結局、今回も何も変わらなかった。マニフェスト選挙だとか、２大政党政治の幕開けなんて騒いでいたが、 与党が安定多数を取った。民主党も頑張って、それなりに議席を増やしたが、こんな数では、弱すぎる。
民主党内は、防衛問題一つとっても右から左まで幅広い。しかし、こうした幅広い議員の意見を集約して共通項を
拾い出し、マニフェストにまとめあげた。その内容も、満点とは言わないまでも中々よい出来栄えであった。
菅さんもよくやった。他の党首ではここまで出来なかったであろう。
しかし、選挙戦術に工夫がなかった。社民党や共産党とある程度は手を組まなければ勝てないのに、バラバラで戦った
ため、小選挙区で伸びなかった。折角比例区では比較第一党になったのに、それが帳消しになった。
皮肉なことに今回のマニフェストでは、比例区を８０議席減らすと主張している。民主党のマニフェストは
良かったのだが、この項目だけは致命的にまずかった。ここは、単に衆議院の定数を８０議席減らします、と
だけ言っておけばよかった。今回は共産党など他の野党に足を引っ張られた。確かに全小選挙区に候補を立てる共産党
の頑固さにも腹が立つが、彼らに取って比例区をなくすということは致命傷になる。
しかも、選挙戦終盤になって共産党や社民党支持者に、「小選挙区では民主党以外の野党に投票しても勝ち目はない
ので、民主党に投票してください」などと言っていた。最もな理屈なのだが、党の党首とあろうものが、それを
言ったらお終いだ。あまりにも露骨過ぎた。こういうところで、社民党、共産党をいたずらに刺激しては、もう少し
与野党が伯仲して首班指名が決戦投票になった場合でも、彼らの協力は仰げなかったであろう。
前回私が書いたように、もっと最初からある程度レフト対策をしっかりやっておくべきだった。
そうした選挙協力が無理なら、彼らを上回る政策を訴えるべきだった。例えばイラク自衛隊派遣問題。民主党は
反対の立場を取っていたが、何がなんでもという気迫が伝わってこなかった。ここはもっと具体的に「（例え政権が
取れなくて）自民党が派遣を強行した場合でも、違憲立法審査の訴えを起こし必ず撤回させます」くらいのことを
言えばよかった。（）の中は禁句かも知れないが敢えてそのくらいのことを言って強く訴えてもよかった。
そうすれば共産党、社民党の支持票が大量に民主党に流れたであろう。
政権を取れなかった以上、このことは今後
是非実行に移していただきたい。民主党の次の飛躍のため、日本のためだ。
自民党は、マニフェストのいい加減さは他党のどこよりもひどかった。
とにかく、候補者が、自分達のマニフェストを実行しようとしているように見えなかった。マニフェストそのものを
公然と否定している連中も見受けられた。
「反対意見が党内にあっても、こういうふうに自由に意見が言えるから自民党はよい」だとか開き直り、逆に
「民主党と自由党は今迄何十本の法案で意見に食い違いがあった」とか中傷を加えるものもいたが、的はずれもいい
ところだ。
女性に受けのよい人物を前面に立てるだけで、中身は全くなかった。こんな政党を何十年も支持し続ける日本国民
は世界の笑いものであろう。
しかし、何と言っても悪の張本人は、言わずとしれたあのいかがわしい宗教団体である。
そのマニフェストでは内容的には悪くなかったが、自民党の主張していることと誰が見ても大きな隔たりがあった。
にも関わらず、自民党を影で支え、自民党の小選挙区躍進の原動力となった。自民党支持者よりもかたくなな
自民党支持者。彼らのせいで今回、どれだけ民意が歪められたか。
自民党と組むことで、それらの政策がどう生かされるのかという議論、ＷＨＹ自民というのが全く根拠がない。
無論、連立によって自民党の暴走を少しでもチェックする機能を果たしていればまだよい。だが今迄をみる限りは、
自衛隊の海外派兵を容認するなど、自民党単独政権時代にも出来なかった悪政の数々を実現していったのが現実だ。
そもそも、連立与党は、連立を組む以上は、各政党のマニフェストよりも、むしろ連立与党としてのマニフェストを
示すべきだった。
宗教団体が政治に口出しすることも政教分離の観点から言ってもおかしいし、それを利用する自民党も許せない。
彼らこそ野合集団である。
政教分離なくして、２大政党政治など意味がないのだ。
今の状況では、政権交代なんて起こらない。何十回選挙を行ったとしても何も変わらないであろう。 有権者の大多数が、政治的圧力を受けず、その時々の政治状況や各政党の政治方針を自らの頭で考えて選挙に 参加する。きっちりした政策的まとまりのある政党が存在する。そういう当たり前の状況が出来ていれば 何も問題はないのだ。それが出来ていないのに、小選挙区だ２大政党だなどということが先走ってしまっているところ が、今の日本の非常に危険な状況なのである。