しげぼうの言いたい放題


・消費税問題を提起したのは良いが、菅首相の言葉の軽さは致命的だった(2010年07月12日)

7月11日の参議院選挙、改選議席では民主党が後退し、自民党に逆転された。

今回、急遽争点に浮上したのが消費税問題だ。 私は、消費税に関しては、食料品など生活必需品を除いて、税率アップすることには賛成である。 日本では、高齢化の進展に伴い、年金、その他社会保障などでの支出が相当重くのしかかる。 現在の日本の財政事情を考えれば、何らかの増税を行わない限り、財政破綻をするのは目に見えている。 また、それによって消費が減り思ったより税収が増えないとしても、無駄な消費がなくなり環境にとってプラスに なるため、どう転んでも悪いことはない。
ヨーロッパ諸国では、消費税10%から20%は当たり前。しかし、それらはきちんと福祉や社会保障に 役立てている。
恐らく、半数以上の日本国民も消費税の論議は避けて通れないことは、認識しているであろう。 にも関わらず、民主党が選挙で勝てなかったのには、以下の理由があるのだろう。
1.昨年の衆議院選挙時、民主党は「今後4年間は消費税は上げません」と言ったのに約束を反古にした。
2.「自民党の消費税10%案を参考にさせていただく」という、菅首相の自民党後追い発言。
3.「年収の少ない世帯には消費税を還付する」と言ったもののその年収について行き当たりばったりの発言をした。
4.法人税の減税とセットにしようとした。
1については、ギリシャの財政危機などもあり、事業仕訳などを行ったが思うように成果が出なかったということで 何とかしようと考えたのだとすれば、同情の余地はある。
2については、参考にさせていただくとは何事だ!。自分達で消費税をいくらにすれば大丈夫なのかということを きっちり調査してその結果自民党と同じ率になりました、という話ならわかるが、よく調査もしないで他党の意見に同調 する姿勢は大いに問題ありだ。間違っても選挙前に「xx党の意見を参考にする」などと敵対する政党の意見に同調する モノの言い方は絶対にしてはならない。
3については、菅首相は、6月30日の最初の遊説先青森で「年収が200万円や300万円の人には消費税を全額還付 する」と言って、その次の遊説先秋田では「年収が300万円や350万円の人には消費税を全額還付する」、 その次の遊説先山形では「年収が300万円や400万円の人には消費税を全額還付する」と遊説の度に金額が 上がっていった。 年収が200万円だの400万円だのと言って、それらがどのような額なのかイメージがないのであろう。 400万円以下の労働者は日本では8割にもなるそうだが、これでは大半の国民に対して消費税を還付することになり そもそもの消費税の意味がなくなる。如何に菅首相が考えてモノを言っていないかがよくわかる。
4については、この4つの中でも最も許せない。そもそも社会保障や財政再建のために消費税を上げるはずなのに、 法人税の減税を持ちだしたことで、その目的が極めて曖昧になってしまった。何だかんだ言って本当は、 大企業を潤すために庶民からカネを巻き上げようとしているのではないか、と言われても仕方ないであろう。 企業に対して減税すれば、国際競争力を強め、日本企業の海外流出を食い止め、逆に外国企業を国内に誘致出来、 必ず日本の労働者や社会全体に恩恵が行き渡るなどと言いたいのであろうが、そんな保障は全くない。 現に、リーマンショック前の好景気のときも、企業の内部利益のみが潤い、一般庶民や労働者は殆どその果実を 味わうことが出来なかった。仮にこうした企業を減税で優遇しても、現在の労働や雇用システムを根本的に改めなければ、 ますます労働条件が悪くなり、資本家や経営側の人間のみが強い立場になっていく状況が強まる。 資本家、経営者というのはそれほど強欲で残酷で、働く者や社会全体など考えることなどしないのだ。 法人税を減税しても日本国民にとって何一つ良いことはない

今回の場合、菅直人という大馬鹿野郎の独り相撲ですべてをぶち壊してしまった。 つまり民主党の敗北は、消費税そのものが影響したわけではなく、上記のような発言のブレや国民に対する説明力の なさが最大の問題だったのだ。
消費税の論議を持ちだしたのは良いとしても、一時はV字型に支持率が回復した民主党のトップがこれだけ軽率な言動で わずか1カ月程度で信頼を失うようなことになるとは誰が予想したであろうか? 自民党やその他の保守政党は論外だが、民主党の政権担当能力もこれで疑問符がついたことは間違いない。 と言うか、はっきり言って失望した。 自民、民主の他に第三極が欲しい。とは言っても、みんなの党では、小泉政治の焼き直しの感や、保守色が 強すぎる。
具体的に言わせてもらえば、共産党と社民党が合併して一つの党を作ることが望ましい。(その場合は勿論 党名も新たなものに変えることだ。) 今回は両党とも不振であったが、それでも互いに候補者を絞って選挙協力などやればもしやと思われる選挙区もあった。 彼らは憲法の問題、労働者や暮らしの問題、外交問題など政策的に一致する点が多く、2つに割れている意味が 逆にわからない。更に彼らに近い民主党の一部が加わることが望ましい。 リベラル勢力を総結集させることだ。まずは、そういった方々がまとまって政界での発言力 を持つようにすることが第一歩であろう。


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