しげぼうの言いたい放題


・あまりにも不可解な福田氏の総裁選出馬辞退(2006年07月24日)

自民党総裁選挙の強力な候補者の一人と見られていた福田康夫元官房長官が立候補辞退を明言した。 本命安倍官房長官に対して、外交問題などで最も争点の違いがはっきりわかる候補であっただけに、 総裁選は一気にしらけムードになってしまった。

昨年の総選挙で自民党が大勝し、少なくともあと3年は自民党政権が続くことは確実である。 野党には全く期待できない。そんな中で福田氏は、小泉的な政治の行き過ぎにある程度の歯止めを かけつつバランスのとれる人物として私は期待していた。靖国問題で悪化していた東アジア外交など を改善する意欲も示していた。麻生、谷垣、安倍、福田の主な4候補の中では唯一、先の大戦を 侵略戦争だと認めていたのが福田氏だった。(他の3候補はどちらとも言えないなどと曖昧な 表現をしていた)

今回、不出馬を決断した理由として福田氏は、勝ち目がないから、自分が出馬すると派閥 (森派:清和会)を割りかねない、北朝鮮問題などで国論が二分されている印象を外国に与えては いけない、などと言っていた。
正直言って私は非常に呆れた。あまりにも政治家として情けないのではないか。
世論調査の結果を見る限り、安倍氏が常に先行はしていたが、時間とともに福田氏との差が縮まって きており更にアピールをすれば面白い展開になることも充分考えられた。私の見る限りでは、福田氏は 政権に向けたギラギラした意欲がなさ過ぎだった。ま、本人の性格なのかも知れないが。
派閥が割れるとか国論が分かれるからなどという理由も、不可解だ。 政策的なことよりも派閥の利害を優先するという考え自体が旧態依然とした考えであり異常なこと だ。もともとこの清和会というのは、親父さん(故福田元首相)が立ち上げたもので、子の自分が つぶしてはいけないという思いがあったのだろう。だが、親父さんが立ち上げた動機というのは 党の近代化や派閥の解消が目的だったことを福田氏本人が知らない訳はないだろう。清和会は タカ派の議員が昔から多かったが、一方ではロッキード事件有罪判決の田中角栄一派と対峙し、彼らの 暴走の歯止めを果たす役割を果たしてきた。だが、今の清和会はタカ派だけが突出して福田氏の 言うことに耳を傾けない議員が多くなっているとしたら、そんな派閥なら解体して充分ではないのか。 親父さんもあの世であっぱれと褒めてくださるのではないか?
そもそも現在の自民党は、昨年の総選挙で郵政民営化に賛成であるかという一点でまとまった 集団なのだ。それ以外の政策でバラバラになるのは当然のことで、国内を二分する問題も中にはあろう。 それらを互いに総裁選挙で主張しあい、意見を集約していき次の総選挙では何を目指すのかマニフェスト としてまとめていくのが自然の流れだ。自分の意見が党の大勢に従っていないからといって、初めから 逃げを打つのでは支持してくれた国民を裏切るようなものだろう。

だらしない福田氏と比べて本命の安倍氏はどうか、というとこちらはまた胡散臭い人物だ。 親米で集団的自衛権の行使の容認を主張しているタカ派、北朝鮮については強硬派で 拉致被害者救出のために真相究明を行っている中心人物の一人だ。 それだけならまだよいが、2002年2月の某大学の講演で「小型であれば原子爆弾の保有も問題ない」 、講演終了後の懇談会で「北朝鮮など核攻撃で焦土にしてやる」と発言したことがあると いう。おいおいそれでは、北朝鮮にいまだ留まっている拉致被害者も死んでしまうじゃないか? と突っ込みたくなるが・・・。

今回の一件で自民党が旧態依然とした派閥体質から抜けきっていないことが鮮明になった。このまま 安倍氏独走でシャンシャン選挙になってしまっては、自民党は国民から見放されてしまうことは間違 いない。


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