2012 春
遠藤治

雑巾で行こう隅々まで如月
つぎつぎと人から春となりにけり
きらきらとふらここの香をまきちらす
佐保姫の髪といふ髪芽吹きをり
菜の花の海を開いて進むべし
朧夜の鼻のかたちを揃へけり
風水や火だるまにして目刺焼く
心臓も白木蓮も錆びゆけり
力さへあればいいんだ春の星
つばくらや詩には斜めの感嘆符
行く春の独学もまたけもの偏

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