しげぼうの言いたい放題

 


・サマータイム導入反対!(2005年03月18日)

夏の間、時計の針を1時間進める「サマータイム」を導入する法律案を、今国会に提出する動きが出てきた。 自民、公明、民主など超党派の「サマータイム制度推進議員連盟」が議員立法の準備を進め、早ければ4月 にも提出するという。
朝日新聞の世論調査ではサマータイムに反対が39%で、賛成が38%とのことだ。

そもそも、サマータイムを導入する目的は何か?
1つにはエネルギー節約による地球温暖化防止、2つめには、午前の涼しい時間帯での労働作業効率化、 3つめには明るい時間の余暇を増やし消費を拡大するなどということが主な目的のようである。
サマータイムによって、果たしてこれだけのことが達成できるのか、検証してみたい。

まず、エネルギー節約という点から検証してみよう。
下記に、釧路、東京、那覇の3地点におけるシュミレーションを行ったサイトがありましたので、ご覧になって いただきたい。
http://www.gene.ne.jp/~lagoon/st/timex.html
企業など事務所の照明は、日照に関係なく点灯される。 冷房需要においては、家庭、企業ともに変化はない。(熱帯夜の続く東京、那覇などでは1日中エアコンが必要)
問題になるのは、家庭における照明だ。家庭における点灯開始時刻を見てみると、1時間今迄よりも遅くなるので、 その分電気の節約が出来る。 しかし、その分、朝が1時間早くなるために、朝の点灯時間が増えることにもなる。6時に起床していた人は、 那覇の場合は、サマータイムにすることで全ての月で起床時に点灯が必要で、東京でも、サマータイムにすることで 4、9、10月で起床時に点灯が必要となってしまうようだ。 これは、緯度が南へいくほど夜明けが遅いという特徴からエネルギー節約効果が薄れるということだ。
エネルギー節約という点は、全体としてみると、あまり大きな効果は期待できないようである。

2つめの、午前の涼しい時間帯での労働作業効率化だが、オフィス勤務者などはエアコンの普及でどの時間帯 だろうと大して変わらない。むしろ、ぐっすり眠れる朝の涼しいときにたたき起こされたのでは、むしろ作業効率 は悪くなるであろう。 今迄の1日のリズムをいたずらに乱されては、体内時計が狂いどんな健康的弊害が起こるかわかったものでない。

3つめの明るい時間帯の余暇だが、東京の真夏の夕方などは近年は物凄く暑くなっている。5時頃だって30度を こえていることが多い。余暇を楽しめるような状況にない。
そもそも、サマータイムというのは、ヨーロッパなど緯度の高くて冬は日が当たらず夏は涼しいが日照時間が長い という地域で夏場になるべく日光浴や屋外での安らぎを求めることを目標としたものだ。
北海道のような涼しい地域ならまだしも、東京、大阪など大都市や、西日本、九州、沖縄などでは日光浴の必要性など 全くない。強烈な紫外線で皮膚が大やけどするのが関の山だ。 会社から家に帰るときなども暑くてたまらず、そういう時間が帰宅ラッシュになったら、どれだけ体調がおかしく なり倒れる人が続出するかわかったものではない。こういう時間をすぐに帰らず会社に残って仕事をして涼しくなって から帰るという手もあるが、それでは、労働時間が増えてしまう。暗に労働強化へ持っていきたいために為政者が、 意図的にサマータイムを持ち出していると言われても仕方がないだろう。

このように、サマータイムは、日本という国には馴染まない制度であることがわかる。少なくとも北海道以外では やる意義は全くないと言ってよさそうだ。

エネルギー節約を行うなら、昨年私が述べたことの繰り返しになるが夏場の冷房温度を上げてノースーツ、 ノーネクタイなどの省エネルックを心掛けることの方が、ずっと効果的である。健康面でもプラスである。 また、夜間は国民がなるべく早く眠りにつくような施策を行う。最終電車の時間を早め深夜電力の料金を 大幅に上げる。飲み屋その他の店は23時には全てしめてしまう。それ以降起きているのは医者と警察くらいに する。
また、余暇を増やすなら、労働時間そのものを短縮すればよい。大体この十数年あまり不況だ不況だと騒いで いながら労働時間は1日8.0hが7.75hに変わったくらいである。(私の会社の場合)日本の組合は賃上げばかり を要求して、時短という点をおろそかにし過ぎてきたということだ。せめて7.0にすればサマータイムと同じだけ の効果があるのに。

誰が言い出したのか知らないが、外国がやっているからなんて理由だけでこういったことを決めないで欲しい。 サマータイムは目的でなく手段だ。その手段が本当に正しいものなのか、日本に合致しているものなのか、合致して いないなら代わりに何ができるのか、といった点をもっともっと真剣に議論して欲しい。


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