*2009年ヴァーチャル吟行Special*結果発表!

■ 丸山進 氏 選評 ■

題:

イメージ吟


 文字を裏から透かして見ると左右逆に見える。「愛」を透かした文字が今回の印象吟の題である。文字が「愛」であることが容易に分かる。それ故に、投稿者は普段よく目にする物や動物の写真、あるいは抽象物などを題にした印象吟に比べ、戸惑いがあったかもしれない。
 応募作品は、純心な「愛」というより、反転している「愛」に引き摺られたと思われる、どこか歪んだ「愛」の形を詠んだ句が、想定通り多数あった。反転と言っても左右だけであるから、鏡に映った事柄を詠んだ句も多かった。同様に印鑑の文字に喩えたものもあった。また反転故に文字を一つの模様と眺め、文字の点の特徴を雫のように見た人が何人かいたのは不思議発見だった。大河ドラマ「天地人」の「愛」の旗や、鳩山政権の「友愛」に因んだ句もあった。
 選句の心構えとして、「愛」の反転を作者の個性が見える形に発想を膨らませたり、ドラマ化して「おおっ」という感動を与えてくれた句を入選とした。全体の句を読み返す度に、「愛」の形や価値観というものは、いろいろあり選別には苦慮した。
 一般的な課題吟の選をした時の心地よい刺激というよりは、多様な「愛」の氾濫に悶絶させられた、というのが当たっているかもしれない。これは歪んだ「愛」で、投稿者を苦しめた天罰と反省をしながら真摯に選を行った。
 いずれにしろ皆さまの刺激的な多くの個性、感性に溢れた佳句に触れることができ幸いであった。これからもネットを通じて、気軽に皆さんが参加できる「ヴァーチャル吟行」のような楽しい場が増えることを期待したい。
 最後に今回参加していただき、場を盛り上げて下さった、多くの皆さまに御礼申し上げます。そして楽しい「ヴァーチャル吟行」を企画運営して下さったホームページ「COCON」の店主、高橋繭子さんのご尽力に感謝致します。

「裏返せ」日本お好み焼き協会
 歪んだ愛の氾濫の中で、この発想の跳び具合は、あっぱれというしかない。
「日本お好み焼き協会」というのが、本当にあるのかどうか知らないが、この際、それは問題ではない。あると思わせるのが上手い。そして、お好み焼きを熱烈に愛する人たちがいて、阪神タイガースファンが「六甲おろし」の大合唱をするように、毎回「裏返せ」を合唱する姿は頼もしい限りである。

いけないといわれいけないことをする
 今回の「題」を一番端的に表しており、思わず「ピンポーン」と言いそうになった。ワンフレーズの直球の威力が心地よい。野球で言えば快速球で三振を取ったようなもの。強いて難点を言えば決まり過ぎていて余韻がないということだが、それは直球の宿命である。

後ろから妹の矢に狙われる
 愛の世界となれば仲のよい姉妹といえどもライバルである。日頃から手の内を知り尽くしているので拗れると手に負えなくなる。「妹の矢」という意外性に魅かれた。
涙目の似合う結露の夜汽車かな
 この句を読みながら八代亜紀の「愛の終着駅」という歌を思い出した。その中に次のようなフレーズがある。
 ♪〜文字の乱れは 線路のきしみ
   愛の迷いじゃ ないですか〜♪
 結露で曇った車窓を指で拭えば、追いかける愛に疲れた私が映る。未練でも意地でもいい、結末を求めてどこまでも走るしかない。しっとりとした言葉の組み合わせから、切ない愛の形が伝わってくる。

二枚目へページめくればもう他人
 美人やイケメンに熱中していても、新しいスターが出てくれば、すぐ気が変わって次に乗り移る。そんな浮気な人たちを「ページめくれば」で上手く表している。それにしても押しやった背中が、まだ見えているのに「もう他人」とは薄情が過ぎないか。熱しやすく冷めやすい巷や、マスコミへの痛烈なジャブでもある。

置手紙ごきげんようと書いてみる
 置手紙は大体、簡潔に悪態を吐くか、事務的に連絡事項を個条書きにするのが定番だと思う。「ごきげんよう」と書いて置く二人の関係はどうなっているのか不可思議である。でも愛の関係というのは、百人百態ある。傍からは歪んだように見えるが、本人たちは極自然な意思表示なのかもしれない。相手への思いが、あっけらかんと出ており、明日へのほんのりとした希望を感じさせる。

丸山氏のブログ あほうどり→http://blog.livedoor.jp/ssm51/

    


結果一覧

リーフレット「川柳 大作戦」外面(PDFファイル)
リーフレット「川柳 大作戦」中面(PDFファイル)

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