有機化学T 平成13年度前期のみの担当です。
注意事項
生活科学部共通科目ですが、主として食生活科学科を対象としています。生活環境学科関連は、Uで主として対象とします。
成績は、定期試験結果と、授業ノートの採点によります。
予習はいりませんが、復習をしっかりしてください。復習でノートをまとめれば力がつきます。有機化学は基本的に暗記が中心です。
高校で化学TBを選択していれば理解しやすいですが、選択していなくても大丈夫です。
第1回 4月13日
13日の金曜日から開始です。しかも5限!
ガイダンス授業により化学とは何かを説明します。
化学は、物が何でできているかを明かにして、より良いものを作ろうとする学問です。いわば錬金術(金を作ろうとした中世の術)です。そのためには、物が、元素というものと、元素が複数結合した化合物というものからできているとすると理解しやすいのです。
有機化合物は、炭素元素を含む物質の総称です。炭素は、複数結合することにより多種多様な物質を作り出すことができます。生物は全て有機化合物からできています。
この授業では、その中から、とくに炭水化物、脂質、たん白質を取り上げます。
第2回 4月20日
物質には、単体と化合物がある。単体は1種の元素のみからなっているもので、金属に多い。化合物は複数の元素からなる。
元素が結合するにはルールがある。原子価と呼ばれ、結合する手の数が決まっている。例えば炭素は4、酸素は2、窒素は3、水素は1である。
炭素が繋がった有機化合物には、鎖状、環状、芳香族がある。
芳香族は、全体に占める炭素の割合が多いので、燃えにくい。
第3回 5月11日
炭素が結合するときに、1本の手でつながっているものは飽和結合といい、2本の手でつながったいるものは二重結合の不飽和結合といい、3本の手でつながっているものは三重結合の不飽和結合という。
鎖状化合物で、飽和結合のみのものをアルカン、二重結合をもつものをアルケン、三重結合のあるものをアルキンという。
化学反応の基本に、付加反応と置換反応がある。付加反応とは不飽和結合に他の元素が付く反応で、置換反応とは、炭素に結合している元素が他の元素に置き換わることである。
化号物の名称には、体系名(IUPACが著名)と一般名がある。体系名は名前から化学構造が類推できる。一般名は分かりやすい。
第4回
溶液の濃度には、質量%濃度とモル濃度がある。
単に濃度といえば質量%濃度である。これは溶質の質量/溶液の質量。モル濃度は、モル/g。
化合物は置換反応により新たな化合物となる。
アルカンの一つの水素がOHで置換されたものをアルコール、=Oで置換されたものをアルデヒド、OOHで置換されたものをカルボン酸という。
第5回 5月25日
アルコール、アルデヒド、カルボン酸の間は、酸化と還元で変換する。
アルコール→酸化→アルデヒド→酸化→カルボン酸
逆が還元反応。
炭水化物とはCn(H2O)nで表される化合物。
植物が光合成で二酸化炭素と水から合成するでん粉がメイン。でん粉は水に溶けないのは貯蔵に便利なため。動物がでん粉を利用するためには水溶性にする必要があり、この過程を消化という。
消化で、糖が生成する。
糖には、炭素数によって三炭糖から七炭糖まである。
糖には、アルデヒド基を持つアルドースとケトン基を持つケトースがある。
第6回 6月1日
炭水化物は、Cn(H2O)nで表される化合物であるので、ニ炭糖は1種しかないが、三炭糖は2種類、四炭糖は4種類、五炭糖は8種類、六炭糖は16種類あることになる。これらの内、末端から2番目のOHが右側のものをD型、左側のものをL型といい、自然にはD型のみが存在する。炭素数が同じ糖は皆、異性体である。例えば、グルコースと果糖は異性体である。そこで、でん粉からグルコースをつくり、さらに果糖にする技術が開発されている。清涼飲料にグルコースと果糖が添加されている。
糖は、アルコール基とアルデヒド基またはケト基の間で結合して環状となる。
糖の反応の一つは、酸化と還元である。還元によって糖アルコール、酸化によってオン酸と、ウロン酸ができる。
第7回 6月8日
糖は、1番目の炭素に置換した水酸基が反応性が強く、ここの水素が他の化合物と置換する。これをグルコシド結合という。グルコシド結合に関わる化合物をアグリコン、結合したものを配糖体という。配糖体には生理活性が強いものが多く、トリカブトの根に含まれる毒もその1種である。アグリコンが他の糖の場合は、糖が複数繋がったものになる。
2個繋がったものをニ糖類、3個つながったものを三糖類、・・・・という。多数繋がったものを多糖類という。
ニ糖類には、ショ糖、乳糖、麦芽糖がある。
三糖類には、ラフィノースがある。
多糖類には、でん粉がある。
第8回 6月22日
多糖類には同じ糖からのみなる単純多糖と、異なった糖からなる複合多糖がある。前者の典型がでん粉である。後者にはペクチンがある。ガラクト−スとガラクチュロン酸からなる。カルシウムとともにネットワークをつくるので、ジャムの原料となる。
脂質
脂質には、単純脂質と複合脂質がある。
単純脂質は、グリセリンと脂肪酸のエステルである。グリセリンは3価のアルコールで、脂肪酸は、カルボン酸である。あるこーるの‐OHとカルボン酸の‐COOHが脱水して結合したものをエステルという。
脂肪酸には、飽和脂肪酸、不飽和結合が1個ある1価不飽和脂肪酸、たくさんある多価不飽和脂肪酸がある。
グリセリンに脂肪酸は、通常3個つくが、1個ついたモノグリセリド、2個ついたジグリセリドもある。これらは、体内で脂肪になりにくい。
第9回 6月29日
単純脂肪は、グリセリンと脂肪酸のエステルであるが、これは、逆に分解できる。分解にはアルカリ、とくに水酸化ナトリウムが使用される。その結果、生成するのは脂肪酸のナトリウム塩である。脂肪酸のナトリウム塩をセッケンという。そのためにこの反応をケン化という。
複合脂肪は、グリセリンと脂肪酸の他に分子からなるもので、代表が、コリンが結合したレシチンである。複合脂肪は、油になじむ疎水性の部分と水になじむ親水性部分を併せ持つ。そのために水と油を混ぜる乳化作用がある。
第10回 7月6日
アルカンの炭素に結合している水素がアミノ基とカルボキシル基で置換されているものをアミノ酸という。これらが同一の炭素に結合しているものをαアミノ酸、隣りの炭素に別々に結合しているものをβアミノ酸という。天然にはαのみが存在する。
アミノ酸には、最も単純な脂肪族アミノ酸、カルボキシル基を2個持つ酸性アミノ酸、アミノ基を2個持つ塩基性アミノ酸、硫黄を含む含硫アミノ酸、環状構造を持つ芳香族アミノ酸、複素環アミノ酸がある。自然には20種のアミノ酸のみが存在するが、これは、生物でアミノ酸はDNAの情報によって合成されるからである。
イオン
物質の最小単位である元素は、原子核の回りに電子が回っている。何かの都合で電子が離れたものをイオンという。電子はマイナスの電気を持つので電子が離れるとその原子はプラスに電気を持つ。逆に何かの拍子で電子を多く持つ原子もある。これもイオンである。電子を持つとマイナスに電気を持つ。
アミノ酸は、イオンとなる性質を持つ。
7月13日
13日の金曜に始まり、13日の金曜で終了です。
アミノ酸のアミノ基とカルボキシル基が結合したものがたん白質である。この結合をペプチド結合という。アミノ酸は20種もあるので、多種多様なたん白質が存在する。酸性アミノ酸は、カルボキシル基が2個あり、塩基性アミノ酸はアミノ基が2個あるので、ペプチド結合以外にも結合ができる。そのためにたん白質は複雑な構造を取る。
アミノ酸は、イオンとなると、酸性のときはプラスに電気を持ち、アルカリ性だとマイナスに電気を持つ。中性だと電気を失う。アミノ酸が結合したたん白質も同様で、電気を失うと溶解度が下がる。等電沈殿という。