食品学各論A
第1回 4月13日
食物とは何かを、野草と野菜との相違から説明します
食物に必要な要素は、栄養性、嗜好性、安全性の3つです
最近は、健康との係りから機能性が注目されています。
この他に、経済性や、風習も大切な要素です
第2回 4月20日
野菜の生産について
野菜とは、野草を作物化したもので、草である。草は、1年生で春に芽を出し、夏に成長し、秋に枯れる。そのために旬がある。最近は旬をずらしたハウス栽培が盛んである。その先にあるものが工場野菜で、いくつかの特徴を持っている。まずは成長が速い。季節にかかわらず同じ品質の野菜が生産できる。害虫や病気にかからないので無農薬栽培ができる。
日本では、110種近くの野菜が栽培されている。こんなに種類が多いのは、野菜は、気候に左右されず栽培できるので、時代時代で外国から導入したから。最も多く収穫される野菜は大根である。最近、重い野菜がきらわれている。
野菜工場
最近は、究極のハウス栽培として、工場で野菜が作られる。人工照明と水を与え、肥料も最適に与える。そのために3倍の速度で成長する。無農薬で栽培もできる。ただし、栄養に問題が残っている。
野菜の栄養
野菜の栄養として大切なものは、第1にビタミン。
ビタミンAは、傷付いた遺伝子を修復する作用があるので、ガンの抑制に効果がある。野菜に含まれるビタミンAは、カロテンという物質群で、体内でビタミンAに代る。ビタミンAは、赤や緑色の濃い野菜に多く含まれる。
ビタミンCは、傷付いた細胞の膜を修復する作用があるので、老化の予防に効果がある。とくに血管の老化を防ぐので心臓病の予防になる。ビタミンCも緑色の濃い野菜に多い。植物自身が活性酸素から細胞を守るために緑色が濃い、すなわち葉緑素が多い部分にビタミンCは多い。
緑色の濃い野菜を緑黄色野菜という。
野菜の栄養の第2は、ミネラル
ただし、野菜のミネラルは吸収が悪い。鉄でいえば無機鉄であるから。2価の無機鉄も3価に還元すると水溶性になり吸収が良くなる。還元剤としてはビタミンCが有効である。
第3回 4月27日
食物繊維は、人の栄養とはならないが、体内を通過する際に有用な作用がある。腸からの発がん性物質の排泄の促進や、コレステロールの排出の促進である。前者は不溶性食物繊維、後者は水溶性食物繊維の作用である。このように食物繊維の種類によって効果が異なるので、各種の食物繊維を取る必要がある。
野菜のポリフェノールには、活性酸素を消去する働きがある。このために様々な生活習慣病を予防する。
野菜の嗜好性
野菜の色素 緑色の葉緑素(クロロフィル)と赤色のカロテノイドがある。クロロフィルはマグネシウムを含み、これが脱離すると色が抜ける
カロテノイドはビタミンA効果があるものや、がん予防効果があるものがある
水に溶けるアントシアニンとフラボノイド色素もある
アントシアニンは花の色と同じ。PHによって色が変わる
フラボノイド色素には生理活性があるものが多い。
第4回 5月11日
野菜の味の成分 有機酸が重要 有機酸はすぐにエネルギーとなるので疲労回復に効果がある
辛い味はもともと味の無いシニグリンが酵素(ミロシナーゼ)によって分解して辛いアリルイソチオシアネートに変る。大根をおろすと辛くなるのはこれが理由。
野菜の安全性
野菜には自然毒が含まれる。
自然毒には、急性毒と慢性毒がある。野菜の急性毒は、きのこ毒と有害配糖体別名アルカロイドがある。配糖体は、トリカブトが著名である。
その他、梅、アーモンド、ビルマ豆など。しかし、これらは酵素によって分解され青酸を生成するので、あらかじめ、加熱しておけば無害である。野菜のあくの成分はこの配糖体である。
慢性毒には、栄養の吸収阻害と発ガン性がある。フィチン酸や蓚酸はミネラルの吸収を阻害する。野菜の調理するときに下茹でするのは、これらを除くためである。発ガン性は、ワラビが著名である。しかしその力は弱く、通常の食事では問題とならない。
第5回 5月 18日
野菜の流通
野菜は収穫後も呼吸を続けている。呼吸が行われると、含まれる成分が代謝され、栄養価の低下と品質の低下が起こる。呼吸は、低温に置くことで抑制できる。しかし、全ての野菜を低温に置くことは好ましくない。熱帯原産のものや、いも類は低温に置くとかえって品質が低下する。低温障害という。
野菜の呼吸を抑える方法としてCA貯蔵法もあるが野菜では実用化していない。リンゴで実用化している。野菜からストレスの結果、放出されるエチレンを吸収すると長持ちする。
野菜のバイオテクノロジー
新しい品種をつくるために利用されるようになって新技術に細胞融合とDNA組換えがある。DNA組換えは、全く新しい品種をつくることができる。除草剤耐性の作物や害虫抵抗性の作物が開発されている。
第6回 5月25日
魚の栄養
魚の栄養で大切なものは脂質である。脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸、1価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸があり、生理効果が異なる。多価不飽和脂肪酸は、血圧上昇抑制作用、脳の活性化の働きがある。魚油にはこの多価不飽和脂肪酸が多い。ただし、多価不飽和脂肪酸の量は、脂肪の量と比例する。したがって最も多価不飽和脂肪酸が多いのはマグロである。よく青魚に多いといわれるが確かに多いがあえて青魚というのは、これらの消費拡大を狙っているのである。魚介類とくに貝には、アミノ酸の類縁体のタウリンが多い。タウリンは肝臓や心臓といった内臓の強化になる。
第7回 6月1 日
魚の色素
赤い色素はミオグロビンという。分子の中に鉄原子を持つ。鉄の部分が酸化されると色が変わる。還元型ミオグロビン(くすんだ赤)→オキシミオグロビン(鮮やかな赤)→メトミオグロビン(褐色)と変化する。
魚の味
魚の味として有効なものは、グルタミン酸とイノシン酸である。両者は相乗作用があり、組み合わせると味が濃くなる。実際、牛肉よりも魚のほうがグルタミン酸もイノシン酸も多い。
魚の鮮度
魚の鮮度は漁獲後、筋肉に含まれる酵素によって進行する。味に関係するイノシン酸の量も変化する。活魚は味の点からはそれほどおいしくない。ATPからイノシン酸さらにヒポキサンチンへと変化する。この変化の度合をK値といい、鮮度の指標となる。
魚の毒
ふぐ毒が有名である。テトロドトキシンという。青酸カリの10倍も強い。ただ、内臓にしかないので、内臓を除去して調理する。フグを調理するには免許が必要である。ふぐ毒は、えさのプランクトン(藻)に由来する。ふぐ以外にも各種の魚が毒をもつ。とくに南洋の魚のシガテラは猛毒である。貝の中で、二枚貝がやはり毒化する。海洋汚染の赤潮が原因である。
第8回 6月 8 日
魚の保存
魚を冷蔵するときに注意することは、低温でも繁殖する細菌があることである。冷凍しても、油の多い魚では4ヶ月しか保存できない。油が酸化するためである。グレージングといって、氷を魚の周りにつけて酸化を防止する。
魚の加工品
練り製品は、魚から水晒しで水溶性のミオゲンを除去し、残ったミオシン(すり身の本体)を食塩で熔かし、これにでん粉を加えて熱をかける。するとでん粉が糊化して、たんぱく質が変性して独特の弾力を生成する。
藻類
藻類は、体表面の色で分類する。最も一般的なのが褐藻類である。緑藻類は植物であるので光合成をするが、他の藻類は下等生物なので光合成をしない。そのためにでん粉以外の食物繊維を含む。藻類はミネラルが豊富である。ただし、コンブを食べ過ぎるとヨー素過剰になる。
第9回 6月 15 日
肉の生産
牛肉の輸入が増えている。理由の第1は価格であり、第2は、味に馴れたことである。日本で飼育される牛は、黒毛和種で、外国産のショートホーンに比べて、飼料効率が悪い。
日本で飼育される牛で、黒毛和種のみが和牛と呼ばれ、その他は国産牛と呼ばれる。その主なものは、乳牛である。雄の子牛は去勢して飼育する。
肉の硬さは、死後硬直で一度硬くなるが、肉に含まれるカテプシンというたん白分解酵素により徐々に分解され柔らかくなる。これを肉の熟成という。酵素活性の強い鶏肉は1,2日で、活性の弱い牛肉では14,5日かかる。
肉の栄養
肉の栄養で最も大切なものは、たんぱく質である。穀類のたんぱく質に比べて、アミノ酸組成が優れている。
牛肉は、鉄が多い。しかも吸収が良い。牛肉200cで1日の必要量が摂れる。豚肉はビタミンBが多い。鶏肉にはビタミンAが多い。
第10回(6月22日)
肉に嗜好性
肉の色は、ミオグロビンで、酸化の度合によって色が変わる。新鮮なときは還元型ミオグロビンで赤い色であるが、古くなると酸化型ミオグロビンとなりくすんだ色となる。加熱されるとたん白質部分が変性してミオクロもーゲンとなり、褐色となる。ハムなどは、亜硝酸で処理するとニトロソミオグロビンとなり、これは加熱されるとニトロソミオクロモーゲンとなるが色はピンク色のままである。
肉の加工品
ハム、ソーセージがある。これらは、亜硝酸塩によりボツリヌス菌の繁殖を防いでいる。くん煙は木材から生成するフェノールやクレゾールで殺菌効果がある。
第11回 6月 29 日
牛乳
牛から搾ったままの乳を生乳(せいにゅう)といい、これに均質化と殺菌を行った乳を市乳(しにゅう)という。
殺菌には、低温殺菌(パスチャライズ)、高温殺菌(HTST)、超高温殺菌(UHT)がある。UHTして無菌充填したものはLL牛乳といって常温で保存できる。
牛乳の主要たんぱく質のカゼインは、アミノ酸のセリンが多い。セリンはアルコール基を持つので、リン酸と結合する。リン酸にはカルシウムが結合する。カゼインが消化されるとカルシウムを含んだペプチドが得られる。CPPといってカルシウムの吸収が良い。
牛乳には、牛乳、成分調製牛乳、加工乳、乳飲料がある。牛乳は全く加工しないもの、成分調整乳には低脂肪乳、無脂肪乳がある。加工乳は、乳成分から還元されたもの、乳飲料は乳成分以外のものを使用したもの。生乳を100%使用したもののみが牛乳と表示できる。
第12回(7月 6 日)
卵
卵の栄養は、たんぱく質である。卵白のたん白質には抗菌力があるリゾチームが含まれる。卵黄のたん白質はリンを含む。黄味の黄色の濃さとビタミンA効力は関係がない。
卵の鮮度がサルモネラ汚染から問題となっている。品質保持期限が表示される。卵の鮮度を測るには、卵黄の高さや卵白の高さを測定する。前者は卵黄係数、後者はハウ単位である。卵白と卵黄を混ぜると、急速に細菌の繁殖が進む。