毎回、私の競馬に関するうんちくを述べさせていただくこのコーナー。今回は来訪者が増えることを祈って、(^_^) 簡単なご挨拶を。
重賞の予想のほうは、毎週載せたいと考えています。しかし週に4つもあると、中味の薄い予想が出て来るとかもしれませんので、その点はご了承下さい。
私の予想のスタンスは「1に血統、2に調子、3に展開」というところです。といっても血統が予想で有効なのはある程度、馬が完成された状態で出走する重賞などの大きなレースだと思ってます。今年で競馬歴も7年目に突入でが、その間に予想のスタンスも変わっていきました。最初に手を出したのは時計理論で、石川ワタルの時計理論や西田式スピード指数などの本を読みまくりました。ただ時計理論の根底にある馬場差をなくす走破タイムの能力評価は個人の力では難しいとの判断から、とりあえず離れました。次はデータですが、所詮「データは破られるためにある」ものですから、深入りはできませんでした。それで最後に行き着いたのが血統でした。
血統に関しては、最初はオタクっぽくて否定していたのですが、勝つにしろ負けるにしろ、予想の中により自分が納得できる要素が欲しくなってきたというのが、血統に関心を持ち始めた動機でした。競馬における勝ち負けの結果はギャンブル性が強いものであり、その意味で競馬はギャンブルと言えると思います。しかし勝馬を予想するという行為において説得力の高い要素がないと、大事なお金をつぎこめないような気がしてます。(^_^) そのために説得力の高い、ある程度の科学的要素を加味して予想をしたいというのが私の考えです。それが血統ということになるのですが。
血統へ関心を持ち始めてからは、まだ1年と数ヵ月ですし、お気付きの方もいらっしゃるとは思いますが、分析の基になっているのは久米裕のI理論に拠っている部分が大きいです。ただ時間をみつけては、自分で血統表を作り、自分の判断を大事にしてます。血統という要素を前にして、最終的な判断を下すのはあくまで自分ですし、血統の良い馬がいつも勝つとは限りませんので、血統だけにこだわらずにバランスを保つようにしたいということは、常に心がけているつもりです。
いつもできるとは限りませんが、週2回の更新を目指していますので、よろしくお付き合いください。週1回になることもあれば、1日おきの時もあると思います。(02.03.97)
第50回日本ダービー(29.05.83) 3回東京4日
晴・良/芝2400m・定量/21頭
1着 ミスターシービー 牡4 57 吉永正 2.29.5
2着 メジロモンスニー 牡4 57 清水英 1馬身3/4
3着 ビンゴカンタ 牡4 57 岡 部 1/2
私の記憶が確かならば(^_^)、おそらく私の人生において初めて競馬というものを認識したのが、このレースであったように思う。私の郷里では、当時、民放が2局しかなく、フジテレビ系もテレビ東京系も映らなかった。当然このレースもNHkで観た。とにかく競馬に触れる機会がないに等しく、まして当時の私は12歳・中学1年生である。
では、なぜこのレースを私が観たかというと、親が騒いでいたからである。その頃はちょうどミスターシービーの主戦・吉永正人の妻・吉永みち子さんが作家として注目されはじめた時期だった。しかもシービーは父トウショウボーイ、母シービークインという共に新馬戦を走った馬同士の夢の配合で、しかも父トウショウボーイはダービーではクライムカイザーの奇襲に屈しており、父の無念をという感じで、いかにも話題になりやすい馬だった。
レースでは、シービーはいつも通り、ダービーポジションを無視した後方の位置どり。3コーナーあたりから進出し、4コーナーで先行集団にとりつき、直線、一気に交わして突き放すという鮮やかな勝ち方。
この時、4コーナーでキクノフラッシュを突き飛ばしたことが物議をかもした。(もちろん当時の私には知る由もないが)そのため馬は降着にはならなかったものの、騎手には騎乗停止という訳の解らない処分が下った。
ビデオ等でこの4コーナーの出来事を観ようとしても、フジテレビ系の映像ではカメラの切り替えで、全く映っていない。ただラジオたんば系の映像では、はっきり映っている。要は4コーナーを回るときにキクノフラッシュの4〜5頭内にいた馬がコーナーリングで、外に膨らみ、キクノフラッシュとその内の馬との間がせまくなり、そこを加速全開のシービーが突っ込んでいったため、キクノフラッシュを弾き飛ばすことになってしまったということのようだ。
吉永正人が後に言っているのは、シービーにエンジンがかかっているあの状態で、手綱を引くと自分が危険だったということ。結果、キクノフラッシュを突き飛ばしたが、狭いところに突っ込んだ吉永正人の判断は騎手として正しかったと思う。
今考えると、キクノフラッシュら他の馬の脚色を考えても、あまり大騒ぎすることではなかったように思う。もっとも私はシービー派だが。
とにかく当時、何も知らない中学生にとっては、この最後方待機という派手な戦法に魅了されたわけだが、私の競馬へのとっかかりを作ってくれたことは間違いない。今でもペーパーオーナーなどでは、真っ先にシービー産駒をチェックしているし、現時点でのシービー産駒の最高傑作ヤマニングローバルには過剰な期待から、何度、馬券を紙クズにしたか判らない。もちろん4年前、北海道に行った時もシービーには会ってきた。私にとってこの馬ぬきに競馬を考えることができない馬である。(29.05.1997)
第54回オークス(22.05.94) 3回東京2日
晴・良/芝2400m・定量/18頭
1着 チョウカイキャロル 牝4 55 小島貞 450 2.27.5
2着 ゴールデンジャック 牝4 55 四 位 444 3/4馬身
3着 アグネスパレード 牝4 55 河 内 466 ハナ
このレースは府中で直に観た。この年は、翌週のダービーの指定席抽選が当たって、その引き替えに競馬場に行かねばならなかったので、オークスの日に競馬場に足を運ぶことになった。
どうせならレディース・デーということで、女友達を競馬場に連れていった。彼女は岐阜の出身で、このレースの1番人気が岐阜・笠松出身のオグリローマンだったから、競馬を全く知らない人ではあったが、とにかく連れて行った。
彼女は、その4カ月後、不慮の事故で世を去ってしまったが、それだけに余計に私にとっては思い出深いレースになった。
レースの方は別路線から来たチョウカイキャロルが完勝し、戸山厩舎解散以来、半ば干されたようになっていた小島貞にとってはミホノブルボン以来のG1制覇で、観る側としても、思わず胸があつくなるレースであった。
しかしその後、チョウカイキャロルは1年近く未勝利が続く。このオークス以来の復活を遂げたのは、翌年の春の中京記念。その数分前に京都では岐阜・笠松のライデンリーダーが桜花賞TRで度肝を抜くレースを見せていた。それだけに自分としてはチョウカイキャロルが勝った瞬間、チョウカイキャロル〜岐阜・笠松というように、この世にはいない彼女と因縁めいたものを感じてしまった。
それ以来、ライデンリーダーが中央で走る度に突っ込んで、痛い思いをしました。(^_^)
第105回天皇賞(26.04.92) 3回京都2日
晴・良/芝3200m・定量/14頭
1着 メジロマックイーン 牡6 58 武 490 3.20.0
2着 カミノクレッセ 牡6 58 田島信 498 2馬身1/2
3着 イブキマイカグラ 牡5 58 南 井 444 5馬身
ステイヤー日本一を決めるこのレースはG1の中でも、毎年、特に楽しみにしているレースです。個人的には、よりスタミナ要求度の高い阪神開催の方がベターな気はしてます。
この年の天皇賞は、大阪杯で鮮やかな復活を見せた前年の2冠馬トウカイテイオーと前年の天皇賞馬メジロマックイーンとの2強対決で、例年にない盛り上がりをみせてました。
確か2頭の馬連のオッズが2倍を切るほどの1本かぶりで、私は「見るレース」を決め込んで、馬券で勝負はしませんでした。
この時の盛り上がりは、今考えると異様な感じすらします。それは前走の阪神大賞典でみせたメジロマックイーンの長距離での圧倒的な強さを認めつつも、どこかで、トウカイテイオーへの期待があったからだと思います。88年以降のオグリブームで競馬を始めた世代にとって、トウカイテイオーは初めて見る無敗の2冠馬。しかも幻の3冠馬の呼び声高い名馬でした。ビデオでしか知らない父シンボリルドルフの皇帝伝説の継承をトウカイテイオーに過剰に期待していた節があったと思います。期待という点ではルドルフを知る世代も同等だったと思いますが。
レースの方は、メジロパーマーの逃げで始まり、よぞみのない流れ。それをメジロマックイーンが先行し、岡部のトウカイテイオーはマックイーンをマークする形で中団やや後ろ。この時の京都競馬場はところどころ芝がはげている状態で、その中を馬力にものをいわせる形でマックイーンは楽に追走。2周目の3〜4コーナーでマックイーンがスパートを開始すると、トウカイテイオーも仕掛けるが、馬体を合わせるまでもなく、直線ずるずる失速。かくしてマックイーンは史上初の2連覇を達成しました。
直線テイオーが失速していくシーンは、皇帝の再来を期待していた当時のミーハーな自分にとっては非常にショックではありましたが、今考えれば、何のことはないステイヤーがステイヤーらしいレースをしただけだったと思います。
よどみのない流れを先行し、追走する後続馬になし崩しに脚を使わせ、直線突き放す。今年の天皇賞もステイヤーがステイヤーらしい競馬をして勝つレースを見たいと思ってます。くれぐれも昨年の菊花賞のようなスローで直線ヨ〜イドン!という競輪みたいなレース(^_^)にならないことを切に願います。
第53回皐月賞(18.04.93) 3回中山8日
晴・良/芝2000m・定量/18頭
1着 ナリタタイシン 牡4 57 武 492 2.00.2
2着 ビワハヤヒデ 牡4 57 岡 部 480 クビ
3着 シクレノンシェリフ 牡4 57 松永幹 430 アタマ+1馬身1/4
このレースの何がすごいかというと、武豊の凄さを改めて感じたレースでした。ビデオなどでもう一度見直すことが必見のレースでしょう。
この年はウイニングチケットがホープフルS、弥生賞を勝ち、クラシックの断然の主役として人気を集めてました。中山2000mを3回走って、3回とも勝っていて、どうみてもこの馬だろうというのが下馬評でした。これに対するのが岡部騎乗で万全の態勢を整えたビワハヤヒデという2強対決の図式でした。
ナリタタイシンはラジオたんば杯3歳Sの重賞タイトルを持っていたが、前走の弥生賞でウイニングチケットの2着で、勝負づけは済んだとの見方が体勢を占めていました。ナリタタイシンはとにかく折り合いをつけるのが難しい馬で、武豊もそれにはそうとう苦労していたようで、持ち味を生かすために後方一気の脚質に4歳春に完全に転換しました。そしてさらに折り合いをつけるのにこの皐月賞で、武豊が持ち出してきたのがゴム手綱でした。勝つために徹底的に武器である道具を追及する武豊のプロとしての意識に、非常に驚愕しました。その結果、ナリタタイシンは皐月賞の最後の直線で他馬に弾かれるアクシデントをものともせず、まさに矢のように伸びてきて、鮮やかすぎる追い込みを決めました。
さらにレース後、さらに驚くべきことがありました。表彰式に向かう武豊の勝負服がレース時のものと違うのです。レース時には空気抵抗を少なくするためのエアロを着ていたのに、表彰式では普通のダボダボの勝負服を着ていました。普通の勝負服はダボダボですが、見てくれはいいですから。
プロは勝って何ぼ。勝負は勝たねばならない。勝つためには必要なものにこだわるべきである。そしてプロは同時に華やかな存在で、魅せなければならない。大衆からの視線を常に気にする必要がある。
ゴム手綱の使用と2つの勝負服を1レースで使いわける武豊の姿勢にプロの何たるかを感じさせられたような思いがしました。
武豊の凄さとは対照的にこのレースは、某局の競馬中継への姿勢に失望を感じたレースでもありました。直線ではカメラは断然人気のウイニングチケットだけを追い。馬群にもがくウイニングチケットのアップの映像が直線ずっと続き、レース中のガレオンの斜行などほとんど解らず、ナリタタイシンも最後に差し切るところだけでした。競馬のレース中継には記録映像として、ある種、客観性が求められると思っています。日曜に全国中継を行う某局のレース映像は、レースをドラマのように仕立てようとする「テレビ屋」の意図がミエミエのような気がして、興ざめです。国営放送が中継をするレースでは、必ずそちらを見るようにしています。某局の中継批判については、またの機会にゆっくりしたいと思います。(07.04.97)
第37回産経大阪杯(04.04.93)2回阪神4日
雨・良/芝2000m・別定/16頭
1着 メジロマックイーン 牡7 59 武 504 2.03.3
2着 ナイスネイチャ 牡6 58 松永昌 496 5馬身
3着 ラッキーゲラン 牡8 58 内田浩 466 1馬身1/2
メジロマックイーンの単勝が240円も(?)ついたこのレース。マックイーンにとっては初の骨折休養明け。しかもトウカイテイオーを下した前年の春の天皇賞以来のほぼ1年ぶりの実戦、プラス14Kgの馬体増と人気が下がる条件が重なり合う中での圧勝劇。しかもレコードのおまけつきだけに、この馬の偉大さを改めて感じさせられるレースでした。
レースの方は、僚馬ラッキーゲランが先手を取り、2番手をマックイーンが追走。4コーナーで先頭に立つとマックイーンがそのまま押し切って5馬身の圧勝でした。直線、他馬をつきはなすところなどは、鳥肌が立つ思いで見てました。
90年代最強馬を挙げろと言われたら、誰もがナリタブライアンと答えるでしょうが、私は正直、メジロマックイーンとで迷ってしまいます。本格化した4歳秋以降の敗戦はすべて理由づけできるものであり、18着降着になった秋の天皇賞以外は掲示板を外したことがないというのは、7歳まで走ったことを考えると、それだけで賞賛に値すると思います。またメジロマックイーンの場合、メジロ牧場のホームブレッド馬であることにおいても価値があると思います。競馬にロマンがあるとするならば、3代天皇賞制覇のこの馬こそ、日本競馬史上最大のロマンの体現者ではないでしょうか。
この後、春の天皇賞ではライスシャワーに負けてしまうわけですが、この敗戦はマックイーンの戦績を汚すものではなかったと思います。ライスシャワーが生涯最高の仕上げで臨んできたということだけでしょう。ライスシャワーも名ステイヤーではありますが、マックイーンとの力関係で言えば 10回やれば、1〜2回はライスが勝かもしれないという程度のものだったと思います。その1回があのレースだっただけだと思います。ライスシャワーは、ギリギリの仕上げだったため、その後の春シーズンを休養を余儀なくされ、復帰後も長いスランプに入っていくことになりました。それがマックイーンに勝つための代償だったと私は思います。
メジロマックイーンは次の宝塚記念を勝ち、秋に京都大賞典を勝って、悲願の秋の天皇賞を前に脚部不安で引退を余儀なくされました。引退レースとなった京都大賞典もレコード圧勝で、この馬のすごさを見せつけたレースでした。今年の夏にはいよいよマックイーン産駒がデビューします。(24.03.07)
第39回毎日杯(29.03.94) 2回阪神2日
小雨・稍重/芝2000m・別定/12頭
1着 ヒシマサル 牡4 56 田島信 492 2.06.6
2着 ホクセツギンガ 牡4 55 藤田 480 1馬身1/2
3着 ファンタジースズカ 牝4 53 南井 430 クビ
毎日杯は、クラシックの東上最終便でもありますが、クラシックに出れない外国産馬にとっては、別路線で賞金を稼いでおくレースで、昨年はタイキフォーチュンが勝ちました。
この年の春は、この別路線の主役をつとめたのが、外国産馬のヒシマサルでした。
ヒシマサルは父がアメリカ三冠馬セクレタリアトで、デビュー当時から、「良血」と巷で騒がれていました。ヒシマサルというのは、実は2代目で、先代は2〜30年前(詳しい年代は忘れた)に短距離で活躍した馬で、寺山修司の著作の中でも取り上げられています。普通、同じ名前というのは、規定があってなかなか使えないし、使わないものですが、逆にそれだけ馬主の期待も大きかったということでしょう。
ちなみに日本3頭目の3冠馬ミスターシービーも2代目なんですよね。
このレースもヒシマサルの独壇場できさらぎ賞に続き重賞2連勝を飾りました。着差は1馬身ちょっとでしたが、追い込むレースが何とも派手で、まだビギナーの域を脱していなかった当時の私は、このレースを観て、この馬こそ4歳最強だと信じ込んでしまいました。その妄想は暮れの有馬まで続くわけですが。しかし、この馬を「幻の3冠馬」と言う人も結構いました。
しかし快進撃もここまでで、NZT4歳Sではシンコウラブリィに破れ(2着)たのを皮切りに、秋初戦の京都大賞典でも2着、ドンカスターSでも2着と、ナイスネイチャも真っ青の「イマイチ君」ぶりで、私の買った単勝馬券をことごとく紙屑にしてくれました。ジャパンCではトウカイテイオーの5着と健闘し、今度こそと思ってしこたま流した有馬では、出遅れたトウカイテイオーをマークで、動くに動けず惨敗(着順は忘れるほど、ひどかった)。これでやっと私も目が覚めました。(^_^)
でも強かったと思いますよ。負けたレースも追い込み馬ゆえの取りこぼしと考えられなくもないものでした。この世代の最強牝馬シンコウラブリィにはマイル戦で負けてしまいましたが、この時、テン乗りの剛腕・郷原(現調教師)の手に合ってないような気がしました。それに、なんといっても、この世代の最強馬ミホノブルボンとは同じレースで走ったことがないというのが最大のネックで、本当の実力は判断しかねる部分が多いですね。(22.03.97)