しげぼうの言いたい放題

 


・選挙結果、今更何を言っても仕方ないが(2005年09月15日)

9月11日の衆議院選挙で小泉自民の圧勝が決まった。郵政民営化一本の選挙戦術に対して野党は手も足も出ず なすすべがなく完全にやられた形だ。私は大して驚かなかった。自民党の勢いや、小選挙区制度 の特質からこういう結果も充分予想できた。一応、今度の選挙について各政党ごとの総括をしてみたい。

まずは自民党。
郵政改革への意欲は評価できた。以前の自民党は政策的にバラバラで党内で一貫性がなかったが、今回は郵政民営化 反対議員を締め出して、郵政民営化賛成の議員を各選挙区に1人ずつ配置したことで、国民から見れば わかりやすくなったことは確かだ。
しかし、それ以外のことは全て曖昧だった。靖国神社参拝問題や東アジア外交、イラクの自衛隊派遣をどうするか、 年金問題、その他中長期的な方向性等、一切小泉首相の口からは語られなかった。 私としては、むしろ後者のようなことがより興味のあることであった。 巧みな争点隠しであったと言えよう。 そんな姑息な争点隠しに批判をせずにあれだけの多数を与えてしまった国民のレベルはやはり低いと言わざる得ない。

民主党
あまりにも選挙戦術が無策に過ぎた。 郵政民営化は国民の関心は薄いと考え、対案を出さずに安易に反対に回ったものの、世論は意外にも郵政問題を 見ていたのであわてて郵貯の預け入れ限度額を減らそうなどと言い出した。 こんなドタバタ振りを見た有権者に、民主党は反改革派とレッテルを貼られてしまったのが今回の敗因の一つだ。
だが、根本的な問題として、小選挙区制度というもの自体を民主党は、今迄ナメてかかっていたのではないだ ろうか? 今迄、政権を取れなかったが、選挙の度に着実に議席を伸ばしてきたし、無党派層に働きかければ何とかそのうち 政権は取れるだろう、くらいの軽い考えではなかったか?
小選挙区比例代表制度は、民主党の前身である旧社会党、新生党、日本新党などが政治改革の一貫として成立 させた制度である。小選挙区制度は少数意見の民意を反映できなくなるなどの問題点をかかえるが、民主党は2大政党 政治を実現するシステムとして今でも強く支持し、比例部分を段階的に減らし将来は廃止する考えも持っているようだ。
だが実際は、1996年の民主党発足から今日に至るまで、衆議院の小選挙区、参議院の1人区ではいずれも 自民党に負け越している。今回に至っては、全体では自民296に対して民主113だが、小選挙区だけみると 自民219に対して民主52の大差だ。(皮肉なことに廃止を検討している比例区で議席を稼いでいるのである。) 2大政党どころか、一度も政権を握れぬまま自民党一党独裁に拍車をかけている。
これが、実力なのだ。 問題は色々あろうが、普段の活動でも民主党の日常活動は自民党の10分の1くらいしかない(小沢一郎氏) と言われている。 普段は有権者に対して積極的な交わりを行わずお高く止まっていて、私達は2大政党の一角だと妙なプライド だけで、小選挙区制度を主張してきたのが現実だ。
これで小選挙区だ、政権交代だなどとはお笑いだ。百年早い、と一喝したくなる。
無論、公明党が自民党にがっちり協力して大変なことはわかるが、だったら政策面で公明党を振り向かせるか、 共産党と協力関係を築くか、といった点をもっと考えなければならなかったのではないか?
ま、今回の大敗を教訓として、次の選挙までに立て直すことを期待する。

公明党。
今回も自民党への片思いで終わってしまった。公明党から自民党へは票が流れても、自民党から 公明党へは流れないというお決まりのパタンだった。いい加減目をさまして欲しい。ま、自民党が第2 公明党と思っているので別に気にしないのか?

社民党。
よくがんばった。ま、議席7では国会における影響力はたかが知れているが、全滅の可能性もあったことを 考えれば2議席プラスは健闘と言えそうだ。

共産党。
プラスマイナス0の9議席維持だが、がんばった。 今回の戦いの特徴は、確かな野党を強調し、小選挙区の一部に候補を立てなかったことであるが、それは よかったと思う。だがよくよく見ると候補者を立てなかったのは、人口の少ない農村選挙区ばかりのようだ。 共産党は憲法9条を守るという目標があるが、農村か都会かという観点よりも、この選挙区には護憲派が いるから候補は立てない、ここは民主党も含めて改憲派しかいないから立てるという戦略的な 候補擁立をもっと考えるべきだったと思う。 横路のところは立てない、西村のところは強力な人を擁立するなどというメリハリだ。 これをやっていけば、民主党の右傾化分子を追い出すことにつながり、民主党を共産党の主張に 近付けられる。これが成功すれば、民主党でも共産党の支持を得られる候補を擁立せざる 得ない状況になり共産党に頭が上がらなくなる。言葉は悪いが、民主党を操ることだって可能なのだ。 (公明党が自民党を操っているのと同じように)
このように、党としての戦略性を明確化すれば必ず国民から支持が得られ、また現在の自民公明勢力に対抗する リベラル勢力の結集にもつながる。
党の体質改善も大切だ。党名の変更も勿論だが、委員長を党員選挙で選ぶなどということも やってみてはどうか?とにかく国民の目をみはるようなインパクトのあることをやらなければいつまでたっても 負け続けるだけだ。

国民新党、新党日本。
これらの政党は、郵政民営化に反対して、小泉に追い出されて仕方なく新党を作ったに過ぎない。 郵政民営化が決着し、政治テーマが変わり、憲法改正などが争点でもなれば、いつの間にか仲直り、などという ことになっているだろう。特に私は期待していない。

今後の4年間は、自民党、公明党の独裁政治が続くであろう。 憲法は、参議院の3分の2の議決や、最後は国民の多数決の洗礼を受けるので容易ではないとしても、それ以外 の法は全て通ってしまうだろう。それが、大増税であろうと軍拡であろうと何であろうと。
しかし、これが国民の選んだ道なので、国民は文句は言えない。


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