しげぼうの言いたい放題


・不都合な真実を直視せよ!(2007年03月10日)

日本ではかつてないほどの大暖冬であったが、この冬に一冊の本が出版された。
「不都合な真実」
この本の内容は、328ページにも及ぶ分厚さではあるが、世界各国の異常気象の写真を多数収録してあり 見るものを驚かせる。映画にもなってアカデミー賞も受賞している。
これを書いたのは、クリントン政権時の元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏。 ゴア氏は日本テレビの「世界一受けたい授業」にも出演し、実にわかりやすく環境問題について解説してくれた。 政治家というよりも学者的な一面をのぞかせており、これからの地球について真剣に考えている姿勢 がよく伝わった。この本は、是非とも当サイトを読んでいらっしゃる方にお勧めしたい。

内容のいくつかを見てみると、例えば、キリマンジェロの1970年と2000年の写真の違いでは、雪と氷河が 激減しているのがわかる。その他世界各地の氷河が激減している写真が多数ある。 ハリケーンについても、今まででは考えられない強さのものが次々上陸して多大な被害をもたらしている ことが書かれている。ブラジル沖の南大西洋にはハリケーンがくることさえなかったのが2004年に 初めてハリケーンが発生しブラジルに被害をもたらした。熱波のことも書かれている。2003年の夏、 ヨーロッパでは熱波で3万5千人の人が亡くなったとのことだ。また、生態系でも多くの動物が絶滅の危機に 晒されサンゴ礁もどんどん消えているということだ。
これらの被害の根底にあるものは、大気中の二酸化炭素の増加、年間平均気温の上昇である。 産業革命以前は、それほど変化はなかったのが、それ以後は急速に増えており、それに伴い世界の気温も急上昇 しているグラフもある。このままいくと、本当に地球で人間が暮らせなくなる可能性がある。

では、どうすればよいのかということで、本書では、
◎電化製品や自動車を省エネ型のものになるべく買い替える。
◎こまめに水道の蛇口をしめる。
◎室内の無駄な電気をなるべく消す。
◎停車中の自動車のエンジンを切る。
◎買い物時は過剰包装やレジ袋を断る。
◎エアコンの設定温度に気をつける。(夏は冷やし過ぎず、冬は暖めすぎず)
◎植林を行う。

などを主張している。どれもこれも当然のことだ。
私の家庭では、私個人が特に冷性なので、また住んでいるところが日当たりが悪いので夏場はエアコンはあまり使用 しないほうだ。そのかわり冬場に床暖房とかエネルギーを消費してしまうきらいがあるので注意しないと・・・。 買い物時にはレジ袋をなるべく再利用するように心掛けている。車は近所へ行くくらいでは乗らず歩く。電車を使える ときはなるべく電車を使う。(というか私はすぐにイライラしてしまう質なので渋滞が大嫌いなのだ。)

現在の日本ではどうか。一昨年の夏頃からようやくクールビズなどを政府は主張して夏場のエアコン温度を上げて 涼しい服装で、などということを始めたばかりだ。 良いことではあるが、その程度のことであれば、私に言わせれば20年くらい前から始めるべきこと だったと思う。環境問題に少しは目を向けてきたかというところだが、何が何でも温暖化防止という強烈な意思は 伝わらない。経済活動をもっと活発化させ、国力を強化するという固定観念にとらわれ過ぎだ。
例えば、1日の基本労働時間を少なくとも現状より1時間は減らし、残業も極力減らす。そうすればオフィスの照明、空調 などが節約出来る。夜の遊びなども、控えさせるべきだ。飲み屋、その他の店なども23時には閉店にして街全体の 明かりを消す(23時というのは22時でも21時でも早い分には一向に構わない)。 お中元やお歳暮などくだらないプレゼント交換などの風習は止めるべきである。 (本当にそういうプレゼントを貰わなければならないほど困っている人がどれだけいるのだろうか?プレゼントすること 自体が目的化自己満足化してしまい、食料品などでは食べることなく廃棄されてしまうことも多いだろう。) 日本人の多くはキリストを尊敬しているわけでもないのでクリスマスをそれほど派手に祝うことも必要ない。 とにかく、無駄なモノは生産しない、売らない、買わないの3ないを徹底することだ。
こういうレベルの話にならないとおかしい。生産者、販売者、消費者を含め、この国の根本的な文化を変えないと 環境改善の目に見える効果は現れないであろう。

2000年の大統領選挙。ゴア氏とブッシュの一騎討ちとなった。今思えばアメリカの歴史の上ではあれほど善と悪の はっきりした大統領選はなかったであろう。京都議定書破棄、イラク戦争、経済格差、アメリカの進んだ道、現状は、 ゴア氏が批判するまでもなく醜いものだ。
僅かの差で敗れたが、あのときゴア氏が大統領になっていれば世界は色々な面で違ったものになっていたであろう。 他国の過去のこととは言え、つくづく残念である。


  戻る