橋のいろ

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風景の一部としての橋を楽しむための基礎知識を紹介します。
なので、学術的なことは、他の専門的な説明が載っているところをご覧ください。


橋台(きょうだい)(橋の両端の土台)や橋脚(きょうきゃく)にある支点間の長さを支間長(しかんちょう)といい、似た言葉で橋台前面や橋脚の中心点間の長さを径間長(けいかんちょう)といいます。
複数の支間で長さが異なる場合、最大のものを最大支間長として橋の大きさを表す指標のひとつになっています。
長い支間長を実現するためや、地形や地質に合わせて
いろいろな構造形式が考案され、
景観にも配慮されたデザインが考えられて風景にいろどりをもたらしています。


桁橋(けたばし)

(けた)橋脚(きょうきゃく)などの下部構造に載せた橋です。

JR山陰本線 (旧)余部橋梁(あまるべきょうりょう) トレッスル(きょう) 兵庫県


最大支間長18.28m、全長310.6m、高さ41.45m、1912年(明治45年)完成です。
橋脚がやぐら状になっているのがトレッスル橋です。

一部が保存され、あたらしい橋に架け替えられています。

角島大橋(つのしまおおはし) 山口県

最大支間長102m、全長1780m、2000年(平成12年)開通です。
景観に配慮して途中の島(鳩島)を迂回しているそうです。


岩間沈下橋(いわまちんかばし) 高知県

全長120m、1966年(昭和41年)建設です。
増水時には水に沈みます。流木がひっかからないように欄干(らんかん)がありません。


JR大糸線 第三下姫川橋梁(だいさんしもひめかわきょうりょう) 新潟県

橋長224.8m、1935年(昭和10年)完成です。

秩父鉄道(ちちぶてつどう) 荒川橋梁(あらかわきょうりょう) 埼玉県

最大支間長18.99m、橋長153m、1914年(大正3年)完成です。

JR高山本線 第六益田川橋梁(だいろくましたがわきょうりょう) 岐阜県

最大支間長22.3m、橋長193.35m、1931年(昭和6年)完成です。
益田川(ましたがわ)は、下呂(げろ)付近での飛騨川(ひだがわ)の呼び名だそうです。


東京メトロ 丸ノ内線 神田川橋梁(かんだがわきょうりょう)  箱桁 東京都

スパン長36mです。
丸ノ内線は開削工法(かいさくこうほう)で地下の浅いところを通っているため、神田川を橋で渡っています。
1956年(昭和31年)に橋が造られた時は御茶の水橋とよばれていたようです。



トラス(きょう)

三角形を組み合わせた構造です。

JR東北本線 新河岸川橋梁(しんかしがわきょうりょう) ワーレントラス 東京都

最大支間長47.092m、橋長87m、1927年(昭和2年)完成です。
ワーレントラスは斜め材の向きが交互になっています。

/\/\/\ のような感じで、垂直材がある場合とない場合があります。

京浜急行 八ツ山跨線線路橋(やつやまこせんせんろきょう) ワーレントラス 東京都

最大支間長48m、橋長48m、1933年(昭和8年)完成です。
踏切をなくすため、新しい橋に架け替え工事中です。


JR川越(かわごえ)線 荒川橋梁(あらかわきょうりょう) 曲弦ワーレントラス 埼玉県

最大支間長77.5m、橋長791.22m、1940年(昭和15年)完成です。
上部が曲がっているので、曲弦ワーレントラスと呼ばれます。


東武鬼怒川線(とうぶきぬがわせん) 砥川橋梁(とがわきょうりょう) プラットトラス 栃木県

最大支間長62.738m、1896年(明治29年)完成です。
橋の中央から斜め材が逆ハの字に配置されているものがプラットトラスです。
/\│\│\│/│/│/\ のような感じです。
逆に /│/│/│\│\│\ がハウトラスです。

JR磐越西(ばんえつさい)線 一ノ戸川橋梁(いちのとがわきょうりょう) バルチモアトラス 福島県

最大支間長62.408m、橋長444.627m、1910年(明治43年)完成です。
斜め材の中央から垂直材が伸びているのがバルチモアトラスです。


南河内橋(みなみかわちばし) レンチキュラートラスまたはレンズトラス 福岡県

最大支間長66m、橋長133m、1927年(昭和2年)完成です。
レンズの形をしており、この形式が日本で現存しているのはここだけです。


港大橋 ゲルバートラスまたはカンチレバートラス 大阪府

中央径間510m、全長980m、1974年(昭和49年)完成です。
両側の橋脚から片支持の(はり)を伸ばした構造をカンチレバー橋というそうです。
ゲルバーは考案した人の名前だそうです。



アーチ(きょう)

重力方向の荷重をアーチの円弧方向に変えて支えます。

通潤橋(つうじゅんきょう) 水路橋 熊本県

最大支間長28m、全長79.6m、高さ21.3m、1854年(嘉永7年)完成です。
通潤橋はU字状水路の底部になっていて、砂利などが()まることがあり、それを排出するために、放水がおこなわれます。

霊台橋(れいだいきょう) 熊本県

最大支間長28.3m、全長90m、高さ16.32m、1847年(弘化4年)完成です。
れいたいきょう とにごらないで呼ばれることもあります。
奥の橋は新霊台橋(しんれいだいきょう)です。

耶馬渓橋(やばけいばし) 大分県

最大支間長12.8m、橋長116m、1923年(大正12年)完成です。
意外と新しいです。

水路閣(すいろかく) 京都府

全長93.2m、高さ9m、1888年(明治21年)完成です。
琵琶湖(びわこ)の水を京都に引いた琵琶湖疏水(びわこそすい)の一部で、南禅寺の境内にあり、ドラマに出ることがあります。


JR青梅(おうめ)線 大丹波川橋梁 東京都

この写真はモノクロをカラー化しています。

荒川水管橋(あらかわすいかんきょう) 埼玉県

最大支間長104.132m、全長1100.95m、1984年(昭和59年)完成です。

松島橋(まつしまばし)天草五橋(あまくさごきょう) 5号橋) パイプアーチ 熊本県

最大支間長126m、橋長177.7m、1966年(昭和41年)完成です。
アーチに鋼管が使われているのでパイプアーチと呼ばれます。
すぐ奥に見えているのは、4号橋の
前島橋(まえじまばし)(PCラーメン(きょう))です。
PCはプレストレスト コンクリート、ラーメン橋は桁と橋脚を一体化した構造の橋です。

西海橋(さいかいばし) ブレースドリブ固定アーチ 長崎県

最大支間長243.7m、橋長316m、1955年(昭和30年)完成です。
ブレースドリブというのは、アーチリブ(円弧部分)が二重で間がトラスになっている橋で、
固定アーチというのは、アーチリブと地盤の接続部がヒンジ構造になっていない橋です。

五色桜大橋(ごしきざくらおおはし) ニールセンローゼアーチ 東京都

支間長142m、全長146m、2002年(平成14年)開通です。
アーチと桁が同程度の部材厚になっているのをローゼ橋、
さらにケーブルが斜めに張ってあるのがニールセンローゼです。


JR総武線 隅田川橋梁(すみだがわきょうりょう) ランガー桁橋 東京都

最大支間長96m、橋長172m、1932年(昭和7年)完成です。
桁が主で、アーチが補助的な役割をしているのがランガー桁橋で、アーチ部分が細くなっています。



()(ばし)

主塔から横に張ったメインケーブルから、垂直にハンガーロープを垂らして、桁を()っている橋です。

明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし) 兵庫県

中央支間長1991m、全長3911m、塔高298m(海面上)、1998年(平成10年)完成です。

清洲橋(きよすばし) 東京都

最大支間長91.438m、橋長186.73m、1928年(昭和3年)完成です。
メインケーブルの代わりに鋼板、ハンガーロープの代わりに棒状のものが使われ、チェーンケーブル式というそうです。
吊り橋の多くは、橋の両端にメインケーブルをつなぎとめる重石となるアンカレイジを必要とする他碇式(たていしき)ですが、
清洲橋はアンカレイジがない自碇式(じていしき)となっています。



斜張橋(しゃちょうきょう)

主塔から斜めに張ったケーブルで桁を()っている橋です。

多々羅大橋(たたらおおはし) 広島県・愛媛県

中央支間長890m、橋長1480m、塔高226m、1998年(平成10年)完成です。

岩黒島橋(いわくろじまばし) トラス斜張橋 香川県

中央支間長420m、橋長790m、1988年(昭和63年)完成です。
瀬戸大橋は岡山県倉敷市と香川県坂出(さかいで)市を結ぶルートにかかる6つの長大橋とこれらをつなぐ4つの高架橋の総称(橋梁部合計9368m)で、
個々の橋にそれぞれ名前がついていて、
岩黒島橋はそのうちの一つです。
主塔が4つ並んでいますが、左(四国側)の2つが岩黒島橋で、右(本州側)の2つは櫃石島橋(ひついしじまばし)です。
2つの橋は形式と大きさが同じ双子の橋です。


エクストラドーズド(きょう)

PC橋ではコンクリートの桁の長さ方向にケーブルで引っ張って圧縮力で強度を増すところを、
ケーブルを外に斜めに出した構造になっています。なので斜張橋よりケーブルが水平に近くなっています。
日本で開発された構造形式です。

不動大橋 鋼・コンクリート複合トラス・エクストラドーズド橋 群馬県

最大支間長155m、全長590m、橋面までの高さ86m、2011年(平成23年)開通です。
現在は八ッ場(やんば)ダムのダム湖上に架かっています。


可動橋(かどうきょう)

末広橋梁 跳開式(ちょうかいしき) 三重県

跳開部桁長17.6m、橋長57.98m、1931年(昭和6年)完成です
貨物列車の通過時に桁が降ろされます。

出典

いろいろなところを参考にしています。
橋長とは橋の構造部分の長さ、全長とは建造物全体の長さで、吊り橋の場合はアンカレイジを含んだ長さが全長となる。(現代日本を創ったビッグプロジェクト 昭文社より)
橋の長さの表現が混在していますが、参考にしたところに従っております。

橋のいろ とは

橋のいろいろ とか、橋のいろは のようにできればよかったのですが、そのようなレベルには到底届かないので橋のいろ になっております。