のなにものでもない。

日銀は、これまでにも金融緩和を行い続けてきた。その結果、2006年から2007年頃まで一時的には景気が持ち直してきたことも あったが、企業の内部留保金額が増えただけで、一般庶民への還元は殆どされなかった。 いくら金融緩和をしたところで、企業の労働条件を改善させるようにしなければ、雇用も給与も増えないまま物価だけが 上がってしまうスタグフレーションが起こるだろう。企業の労働条件を改善するように努力すべきは勿論日銀ではなく 政府の役割なのだ。
また、本当に2%という目標通りになるのかも疑問だ。物価目標を設定していた国は世界には多くある。それは、物価の上昇を 抑えるという目的で行っていたのであり、デフレの国がインフレに導くために行われたことは過去一度もない。 日本の「円」の信頼を場合によっては根こそぎ揺るがすことにも繋がりかねず、そうすると歯止めなきハイパーインフレ が起こる可能性もある。
ハイパーインフレの恐ろしさは物価上昇が何十倍か何百倍か予測がつかない恐ろしさがある。消費税増税のように何%物価 が上がるという予測可能なものではない。原発を止めて電気料金が上がることよりも遥かに恐ろしいことなのだ。

そもそもモノが売れない、という現象は、日銀のせいではなく、無論消費者のせいでもないのだ。 魅力あるモノを作りだせない企業のせいなのだ。
消費者がモノを購入するのには、3つのパターンがある。
@モノの機能そのものに魅力があって購入する場合。
Aモノそのものが壊れたから買うという場合。(天変地異でインフラが破壊されたための復興需要というのも このパターン。)
B増税や通貨の下落を予測してとにかく早めに何かを買おう、という場合。
@のようなポジティブな消費によって経済が発展することが望ましい。が、今の日本(私自身の経験)ではAのパターンが 大半であろう。震災のような天変地異頼みのネガティブ消費では健全な姿とは言えない。壊れやすいモノを作っては買わせ、 作っては買わせでは健全な発展とは言えず、環境にも悪影響だ。
アベノミクスでは、更にBのパターンで意図的に通貨の価値を下げることでモノを買わせようとするもので、これはとにかく モノを買え買えと迫る押し売り商法と同じである。
・・・「自由主義経済は、規制を極力撤廃し自由に企業同士を競争させることにより、より良いモノが産みだされ、経済が発展し、 人々はより豊かになる」・・・我々は、そう信じてきた。 それがどうやら幻想で、実際は劣悪なモノをいかに安く作るかの競争となり、消費者のカネの価値を意図的に下げることで 経済を維持しようという方向に進んでしまったのが現実なのだ。 アベノミクスという押し売り型資本主義は、自由主義経済の限界と破滅を意味しているのだ。そこに気付かねばならない。

インフレそのものを手段ではなく目的とすることほど愚かなことはない。 インフレで儲かるのは、一握りの資本家、投資家、無謀な借金を重ねた放蕩野郎に過ぎない。 デフレを止めることに意味はない。むしろ、どんどん儲からない企業は潰した方が良い。円をもっともっと強くした上で 世界の土地や資源や貴金属を買いあさったほうがよい。 無意味な生産と消費を繰り返し、環境を破壊するためにインフレをやるくらいなら、デフレで沢山だ!!!


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