フードマネージメント論 (食物学専攻2年)


第1回(9月27日)

 食生活の現状
  食生活といっても色々な視点がある。第1は栄養、第2は品目、第3は様式である。
  栄養から見た食生活は、厚生省発表の国民栄養調査により知ることができる。その結果、日本では、エネルギーは昭和30年代に、タンパク質は昭和40年代に充足するようになった。
  品目から見た食生活は、農林水産省の食料需給表により知ることができる。その結果、近年、穀類とくに米の減少と、牛乳・乳製品と食肉の増加が著しい。これは、所得が増加したためである。
  この変化により、栄養状態も改善した。
  穀類の摂取が減少するのは、世界共通である。

第2回(10月11日)

 食生活の現状(続)
  食品の消費において、穀類が減少し、肉類が増加するのは世界共通だが、その原因には所得の増加がある。消費量と所得との関係を所得弾性値という。所得弾性値がプラスのものは、今後、消費が伸びるものであり、マイナスのものは、消費が減るものである。
  肉類の消費が増加するのは、ある程度までは好ましいが、限度を超えると生活習慣病の原因となる。食料の消費を占う指標として大切なものに価格弾性値がある。これは価格の変動に対する消費の増減である。生活必需品は弾性値が小さく、ぜいたく品や代替可能品は弾性値が大きい。
  日本における食生活の特徴の一つは、加工食品と外食への依存が増えたことである。
  その原因の第1は、女性の社会進出である。家庭の主婦を中心に職業を持つ者が増加し、夕食のしたくにかける時間が減少した。これが加工食品と外食の増加に結び付く。
  原因の第2は、食料の流通機構の変化である。かっては、多くを一般小売店から購入していたが、現在は多くを量販店から購入している。量販店はレジ精算が基本であり、商品は個別包装されている必要がある。これが加工食品へのシフトの一因である。
  原因の第3は、加工技術の進歩である。レトルト食品、冷凍食品などがその例である。

第3回(10月18日)

  食料の生産
   世界の人口は、産業革命以降大幅に増加した。それを支えているのが食料の増産である。食糧の生産量は、耕地面積と単位面積当りの収量(単収)の積で決まる。過去の食糧の増産は、単収の増加が原因である。単収の増加は、化学肥料や農薬のおかげである。有機農業では、世界の人口はまかなえないことを認識する必要がある。
   世界の各国ごとに生産される食糧は異なる。温帯モンスーン気候帯では米が、適し、少雨乾燥帯では小麦が適する。牧草が育つ国では畜産が盛んになるし、海に囲まれた国は漁業が盛んになる。そのため本来は国によって食生活は異なるはずだが、近年は平均化している。その理由は食糧の貿易である。

第4回(10月25日)
   食糧の輸入
    日本の食料の輸入は、毎年増え続けている。この40年間で10倍になった。輸入の中身はトウモロコシ、コウリャンとった飼料が多い。これらは家畜のえさとなる。日本の食生活が米中心から、肉食が増えたためである。どれだけの食糧を国産でまかなっているかの指標を自給率という。自給率の計算法には重量自給率と熱量自給率がある。
    重量自給率で計算すると日本の自給率は80%とかなり高い。熱量自給率で計算すると40%と低い。その理由は、畜産物については、飼料が輸入だと、国産としないで輸入品と見なすからである。しかし、世界のほとんどの国では、熱量自給率は100%に満たない。100%を超える国は、6ヶ国しかない。
    輸入食糧は、食品工業で原料として用いられて加工食品になる割合が多い。その理由の第1は、価格である。第2は、食品工業では、品質が安定している原料が必要で、国産品はその要求に合わない。

第5回(11月1日)
   日本の食品工業の特徴
 今から30年前は、農業の出荷額と食品工業の出荷額はほぼ高水準であったが、現在は、食品工業の出荷額は農業の3倍になっている。消費者の食料の選択が加工食品にシフトした結果である。
   日本の食品工業の特徴の第一は  中小企業性が高いことである。 平均従業員数はわずか16人である。従業員が1000人以上の企業は19社しかない。比較的大企業は、業務用素材をつくっているメーカーである。しかし、中小企業で生産されている製品の出荷額が全体に占める割合は高い。
   発展を続けた食品工業もここ5年は伸び悩みである。その理由は、輸入の加工食品の増加である。
 第二  研究投資にお金をかけない。売上高に占める研究投資費用は約1%で、日本のメーカー平均の約3%の半分以下である。
 第三 広告費にお金をかける。とくに電波媒体(テレビ、ラジオ)の利用度が高い。
 このことから、食品は中身で勝負するのではなく、ネーミングなどで勝負していることが分かる。
 その理由は、食品は原料が限られるので新技術が生まれにくい。新しい技術で製造しても真似されやすいなどである。

 第6回(11月8日)
  流通
  食品の流通の場を市場という。市場では競りが行われる。競りの基本は現物を見て、最高価をつけた人が品物を引き取ることである。
  最近は、競りが行われない例が多い。一つは食肉や卵のように現物を見なくても品質が分かるものは、競りを行わず相対取引で流通する。青果物では、現物を見ない先取り取引が量販店を中心に行われる。競りの前に品物を引く取るもので、その結果、量販店の価格が高くなろこと、一般商店には残り物しか回らないなどの欠点がある。
  青果物市場は最も単純で、卸市場が1つだけある。水産物は産地市場と消費地市場がある。食肉市場では、卸市場を経由しないものが多い。

第7回  (11月15日)

 加工食品の流通は問屋が媒体する。問屋の必要なのはその情報収集力である。
  問屋を経由しない製販同盟に必要なシステムはPOSである。
  売れ筋と死に筋商品を見極めるには、在庫調べが必要だが、POSはPoint of Salesで販売時点でそれがわかる。POSデータを本店のコンピュータに転送し、配送センターから品物を運搬することで、リアルタイムで商品配送ができる。
  POSが、販売から流通に留まっていると、実際には、製造段階の在庫切れを起こす。それを防ぐには、販売から製造まで、POSデータを共有するシステムが必要である。これをロジスティックスという。
  食品を販売する量販店として、コンビニの台頭が著しい。コンビニは店舗面積が狭いので、結果として商品寿命を短くする。これが、日本の食品工業で技術開発に力を入れない理由ともなっている。

第8回 (11月22日)
  外食
  外食産業には、飲食の提供を行う狭い意味の外食である営業給食、集団給食と、飲料の提供を主とする風俗営業に属する外食がある。
  外食産業の規模は、バブル期までは伸びつづけていたが、その後は停滞している。
  日本の外食産業の特徴
  @ 個人経営が多い。しかも個人経営店は減少している。
  A所得が増加するとうどんやそばの消費が減少し、西洋料理の消費が増える。
  B 従来型の食堂が減少し、大手チェーン店が増加している。それでも日本最大の外食企業であるマクドナルドでも年間売上は4000億円である
  C 外食の利用率は、男性ではほぼ飽和状態であり、伸びているのは女性である。
  D 外食の最大の目的は昼は昼食の代り、夜は付き合いであり、消費者の低価格志向に応える必要がある。

第9回 (12月5日)

  中食
  外食と内食の中間に位置するものを中食という。一般的には弁当と調理済食品がこれに当る。中食の最大の利用層は家庭の主婦である。そのためにやはり低価格が求められる。
  外食や中食産業においては次の方法で低価格を実現している。
  @ 冷凍食品、輸入食材の使用による食材費の低減
  A セントラルキッチン、仕様書発注による調理場の削減
  B ロボットの利用による人件費の削減
 しかし、このようなコスト削減は、経営的に成功するとは限らない。例えば仕様書発注は、客の好みを優先すると、ライバル店も同様なメニューを仕様書発注することになり、客から見ると、どの店にいっても同じメニューが出てくることになる。すると、安いところに客は行くことになり、価格競争が激化する。

第10回 (12月12日)
  外食・中食産業を支える技術

  セントラルキッチン
    設備費の削減に効果的なシステムがセントラルキッチンである。ここでは、おいしさを長時間保つために、真空調理法やクックチルといった新調理法が利用される。
  スーパー・コンビニにおける低温利用
   食品を取扱ううえで最も大切なことは、食中毒の予防である。細菌の繁殖は、温度や酸素によって影響されるが、一般に低温を利用して細菌の繁殖を防ぐ。温帯によって、フローズン、チルド、氷温(パーシャルフリーズ)がある。ー18℃以下で冷凍すれば、微生物の繁殖は完全に抑えられるが、化学変化は抑えられない。そのために冷凍食品でも賞味期限がある。野菜では、出荷前に予冷することも行われる。低温による中間素材の保管により、作業の定常化や一時的大量注文への対応が可能となる。
  冷凍・冷蔵によるコスト削減は、結局、専門メーカーに製品の製造を依頼することとなり、仕様書発注と同様に製品の画一化が進む。その結果、消費者に飽きられるという欠点がある。
  外食産業の生き残り策としては、輸入食材を利用した新メニューの開発、エスニック料理やスローフーズなど消費者の嗜好に合わせた個性的メニューの開発が欠かせない。

第11回 (12月21日)

   食生活と環境問題

   将来、食糧は不足するのだろうか。然るべき機関の予測では、不足は起こらないとされている。食糧不足を予想するなら、発展途上国の農業振興に力を入れることが大切である。
  二酸化炭素の排出の増大と地球温暖化
  地球問題として環境を考えるには、生活全体を見なおす必要がある。その指標としては、エネルギー消費量で評価したり、二酸化炭素排出量で評価する方法が提唱されている。
  容器包装にプラスチックが登場して以来、家庭からの廃棄物に占める容器包装が問題となっている。そこで、1995年に容器包装リサイクル法ができた。この法律の骨子は、消費者に分別する義務、地方自治体に分別回収する義務、メーカーに再利用の義務を負わせている。しかし、うまくいっていない点も多い。それは、まず、地方自治体が分別回収に完全に対応できないこと(予算が無い)、メーカーの再利用を負担金をだせば免除してしまっていることである。
  食品を大量に調理・加工することで、廃棄物を発生する企業に対しては、そのリサイクルが義務付けられている。肥料化が主な手段である。

そろそろ試験が気になる頃です。試験は、定期試験期間中の1月23日(火)に行います。、間違いを訂正する問題20題と記述式問題1題が出題されます。持ち込みは不可です。

第12回 (1月16日)

  食生活と情報

  フードマネージメントにおける情報は、収集と発信がある。収集では、問屋の情報やPOSデータもあるが、顧客アンケートやクレームも大切な情報源です。ポイントカードも新しい購買履歴の収集法である。
 情報の発信では、宣伝や広告とならんで、店頭広告(POP)やチラシも大切である。公的な情報発信には、表示がある。食品衛生法による表示とJAS法による表示がある。絶えず、変更されるので、情報を的確に把握しておく必要がある。
  トレーサビリティ
    食品の生産から加工、流通がどの経路で行われたかをいつでも追跡できることをトレーサビリティという。商品にタグ(標識)を付けて、データの読み書きを行う。牛肉については、平成16年12月から義務化されている。

18年度後期定期試験結果
 A+ 29人  A 20人  B18人  C 22人  D 1人
 Dの人は再履修してください。成績は2極分化です。Cの人は出席日数もぎりぎりでした。