フードマネージメント論
この科目は、何かを記憶するというのではなく、物の見方を学んでください。同じデータを見ても、人によって見方は変わります。どの見方が正しいというものではありません。自分なりの見方を持つトレーニングをしてください。
第1回 4月14日
フードマネージメント論はどんな学問なのかを解説
フードマネージメント論は、食料の流れを生産から消費までの段階ごとにとくにお金の面からあきらかにする
まず、日本の食生活の変化について理解する
変化を把握するためには、統計が必要であるが、摂取量を把握する国民栄養調査、供給量を把握する食料需給表、購入額を把握する家計調査年報がある。
第1に栄養の面からみると、熱量の過剰とたん白質の充分な供給がある。
第2に、品目の面から見ると、穀類の消費が減って、肉類の消費が増加がある。
どの国でも、収入が増加すると、穀類が減って、肉類の消費が増える。これは、人間は、本能的に肉を好むからである。肉の脂が原因とされている。肉の摂取は、生活習慣病の増加をもたらす。
第2回 4月28日
所得が向上すると、穀物の摂取が減って、肉類の摂取が増える。所得と購入量との関係を「所得弾性値」という。穀類はこの値が負、肉類は正である。価格と購入量との関係は、価格弾性値で示される。両者は、家調査年報から求めることができる。
日本では、加工食品と外食の伸びが大きい。食の外部化という。
その原因は、女性の社会進出、流通経路の変化、がある。また、加工技術が進歩したことも加工食品の増加に影響している。
所得が増加し、充分な食糧が供給されることは、栄養学的には好ましい結果を与えるが、食糧の無駄も増加する。現在の日本では、供給される食料の3割が摂取されないで廃棄されている。
第3回 5月12日
食料の生産の現状
世界の食料生産は、産業革命以来急激に増加した。耕地面積の増加と単収の増加による。とくに近年は単収の増加が著しい。産業革命による農業技術の進歩による。穀物の収穫量と人口増加はよく一致する。世界の地域によって生産される食料は異なる。本来、国によって食料供給は異なるのだが、畜産の振興と貿易によりその差は無くなりつつある。その結果、どの国でも、貧しい食生活→豊な食生活→危険な食生活の順に変化する。日本では、1980年代が豊な食生活であった。イタリアでは、1950年代が豊な食生活であった。その頃に戻る運動を「スローフード」運動といっている。
第4回 5月19日
食料の輸入
日本は大量の食料を輸入しており、その金額は石油に次ぐ。外国からどれだけ食料を輸入しているのか、逆にいえばどれだけ自国で食料を賄っているかを食料自給率という。自給率の計算法は、重量と熱量がある。
日本の近年の自給率は、重量では65%ほどである。熱量自給率は40%程度である。しかし、からくりがあって、輸入飼料を使ってできた畜産物は国産でも輸入品と見なすので低くなる。
輸入品の多くは、加工食品の原料となる。食品工業では、安価で品質がそろった輸入品が求められるからである。
第5回 5月26日
食品工業について
食品工業の規模は、中小企業が多い。従業員が1000人以上の食品メーカーは19社しかない。比較的大規模な企業は、OEM(相手先ブランドによる生産)業務用製品を扱っているところである。
日本の食品メーカーの特徴は、技術開発費が少ないことである。平均で総売上高の1%のみを技術開発に投入しているのみである。全メーカー平均は2%。代りに、広告宣伝費に多くを投入している。とくに電波媒体の利用が多い。
その理由は、加工食品は、新技術が生まれにくい、類似商品を作りやすいからである。
第6回 6月2日
食品の流通
卸市場には、物別に青果物、水産物、食肉などの市場がある。卸市場ではセリが行われる。セリの原則は、現物を見る、最も高い価格をつけたものに売り渡すことである。ところが、最近は、市場を通さない取引が増えている。理由は、品質が規格化されたためである。食肉や、鶏卵などは、すでに卸市場を経由しないものが多い。
加工食品は、卸市場が無いが多くの問屋が介在する。問屋を経由しない取引を製販同盟と言う。POSシステムが利用される。但し、POSは万能ではない。販売の情報が、製造まで共有されることが必要である。
第7回 6月9日
加工食品の流通は問屋が媒体する。問屋の必要なのはその情報収集力である。
問屋を経由しない製販同盟に必要なシステムはPOSである。
売れ筋と死に筋商品を見極めるには、在庫調べが必要だが、POSはPoint of Salesで販売時点でそれがわかる。POSデータを本店のコンピュータに転送し、配送センターから品物を運搬することで、リアルタイムで商品配送ができる。
POSが、販売から流通に留まっていると、実際には、製造段階の在庫切れを起こす。それを防ぐには、販売から製造まで、POSデータを共有するシステムが必要である。これをロジスティックスという。
食品を販売する量販店として、コンビニの台頭が著しい。コンビニは店舗面積が狭いので、結果として商品寿命を短くする。これが、日本の食品工業で技術開発に力を入れない理由ともなっている。
第8回 6月16日
外食
外食
外食産業には、飲食の提供を行う狭い意味の外食である営業給食、集団給食と、飲料の提供を主とする風俗営業に属する外食がある。
外食産業の規模は、バブル期までは伸びつづけていたが、その後は停滞している。
日本の外食産業の特徴
@ 個人経営が多い。しかも個人経営店は減少している。
A所得が増加するとうどんやそばの消費が減少し、西洋料理の消費が増える。
B 従来型の食堂が減少し、大手チェーン店が増加している。それでも日本最大の外食企業であるマクドナルドでも年間売上は4000億円である
C 外食の利用率は、男性ではほぼ飽和状態であり、伸びているのは女性である。
D 外食の最大の目的は昼は昼食の代り、夜は付き合いであり、消費者の低価格志向に応える必要がある。
そろそろ試験が気になる頃です。試験は、定期試験期間中に、記述式で行います。持ち込みは不可です。第11回に試験答案の書き方の授業をします。この授業ということでなく、どの授業の試験でも共通のことを教示します。
6月23日は休講です
第9回 (6月30日)
中食
外食と内食の中間に位置するものを中食という。一般的には弁当と調理済食品がこれに当る。中食の最大の利用層は家庭の主婦である。そのためにやはり低価格が求められる。
外食や中食産業においては次の方法で低価格を実現している。
@ 冷凍食品、輸入食材の使用による食材費の低減
A セントラルキッチン、仕様書発注による調理場の削減
B ロボットの利用による人件費の削減
しかし、このようなコスト削減は、経営的に成功するとは限らない。例えば仕様書発注は、客の好みを優先すると、ライバル店も同様なメニューを仕様書発注することになり、客から見ると、どの店にいっても同じメニューが出てくることになる。すると、安いところに客は行くことになり、価格競争が激化する。
第10回 (7月7日)
外食・中食産業を支える技術
セントラルキッチン
設備費の削減に効果的なシステムがセントラルキッチンである。ここでは、おいしさを長時間保つために、真空調理法やクックチルといった新調理法が利用される。
スーパー・コンビニにおける低温利用
食品を取扱ううえで最も大切なことは、食中毒の予防である。細菌の繁殖は、温度や酸素によって影響されるが、一般に低温を利用して細菌の繁殖を防ぐ。温度帯によって、チルド、氷温、パーシャルフリーズ、フローズンがある。フローズンすなわち冷凍すれば細菌の繁殖は永久に阻止できるが、化学反応は止まらない。例えば油の酸化は進行する。したがって、冷凍食品も最大18ヶ月しか賞味期間はない。
青果物も低温におくと呼吸が抑えられ、品質が保たれる。ただし、カボチャのような熱帯原産のものは低温障害を起こす。現在、出荷される2割の野菜が低温流通している。
外食におけるメニュー開発
外食がコスト競争から脱皮するには、独自のメニュー開発が欠かせない。輸入食材からの新メニュー、エスニックなど新料理、スローフードなどである。
第11回 (7月14日)
食生活と環境問題
将来、食糧は不足するのだろうか。然るべき機関の予測では、不足は起こらないとされている。食糧不足を予想するなら、発展途上国の農業振興に力を入れることが大切である。
二酸化炭素の排出の増大と地球温暖化
地球問題として環境を考えるには、生活全体を見なおす必要がある。その指標としては、エネルギー消費量で評価したり、二酸化炭素排出量で評価する方法が提唱されている。
容器包装にプラスチックが登場して以来、家庭からの廃棄物に占める容器包装が問題となっている。そこで、1995年に容器包装リサイクル法ができた。この法律の骨子は、消費者に分別する義務、地方自治体に分別回収する義務、メーカーに再利用の義務を負わせている。しかし、うまくいっていない点も多い。それは、まず、地方自治体が分別回収に完全に対応できないこと(予算が無い)、メーカーの再利用を負担金をだせば免除してしまっていることである。
食品を大量に調理・加工することで、廃棄物を発生する企業に対しては、そのリサイクルが義務付けられている。肥料化が主な手段である。
試験答案の書き方
答案は教員へのメッセージ
読んでもらうことを前提に丁寧に書く
・箇条書きや段落をつけて、読みやすく
・きちんとした文章で書く。絵文字や図解などしない
・余白を作らない。できれば裏まで書く。途中退出はしない
・この授業の試験なのだから、この授業で習ったことを書く
・他の授業で習ったことを書かない
・出題範囲は、先生が話したこと。教科書は補助教材にすぎない。