第14回森林教室 むさしの・多摩・ハバロフスク協会 親子自然体験教室
日時:2002年10月20日(日)
心配していた雨もあがり、親子で参加の約40名のみなさんと楽しく一日を過ごしました。
むさしの・多摩・ハバロフスク協会ではこの事業は大変人気があり毎回抽選で参加者を決めているそうです。
これに応えるべくスタッフ一同もがんばりました。
プログラム
第一部
あいさつ、スタッフ紹介
南足柄市の民有地での間伐体験
2000年のスギの巨樹「箒杉」の見学
第2部
昼食
「炭ができるまで」のお話
丹沢「森の仲間たち」フィールドでのアクティビティ
1.ツリークライミング
2.クラフト
3.野外料理、草木染め、飾り炭制作
あいさつ
丹沢「森の仲間たち」会長 加藤逸平
本日は親子体験教室にご参加頂き有難うございます。昨夕からの本降りの雨も予報とは異なりすっかり上がりほっと致しております。
ここ南足柄市は箱根の外輪山が酒匂川にむけて広がる山紫水明の地でありまして昔話で有名な金太郎伝説の故郷としても知られております。
豊かな自然環境を求めての企業立地も多く富士写真フィルムはつとに有名です。この7月にはアサヒビールの神奈川工場が稼動し始め観光スポットになりつつあります。
丘陵地帯には昔からみかん畑が広がっておりましたが柑橘類の自由化の影響を受け その多くは減産を余儀なくされ放棄された後にはこうした杉、桧の植林がなされました。
ここのオーナーの鈴木さんも勤めをしながらの兼業農家であられた為 植林はしたものの
手入れが行き届かなかったのが 現実でどこの人工林でもみられる荒廃した姿です。
きょうこれから この15年近く経った杉の間伐体験作業を1時間ほどやっていただきます。その結果として残した木々には枝葉を伸ばせれる空間が出来,林内には陽光がさしこみ数年後には下層植生が育つことにつながります。
作業後は再びバスにのっていただき山北町中川温泉奥にある箒杉の見学にまいります。
県下最大の巨木と言われ 樹齢2000年、高さ45mの国の天然記念物でもあります。
人工林の植林であるが故に 15年で刈られるのも杉、一方 実生から強靭な生命力と幸運な星のもとで生まれた為か永年にわたって人々に驚きと感銘を与え続ける箒杉、その対比をよくみていただきたく思います。
午後は丹沢湖西端にある世附の当会のフィールドで森のさまざまな恵みを使っての手作り
に励んでいただきます。
午後3時までのあわただしい1日ですが くれぐれも安全に注意をはらっていただき
皆さんと楽しく過ごしたいと思います。
スタッフのまとめ
親子自然体験教室を終えて
今回の自然体験教室は100%雨天での開催となる予報であり、現実に前日の準備作業が終わるころから無情の雨が降り出し、本降りのまま夜が更けていった。
しかし当日は参加者の願いとこの日のために準備をしてきた我々の思いが天に通じたのか、天気予報を見事に裏切り、雲は多めながら雨の心配のない天気になってくれた。
ハバロフスク協会の親子森林体験教室は、回を重ねてきたが、その都度申し込みが多く抽選で参加者を絞ると聞いている。過去に参加した人たちが喜んでくれている証と思うと、うれしい気持ちとともに責任を感じ、期待を裏切れないと身が引き締まる思いである。
今回の自然体験教室は植林後15年の杉の間伐でスタートした。子供たちにとって初めての体験であり、新鮮な驚きが伝わってくる。現に生きている立ち木を切り倒す快感と達成感を味わえる。子供たちを見ていると戸惑いと興奮が交錯しているのがわかる。男の子より、女の子の方が積極的で逞しささえ感じる。小学校の低学年という年齢では当たり前なのかもしれない。一方親にとって、特に父親にとっては父権を回復する絶好のチャンスと張り切る姿が目立つ。そして子供たちに負けず、非日常体験でリフレッシュし、いい笑顔を見せてくれる。
間伐の次は、樹齢2000年と推定されている箒杉の見学である。間伐した杉と気の遠くなるような長い時間を風雪に耐えてきた、この巨大な老樹との違いに参加者はなにを感じてくれたのだろうか。初めての試みであったが、写真撮影の時間がもっと欲しかったとの声もあり、大変好評であった。
世附フィールドに戻っての昼食タイム。定番のトン汁はお替りのラッシュで、早朝から準備した甲斐があった。しいたけと8キロを越すおばけ舞茸の収穫には子供よりもお母さんたちのほうが興奮気味であった。
午後のアクティビティーは草木染め・木工クラフト・バームクーヘン・ツリークライミング等、盛り沢山ながら大部分の参加者は一通り体験できたようである。
子供たちを中心に企画したはずが、大人たちのほうが夢中になっている。そんな親のすがたを見て、親との距離が縮まったと子供たちが感じたに違いない。これも親子体験教室のひとつの成果かもしれない。
アクティビティーについては新企画のものと、前回同様のものと混ぜ合わせとなったが
概ね好評だつたように思う。新企画は提供する側で新鮮味があるものの多少の不安や準備不足がつき物であり、一方定番の企画はマンネリ化の恐れがあるものの、経験の裏づけがあり、自信と余裕をもって提供もでき、指導も出来る。今後の企画については新旧のバランスを上手く調整するのが良いかと思う。
今回も参加者たちがいくつものお土産をもって笑顔で帰って行く後姿を見送りながら
自分の心に満たされるものを感じていた。
武 本 弘 次
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