中華人民共和国/浙江省/紹興・寧波・普陀山・天台山
日本ゆかりの中国寺院を訪ねて
Riben fojiao yinyuan de siyuan
(2007.12.15〜20)

2007年の暮れに日本仏教ゆかりの寺院を訪ねて浙江省へ出かけました。
日本となじみの深い紹興、寧波、天台山などを見てまわりました。

普 陀 山

普済寺 法雨寺 不肯去観音院

futoushan
pujisi /fayusi /bukenqiguanyinyuan
(2007.12.17)


普陀山へ向う
あいにく普陀山へ行く海峡は朝から雨と霧で視界がきかなかった。予定していた大射発のフェリーは欠航していた。桟橋でしばらく天候の回復を待ったが依然天候は好転せずフェリー出航の見通しはたたなかった。このため渡航コースを舟山経由にかえてフェリーと高速艇を乗り継いで普陀山へ向った。海は一面黄土色に染まっていた。黄河が流れこんでいるのではないのにこんな色に染まっているなんて異様に感じた。普陀山の桟橋は到着したのは予定を遅れて正午となってしまった。

普陀山の玄関(普陀山客運駅)


普陀山は四大仏教聖地の一つ
中国の四つの仏教聖地は、観音信仰の普陀山、文殊信仰の五台山、地蔵信仰の九華山、普賢信仰の峨眉山である。普陀山はT字型をした島で観音信仰の聖地である。高速艇に乗り合わせた中年の女性が親しみやすかったので思いきって話しかけてみた。話しによると彼女は広州市から単身遠路はるばるとお参りにやってきたのだそうである。


曇天をおして普済寺、法雨寺、不肯去観音院、南海観音大仏と専用バスと徒歩で巡った。空は小雨まじりのあいにくの天気であった。


普陀山第一の名刹・普済寺
石碑坊を歩いて入ると別名放池と呼ばれる海印池がある。池には三つ橋がかかり山門に正対した平橋の真中に湖心亭が建っている。普済禅寺と紫の額がかかる山門をくぐると天王殿へつづく。天王殿は四方を四天王に守られた弥勒菩薩(布袋さん)が坐り、背後では韋駄天が立っている。つぎの主殿は通常は大雄宝殿であるがここでは観音霊場らしく円通殿という。円通とは観音菩薩の別号である。全身黄金で耀いた高さ6.5メートルの観音菩薩が坐り東西両壁に32体の観音像が端坐している。主殿の両側に拝殿があり東は弥勒菩薩を配した文殊殿が、西は普賢菩薩を配した普賢殿がある。また主殿の両側の回廊に羅漢堂が設けられ十八体の羅漢さまが並んでいる。(北宋元豊3年(1080年)創建、敷地面積:37,000u、建築面積:11,400u)

普済寺多宝塔
海印池のほとりに元代に建てた多宝塔がある。太湖石で五層に組んだこの多宝塔は普陀山三宝の一つである。塀の瓦屋根が波打っているのは、普陀山の海をあらわしたものなのかどうか想像の域を出ない。

清朝の加護を受けた法雨寺
普陀山第二の寺院である。天王殿、玉仏殿、九龍観音殿、御碑殿、大雄宝殿などの殿堂が建ち並らぶ。玉仏殿はビルマから渡来した釈迦牟尼の玉仏像が坐っている。九龍観音殿は南京の明代故宮九龍殿をまねて建てられたもので、八本の柱には八条の龍が巻きつき首をあげ舞い下り、薄井に古典的な九龍戦珠の彫がほどこされ、盤頂で一条の龍が戯れている。観音殿の中央に光背に龍をほどこした大悲観世音菩薩が安置され左右に十八羅漢が並んでいる。奥の大雄宝殿は三世仏がまつられいる。また、大雄宝殿の東の耳殿は仏教、儒教、道教の三聖人がまつられた三聖殿である。(万歴8年(1580年)創建、敷地面積:33,300u、建築面積:8,800u)

法雨寺玉仏殿
ビルマから渡来した玉仏を安置する寺が多いのが中国寺院の特徴の一つである。わたしの見たところでは上海の玉仏寺の仏様が一番美しいと思うが如何であろうか?

観音伝説のある不肯去観音院(行かずの観音の院)

五代后梁時(916年)日本僧慧鍔は五台山で願い求めた観音像を携えこの地から日本へ向けて出航したが、海が荒れて如何しても舟が進むことができず、やむなく船を潮音洞の下につなぎ紫竹林中に庵を結んで観音像を安置した。これが不肯去観音の伝説であり観音霊場普陀山発祥のもとになっている。(1980年再建)

不肯去観音院
この伝説が観音霊場の始まりであるが、なぜ観音様は日本へ渡ることを拒んだのだろうか。綺麗な観音堂の中央に金色に耀く十一面観音像が安置されているが、そのわけを語ったことはない。
ここで観音様のお守りを買いました。ひとつは豚年のもの、もう一つは虎年のものです。

南海観音大仏
最近建てられた高さ33メートルの巨大な黄金の観音菩薩大仏は観音霊場普陀山のシンボルになっている。

巨大な南海観音大仏
巨大な観音様は灯台のようだ。光り輝き世間の大海原をさまようひとびとを導いているのだ。石窟や建物のなかに納められず大自然のなかで堂々と立ち光り輝くことができるのが観音様なのです。

壮大な寺院にまつられた荘厳な観音様もある。南海観音や高崎観音のように大空にすくっと立ち四方を見渡す巨大な観音様もある。新道が開けて人どおりが途絶えた道端に並ぶ石の観音像もある。観音様の形はさまざまであるが観音様は人々の数ほどにそこここにある。身近におられる仏様それが観音様なのです。私としては壮大な観音さまとしては千手千眼観音が好きです。また最も身近な街道筋に並んでいる石の観音さまも非常に好きです。高崎の観音様もいいですよ。

普陀山おしまい      中華人民共和国へ戻る