風のささやき

Shimbo氏、友人宅で超演奏。人間関係は儚いもの

 先日、忘年会ということで友人の家に招かれたShimbo氏。その際に、友人からShimbo氏の高級ギターによる演奏を聞かせて欲しいとの依頼があり、「ほんとうは有料なんだけど、まあ、ただで聴かせてやるよ」と横柄な態度で了解したのだという。
 午後、6時半頃、ギターを抱えて友人宅を訪ねたShimbo氏。ほどなく、もう一人の友人も集まり、忘年会が始まった。「いつギターを聴かせてやろうか?」と最初に尋ねようと思ったというShimbo氏。しかし、自分から切り出す必要もないだろうと、料理やビールに手を出し始めたのだという。「いつ言われても俺の指はレディーだし。超自然体で受けてやるね。」とShimbo氏。それで、「やあ、奥さんの手料理はおいしいね」などと、ビールを飲みながら上機嫌。つい最近生まれたばかりの赤ん坊を抱き上げて「どうだい、おじさんの嫁にでもなるかい。」などと、若い娘さん相手にセクハラを働いていたのだという。

 忘年会も2時間が過ぎようかといった頃。急に友人がShimbo氏へリクエスト。「そろそろギターを弾いて見せてよ」。その言葉に、ギターを取り出し、もたもたと楽譜を広げて、曲を弾き始めるShimbo氏。実はこの日のためにと、指先が痛くなるほど練習をしたとのことだ。固唾を飲む友人たち。しかし曲が始まった瞬間に、皆の眉間に一斉に皺がよった。Shimbo氏の演奏があまりにもひどく、聴くに耐えなかったからだ。

 普段なら、もう少しはうまく弾けると言うShimbo氏だが、お酒を飲んで指先が言うことを聞かない。「エーと、これは有名な曲で」などとしどろもどろのコメントで誤魔化すShimbo氏。友人たちの白けた眼差しが、痛いほどにつき刺さってきたのだという。友人たちの無言の視線は語っていた。「ああ、ギター何年もやっているってそんなもんかよ、あらあら」「スペイン製の高級ギターがあれじゃあ、可愛そうだ。スペインに謝れよ。」「おやおや、こんな人と友人だなんて思われたくもないわ」あたふたとするShimbo氏は、曲の解説や指使いなどに終始する始末。友人たちには、単なる言い訳としか聞こえなかったという。

 誰かが、ポロリとつぶやく。「ああ、何か嫌な気分になってしまったな」その後、忘年会は盛り下がるだけ、盛り下がり、最後は皆、黙々と無言で、デザートのアイスクリームを食べて、体まで寒くなっていたのだという。

「それじゃあ、よいお年を」と力の無い声で、友人宅を後にしたというShimbo氏。締められたドアの向こうから「ああ、せいせいとした」「ほんと、疫病神よね、塩を撒いておかなくっちゃね」と、そんな話し声が聞こえて来たのだという。

 しかし、話はそこで終わらなかった。家に着く頃、携帯電話に着信の履歴があるのに気づいたと言うShimbo氏。見るとそれは、先ほどの友人からのもの。「何だろう、もしかすると、やっぱり俺の演奏の素晴らしさが分かって、感動したって電話かな。やっぱり、天才はすぐには、理解されないものだからね。」と電話に出ると、電話の向こうでは怒った友人の声。「Shimbo氏、※チュウーナー忘れたろ。ボケ!」その後、しばらく気まずい沈黙が続いたことは言うまでもない。

 家に帰ってから、語りかけるハーブたちもおらず、一人酔いつぶれたというShimbo氏。自分の腕の身のほどを知らない愚か者の哀れな末路だ。

※ ギターの音色を合わせる器械です

今週のおまけ

「エッ!これShimbo氏の演奏じゃない。早く逃げなきゃ。」