風のささやき

Shimbo氏、白い唇のShimbo奴になる。来世は自分も人回しに!

 先日人間ドックで検査を受けたShimbo氏。基本的に検査は大嫌いなのだが、そろそろ健康にも自信をなくしているので泣く泣く受けに行ったのだと言う。前日の夜はハーブたちに「血を抜かれ過ぎて死んだらどうしよう」とか、「血圧が200ぐらいあったらどうしょう」と、グズグズとめめしい愚痴をこぼしていたという。

 翌朝、検査に行きたくないShimbo氏は、布団の中からなかなか出ようとしなかった。一晩不安に泣き腫らした目は、子兎のように真っ赤だったという。それでも、我こそは中間管理職と、一気に布団から抜け出し、スーツに着替えて病院へと旅立った。

 病院で受付が済むと、やがて、検査を受けるためのガウンに着替えたShimbo氏。いつもならこんなくつろいだかっこで、高級ワインとバハマ産の葉巻をくゆらせるところだが、今日は違う。Shimbo氏を骨の髄まで丸裸にしようとする地獄の門番たちが待ち受けているのだ。Shimbo氏の顔の青かったことと言ったら、秋茄子よりも青かったと、近くで座っていた人たちは証言する。
 
 けれど、命からがら課題を一つ一つクリアしていくShimbo氏。しかし、やがて悲劇は訪れた。それは、常々Shimbo氏が屈辱感にまみれる胃の検査。いわゆるバリュームを飲む検査だ。バリューム経験者にはよくわかることだろうが、検査では炭酸を飲まされて胃を膨らまし、そこに石膏のようなバリュームを流し込む。それが生クリームだったら、いくらでも詰め込めると豪語するShimbo氏であるが、バリュームはいただけないらしい。しかもそれが只ならぬ量を飲まされるのだ。Shimbo氏いわく小さなダムの貯水量ぐらいはあるとのこと。
 その後に、今度は一人台の上に載せられて写真をとられるのだ。「俺は、舞台俳優でも何でもないんだ、止めてくれ」とShimbo氏は心の中で叫ぶ。そこに容赦も無い医師の言葉が続く。「はい、それでは右回りで3回ぐらい台の上でまわってみて。」
 「何たる屈辱。」Shimbo氏は思うらしい。「何故俺が、お前の言葉一つでこんな台の上をくるくる回らなければいけないのか、俺は人回しか! せめて猿回しだったら芸をすればご褒美をもらえるのに、俺はバリュウムか!」
 Shimbo氏は、自分が猿以下の扱いを受けていると感じるらしい。「きっと命令しているあいつは壁の向こうで俺の無様な様子を見て、仲間とゲラゲラ笑っているに違いない!俺は踊り子じゃない。Shimbo奴じゃない!」
 しかし、白い唇をして、台から降りてくるShimbo氏は、その怒りとは裏腹にあいそ笑いを浮かべて医師に言う。「ありがとうございますだ、旦那様。」

 「来世は、俺の言葉一つで、人間どもをぐるぐる回らせてやる」と言うShimbo氏。来世の仕事「胃の検査をする医師」がもう決まっているとは、めでたいというべきか、ハーブたちも言葉を控えているところだ。

今週のおまけ

ホーッ、オメェも回るんか。どれ、やってみろ