Kurzweil PC4


PC88購入から24年、K2000購入から実に27年ぶりの新品Kurzweil synthを2019/11endに購入。 購入してからだいぶたったので中身を開けてみました。 netにPC4の中身の画像があったなら開ける必要もなかったのですが残念ながら無いので決心して実行。

予想としてはnetにあったSP6のmain boardがシンプルだったのでPC4も同様にシンプルであろうと思っていましたが予想以上にシンプル。 パネル側のフレームを開けるには本体裏のタップねじを30個ほどはずさなければなりません。 これはかなりたいへんです。


内部全体

昔のK2000などと比べるととてもシンプルな内部。mainのsound boardは LCD付近にある小さな基板のみ。 これならRACK versionも容易にできそうであるが今はRACKははやらいようなので実現する可能性は?。 鍵盤は予想どおりMedeli のK6 action。 76Keyには対応できそうなレイアウトではあるが.....。

PC3の基板から見ればこの小型化は正当な流れではあるが、K2000やK2600からすると確かに30年間の流れを感じる内部構成。 電源がACアダプターと言うこともありさらにPC3よりシンプルである。

筐体のプラスチックはK2000に比べてかなりやわな感じを受ける。 まるで安価なポータサウンド等のKBDのようでというか61鍵程度のものならともかくその意味ではポーターよりも強度不足。SW類のチャチさとあいまってどうにかならないものか。筐体に関しては従来のKURZWEILのイメージはないのが残念。どう見てもAmericanなデザインではないしFORTEやPC3の系列ではなく、しいて言うならばPC3LEの概観デザインセンスか。従来であればKME61などのLowcost機種でさえしっかりしたSW類は使っていたのにこの導電ゴムのSWはひどい、これは SP6からの流れではあるが。  ちなみにmade in china。



Audio board、 soundboardとpanel board

soundboardの直上にはLCD unitがfilm cableでつながれている。

パネルフレームはKBD側のフレームとヒンジ等ではつながっていず、KBD側のフレームとはめ込みだけでつながっている、さらにパネルフレームのプラスチックはとても軟で薄いので強度、メンテナンス性はよくはないように思うがそれ以前に今日日のsynthはもはや個人ではメンテできないだろうとは思う。

KBD側の筐体も薄いが一応ハニカム構造のパターンがあるがやはり強度的には不安が残るし、事実本体を持って移動させる際にぎしぎしという音がする。 実際88KEY typeとしては強度不足だが61Keyなら許せる範囲か。



Main Sound Board

たったこれだけの基板で256voice 32FX unitをまかなう、MARAベースのPC3等の基板に比べてもさらにシンプル。 左に見えるのがARM系のCPUとOS用のFlash。

右に見える放熱フィンがついたChipがLENAだと思われる。 さすがに1chipで256Voice対応にもなると放熱板が必要なくらい熱がでるのだろうがFANが付くまでにいたっていないのは助かる。 一見ちょっと昔のPCのVIDEO cardを連想させるたたずまい。LENAの上の方にPCM用のFLASH memory が見える。 LENAの下の方にはLCD用のフィルムケーブルがテープで固定されている。これだと sound boardを外すだけでも一苦労だろう。

この部分だけ取り出すというかこの配置、構成で3Uサイズで奥行き最小ののRACK moduleができそうである。 鍵盤無しのmoduleはでないものか。 やろうと思えば displayを簡略化すればPC2Rと同等のサイズで実現できるでしょう。これにPC EDITORを使えばと夢想してしまいますが開発の手間を考えればK2000Rのような3Uサイズにすれば共通OSで共通のPANEL I/Fも可能なのではと思います。

と書きつつ、PC3のsound boardでも十分rack moduleは実現可能なサイズだか発売されなかったことを考えればPC4においても同様に可能性はまず無いのだろう。 PC3のsound engine boardはnetで”KURZWEIL PC3 PCB”とさがせば見つかります。 改めてPC3のSound Boardを見るとAudio outのOP AMPとリレーまわりを含めて1 boardに収まっているのがわかりますがMARAが2個搭載されて128voiceだということを考慮すると256VoiceのPC4の方がやはりコンパクトか。


PC3 Engine Board(net画像から)

前の方でも書きましたが LENAはMARAに対して6倍の能力があるとか.....単純に言ってもvoice数で4倍 EFFECT unitの数でも2倍はあります。

FX unitは32ということでもしやFORTE SEがLENA chipを使った初のsynthではと思いnetで情報を探してみると韓国の記事にForete SEが初のLENA chip採用機種だと書かれていました。 FORTE SEは2015年末発売で128 Voice 32FX unitです。 これに対してFORTEは2015年の前半発売でchipはMARAで128Voice 32FX unit、SP6が2017年末発売でchipはLENAで128Voice 32FXunitとなっていて100% compatibility with Forte SE programsだそうです。

LENA Chip


LENA chip付近

LENA chipを使ったSP6が128voiceだったのでてっきりPC4ではLENAが2っ使われているかとおもいきや1個のみでした。 と言うことは LENA 1個で256voiceの能力がありSP6はラインナップ上128Voiceに落として使っているのかはたまたLENAにはいくつかのversionがあるのか?。

MARAまではVoice数が倍(128voice)になっている機種はMARの2個使いで(64Voice*2)あったがLENAでは違うようである。LENA chipは128GbyteまでのPCM dataを扱えるという仕様。

soundbordにはLENA、CPU(Dual core ContexA7)、RAM、 FLASH ROMのほかにDACとADCが搭載されている。

ADC: AKM5386VT(24bit ADC)
DAC: AK4454(32bit DAC)
FLash:TH58NVG4S0(16Gbit) *2 (PCM data).... 4Gbyte
DDR2 SDRAM: H5PS5162KFR (512Mb) *2



CPU付近

Micro SD cardのslotが見えるが.....なにに使うのでしょうか?。

CPU: MCIMX7D5EVM10SD
DDR3:K4B2G164GF8 (2Gb) *2
PMIC: MC32PF3000A1
OSFLASH: ?



Analog 基板

OP AMPはLowcost機種らしく?4580が使われている。
AUDIO OUTは差動出力。
左に見える4っの黒いパーツはAudio outのリレー。
真ん中の4色のより線はAD/INからのケーブル。シールドでないのがめずらしい?
左上の10本線のコネクタはSound Engine BardからのAUDIO OUTか。



KBD Unit

Medeli のK6 action。
pressureセンサーが右端に見える。 当方のPC4だけの反応かどうかはわからないがKey pressureの感度は大変にぶい。
下の部分が側板なのだがこれもたいへん薄い。



ちなみにPC4の電源ONからの起動に要する時間は約20秒。 電源SWはSOFT SWで従来の機械的な ON/OFF SWではなくPC等のSWと同じなので本体の起動開始からのSleep timeを設定できる項目もある。




<2020/05/09 rev0.3>


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