しげぼうの言いたい放題

 


・結局の所自民党とは権力亡者の集団じゃないの(2001年07月01日)

小泉内閣の支持率は止まるところを知らない。90%を超える結果が出た メディアもあると言う。東京都議会選挙でも小泉効果で自民党が圧勝した。

それしても、何故こんなに自民党の人気が回復したのか。前の首相は、史上最低の首相、 その前の首相は世界一の借金王として日本経済を破滅に導いた張本人であった。それが、 小泉氏の登場で今迄の悪政の全てが忘れられたかのようである。 そんなに自民党は変わったのか?

答えはNOである。確かに一部の自民党の政治家は、しっかりした理念を持っているが、 数の上では、官僚や一部の大企業の利益を優先する守旧派が大多数である。 小泉氏の構造改革に内心反対している者も多い。また、小泉氏が派閥解消を唱えても派閥を 離脱した者は殆どいなかった。自民党の中での小泉氏の統率力という点では疑問が残る。

しかし、考えてみれば元々自民党というのは、そういう政党なのだ。 自分達を支援してくれる一部の大企業の利益を優先する政治、それこそが自民党の本質なのだ。 それを止めたらそれは自民党ではない。小泉氏が政権をとるまで、つい最近まではそういう人 達の意見しか通らなかった。その意味でむしろ、そういう本来の主張を持った人達が、選挙を 控えて小泉氏に文句を言わないことの方がおかしいのである。総裁予備選で小泉氏と正反対のことを 主張した人物が小泉氏有利とみるやあっさり本選挙で小泉氏支援に回ったり、小泉氏の郵政事業 民営化に反対していたはずの人物が構造改革路線を支持するなんて言ったりクルクル主張が変わる いい加減な人物が多い。もっとも、小泉氏の側近の田中外相も似たようなことが言える。 史上最低だった前首相に対して、デブだのバカだの散々こき下ろしておきながら、内閣不信任案 の否決に回った。その前の借金王首相に対しては、死んで当然天罰だと言わんばかりの発言も している。田中氏自身がそれほど思っていたならとっくに自分から自民党を出ていて当然だし、自民党 としても除名してもおかしくなかった。(彼女の発言自体はもっとも正しいのだが。) 加藤元幹事長なども同じである。加藤の乱については、私も以前書いた通りでいまさら書くこと はないのだが、不思議なことが一つ。加藤の乱の前と後では、後の方が自民党の議員が増えている のだ。不信任案に欠席した彼らがだれも自民党を出なかったのと、無所属議員で否決に回って くれた人を新たに自民党に追加公認したことが原因であるのだが。

何だかんだいって、結局誰も自民党を出ない。権力のうまみから遠ざかりたくないのだ。 それだけ自民党は、多種多様な人材がいて、状況に応じていろんな人物が出てくるのだ、 党内で意見対立や喧嘩があっても結局元のさやに収まる、そういう自由な意見を述べられる所が 自民党の良いところなのだ、という妙な納得をしてしまう方もいるだろう。

しかし、それって本来の政党政治のあり方からいっておかしいのである。 政策や思想がまずあって、それを必ず実行する人物が集まって初めて政党としての意義がでてくる。 左も右もゴッチャで多種多様な人材が存在するから良い政党ではない。 確かに全て完璧に同じ考えの人が集まるなんてことは理想論に過ぎない。それにしても、今の自民党 はいろいろな人間が多すぎる。民主党にも同様なことが言える。もっとも民主党は、防衛問題では 左から右まで幅広いが、当面の政策課題である財政構造改革ではほぼ一枚岩と言える。 自民党は現在最も大切な財政構造改革で党が割れている。 今、最も大切なのは、経済政策、財政再建問題である。大きい政府にするか、小さい政府にする のが良いのかとか、社会保障か公共事業のどちらを重点を置くかなどが争点であり、自由主義 か共産主義かのイデオロギーなどは問題ではない。その意味で自民党という組織に対する信頼度 は、民主党に対するそれよりも明らかに劣るのである。要するに小泉氏がなんと言おうと、 彼が自民党という枠の中にいる限り信頼が出来ないし、まして自民党など支持出来ないのである。 大体自民党は、米ソ冷戦当時の反共理念を基本とした政党で、冷戦崩壊してからは意義が薄れている のである。だから社会党も衰退した。にも関わらずいまだに政権を維持しているのは単に野党に なりたくない人間が野合しているからに他ならない。自民党は、政策以前の問題で政党としての 要件を満たしていないのである。 構造改革をやりたい人間、今迄の経済政策を繰り返したい人間、それぞれが私利私欲を抜きに まとまり国民の審判を仰ぐ、そういう形に持っていくための政界再編が今一番求められているので ある。


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