しげぼうの言いたい放題


・「靖国」上映中止映画館が本当に恐れたものは何であるかを明らかにせよ!(2008年04月14日)

我国の言論、表現の自由がいよいよ危なくなっている。 中国人監督によるドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映が全面的に中止になった。 4月に予定していた映画館が次々と嫌がらせや妨害が起きることを懸念し、取りやめたためだ。

映画の内容自体、私は見ていないので何とも言い難いが(と言うか見る前に上映自体が中止になってしまっているの で話にならぬ)、靖国神社のありのままの様子を淡々とナレーションなしで映し出しており、イデオロギー的な ものはそれ程感じさせないという。にも関わらず、何故上映を妨害するのか?上映そのものに圧力をかけようとする 勢力にとっては、靖国神社のありのままの姿自体を余程人に見せたくない何かがあるのだろう。 いずれにせよ非常に姑息であり、許し難い。

日本国内の右翼その他圧力団体による圧力や嫌がらせなどは、過去にはいくらでもあった話だ。ところが、今年に 入って、日教組の教研集会の全体会場、宿所だった東京のグランドプリンスホテル新高輪が、右翼の街宣や威圧行動 で顧客や周辺の住民、受験生らに迷惑がかかるとして急遽使用を断るという事態が発生した。そして、今回の映画 騒動だ。何故、圧力や嫌がらせに簡単に屈する企業や団体が続出しているのかが理解に苦しむところだ。
日本には、それなりに警察組織というものがあり、そういう組織と連携をとって事に臨めば問題ないはずだ。 何か問題があれば、それは圧力嫌がらせを起こした勢力こそが糾弾されるべきであり、主催する側が責任 を取るべき筋の話ではない。
もし、圧力や嫌がらせ、あるいは暴力などに訴える勢力が出てくるのなら、それはそれで結構なことだ。 日本国内の過激派勢力を表面化させ、彼らを一網打尽にするビッグチャンスでもあるからだ。 圧力に負けず、どんどん映画を上映し、獲物を待ち伏せる猫のように警察組織は目を光らせればよい。 過激派勢力には、彼らにふさわしい処分を行うのみだ。

とは言うものの、実のところ右翼や過激派は、それほど関係ないのでは、というのが私の見解だ。 今の日本で右翼や過激派がそれほど力を増したのかというとそうでもないからだ。日教組の件でも、右翼が 街宣行動を行うのは、いつもながらのパタンであり、映画上映中止の件では、実際に嫌がらせを受けた映画館は1件 ほどで、その他の映画館は、右へ倣えしたに過ぎないのだ。 上映中止した映画館もプリンスホテルも、「お客様に万が一のことがあったら申し訳ない」などと言っているが、誰が見て もわかる小学生レベルの理屈である。こんな理屈を世間が認めてくれるとは、恐らく言った本人ですら思っていないのでは ないか。 過激派が怖いとか、お客様の安全というのは建前であって、本当はそこらの街宣右翼よりももっと発言力の強い政治的な 圧力がある、と考えるのが自然である。 上映中止映画館もプリンスホテルも、もっと何か重大なことを隠しているような気がする。
その黒幕と思われる人物の一人が今回、国会議員対象の異例な試写会を行うことを主張した自民党の 稲田朋美議員である。彼女の靖国神社に対する認識は、「靖国神社というのは不戦の誓いをするところ ではなくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓うところでないといけないんです」ということばに 象徴される。総理になってから毎年靖国神社を参拝した小泉元首相でさえ、建前上は「私は2度とあのような戦争が起こら ないように祈りを込めて参拝している。」などと言っていたが、その認識すら否定するような筋金入りの復古主義者である。 また、靖国参拝反対派の加藤紘一議員の実家が放火されたことを面白がるような発言もしていたとのことだ。 「私は、公的な助成金が出たことを問題視しただけで、圧力はかけていない」などと言っているが、この言葉をその通りに 受け取る人はいないであろう。映画の事前検閲を行っただけでも相当な圧力であり、裏ではもっと強い圧力があるのでは と想定される。戦争犯罪者の弁護を中心に弁護士活動を行い自民党内でも最も過激な思想の持ち主である稲田だが、 2005年の小泉旋風郵政選挙で初当選したヒヨッコ議員に過ぎない。彼女の他にもまだ何人か黒幕がいるであろう。

上映中止映画館は、正直に今回のいきさつについてもっともっと我々国民全体に対して明確に答えるべきであろう。 無論、プリンスホテルも同じだ。 本当に、彼らが恐れたものは何かについて。
言論、表現の自由が今こそ本当に問われている時期なのだ。 彼らが答えられないなら、野党やマスコミは、「言論、表現の自由を守れ」などのありきたりの言葉を並べるだけでなく、 もっと背後にあるものを追及して公にしていくことが求められる。


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