しげぼうの言いたい放題


・戦後の核家族化が生活保護費の激増をもたらした(2012年06月10日)

人気お笑い芸人次長課長の河本準一の母親が生活保護を受けていたことが大きな話題となっている。 河本本人は、充分な収入を持っているはずなのに生活保護をうけさせていた、ということが問題と なっている。

生活保護のありかたとして以下のように大きく国論が分かれているようである。
@家族や親族に金銭的に支援が可能な者がいる場合は家族親族が生活を支え生活保護を支給すべきでない。
A家族も親族も独立した存在であり支援の必要はなく生活保護の支給を行ってもよい。
とする意見に別れている。 だが、民法は877条では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」となっている ので、前者の方が正しい意見のようである。

私も、親が生活に困窮していて子が充分な収入や蓄えがある場合は子が支えてやるべきだと思うし、 逆に子が就職出来ずに生活に困窮している場合で親が充分な資産がある場合は援助することは当然の ことと考える。生活保護は、そうした身よりや助けてもらえる人が全くいない貧困者にのみ配るというのが 適切であろう。 ましてや、援助出来るのに援助出来ませんと言い張り、貰えるものは貰えと親子で口裏合わせをするなど もってのほかだ。
ところが、上記Aの考えを持っている人が日本にはかなり多くいることも事実である。 生活保護を受けるより、親族の世話になることを恥じる風潮が強いのである。河本準一のケース では子が親を援助するかであったが、逆に親が子を援助せざる得ないケースはもっと多いと考えられる。 現在は、長引く不況で若者が就職が難しくなり、就職しても正社員になれず収入も少ない人も多い。
「それは子供の努力が足りないからだ!いい歳をした成人が親に面倒を見てもらうなんて!」 などという年配者も多い。
確かに子供に独立心を与えることは大切だ。親もまた子供の世話にならずに生きていこうとする姿勢 そのものは否定しない。
しかし、いくらきれいごとや精神論を言ったところで誰かが困れば、結局最後はお国が費用を負担し 、お国が迷惑するだけなのである。そのことを忘れてはならない。

一昔前の日本では、親子孫が1つの世帯に一緒に住み、互いに支え合うというのが当たり前だった のである。ところが日本は戦後の混乱期を過ぎると核家族化が進行した。 家族主義という枠に縛られず自由に生きることを良しとし、親と子供は独立すべし、子供は成人したら 親元を離れ独立するのが当たり前という風潮が強まった。成人しても親元を離れない若者はパラサイト と言われ非難されるようになった。
経済を優先させたい、住宅を沢山売ってモノを沢山買わせたいという経済至上主義がそうさせてしまった のだ。
偉そうに「若者は親元を離れろ!」「カネがなければ借金してでも自分の人生は一から自分で築け!」 という輩は、ただ単にモノを沢山作って沢山売って儲けたいだけなのだ。独立心云々ではなく経済の ことしか頭にない連中なのだ。

そうした戦後の家族への考え方は、親子の絆をぶちこわし、本来国家が負担しなくてもすむ生活保護費を 増加させる要因となっただけではない。無駄な住宅建設、無駄なモノ、無駄なエネルギーを大量に消費 することに繋がり、環境に対しても甚大な悪影響を与えてきたのだ。行き着いた先が、福島の原発事故 だったと言える。
震災や原発事故が起こって今更のように絆が大切などと言いだした日本人だが、些か気づくのが遅過ぎた かもしれない。
とにかく、こうしてみると如何に戦後の国造りの根本が間違っていたかを改めて実感できる。


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