様似・戦争の記録第1集−3

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三、幌泉防空監視硝

途中略現在作成中
幌泉防空監視哨の立哨 当番だった小林幹雄さん と大高俊二さんは、浮上 して東から西に高速で進 む潜水艦の先に、手繰り 網漁の漁船数隻が操業し ているのは、潜水艦の接 近以前から見ており、知 っていた。
幌泉の漁船四隻と、様 似の漁船も数隻いたとい う。
これらの漁船について は後述するが、漁船の配 置について慨括すると、 東側に、第五昭宝丸、万 徳丸、艶丸の順で、営業 しており、少し離れて、 幌満の陸(おか)よりに 大英丸がおり、この四隻 が幌泉の漁船。
さらに西側に様似の漁 船が数隻いた。
「曇り空だったが、ガ スはなく、視界はよかっ た」と大高さんはいう。
その日の浦河測候所の 記録と一致する。
まず、潜水艦は、三隻 の幌泉の漁船の内側(陸 寄り)に回る。それから 急に沖の方に転回する。
小林さんは、「砲台に 二人くらい、機関砲を持 った人が一人見えた。」 という。
沖に回った潜水艦が、 三隻の漁船を攻撃した様 子について、小林さんの 証言を聞こう。
「最初の船(第五昭宝 丸)は、一発で二つに折 れた。二隻目(万徳丸) は、船室に大砲が命中し た。何か物が散るような 煙が見えた。この船は時 間がかかって沈んだ。三 隻目(艶丸)が沖に逃げ た。潜水艦が縦に向きを 変えた。『(監視哨が) やられるぞ』といった記 憶がある。実際にやられ たのは、沖に逃げた船だ った。煙が消えたら、船 の姿はなかった」 第五昭宝丸の乗組員の ことはすでにふれた。万 徳丸、艶丸の乗組員の現 場での様子は後述する。
その他の漁船はどうだ ったか。
「上(かみ)、下(し も)へ逃げる船のエンジ ン音ですごかった」とい う。
上へ逃げた船は、様似 の漁船だ。下へ逃げた船 は大英丸だ。
この日、監視哨の非番 だった本間初雄さん(当 時十四才、えりも町本町 在住)は、大英丸を見て いる。
本間さんは、タコ取 りに磯を歩いていて、 雷のような音を聞く。 「梅雨(つゆ)があが ったな」と思ったとい う。
沖を見ると水柱があ がっているのを見て、 本間さんは急いで、監 視哨に走り、手繰りが 砲撃されたのを聞く。
本間さんも眼鏡を覗 き込む。
「なだばせ(灘走せ =海岸沿いの陸近くを 走ること)」する大英 丸を見つけた。
「大英丸は、船首が つき出ていてすぐわか る」という。
この大英丸は、後に 救助船として現地に向 かうことになる。
その後の潜水艦の行 方について、小林さん は「えりも岬の方に向 かい、東洋あたりの沖 で潜った」という。
小林さんは「何かに つかまって泳いでいる 人も何人か見え、警防 団に報告した記憶があ る」という。「あっと いう間のできごとだっ た」と回顧する。

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