中国/新彊ウイグル自治区
クズルガハ石窟
2011年10月
クズルガハ石窟はクチャ市街から北西4キロと亀茲石窟の中で一番近い所にある遺跡である。54窟が発見されており規模は大きいとは言えない。開削時期は紀元6〜8世紀で窟に描かれた供養者像や亀茲文題記などからここは亀茲国王室の寺院であったと考えられている。
第11窟は中心柱窟で主室窟頂に太陽神、ガルダ、風神などが描かれた天象図が残る。車に乗った太陽神はギリシャの影響を示すと言われる。菱形の中に描かれた本生図も残っている。
第14窟は中心柱窟入口の上の弥勒交脚菩薩像、後室の壁に描かれた仏陀火葬図が見える。
第16窟は大像窟で高さ6メートルあり天井は台形である。大仏のあった壁に光背の影跡が見える。
第30窟は中心柱窟で後室頂部に8体の飛天が描かれたている。それぞれ楽器を奏で舞っている。飛天は天女でなく筋肉質の男性像であるようだ。後室に涅槃台のみ残る。
第32窟は方形窟で天井は三角隅持ち送り式(ラテルネンデッケ)天井である。月にウサギが描かれている絵があるが珍しい。
第27窟、28窟は僧坊窟で30人の僧を収容できたという。ベッド、窓、釜戸跡、蔵書棚などが見える。
この石窟で興味を引いたのは天象図と壁面に広がった菱形の枠の中に描かれた本生図である。また後室に描かれた火葬図(炎だけであったが)を見たのはここが初めてであった。
中国 新疆ウイグル クズルガハ石窟 (2011年10月)