9月16日に鳩山内閣が発足してから、1か月半が経過した。 が、これまでのところ、かなりやろうとしていることが明確になっており、全体的には新鮮味がかなり感じられ ると思う。各閣僚の行動も活発であり、民主党には思いのほか人材が豊富であると感じられた。 内閣の支持率もどこのメディアも大体70%台と好調だ。
まず、予算、主要政策づくりの中枢として新設する首相直属の国家戦略局担当相に菅直人氏が就任。
これまで、官僚任せだった政策立案を政府主導で行う。
藤井財務相は、2009年度補正予算の執行停止を行い、予算の根本的組み替えを行うという。
前原国土交通大臣は、八ツ場ダムなど無駄な公共事業の中止を打ち出している。
長妻厚生労働大臣は、母子家庭への援助や、雇用対策に力をいれ、年金問題でも今後力を入れて
取り組んでいくということだ。
鳩山総理大臣も、温室効果ガスの削減を1990年比25%削減(2020年までに)すると明言した。
省ける予算を各省庁に指示してどれだけ減らせるかを明確にし、更にその額を上積みさせるよう指示して
きたこれまで行ってきたことの大筋は正しい。
しかし、その最終目標は、子供手当の支給と高速道路の無料化を実現させるのが目的という。
それらのことは、果たして最終目的とする政治課題であるか自体が問題である。
「コンクリートから人へ」というスローガンは総論としては正しい。
但し、中学校修了までの子どもに、一人当たり月額2万6000円の「子ども手当」の支給は、相当膨大な財源が必要
である。子供のいる家庭に単純なばらまきを行うよりは、小児科医療の充実や、保育園の待機をなくすなどに
力を入れるべきではないか?どうしても行うというなら、やはり一定の所得制限を行うとか、給食費
未払いや住民税等必要な税金を払っていない家庭からは強制的に差し引いて支給するなどすべきであろう。
せっかくカネを配っても親が子供の生活や教育以外の不適切な消費(ギャンブル、ブランド物消費等)に使用され
ては意味がない。
高速道路の無料化も温室効果ガスの削減という目標に矛盾する。大都市は今まで通り有料化するようだが、
それでも車の通行量を増やす政策になることには違いない。自動車より鉄道を利用する方が温室効果ガスの
排出ははるかに少なくてすむ。環境対策に力を注ぐ国ではそのような流れ(モーダルシフト)になりつつある
がそれに逆行する政策である。例えば日本には新幹線技術という大きな強みがある。
開業以来事故による死者を一人も出さず効率的な運行を行ってきた。地震などの災害にも耐えた。
二酸化炭素の排出量も自動車に比べてはるかに少ない。
アメリカのオバマ大統領は、グリーンニューディール政策の一環としてアメリカ国土に高速鉄道を作る
ことを計画しているという。こういうところで、日本はアメリカに技術協力をしてはどうなのか?
もし、それが実現してアメリカが温室効果ガスの削減したら、京都議定書上では、日本も温室効果ガスを削減
したという扱いになるそうだ。アメリカだけでなく、中国やインドその他の国でも同じような協力を行えばよい。
それから、農家をこれ以上減らないように所得保障を行うことにも予算を使うようだが、日本の農家には
きっちり農産物を作らせ、国内に流通させ食糧の自給率を引き上げることが大切である。
地産地消を徹底することで流通の手間と時間を省くことも環境に貢献するのだ。
外国からの農産物の輸入を制限し、保護主義政策となることもやむを得ないであろう。
環境対策で本当に温室効果ガス25%削減を目指すなら、エコ製品の購入促進、ソーラーパネルの普及、
環境税だけでなく、国外への技術協力、国内農業の再生等も行い日本社会の構造的変革を行わなくてはならない。
雇用に関して言えば、若者の就職や中高年齢層の再就職が非常に厳しい状況にある。
それに比べて団塊世代は、約8割が60歳を過ぎても再就職しているという。
麻生前首相は、「高齢者は遊びを覚えても遅い、働くしかない能がない連中だから働いて納税者になれ」などと
暴言を吐いたが、まったく実態知らずもいいところだ。
まるっきり逆である。「高齢の方は、働くことは若い人に譲って、のんびり遊んでくつろいでください」
と言うべきだったのだ。考えてもみてほしい。年寄りだけが働いて、若い人が就職したくても就職出来ない社会
などは、将来的には世代間の労働ノウハウの伝達が途絶え、国家は衰退することは目に見えている。
そのためには、年金の支給開始を60歳に引き下げるのがよいと思う。そして、その代りに彼らには
労働現場から引退をしてもらう。無論景気がよく人手不足の際にはそうした高齢者にお手伝いいただくが、
現在のような経済のパイが縮小しているときには若い人の雇用やリストラや倒産に遭遇した働き盛り人の再就職を
最優先すべきである。
日本再生のカギは色々な所にあるものだ。民主党の皆様には是非私の提言を参考にして頑張ってもらいたい。