しげぼうの言いたい放題


・自然エネルギーへの転換を急げ!(2011年04月10日)

東日本大震災後、東北地方は言うに及ばず、比較的被害の小さな関東地方でもすっかり街の雰囲気が 変わってしまった。どこの店も駅の中も節電で薄暗くなり、エスカレーターなどもストップ、夜のネオンも 消えてしまった。消費も生活必需品以外は、殆ど売れなくなり、そうした動きは西日本にも及ぶという。
勿論、これは福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故の長期化が大きな要因となっていることは言うまでもない。 では、日本のエネルギー政策は今後どうしていくのがよいのか?主に3通りの意見に分かれるようである。

1.今回の原発事故を教訓としてより安全な原発を推進していく。
2.CO2排出が増えるが火力発電を見直して原発は使用しないようにする。
3.経済を縮小しても節電して原発や火力に頼らなくする。太陽光発電や自然エネルギーの導入を推進する。

1は、はっきりいって論外である。日本の大部分の政治家や財界人はこれを推進しているように見える。 彼らは「原発がなければ日本の社会や経済は回らない。今回の事故の原因は、東京電力の安全管理、企業体質が悪かった ことにあり、今後は気をつければ問題ない。」と考えているようだ。 だが、どんなに安全なものを目指すと言っても、想定外の事故は起こり得るのである(「失敗する可能性のある ものは失敗する」というマーフィーの法則通りに今回はなってしまった)。事故が起こってしまった場合のダメージの 大きさを考えるべきである。
また、たとえ事故が起こらないとしても、原発で発電する以上、放射性廃棄物は必ず出る。 放射性廃棄物は、原子力発電所の運転などにともない発生する放射能レベルの低い「低レベル放射性廃棄物」と、 使用済燃料の再処理にともない再利用できないものとして残る放射能レベルが高い「高レベル放射性廃棄物」と に大別される。日本では、低レベル放射性廃棄物は陸地に埋設処分される。 高レベル放射性廃棄物は、放射能が半減するまでに数万〜数億年かかる放射性核種を含む危険物であり、 青森県六ケ所村などで30年から50年ほど冷却貯蔵した後、深さ300メートル以上の安定した地層内にある「最終処分場」 に埋めることになっているが、具体的にどこになるのか明確になっていないのだ。 埋葬の他には、海洋投棄、あるいは宇宙投棄ということも考えられるのだが、いずれも危険で現実性がない。
こんな恐ろしく危険なゴミを多く出し、その処分が困難を極めるような発電システムの推進などもっての他だ。

だからと言ってのように火力発電の推進はどうかというと、これも感心できる策とは言えない。 日本は、2020年までに1990年比25%削減という目標があるが、経済復興を優先するためには当然凍結することになる。 火力発電の燃料となる石油や石炭を燃やせばCO2を大量に排出するからだ。だが、こうした資源は地球上でも限りが あるためいずれはなくなってしまう。 2005年末の時点で、石油は後41年で枯渇、石炭は155年で枯渇するという。ちなみに天然ガスも 後65年で、原発の燃料であるウランも85年でそれぞれ枯渇すると言われている。 (日本原子力文化振興財団『「原子力・エネルギー」図面集2007年版』)
火力を中心としたところで、結局は将来方針を転換して新たなエネルギー政策を考えるようになることは避けては 通れないのである。

3の方向こそ正しい道であろう。現在、冒頭で書いた通り日本は関東を中心に節電のオンパレードである。 だが、私としてはエスカレータが使用出来ない、店の中が多少暗い、などということは充分に耐えられることである。 震災からの復興、電気の完全復旧がなされたとしても今の状態を続けても構わないと思う。贅沢は言わない、それで 社会が維持出来るなら文句は言うまい。
更に付け加えるなら1日の労働時間を短縮(7時間以下の労働時間を義務化)したり、企業ごとに休日のシフトを 行ったりすることも有効であろう。日本人は、働くのも休むのも一斉行動するのが昔から好きであり、そのことが エネルギーの消費効率を悪くしているのも事実である。
無論、太陽光や風力といった自然エネルギーによる発電技術を高めるような政策は強く推進すべきである。 「太陽光発電は天候に左右されやすいから駄目だ」などと決めつけずに、そこをどうやって効率よく安定供給出来るかの 技術開発にはカネを惜しむべきではない。それが出来ないなら現在のような節電社会を永久に続けるしかない。

元から日本という国は、国土が狭く、資源が乏しく、自然災害が起きやすい国なのである。 それでも江戸時代くらいまでの日本人は、それをわきまえて謙虚に生きてきた。明治維新後、欧米の真似をして軍国 主義に突き進み、自ら戦争を仕掛けた相手国からの反撃で原爆をくらい軍国日本は滅びた。 その後、経済一辺倒に突き進み、分不相応な経済大国を目指した。大量生産大量消費の時代に変わり、無駄なエネルギー を消費してきた。その無駄なエネルギーの元こそが原発であり、今回の地震でパンドラの箱のように取り返しの つかない災害となってしまった。せっかく作った野菜が放射能に汚染されて捨てるハメになり、放射能に汚染された 牛の乳を搾って廃棄するハメになり、土壌や大気、海までを汚し農業も漁業も壊滅させた。世界中から日本の農産物と いうだけで危険なものとみなされるようになってしまった。この現実を見て、なおも原発を推進しようと考える人の 気が知れない。
以前から日本の食料需給率は40%と先進国中最悪と言われ、これから国内農業を充実していかなければと私はこれまで にも主張してきた。 だが、今回の事故により日本国内に、安全な食料自給のための農地や漁場の確保も難しくなってしまった。私は 何とも言いようのない怒りにうち震えている。
東京電力だけを吊るしあげて、今迄の原発政策自体の誤りを反省しないという政治屋共(社民党を除く全政党)は 全て国賊と言ってよいであろう。

かつては、世界から「黄金のみずほの国」と言われていた美しい日本国をここまでぶち壊してしまった昭和、平成 の日本人。江戸時代の日本人が現在の日本の惨状を見たら、相当に嘆くであろう。
が、これで日本は経済至上主義という一つの時代が終了した。これからは新たな時代を築くしかないのだ。


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