Kurzweil Synthesizer


ここでは Kurzweilの Keyboardや、K2000にまつわる事柄について書いてみたいと思います。

K250
K1000
K2000
MASS
ETC.





K250 (1984)

K250の風貌は最近の synthに比べると巨大で、横から見るとディズニー映画の、 "海底二万マイル"に出てくるノーチラス号のようでした。

またこの時代の samplerということで、hard的にはほとんど custom chipが使われていないことや memoryの集積度も大きくないため、基板も巨大なものでした。

ROM ベースのいわゆる play back samplerの元祖的存在で 12voice polyphonicで、 国内価格は300万円近くもし(USA original価格は $10000程度)、高価なプロ用の KB というイメージがありました。

sound blockと呼ばれる sample ROMの追加が可能でしたが、この sound blockも今の 感覚からすると非常に高価な物でした。

 ・ sound block A ... 2Msample
 ・ sound block B ... 1Msample
 ・ sound block C ... 1Msample
 ・ sound block D ... 1Msample

現在の感覚からすると、特に大容量でもないのですが、当時の基準からすれば圧倒的な 大容量 sample ROM だったと思います。 

当時の宣伝文句をみると Kurzweil独自の人工知能技術を応用した keyboard云々という、 ことが書かれていますが、実際は オーナーの Ray Kurzweilが医療機器分野で人工知能技術 の権威だったため、利用されたセールストークであったようで、中身はそれとはまったく関 係ないとのことです。

kuzweilは他の synthメーカとは異なり、analog synthを経由しないで digital synthから 歴史が始まりました。  K250の設計のアドバイザーとして、 Robert Moog, Philip Doddsを始めとする何人かの著名な エンジニアが参加していたようです。

K250雑誌広告



K1000/K1200 (1987)

K1000シリーズは K250の機能を VLSI (通称アーノルド(ARNORD) chip )に集約させ、 K250の soundを継承する形で登場しました。

K1000(KBD)は国内生産ということもあり、 価格は 20万円前後(USA価格 $2500程度)と、 K250の 1/10以下(USA価格では 1/4)の価格で発売されました。   始めに発表された model は、

・K1000 76 key KBD 24Voices 2Mega samples
・K1000 PX Professional Expander (RACK) 24Voices 2Mega samples
・K1000 SX String Expander (RACK) 20Voices 1Mega samples
・K1000 HX Horn Expander (RACK) 20Voices2Mega samples
・K1000 GX Guitar Expander (RACK) 20Voices2Mega samples
・Ensemble Grand
Piano(EGP)
76 Key KBD SP付き

で、これらは基本仕様は同じで、 違いは、sound ROMの種類/容量が異なり、 基本的に鍵盤バージョンは日本国内製(鈴木楽器)、 RACKはUSA製でした。

* K1000 カタログ表紙
* K1000 カタログ 1
* K1000 カタログ 2
* K1000 カタログ 裏

Keyboard versionは 76鍵の semi weighted 鍵盤で、後部筐体の一部を切り取った 特異な形をしており、またパネル上部には SP用のスリットが設けられていました。

このスリットは、同時に発表された Ensemble Grand Piano( SP付き)と筐体が共通なの でそうなったのでしょうが多少奇妙です。

その後 sound block(ROM)の追加や OSの up grade等を行った以下のような 機種が発表されました。

 ・K1000PXpuls   ( RACK ) 
 ・K1000AX puls  ( RACK )
 ・K1000SE     ( KBD )
 ・K1000SE/EXT   ( KBD )
 ・K1000SEII    ( KBD )
 ・K1000SE/EXTII  ( KBD )


K1000シリーズの最終 versionは K1200で、sound blockを 6Mbyteに増やし、最新 の OSを搭載していました。

 ・K1200 Pro ( 88 鍵 KBD )
 ・K1200 Pro I  ( RACK )
 ・K1200 Pro II  ( RACK )
 ・K1200 Pro III  ( RACK )

 * USA modelには Pro76という 76鍵modelもあり。


K1000シリーズは、基本的に 24 voice(一部20voice)の 12bit resolution PCM ROMを持 つ Dynamic Filter、 Effect Processorの無い ROM sample playback 音源です。

他には無いユニークな機構、概念を持ち K250の sound blockを継承する sound が魅 力の音源でした。 いくつかの特徴をあげてみましょう。



・cross fade / layer dynamics


K1000には filterが搭載されていませんが、K250の倍の発音数がある為、 最大 3voiceのlayerが組め、cross fadeを利用した音作りが可能になりました。


・timbre shift


samplerの欠点を積極的に利用したような機能で、本来その key(鍵盤位置)で読み出す PCM data block以外の隣接する multi sample dataを読みだし、その際再生 pitchは本来の keyで読み出すことにより、original soundの formantが変化することによ る音色変化を積極的に利用する機能です。

K1000のように比較的 PCM ROM容量の少ない、かつfilterのない音源では、 この機能をうまく使うことにより音源のバリエーションを増やすことができます。


・object


PCM sample、 Keymap、program、 velocitymap等を objectという概念で管理します。   Kurzweilの 特徴的なdata管理方法で、それぞれの objectが生成されて始めて memory を消費します。

objectが deleteされれば、 memoryが開放されるという、動的なmemory 管理が行われます。


・compiled Effect


K1000には effect processorは搭載されていませんが、modulation/layerの機能を利用し て、 chorus、 delay、echo、phaser等の effectをシミュレートする compiled Effect というユニークな機能があります。

たとえば chorusであれば、2から3の voiceを layerで重ね、それぞれの voiceに vibratoをかけたり、voice delayをかけたりすることで実現するもので、いわば program のマクロが compiled Effectという名で定義されているといえばよいでしょう。

 * compiled Effect *
 ・Vibrato / Delay Vibrato
 ・Tremolo / Delay Tremolo / Tremolo2
 ・Chorus2 / Vibrato Chorus2 / Chorus3
 ・Leslie / Leslie2
 ・Echo3


・modular Effect


いわゆる matrix modulationのことです。 K1000では modular synthになぞらえて modular Effectとよびます。

 * modular Effect *
 ・LFO 1/2
 ・ASR 1/2
 ・MIXER 1/2
 ・Inverter 1/2
 ・Negater 1/2
 ・Envelope 2
 ・Pitch controll
 ・Amplitude controll

* この他に多くの MIDI messageを modulation sourceに設定できます。


・multi stage envelope


Kurzweilの envelope generator の特徴でmulti stage envelopeと呼ばれる複数の attack/release segment(Time/Level)をもつ EGで、loopを設定することもできます。  attack segmentとは この場合、sustainもしくは decay状態に遷移するまでの状態を指します。

K1000では attack segment/ release segmentがそれぞれ最高7っまで持つことができます。 また attack segmentの終了後の動作に対しては decay、 sustain等の4っの mode を持っています。


・K1000参考文献


・THE KURZWEIL K1000 COMES ALIVE /Mark Schecter (1990/02 Keyboard USA)
・KURZWEIL 1000 SERIES /Mark Vail (1988/04 Keyboard USA)
・K1000 service manual





K2000 (1992)

K2000は発売から7年(1999現在)が経過したとはいえまだ現役の synthですので、 internetのkurzweilの home page他で多くの情報は得られると思いますし、 また k2000メーリングリスト等でも多くの情報が得られます

ここではprogram構造を中心に、個人的な視点でK2000について書いてみたいと 思います。  

1991年末に発表された(*1)  k2000は、国内でも1992年4月に発売されました。

K2000は、K1000の機能を継承しつつも、K1000にない synthesizer的 functionを 非常に多くそなえた modelであり、sequencer, FD, SCSI,effect processor 等を 装備し、work station的な synthとしても十分な機能を有し、 optionを備えれば samplerとしても機能するという拡張性も十分に考慮された 音源でした。 

sample RAM max 64Mbytes, ROM sample max 24Mbytes、各 voiceに独立したalgorithm 可変の DSP block、PCM dataの editが可能などという仕様は、当時では画期的で 国産 synthに比べて自由度の高い voice構造もすばらしいもので、現在でもアーキテク チュア的には古さを感じさせません。

voice構成は従来の synthにくらべてかなり複雑な構成をしているのですが、dataの 管理構造の優秀さ、各blockにおける parameter構造等が共通している点等、他の synthにくらべて構造が理解しやすいため program editの混乱は少ないと思います。

pitch、filter、amp等の各 DSP blockの parameter構造は基本的に同じであり blockに よるはしょりがないことや、通常では固定値であるようなparameterが matrix modulation になっていたり、通常はユーザに開放せずにかくしてしまうような parameter が いじれるようになっていたりと、一般の PCM synthに比べてより modular synth 的な発想に近い synthesizerというか、より素直な構造の synthであると思います。   (parameterがオブラートでくるまれていないというか、 素のまま出てきてている構造 と言うか)  上位機種である K2500でもこの voice構造は継承されています。

K2000は最近では価格もこなれ 20万円代になりましたが、発売当初の国内価格は 48万円 (US価格 $3000)という、他のsynthに比べてかなり高価な価格設定でありました。

他の synthに比べて 価格の割には筐体、 鍵盤、SW、LCD等はかなり安物を使っているという 印象はぬぐえませんでしたが、内包する powerはすばらしいものです。


*1: 1991年の何月号か忘れましたがUSAのkeyboard誌にK2000の綴じ込みカタログが掲載されました。 その仕様は当時としては驚異的でこのカタログを見たとたんに購入することを決めたのを思いだします。 このカタログは以前間違って処分してしまったようで現在は持っていなにのですが幸いネットでその画像を見つけ再会することができました。


* K2000 USA catalog

* VAST
* Chameleon

国内カタログを見ると本体はともかくオプションパーツの値段が異常です。 実際はここまで高くありませんが発売当時は売る側もプロ機として認識していたのでしょう。

* K2000の国内広告

1993年Keyboard magazineでの広告。 SAMPLING Optionが 128000円となっていて非常に高いです。 USAの価格は$649なので約2倍です!!。  HDDも210Mbyteで22万とはすごすぎ(これは明かにおかしいぼりすぎ。 当時でもHDDはこれほど高くはない)。 PRAM, SAMPLING, ROM A, ROM Bなどフルオプションを揃えるとHDD等を除いて100万近くする計算になります。 本国ではこれほど高くありません。

K2000は 1992年の発売から、現在までに 多くの hard version UP、soft( OS )の version UP がなされています。

* hard version up *

 1・P/RAM option (740Kbyte)
 2・FAN Kit option
 3・Orchestarl ROM option (8Mbyte)
 4・Contemporary ROM option (8Mbyte)
 5・Sampling option board (SPDIF、AES/EBU、analog)
 6・Sound ENGINE Board ( original:Calvin  new:Janis)

K2000には、K2000と K2000Jという二つのタイプが存在します。  無印の K2000は Sound Engine Board が 通称Hobbesで、初期の生産品が該当するようです。  その後、新Sound ENGINE Board Janisを使用したものが Jという型番でよばれています。 

K2000には、K2000と K2000Jという二つのタイプが存在します。  無印の K2000は Sound Engine Board が 通称Calvinで、初期の生産品が該当するようです。  その後、新Sound ENGINE Board Janisを使用したものが Jという型番でよばれています。 

* <2013/06/05> CalvinとHobbosの名称を取り違えていたのを修正。

機種としては、数年前に K2000VXという 上の option 1/2/3/4を内蔵した機種や、 最近 low costの K2000VPというのが発表されましたが、基本構造はどれも同じです。

* soft version up *

 大きな version upは以下の通り
 ・ver 1.0 (1991?/??)
 ・ver 1.3 (1992/10)
 ・ver 2.07/2.08 (199?/??)
 ・ver 3.01 (1994/08)
 ・ver 3.18 (1995/02)
 ・ver 3.54 (1997/02)
 ・ver 3.6? (199?/??)
 ・ver 3.87 (1999/11? 最終version)

  * 上記の詳細については kurzweilの HP等を参照して下さい。

K2000のOS ROMはFLashではないのでver.upに際してはメーカーにサービスを依頼
するため結構な価格および、運送代が必要でした。 ROMベースのOS搭載で
これほど(8年間も) ver. upを繰り返したsynthはほかにはないでしょう。


sequencer/ DISK関係の function以外の音源に関するparameterを以下に紹介すます。  parameterは膨大であり、かつ魅力的です。  

* Keyboard誌のK2000の広告
* K2000 THE POSSIBLITIES ARE VAST
* K2000音源部 parameter 一覧


・ K2000の特徴のいくつかを紹介します。





* MANUAL / VIDEO


・MANUAL
ver1.0のoriginal manualは厚さ 3cm、 300ページ以上に渡る膨大なマニュアルでした。   (version2/3用の追加manualは 2cmほど)

膨大な原因は機能が多い為でもありますが、各項目に対する説明が、他の多くの synth マニュアルに比べてしっかり書かれているためでもあり、結果わかりやすい manualに なっており好感が持てるものです。

この他に manualとしては ver2.0の sampling optionに対したものと、大幅にfile system、 sequencer等を up gradeしたver 3.0の機能をまとめた 追補 manualがあります。  

以上は USの original manualですが、 日本の代理店があるにもかかわらず、ver 1.0 OSの マニュアルの日本語版は当初、添付されず、参考資料として図、表などのない文章だけの、 概略を翻訳したものが英文マニュアル準拠参考書として、基礎編、応用編の名で、カーツ ウェイル友の会編として、発売の約1年から2年後に送られてくるというなさけない状況で した。

この間に販売代理店が、鈴木楽器と、ハーモニクスの二つになり、ハーモニクスからは kerzweilの親会社 young chang ブランドで発売されるなど、ユーザからみれば大変迷惑な 状況となり、ver1.0の完訳版は、発売の数年後にやっとハーモニクス版が作成されましたが、 初期のユーザ(鈴木楽器版)には無料で配布はされず、有料1万円とのことでした。 (ver1/2/3を含む manual)  


・VIDEO
K2000には manual videoといえるものが付属していました。  manual videoとしては普通の物ですが、この中で開発担当者の Jennifer Hruska、Geoff Gee、Jonn Teele氏がK2000の機能を紹介するという、セクション があり、開発者の愛情が伝わってくるたいへん好感の持てるVIDEOでした。


* HARD



K2000の main基板は Sound Engine Boardと Audio Boardに大別されます。  さらに option boardとして option sound rom 用 mother board、option ROM board*2、 P/RAM borad、 sampling boardを本体に内蔵できます。  またSCSI仕様の HDも本体に 内蔵可能です。

Sound Engine Boardは VLSI chip *3 を中心に, 68301-16 1chip micon、内蔵 sample ROM 8Mbyte、P/RAM 120Kbyte(program memory用)、sample RAM用 SIMM socet *4、MIDI I/F 等が乗っており、さらにoption P/RAM(740Kbyte)、option ROM *2set用 boardを搭載できます。

Audio Boardは main出力用 DAC(PCM54)、sub出力用DAC(AD1865)*2、 DIGITECの Effect chip DSP256、audio出力、電源関係等で構成されています。

<2004/07/29>
上記説明は間違い。
PCM54(16bit)がeffect out用(DSP256用)、 AD1865(18bit)が sound engine A/B 出力用に使用されているようです。  この為、MIX出力は通常 PCM54とAD1865出力(A用)がMIXされます。



* K2000 Sound Engine Board
( PRAM, ROM EXPANSION BOARD 装着)

Sound EnginBoard

* old board (Hobbos)
 Calvin *1
 Hobbos *2
 68301 16bitCPU *1

* new board (Janis)
 Calvin *1
 Janis *1
 68301 16bitCPU *1

* calvin:      PCM処理関係のLSI
* Hobbos/Janis: DSP/wave Gen.関係のLSI
* new board Janisにおいては 1chipで旧boardのHobbos 2個分の機能を有している。

* old board (Calvin)
-------------------
 Calvin *1
 Hobbos *2
 68301 16bitCPU *1

* new board (Janis)
------------------
 Janis *1
 Hobbos *2
 68301 16bitCPU *1

* calvin/Janis:  PCM処理関係のLSI
* Hobbos:     DSP/wave Gen.関係のLSI

* ちなみにK2500以降に搭載されたLisaはKDFX, DSP chain用に使用されている。

 PCM ROM KM23C8000*8
 Sample RAM
 NV RAM
 SCSI I/F 53C80
 FD I/F  uPD72064

<2013/06/05> Calvin/Janis/Hobbosの機能を間違えていたので修正。
<2010/06/03>



* K2000 Audio Board

Audio Board
* Digital音源部以降のDAC, 出力filter, Effect, MIX出力matrix,scanner,電源回路。

A/B output用: AD1684 18bit 2chD/A *2 ( 3次Active LPF+ passive LCF)
FX用:       PCM54 16bit D/A *1 ( A/D , D/A併用 )
          DOD DSP256 FX chip *1  ( mono in / stereo out )
          6803 8bit CPU *1 DSP256制御用

SSM2112 dual VCA *2:  Fxout(L/R)level,  Aout(L/R)level用

* MIXoutに出力される FX, Aout信号はanalog VCA SSM2112を通る。
* 音源出力のanti arias filterは OPAMP + LC passive LPFの構成。

scan (CPU M37450)
-------------------------
M37450 8bit CPU
     controller A/D
     Key scan
     MIDI I/F
     SW scan

power supply
------------------------
analog +/-12V 7812/7912
     +/- 5V 78M05/79M05
      -15V 79L15 -15V bias
digital +5V discrete
     +12 7812 (HD power)
LCD BKL 100Vrms-360Hz (LCD LM24014)
BKL Inverter用 +7V
Trans... 70VA  2次側: 20Vrms *2 .... Analog / 10Vrms*2... Digital
FUSE: 1次側: 250V/1A
定常時 消費電流は実測で1次側で0.5A程度(Full Option時)

OUT PUT
--------
separate out 1 ... A_L (A_L send)
separate out 2 ... A_R (A_R send)
separate out 3 ... B_L (B_L send)
separate out 4 ... B_R (B_L send)

基本的に上記の4CH分の出力を持つ。

A_L send / A_R sendは VCAを通過後 MIX 出力に出る。
A_L VCAout: A_L send --> VCA(SSM2112 1/2) --> MIX L
A_R VCAout: A_R send --> VCA(SSM2112 1/2) --> MIX R

* A/Bのsend出力は内部で MIX出力に反映される形になるがAグループのみFX in
 につながっている。

* separate出力に対してstereo plug使用時は mono send / returnとなり 各出力が外部に
  sendされ、上記A/B send出力は切り離されかわりに外部からの return信号が取って
 かわるので外部Effectorをinsertしたり K2000のFXに対して外部信号入力することも可能。

MIX OUT
-------
* 上記 A/B send出力がMIXされ MIX OUT出力に出力される。
* A send出力は VCAを通る。
* FX outがMIXされる。 FX outはVCAを通る。
* FX inはmonoなので基本的には A_L send, A_R sendがMIXされ入力される。
  片方をOFFすることは可。
* 内部回路的にはMIX Loutに対して選択的に A/B R outがMIXされる。
* 内部回路的にはMIX Routに対して選択的に A/B L outがMIXされる。
* よって 内部回路的には1Ch当たりの MIX信号は内部的には最大5系統。

内部回路的には
* MIXout (5系統がMIXされる)
 LEFT out
  ・Aout L(VCA)
  ・FXout L(VCA)
  ・Bout L
  ・Aout R(VCA) (選択)
  ・Bout R  (選択)

 RIGHT out
  ・Aout R(VCA)
  ・FXout R(VCA)
  ・Bout R
  ・Aout L(VCA) (選択)
  ・Bout L  (選択)

実際はMIX指定が全てできるわけではない。

FX
----
* FX chipは 1chのPCM54をmultiplexして2chとして使用。 さらにFX chipに対して
  逐次比較 A/Dとしても使用する。 FX出力はVCAを通過して出力となる。

FX out L:  FX_L --> VCA --> MIX out L ... PCM54 multiplex out + SSM2112VCA 1/2
FX out R:  FX_R --> VCA --> MIX out R ... PCM54 multiplex out + SSM2112VCA 1/2
FX in :  A_L send ( Aout send時は外部入力 L )と A_R send ( Aout send時は外部入力 R ) のMIX

<2010/06/03>



・OBJECT


Kurzweil音源の特徴の一つとなっているデータの管理方法で、通常の synthとは多少異なる program管理構造をしています。

たとえば一般のsynthでは、音色programの中で effect parameterを設定しますが、 K2000では effectは effectで別の objectとして定義されますので、他の programでも 同じ effectが必要な時は 同じ NOの effect objectをいくつかの program で共有するこ とができます。

K2000では目的別の parameterが objectとして定義されており、以下のような 種類があ ります。

 ・sample block PCM data
 ・keymap PCM dataの鍵盤への割り付け情報
 ・programいわゆる音色 program情報
 ・set up performance preset
 ・song sequence file
 ・effecteffect program情報
 ・quick access bank program/set up情報の簡易 access bank 情報 
 ・velocity map attack velocty map情報
 ・pressure map pressure map情報
 ・intonation table octave 12音の interval情報
 ・master table master mode/midi mode/channel mode parameter情報

上にあげた各 objectクループのそれぞれに、通常の program NOのように object ID NOを持つことができます。

ID NOは通常 1..1000まで管理されますので、必要に 応じてその範囲で、memory(P/RAM)のゆるす限り各 objectの生成が可能です。

各 objectは新たに生成させなければ memoryを消費しない構造(可変長data管理)にな っている点が他の多くの synthと違うところです。

現在の 各objectのmemory占有容量は、 utilityで確認できますし、必要に応じてdelete できます。



・ AUDIO OUTPUT


audio出力は MIX (L,R)  A (L,R) B (L,R)の 6個で A,Bに対して専用DACを持っており それに加えて effect chip用に専用 DACを搭載しています。  MIX出力は A出力とeffect出力が analog mixされた出力です。

出力は通常の使用の他に stereo plugを使用すると出力を sendして、さらに return ができる構造になっています。

returnされた信号は A/D され effect processorの前に 入る構造になっているので、 return入力に他の audio 信号を入れると K2000の effect processorを利用することができ、単体 effectorとしても機能します。

<2000/02/20>追加
外部入力に対して effectが有効という構造は K2000の synth出力と effect processorが directに digital buss で接続されているわけでなく、 synth engine --> D/A --> A/D --> effect --> D/Aという構成を取っているためにできる副産物のようです。

effect chip自体は他社(digitech)の物を利用しているわけなので、synth engine部分と effect processorがdigital接続できないのもあたりまえなのかも知れません。


<2004/07/29>
A 出力にplugがささっている場合はMIX出力からは信号が出力されません。  A 出力に対してstereo plugを接続した場合は一方の mono plugからA 出力信号が出力され、もう一方の mono plugは K2000内蔵の effectorへのinput effect send 入力として機能しこの際 MIX 出力端子からは effect成分のみが出力されます。



・EFFECT PROCESSOR


K2000の effect processorは、DIGITECH社の DSP256 chipを使用しています。  使用できる effectは reverb, delay系, EQなど最大4個の effectを組み合わせた programが config として26用意されています。 

typeparameter数Hard Wired MIDI Ctrl 
parameter数 
00・dry. .
01・stereo chorus7 **(7)
02・stereo flange8 **(8)
03・stereo delay10 **(10)
04・4-tap delay 17 **(17)
05・ultimate reverb11 **(10)
06・room simulator6 **(6)
07・gated reverb8 **(8)
08・reverse reverb9 **(9)
09・parametric EQ7 **(7)
10・graphic EQ8 **(8)
11・parametric EQ+delay+mixer10.
12・parametric EQ+chorus+mixer14.
13・chorus+room+mixer13.
14・delay+room+mixer13.
15・chorus+hall+mixer14.
16・delay+hall+mixer12.
17・EQ+gated revervb+mixer7 **(7)
18・EQ+revers revervb+mixer7 **(7)
19・parametric EQ+chorus+delay+mixer21.
20・parametric EQ+flange+delay+mixer 21.
21・chorus+delay+room+mixer 20.
22・flange+delay+room+mixer21.
23・chorus+delay+hall+mixer20.
24・flange+delay+hall+mixer21.
25・EQ+chorus+4-tapdelay+mixer21.
26・EQ+flange+4-tapdelay+mixer22.

K2000の effectorは最近の国産 synthと比べると小規模な物ですが、他にないユニークな機構として、上述のconfigを元にparameterを editした物を新たに effect名を付けて登録できることです。

この登録された effect programは effect objectとして各音色 programから参照されます 。   この為 K2000ではeffectの parameterを 音色program内で持つのではなく、音色 programが共同のeffect objectを参照する形になります。

音色programでは effect objectの指定と、effect level、および2っの realtime parameter modulationの sourceと depthを指定します。

effect parameterの realtime modulationは 2っまでですが、effectのtypeによっては ( manualには明記されていませんが )、すべてのparameterをrealtime modulationできる場合があります。

この場合は modulation sourceは MIDIのいくつかの controll changeにあらかじめ割り当てられていて(Hard Wired)、 sourceの変更はできないようです。

<追記> version 2/3のmanualには明記されるようになりました。


* Hard Wired parameter詳細 *
typeParameter/ Hard Wired MIDI Ctrl No
01・stereo chorus Chorus delay  10
LFO speed  13
LFO depth  12
Dry Level  57
Right Level  54
Left Level  52
Chrus Level  53
02・stereo flange Flange Delay  33
LFO speed  37
LFO Depth  36
Feedback  35
Dry Level  57
Right Level  61
Left Level  59
Flange Level  60
03・stereo delay Delay Time  22
Feedback  17
Dry Level  57
Right Level  56
Left Level  55
Delay Dry in  19
Delay Chr in  18
Dely Flg in  21
Delay Eq in  20
Delay Eq Src  16
04・4-tap delay Tap1 Delay 24
Tap2 Delay 25
Tap3 Delay 26
Tap4 Delay 27
Feed delay 23
Feedback 17
Dry level 57
Tap1 Level L,R 67,68
Tap2 Level L,R 69,71
Tap3 Level L,R 72,74
Tap4 Level L,R 75,76
Tap2 Level 70
Tap4 Level 73
05・ultimate reverb Decay Time  77
Room Volume  78
HF Dumping  14
Envilopment  32
Early Delay  29
Eariy Diff  30
Later Delay  --
Later Diff  93
Dry Level  28
Early Level  31
Later Level  92
06・room simulator Geoss size   90
Decay Time  15
Listening Pos   79
HF dumping  14
Dry Level  28
Reverb Level  88
07・gated reverb Pre Delay  80
decay Time  38
Envelope  39
Accent Delay  01
Dry Level  57
Accent Level  02
Right Level  62
Left Level  94
08・reverse reverb Pre Delay  80
Reverse Time  89
Accent Delay  01
Accent Level  02
Dry Level  57
Right Level  66
Left Level  65
Accent lvl L  50
Accent Lvl R  51
09・parametric EQ Band1 Freq  03
Band1 Level  04
Band2 Freq  05
Band2 Level  06
Band3 Freq  07
Band3 Level  08
EQ Level  58
10・graphic EQ 63Hz  41
125Hz  43
250Hz  45
500Hz  47
1KHz  42
2KHz  44
4KHz  46
8KHz  48
17/18・Reverb in Multi FX RevPreDelay  80
Hi Freq Dump  83
Reverb Decay  82
RevIn Dry  86
RevIn Chorus  84
RevInFlange  87
RevInDelay  85
Other・ Wet/Dry MIX  91
ByPass  09
LowPass Filter  49



・VAST



K2000の programの基本構造はVAST.... Variable Architecture Synthesis Technologyとよば れる、可変構造を有しており、audio 信号系は 5っの DSP blockで構成されています。

また K2000は samplerとしての側面も備えている為、stereo samplingした PCM dataにも 対応できるvoice構造になっています。

通常の synthにおいては Osciilator、 Filter、 Amplifierが構成要素ですが、 K2000では、通常 2っの DSP blockが PITCH/AMPの機能で予約されており、残る 3block、 通常の synthでは Filterに当る部分が、可変 algorithmになっていて、 Filter以外にも多く の sound processingが可能となっています。 

各 DSP blockは共通の modulation parameterを備えています。

* modulation parameter
 01* Coarse
 02* Fine
 03* KeyTrack
 04* VeloTrack
 05* Source1
 06* Depth
 07* source2
 08* DepthControll
 09* MinDepth
 10* MaxDepth

DSP functionを以下に示します。( [ ] 内は消費Block数 )

 ・Filter   LPF 1pole[1]/2pole[1]/2pole reso[2] /4pole reso[3]
 HPF 1pole[1]/2pole[1]/4pole reso[3]
 APF 1pole[1]/2pole[2]
 NF 2pole[2]/ double NF[3]
 BPF 2pole[2]/ double BPF[3]
 ・Equalizer   Parametric Equalizer[3]
 ParaMID[2]
 Para Bass[2]
 Para Treble[2]
 Steep resonance Bass[3]
 ・Pitch/Amplitude/Pan Position  PITCH[1] 予約されている機能
 AMP[1]  予約されている機能
 AMP U AMP L[2] ...(2input)
 BAL AMP[2] ... (2nput)
 GAIN{1]
 PANNER[2] ... (2output)
 ・Mixer With Non-linear Input    X AMP [1]....(2input)
  ! AMP [1]....(2input)
  X GAIN [1]....(2input)
  Amplitude Modulation [1]
 ・Mixer  +AMP[1].... (2input)
 +GAIN[1]....(2input)
 Crossfade[1]...(2input)
 ・Wave forms   SIN [1]
  LOW FREQ SIN [1]
  SAW [1]
  LOW FREQ SAW [1]
  SQUARE [1]
  LOW FREQ SQUARE [1]
 ・Added Waveform    SIN+ [1]
  SAW+ [1]
  NOISE+ [1]
 ・Non-linear Function    High Frequency Stimulator [3]
  Distortion [1]
  Shaper [1]
  Double Shaper
  Two Parameter Shaper [1]
  Wrap [1]
  Lowpass filter With Clipping [1]
  Pulse Width Modulation [1]
 ・Waveforms With Non-linear Input    SAW+DST [1]
  SAW+SHAPE [1]
  Shape mod OSC [2]
  X Shape mod OSC [2] ....(2input)
  + Shape mod OSC [2] ....(2input)
  AMP Modulated OSC [2]...(2input)
 ・Synchronizing(Hard sync)function [2]

高機能を有するprocessingでは 3っの DSP blockを消費しますが、単純なものでは 1blockですむ為、あまった blockをさらに別のprocessingに利用できます。  但し 3block内に収まればどのような typeの物も任意に組み合わせできるわけではなく 32のalgorithmの中から構成を選択し、その中で使用できるprocessingがblockごとに 限定されて選択できます。

このことから、1blockというのは便宜上の物(1blockで1parameterをcontrollするという) で必ずしもDSP powerを表す単位ではないように思われます。  つまり DSP powerに応じて組み合わせができるfunctionはきまってしまい、その中で同程度の DSP powerが必要なfunctionのみ選択できるという形です。 parameter controll blockは 3っあるので functionの組み合わせが少ない方が1っのfunctionに対して割り当てられる 可変parameterは増えます。

algorithm選択というのはfunctionを自由に選択できない為の苦肉の策なのでしょう。  この為ユーザにとってはなれないととまどいます。

DSP blockが必要なければ使わないこともでき、その場合は program memoryを消費しないで すみます。

機能の異なるprocessingにおいても、基本的な parameterの位置づけは共通で、 作用が異なるだけです。  これはすばらしい考え方です。  initial設定の他に、modulation関係の parameterとして、共通で KeyTraking、 Velocity Tracking、2っの matrix modulation入力となります。

通常の synthであると program parameterは 単に数値で設定することが多いのですが、K2000 においてはたとえば filterの cutoff であれば Hz単位であるとか、C#6などのように音名で 指定できたり、 AMPであれば gainは dB単位で指定できるなどのわかりやすさが考慮されています。



* Filter


filter typeとしては LP/HP/BP/NFの全てのtypeを備えており、 LPFとHPFは 1/2/4pole、BPFは 2pole及び twin peaks BPF、 NFは1/2 pole及び double NFを選択でき totalで 16typeを有します。  filter cutoff frequencyは 0.1Hz単位で設定できるという細かさです。

1pole filter
analog CR 1次filterと同様の cutOff周波数で -3dBの肩特性。 cutoff以降は -6dB/Octの特性。 1っのDSP blockに対して 1っの要素をcontrollできる構成になっているので1pole filterであれば filterの cutoff freq.がparameterとなります。

1っの要素をinitial設定、key/velocity tracking、2っのmatrix modulationで controllするわけです。


2pole filter
resonanceの値が固定の物は 1block、 resonanceがparameterとなる物は 2blockを消費します。  resonance可変の場合、一般のsynthではresonanceの値は0からプラス方向の指定しかできないのですがK2000の場合はマイナス方向、 -12dBから+24dBまで可変することができるのが特長です。 プラス方向にすれば cutoff周波数付近のGAINが増加してピークができるわけですが、マイナスにすることによって cutoff付近のGAINが低下していきます。 これはピークに対してディップになるということではなく、cutoff付近の肩特性がゆるやかになることすなわちcutoff周波数前後の近辺の帯域のスロープがなで肩になって 2pole filterの本来の特性の -12dB/Octではなくなるということになります。(cutoff周波数より十分はなれた周波数においては-12dB/octに戻る)


4pole filter
4pole LPF/HPFは 2pole filter*2で構成されており 3DSP blockを消費し、 block1がcutoff freq、 block2 が resonance、block3が 2っのfilterの cutoff freqの separationをそれぞれ controllします。

separationは2っのfilterの cutoff周波数をずらす機能で、0の場合はfilterの特性は-24dB/octになりますが 0以外の場合はcutoff周波数前後の帯域の特性が最大-12dB/octのスロープに低下する区間ができるということになります。 すなわち周波数特性のスロープが cutoff1, cutoff2の周波数を介して2段階になるfilterを実現できると言うことになります。(Ensoniq VFXの filterなどと同様な構成)

4pole filterに属する物はこの他に dual BPF/NFがありこれは2っの BPF/NFの集合隊で、同様に3blockの消費で cutoff/resonnance 及び 2 filter間の separat freq.を controllできます。

filterの特性は1,2,4poleで 3というのはありませんが必要であれば2pole+1poleのfilterを組み合わせて3poleにすることは可能で,このような所がK2000のmodular synth的なとことでしょうか。



* Equalizer


filter の変形としてのEqualizerを何種類か持っています。  要はmixerなどの EQと同じでparametric typeとshellping typeを装備しています。  通常のEqualizerと異なるのはparameterが modulatorで matrix modulationできるので 動的に使用できることです。

またこれらは当然のことながらChannel単位、polyphonicで1個ではなく1Voiceに付き1個で対応して いると言う点が通常のEqualizerと異なる点です。


Parametric Equalizer
3blockを消費し、freq./band width/levelをcontrollできます。  また band width固定の 2block消費型の para midというtypeもあります。


Shellping Equalizer
freq.と levelをparameterとする 2block消費typeで BASS用とTREBLE用があります。  filterとしては1poleの通常type

またSteep resonance Bassという 2pole typeで 3blockを消費するtypeがあり、 freq./resonance/levelを controllできます。



* Wave forms/Added Waveform


K2000では通常の PCM音源以外にこのDSP blockで波形を自ら作り出せます。  種類はanalog synthなどと同様なSINE/SAW/SQUARE/NOISE oscillatorとして機能します。

これらは Wave forms/Added Waveformに分類されWave formsを選択すると、前段のPCM 音源はcutされ、Added Waveformを選択すれば PCM音源部分も有効に働きます。  この為 3個のDSP blockを全部発振器にするとPCM波形と合わせて 1 voice 4 oscillator仕様、全24voiceで 96 oscillatorとなるわけです。

通常PCM synthの場合 1osc -- 1filter -- 1 ampという構成が一般的で 2 osciilator仕様にしたい場合は layerで voiceを重ねなければ なりませんが、K2000の場合単純波形でよければ 1voice内で簡単に oscillatorを増やせるので 便利です。

oscillatorは通常のaudio帯域用の他にLFOとして機能する LF typeを装備しており、 これらは他の DSP algorithm (主に AM変調関係)と併用して使われます。



* Non-linear


distortionなどのいくつかのNonlinear functionを装備しています。

PWM
analog synthでお馴染みのPWMが実現できます。  実現方法はanalog回路でPWMを実現するのとまったく同じ原理で、このPWM blockに 入力される波形のDC offset levelを移動させ波形をクリップさせることで行います。  この為 analog synthと同様な効果を得るためにはさらにこのblockの後段に distortionなど のclipperを置いて最終波形をpulse波に整形する必要があります。

入力波形としては上記のoscillationによる SAW波の他にPCM waveも利用できます。


Distortion
distortion levelがparameterとなり、modulationできるのが通常のdistortionと 大きく異なる点です。


High Frequency Stimulator
構造的には HPF freq. / Distortion / mix levelが modulation可な excitorといったところです。


LP clip
クリッパー付き1次LPF



Shaper/Double Shaper/ 2paramter Shaper
K2000は本来FM変調機能を搭載予定でしたが、当時パテントの関係で搭載できなくなったため その名残りとしてFMとは原理の異なるFM音源もどきの機能を搭載しています。 それが Shaperです。

残念ながらmanual にはこの shaperやWRAPなどの non linear 系の functionの説明は わかりやすく書かれていません。  ここらへんの機能はオシロスコープで単純波形を加工しながら波形をにらめっこして理解 したほうがよいと思います。 以下にマニュアルよりはわかりやすい説明を 波形とともに示します。

Shaperは amount levelが小さい間は soft cliperのように作用して入力波形に偶数倍音を付 加させます。  信号振幅がクリップするレベルまで大きくなるとこんどはクリップした分の 上下振幅が折り返して現れるようになります。


* 入力 正弦波 .... soft clip


* 入力 正弦波 ..... 折り返す

これはちょうどFM変調でキャリア周波数を0にして変調ををかけた時の波形にも似てます。  入力信号が sin波の場合はかなり近い形になります。  入力信号をsin波以外にした場合は未変調時出力波形は入力信号波形になり、変調を上げてい くと元の入力波形が折り返して変形していきます。 このところも上記のFM変調と同様の作用です。

モジュレータにあたる信号がSIN波のみではなくsample波形も入力できるようになっているのが みそです。

さらに amount levelが上昇するとついには生成波形は formant波(強力なBPFを通過したような波形) のようなくせのある波形になります。(波形振幅0の区間が多くなる波形)

これは結局のところ soft clip区間においては -90度から90度までの SIN波の形をした non-linear tableに 信号を印加した時の出力結果のようなもので、それ以上印加される信号レベルが大きくなれば 出力波形は折り返すつまり 上記 tableを逆方向に進行させると考えれば原理的には理解できるように思い ます。


* non-linear table

この反応はキャリア周波数=0Hzの FM音源の動作原理と酷似しているわけです。  実現方法は異なりますが、基本的に結果は同じ反応です。  FM変調と non-linear synthsisの共通項が見えておもしろいですね。


* 入力 鋸波 ..... soft clip


* 入力 鋸波 ..... soft clipしながら折り返し


* 入力 鋸波 ..... 折り返しが SIN波に


* 入力 鋸波 ..... 折り返しがさらに進行して継ぎ目が発生


* 入力 鋸波 .... formant 波形に変化



Double Shaperは shaperが2段構成の構造をしたものです。
つまり1段目のtable通過後の波形をさらに同じ形のnon-linear tableに入力するというか。  下図のように一度折り返したオリジナルSIN波の頭が再度逆方向に折り返しています。


* 入力 正弦波 ...... 2段階の連続変化


* 入力 鋸波 ..... 同様



2parameter shaperはODDとEVENのparameterにより奇数と偶数倍音を独立に付加できます。  波形がクリップした後の折り返し方は shaperと同じで、amount levelが大きくなれば 波形はやはり 上記と同様formant波形になります。

奇数倍音の付加は non-linear tableがdiodeの特性ような指数関数をしたものを使えば 実現できそうですが。


* 入力 正弦波 ...........奇数倍音の付加


* 入力 正弦波 ...........偶数倍音の付加



WRAP
上記 shaperと同様波形がクリップし始めるとクリップした波形部分が折り返しますが、 クリップした波形部分は絶対値が逆の値から折り返しが始まりそれが amount levelと供に に進行します。 この為鋸波を入力すれば折り返しが進行すると新たなスロープが生成され 鋸波のピッチが1.5倍にUPします。 さらに amount量をふやせばどんどん新たなスロープ が発生していきついにはノイズのような波形になります。

鋸波入力の場合、新たなスロープが完全に生成される中間の波形は analog synthでいうと CEM3340(#1)のhardsyncのような波形です。  この為 入力波形を鋸波として parameterを EGなどで変調させると syncサウンドを簡単 に発生させることができます。 この syncの音は通常のhard sync音と異なり上記のように CEM3340の sync音になるので通常のsyncに加えてバリエーションが加わることになります。


* 入力 正弦波 adjust=-30db  折り返しが逆の振幅位置から発生


* 入力 正弦波 adjust=-20db  折り返し部分が増大 両脇の波形が追いやられ鋸波状に


* 入力 正弦波 adjust=0db  上記現象の連続の結果


* 入力 鋸波 adjust=-28.5db  折り返しが逆の振幅位置から発生するのは同様


* 入力 鋸波 adjust=-20db  折り返し部分と両脇の追いやられる波形が同様の波形になるのでピッチが上がる


* 入力 鋸波 adjust=0db


*#1: CEM3340 VCO IC chip



* Sync


analog synthの hard sync effectを実現する機能です。  波形は DSP oscillationのSAW波(master/slave oscillator)が自動的に割り当てられ PCM波形は使用できなくなります。

parameterは 2基のoscillatorのpitch controllである為2 DSP blockを消費します。  残りの DSP blockを 2pole LPFに利用すれば analog synth的構成の Syncが実現できます。



* Waveforms With Non-linear Input


SAW+DST
SAW+SHAPE

distortion、 shaper機能に SAW波の発振機能を追加して外部入力無しでも 波形の生成ができるようにしたものです。 この場合可変要素は SAW波の 発振周波数のみで shaper, distortion levelは固定です。

この為このfunctionのみでは出力波形は鋸波に上記のfunctionが一定レベルでかかった ものでしかないので変化しませんので通常は入力に他の音源を付加して使用します。

SAW+Shaperを単独で使用するとSIN波が発生します。(#1) これはshaperに鋸波を入力して かつ amount levelを調整するとSIN波になることを示しています。  これに外部からSIN波を入力すると出力波形は 2-OPの FM音源とほとんど同じ結果が 得られます。

・#1:Shaperの項で説明したように、入力鋸波で折り返した結果がSIN波なる値に固定
  された値のsharperがあらかじめ用意されていると言うこと。


つまり shaper単体ではキャリア周波数=0のFM音源に近い動作であったのに対して、 SAW波をイニシャルで与えておいて amount levelを調整して初期状態で SIN波を 生成しておくことにより、変調度0の 2OP FM音源と等価にしておくわけです。  その状態から 外部入力のSINで変調をかけると FM音源と同じ動作をするわけです。  おもしろいですね。( 別名 KFMとかと呼ばれているようです。 )


* 入力 正弦波(SAWとpitch同じ) ..... 2op FM音源変化と同様


* 入力 正弦波(SAWとpitch同じで変調度大(GAIN大)).....周波数が倍に


* 入力 正弦波( SAWのpitchの2倍の周波数) ..... 矩形波似の波形が出現

SIN波と SAW+Shaperの間に GAIN functionを加えて入力レベルを調整することで出力 波形を変化させられます。 つまり外部入力がFM音源のmodulator入力になるわけです。

* FM音源 ......... SIN{ 2πFcl*t + GAIN*SIN(2πfm*t) }
* KFM ........... SHAPER{ SAW*adjust + GAIN*SIN(2πfm*t) }

イメージ的には上の二つの式の結果がにたような結果になるということです。  鋸波との加算という点では phase - distortionとか phase - modulationとも似ています。


・ Shaper単体:
     キャリア周波数0Hzの 2OP FM音源と等価 (モジュレーターにPCM可)
・ SAW+Shaper: 通常の 2OP FM音源と等価(モジュレーターにPCM可)

別pageの analog synthの項目でFM音源の基本原理や、キャリア周波数を0Hzにした時の挙動等について書いていますが、KFMの参考になるかも知れません。

* analog Linear FM etc



Shape mod OSC
X Shape mod OSC
+ Shape mod OSC

functionに内蔵のSIN波oscillatorと外部souceを元に加算、掛け算された波形に対して shaperが 機能します。 Shape mod OSCは掛け算、足し算が同時に行われるようです。

すなわちmodulator波形が SIN波ではなくPCM波形でもない、多少複雑な波形を使用した2OP FM音源。




* Mixer With Non-linear Input


FM変調に対してこれらのfunctionでは AM変調が行えます。  デフォルトの AMP blockはAMP EGが接続されおり audio帯域の 変調はかけられませんが以下の functionでは audio帯域の変調 がかけられます。

X AMP
X GAIN

基本的に ring modulatorのような 4象現のAM変調のようです。


* 入力 正弦波( pitch 1:1) .... 全波整流波形に(周波数2倍)


* 入力 正弦波( pitch 1:2 )



! AMP

これは AM変調でなく 2っの入力信号をMIXした後 gain parameterに より振幅を増減されたものが固定値の shaperに入力されます。



Amplitude Modulation
AMP Modulated OSC

これは 2象現の AM変調のようですが。 AMP Modulated OSCの方は一方の SIN波oscillatorを内蔵しています。


* 入力正弦波( pitch 1:2 )


* 入力正弦波( pitch 1:1 )



* VASTの functionは1991年時点での DSP powerを利用したprogramということもあって 1voiceあたり 4pole filter 1個の機能を実現するだけで powerを使い切ってしまいます。  この為かfilter以外では 上記のような比較的DSP powerを必要としないような non-linear系の functionが多くなっています。

源波形にEFFECTをかけるということでは insert EFFCTにも似ていますが、insert EFFECTがpart単位 でかかる(すなわちPOLY phonic音)のに対してVASTの効果は 1Voiceごと(単音)にかかることが特徴な ので1VoceのKey変化に対してトラッキングをかけることなどが容易と言うことです。

K2600以降の機種では VASTはTriple Modular Processing (Triple mode )が可能となり最大 3Voiceの DSP powerを共用できるようになったため VASTの有用性が向上しています。 また PC3シリーズから はDynamic VASTとなりユーザーが自由にVASTの構成をEDITできるようになりよりModular synthのよう な構造になりました。



・KEYMAP/PITCH


通常の synthで oscillatorにあたる部分で、K2000では 機能別にKeymap/Pitchの2っの PAGE(block)に明確に分割されています。

Keymap PAGEはいくつかのPCM sample dataで構成される 1っのkeymapと Key(note No) の対応を扱う部分で、対応波形グループ(Keymap)の選択、 Edit、 Transpose、 Playback mode、timbre shift等を設定できます。

Pitchは通常の synthでいうところの Oscillator modulationにかかわる blockです。

Keymap PAGEにあるTransposeと Pitch PAGEにある Pitch Coaseはどちらも半音単位で、 Key(鍵盤)もしくは MIDI note noと再生音の音程の対応を標準から+/-変更するものです が、

Transposeは単に そのkey(note no)の値をoffsetされた結果として音程(key map位置)が シフトされて再生される( たとえば半音transposeを下た場合、C#4のKeyを弾いたのに C4に対応したkeymap位置の波形が再生される)のに対して、

Pitch Coaseの場合は そのKeyに対応するkeymapの sample波形の再生 pitchを さらに+/-変化させる(つまり 静的 pitch modulation)という明確な違いがあります。

普通の synthの場合このようなparameterは Osciilatorの parameterとしていっしょく たに扱われるため違いを意識しませんが、K2000では別々に扱います。

KEYMAP PAGE
Playback modeは FWD/RVRS/LOOPの他に Noiseという項目がありこれを選択すれば oscillator はnoiseとして機能します。

K2000は samplerでもあるためこの KEYMAP PAGEでK2000内に存在するROM/RAMのPCM data の Keymapへの割り付け、PCM sound block parameterのeditも行えます。  つまりユーザが PCMのkeymapをいじれるわけです。

K2000のkeymapは 複数のkeymapを velocityで選択できる機能( multi velocity keymap) がkeymapの段階で構成できるので、通常のsynthのようにこの機能の為にわざわざlayer を作ってvelocity SWで切るかえるというようなことをしなくてすみます。

Timbre shifthはおそらく K250/K1000の時代からある機能かと思いますが、 動作としては上記のTransposeと同様にたとえば shiftを-1すると C#4の鍵盤 を弾いても C4位置のkeymapが呼び出されます。  但しその際再生する pitchは C#4の pitchで再生するというもので、 再生pitchは同じでも含まれる 倍音は上または下の keymap位置に対応するPCM波形 のものとなり、keymapの構成、shift量によっては再生される sample波形が別の 領域の物になったりするので音色が変わります。(当然keymapの構成によっては 変わらない場合もあります)

key trackingは標準で鍵盤間が半音に変化するように、100ct/keyとして Keyとkeymapの対応を取っています。  この値を0/keyにすると全てのkeyはC4(keymapのC4に位置するPCM波形)で発音します。


PITCH PAGE
これもひとつの DSP blockですので、他の DSP blockと同様の modulation parameterに統一されています。

この pitch pageにも上記の keymapと同じ key trackingというparameterがあります。   通常の使用では ここでの key trackingは0にします。  この値を0以外にすると Keyに対応した静的 pitch modulationがかかる為、 C4を基準としてその値が key毎に加算/減算されます。

特殊な使い方として上記のKeymapの key trackingを0、 このpitch pageの key trackingを100ct/keyにすると Keymap 機能による sample dataと Key(note No)の対応が動かなくなりますが、 pitch modulationとしてのkey trackingは効いているので、 C4位置に対応するPCM sample波形 1っで全ての音域をカバーするように、 このsample波形のpitchを可変することで再生音を得るため、multi sampleされて いるkeymapであっても1っの PCM波形しか選択されなくなります。 ( 1 sampleの伸ばせるpitchの上限を超えると発音しません)

普通の synthではこれらのparameterは表に出ない要素ですがK2000では素で出して しまっているところが面白いところで、keymapとpitch の両pageの key tracking をうまく調整することで multi sample構成の keymapにおける portament使用時 のre trigger(click noise)減少を軽減することができます。

** K2000ではportamento時、portamentoした2音程間においてkeymapが multi sampleで構成されている場合は 2音間をスライドする途中で multi sampleの各 境界で新しいsampleを読む為 一度re triggerしてしまいます。**



・AMP/OUTPUT


通常の synthで AMPにあたる部分です。   K2000では AMP sectionと OUTPUT sectionに分かれています。 

AMP PAGE
AMP sectionでは 5番目の DSP blockで、振幅にかかわる modulationの指定と、 全体のレベルを調整するAdjust、AMP sectionの前段の gainを調整する padが指定でき ます。 この sectionにおける velocty/key trackingは AMP Envelopeに作用します。

OUTPUT PAGE
OUTPUT sectionは 出力先の選択、PAN、 cross fadeの設定を行います。  cross fadeは対象となる modulatorの選択が可能です。   stereo sampling 波形/double output algorithm 時は parameterが通常と 異なります。 PANは MIDI/FIXED/AUTOの指定ができ AUTO時はKey NoにPANが対応します。



・COMMON


各 Layer共通にかかわる部分で pitch bend range、mono/poly 選択、legate/ portamentの指定を行います。  また kurzweil伝統のmodulatorの local/global modulationの選択を 行います。



・FUN


LFO、 EG等の modulatorは直接 modulation 先に作用する以外に、 FUN (function)と呼 ばれる関数を通すことによって、出力をさらに複雑にすることができます。

通常 a,b 2っの modulator入力を元に下にあげた functionを通すことで結果を得、それ が各 matrix modulationの 先に作用します。

 ・a+b
 ・a-b
 ・(a+b)/2
 ・a/2+b
 ・a/4+b/2
 ・(a+2b)/3
 ・a*b
 ・-a*b
 ・a*10^b
 ・|a+b|
 ・|a-b|
 ・min(a,b)
 ・max(a,b)
 ・Quantize b to a
 ・lowpass(f=a,b)
 ・Hipass(f=a,b)
 ・b/(1-a)
 ・a(b-y)
 ・(a+b)^2
 ・sin(a+b), cos(a+b), tri(a+b)
 ・warp1(a,b)
 ・warp2(a,b)
 ・warp4(a,b)
 ・warp8(a,b)
 ・a and b
 ・a or b
 ・ramp(f=a+b) etc....
 ・caos LFO
 ・sample b on a
 ・track b while a
 ・transistor
 ・diode



・内蔵 modulator


 ・LFO 1/2
 ・ASR 1/2
 ・FUN 1/2/3/4
 ・Vtriger 1/2
 ・Amplitude Envelope
 ・Envelope 2/3


EG
Envelope Generatorは、attack segment 1/2/3、 decay segment、 release segment 1/2/3、 loopを持つ EGで、attack/decay/releaseそれぞれに velocity/key tracking及び matrix modulationが可能です。  Amplitude Envelopeは amp専用の EGで Envelope 2/3は汎用の EGとなります。  

K2000においては PCM波形と Amp EGは組になっており、たとえばPIANO 波形のROMを選択する と、あらかじめ presetされた natural Envelopeとよばれる、Amp envelopeが呼び出され るようになっています。

もちろんnatural Envelopeがきにいらない場合にはedit できます。  このように、 PCMと EGが組になって管理されているので、波形を選択する際などにとりあえず は EGを意識することなく、手っ取り早く soundが聞けるので便利です。  


LFO/ASR
LFOは位相を選択でき、非常に多くの波形を持ち、rateをmatrix modulationできるタイプのものが 2基用意されています。

ASRは attack/sustain/releaseを持つ簡易 EGでいくつかの modeを持つものが 2っ用意されています。

LFO/ASRは、 Global/Localの指定が可能で、Globalに指定した場合 Layerされた program 全てに作用し、Local指定の場合はlayerされた programの一つのvoice作用します。


VTRIG
Velocity Triggerは Attack Velocityの強さ(速さ)が VTRIGで設定された値(8段階)に達したとき にON/OFF信号を発する機能で いわゆる Velocity SWで、普通の synthなどでは layer voiceの velocity SWなどに使われたりしますが、 K2000の場合は それが 2系統ありかつ modulatorとして 独立しているので、より柔軟にいろいろな用途に使えます。



・matrix modulation


各 DSP blockに対して 2っの matrix modulationが可能です。

 ・modulation1 ..... SRC/Depth
 ・modulation2 ..... SRC/Depth Controll SRC/ Min Depth/Max Depth

modulation1は普通のタイプで、 modulation2はより高機能で depth controllが固定値でなく depthに対しても matrix modulationが可能であり、さらに Min/Max値の limiterを有しています。

matrix modulationの sourceは非常に豊富で、EG、LFO等の内蔵 modulator、 MIDIの各 message 等、 K1000時代からのものを継承しつつさらに、現在の発音数、sampling rate等、いくつかの内 部の管理情報も使用できるようになっています。

 ・多くの MIDI controll change NO

 ・内蔵modulator
  * LFO 1/2
  * ASR 1/2
  * FUN 1/2/3/4
  * Vtriger 1/2
  * Amplitude Envelope
  * Envelope 2/3

 ・Channel Status
 ・Mono Pressure
 ・Pitch Wheel
 ・Mod Wheel
 ・Channel Count
 ・MIDI Sync
 ・MIDI Clock
 ・Random
 ・Note State
 ・Key State
 ・Key No
 ・Attack / Release velocity
 ・Polyphonic Keypressure
 ・Velocity Trigger
 ・Sample Playback rate
 ・Attack / release State
 ・etc...........



・Program/Layer/Setup


1っの音色 programは最大3っの voice elementを layerで重ねることができ、一般的な voice delay、有効key範囲の指定、 cross fade等が可能です。 

programは normalと drum programがあり、drum programは通常 drum channelに指定され たchannelでのみ有効です。

drum programは最大 32の voiceを重ねることができます。  K2000では normal programと drum programの違いは重ねられる voiceの違いだけで、 それ以外のすべての program parameterに区別、制限はありません。

Setupは 任意のprogramを最大3っ組み合わせた performance presetで、それぞれのZONE, MIDI channel、共通 Effectの選択等を設定します。

program、setupはそれぞれ1000(999)個まで管理可能です。  K2000では 1 program sizeは可変長で大きいものは 数Kbyteにもおよびますので、 場合によっては 1000(999) programが格納できない場合もあるかも知れません。 K2000のprogram mapは option ROM 2個を付けた状態では以下のようになります。

  001-099: default ROM image
  100-199: default ROM image
  200-299: user
  300-399: user
  400-499: user
  500-599: user
  600-699: user
  700-799: user
  800-899: ROM option B image
  900-999: ROM option A image

1000(999) patch中 400 programが factory presetとして占有します。  1000(999)個のエリアは基本的には RAM領域ですので、ROM imageの factory preset も user programに置き換え可能です。

K2000の battery backup RAMは PRAMと呼ばれる最大740Kbyteの S-RAMですが、 容量が大きいためか、 back upの電池は普通の単三電池3本を用いるというユニーク なものです。

PRAMは program、 setup以外にも sequencer data、quick access bank、 effect program等にも使用されます。



・電源/ FAN


K2000の筐体は大変スリムでかるい物ですが、その中に非常に多くの boardが内蔵されています。

 この為 option board類を追加しない状態では FANを内蔵する必要はありませんが、 option boardを追加した場合は FANを必要とします。 この FANは初期のものは 大変騒音が大きく問題のあるものでしたが、その後びっくりするくらい、大変騒音の小さいも のに改善されました。



・Sampling Board


sampling optionを追加すれば、K2000は完全な samplerとして機能します。   サポートしている入力は以下の通り。

・ DIGITAL  SPDIF
・ DIGITAL  AES/EBU (IN/OUT)
・ ANALOG   29.4/32.0/44.1/48.0K

面白いことにこのboardを搭載することによってデフォルトでK2000のmain outputの出力がANALOG INに入る構造になっていて K2000 analog out --> A/D -- sampling board -->Digital Outという経路でK2000の出力が Digital OUTできる構造になっています。 純粋にK2000の出力がダイレクトに digital outできるわけではないですが、結果的に digital dataとして coaxial cabelに出力できるわけです。 

このことはK2000の自分自身の出力をsamplingできることでもあります。 また coaxial出力は RCA CableでなくXLR cableとなっています。 このsampling board に対応した OSは ver2以降になります。

MY K2000
K2000R
K2000ふたたび


・雑誌掲載記事


雑誌等で得られるKurzweil情報としてUSAのKeyboard誌やKeyboard Magzineの記事がありますが結構Page数を割いた有用な情報もあります。 ここではKeyboard magazineの "シンセサイザー・メーカーの軌跡"というシリーズの KURZWEIL編から一部を紹介します。

当時のKurzweil社のチーフ・サイエンティストの肩書きを持つボブ・チドロウ氏(robert Chidlow)のインタビューが主内容です。この方はK250の開発から参加しているベテランエンジニアの方(物理学者でもあるらしい)でK2000ではVASTの各アルゴリズム等も担当されたようです。インタビュー記事の内容としては

K250とRay Kurzweil氏の人工知能研究とは何の関係もないこと。コンポジットサウンドモデリングを使用したsamplerというのもそうではなくK250は単なるsamplerに過ぎずこれらは投資家を納得させるための単なるうたい文句にすぎないそうです。

K250時代からKurzweilでは OSのアップグレードを前提に開発が進められているがこれはマンパワーの問題からすべてをいっぺんに開発できないので小出しで対処の結果であるがそれはまた製品のライフサイクルを長くすることができ無闇に新機種を量産しなくてすむこと、現行機種を進歩させることにあるという話。 これはとても納得のいく話だと思いますし実際K2000が毎年進化していくさまをユーザーとして感じていましたしupgradeが当時とても楽しみでした。

K1000シリーズはK250の機能をcustom Chipに集約した物で基本K250とK1000はとても近いそうです。

K2000の開発当初、16Bit samplerでなくK1000と同じ12Bitと言う案もあったが結局16Bitにしてよかったことやsample RAM容量MAX 128Mbyteは当時はオーバースペックだと思われていたこと。 実際K2000ではsample RAM容量は MAX 64Mbyteですが Calvin chipでは128Mbyte、Janisでは256Mbyteまで対応できる仕様のようです。

K2000の Sound Engineとしての Software Program codeは K150に採用されたRealtime EngineがベースになっておりそれがK1000でも使われ、その一つが強力な matrix modulationであるmodular Effect。K2000ではそれらが改良されて使われているそうです。

K1000ではそうはいっても filterを持っていなかったので十分恩恵にあずかれなかったこともあったためK2000においては Dynamic filterのアルゴリズム開発には他社より時間を割いておりChidlow氏が2年の歳月をかけたオリジナルアルゴリズムが使用されているとのこと。特に2poleのLPFアルゴリズム開発には苦労があったそうです。K2000のVASTは filterのみならず色々な機能があるためよりmodular Effectも有効に使えるといったことなのでしょう。

K2000のVASTはcustom LSIのHobbosによって実現されており、HobbosにはMicro codeを格納するRAMが用意されているのでDSPアルゴリズムはあとからRAMにロードできることによる拡張性を有していること。当時は設計者が意図しなかった形でうまく使われたアルゴリズムもあるという。 具体的には2para Shaperなどはアコースティク楽器に使おうとは考えもしなかったが現実には木管楽器やチェロに使うと張りやアタック感がよくなるそうです。

最後のページでは K2000の紹介VIDEOでもおなじみなGeoff Gee氏が Sound Designについて語っている記事でしめくくられています。

1997当時のKeyboard Magazineにはこのようなハードよりの記事がまだ掲載されていて、このシンセサイザー・メーカーの軌跡シリースは国内外のsynth設計技術者のインタビュー記事が読める貴重なシリーズで毎回楽しみな内容で当方もだいたいの記事はいまだに持っています。

USA Keyboard 誌 1993年2月号のK2000 The Possibilities are VASTの記事も13Pageにおよぶ気合の入った記事でした。13PageですがKeyboard magazineの記事などに比べると字の密度は2倍以上あるので結構大特集で著者はこれまたK2000の紹介VIDEOでもおなじみなJennifer Hruska氏。自分がこのようなpageを書いているのもこの記事に感化されたのが原因であると思います。

K2000の記事といえば一連の 亀山兎之助氏の記事もよかったです。”K2000はアナログ・シンセを凌駕するか” と言うフレーズが思い出されます。

最新楽器徹底チェックK2000の時は初登場のK2000についての概要解説ですが著者のK2000に対する期待が強く感じられる内容、 PRODUCT review K2000R version 1.3の記事の時は初めてのK2000のVer.Upの内容とK2000R登場時の解説、Ver1.3になって初めて P-RAMの存在が明らかになりました。それを知って速攻で入手たくなりましたがまた輸入元の鈴木楽器では対応がなかったので輸入品を取り寄せることになったことを思いだします。同時に発売になったKurzweilのライブラリーFDDも購入しました。

 


あとはK2000発売直後の1992年3月号のUSA Keyboard誌のK2000のレビュー記事。 Jim Aikin氏による約10pageにもおよぶ記事が印象に残っています。レビュー記事としては異例に長い記事でした。


・K2000参考文献


・Kurzweil K2000 Synthesizer / Jim Aikin (1992/3 Keyboard USA)
・K2000 THE POSSIBLITIES ARE VAST /Jennifer Hruska (1993/02 keyboard USA)
・Kurzweil K2000 Sampling Option / Michael Marans (1993/6 Keyboard USA)
・最新楽器徹底チェックK2000 / 亀山兎之助 (1992/05 keyboard magazine)
・PRODUCT review K2000R version 1.3 software / 亀山兎之助
           (1993/02 keyboard magazine)
・シンセサイザー・メーカーの軌跡 Kurzweil/ (1997/03 keyboard magazine)
・K2000 manual
・Kurzweil Web site
・K2000/R service manual
・K2661 schematics
・K2500 servicemanual
・K2600 service manual




MASS[ies](Multimedia Audio Sample playback System[Integrated effects& sampling])

主にPC用の Sound Card(Board)に使用されている Chipですが、Kurzweil自社のPC88 にも使用されています。

現在2タイプの sound chipを使用した製品が存在します。



・HOMER / MARGE ?


PC-88/ PC-88 VGM board/ Micro PIANO / AVM Summit など で使用されている物で、2 Chipの VLSIで構成されており、32Voiceで  voiceごとに filterを装備し、Effectは全voice共通にかかるタイプで Reverb、 Delay(Chorus)を装備しています。(詳細不明)

* AVM summmit
* Micro PIANO



・MA-1(multimedia audio processor chip)


Turtle beach Pinnacle、 AVM Apex等の sound cardに使用されています。

Kurzweil K2000の VASTの sub set的内容の chipで、32voice、 2filter、 channelごとに独立した reverb、chorus sendを持っている effectorを 1chip に内蔵しています。

Synth chip: Kurzweil MA-1
PCM ROM: 2M(4M圧縮)
Voice: 32voice
Filter: X2.. resonant dynamic 2pole LPF/ 1pole LPF/HPF/ Distortion/Oscillator(saw/sine)
CPU: 68330
DSP: 56002
FX: Ch Reverb, Chorus
Sample RAM: Max 48Mbyte
Wave blaster Header
20Bit A/D, D/A
S/PDIF IN/OUT option

CPUはK2000の68301より新しい68330使用ということもあってかModulation系はK2000より高機能になっています。


* Turtlebeach Pinnacle


* digital I/F

内蔵PCM 2Mbyte(4M圧縮) Sample RAM MAX48MbyteのPC用音源board。残念なことにK2000のPRAMに該当するprogeam memoryが12Kbyteしかない。


使い勝手のあまりよくないpatch editor(WIN95/98時代の)が付属しています。Sample RAMを取り付ければ8Mbyte程度の外部Sample dataを取り込めるのですがK2000等のPCM Dataを取り込める機能はなく実際はTurtle beachが用意したいくつかのPCM dataが利用できる程度。MA1は後にMA2となりPC1/PC2等に搭載されているのでMA1 chipの実力はありそうなのですが有効利用できる環境にはないのが残念。MA1に関してはドキュメントがいくつかnetで発見できます。

*Portable Synth Engine:
 MA1のarchitectureを説明した物。
 MA1= Marbelという表記がこのDOCにあるのでMA1とMA2は同系列のchipであろう。


* Pinnacle patch editor(Layer Page)


*BANAK Page


* KEY MAP Page


これを利用した音源module/keyboardがあってもいいような気がしますが製品としては存在しないようです(未確認)。

MA-1 Chip使用の TurtleBeach Pinnacleの Voice(Layer)構造を示します。 AVM technologyの Apexも同様です。


このAVMのsound cardは発売後いち早く個人輸入で購入したのですがPCのmather boardとの相性かApex board自体の問題かどうやってもコンフリクトして動きませんでした。 初期不良かと思いましたが輸入購入というこもあって業者の対応も悪く結局あきらめ。 しかたがなく再度輸入購入、こんどはApexよりも2倍以上価格の高かったTurtlebeachのPinnacleを購入。 こちらの方は難なくMA1は動作しました。 この当時は国内の輸入業者も両sound cardは扱っていませんでしたが数年後にPinnacleはTurtlebeach製ということもあり取り扱う業者が出てきたように思いますが国内ではほとんど知られていないKurzweil製の音源です。 当時のISA bus用のsound card等いくつかのboardは扱いがたいへんだった物がいくつかありました。


余談ですがturtlebeachの初代sound cardはMultisoundという名称でこれにはEMUのproteus1 XR相当の音源が搭載されていました。 確か1992年ごろだったと思います。 ・Turtlebeach Multisound Card(Proteus音源部分).....後の WAVE Blaster Iとほぼ同構成の音源部。

これはpinnacleよりも高価で当初$700程度はしたと記憶していますがproteus XRがこの価格で手にはいればとても安いと考えられる時代の製品でした。


・KEYMAP(sound block parameter)
 *SampleStart
 *SampleEnd
 *LoopStart
 *LoopEnd
 *LoopON
 *De-Thump
 *AMP
 *RootKey
 *RKFine
 *Atk.Segs.


・NO of Modulators(Global/Local)
 *Envelope
 *LFO
 *FUN
 **全部で local 8個/global 8個max

Matrix Modulationは動的に8個まで生成可。不必要な場合は生成されない。 但し 1layer全体で8個まで。K2000より合理的な設計。



Layer Parameter
* layerは Max 32まで可能

・PITCH Module
 *Detune (Matrix modulation)
 *Coase
 *Fine
 *ModulatorList ..... ModulatorList(Matrix modulationは8個まで可能)
  InputCtrl
  Min
  Max
  Depth

・FILTER Module(1&2)
 *Config (null/1LPF/1HPF/part1of1LPFw-reso/part2of1LPFw-reso/AddSAW AddSINE/Distortion)
 *Coase
 *Fine
 *Velocity Track
 *Key Track
 *ModulatorList ..... ModulatorList(Matrix modulationは8個まで可能)
  InputCtrl
  Min
  Max
  Depth

K2000の VASTとはいかないまでも Filter Blockは Filter, DSP Oscillator, Distortionの機能に 切り替えが可能です。 Filterは 2Pole filterまで。


・AMP Module
 *Coase
 *XfadeControll (matrix modulation)
 *Attenuation (osc/filt1 Filt1/Filt2)
 *Velocity Track
 *Key Track
 *ModulatorList ..... ModulatorList(Matrix modulationは8個まで可能)
  InputCtrl
  Min
  Max
  Depth

・Misc.
 *IgnoreNoteOff
 *XfadeSense
 *NaturalEnvelopeON
 *NoiseON
 *Pan
 *TimbreShift
 *LayerDelay
 *ExclusiveZone

・ENVELOPE
 *Controllers
  Trigger (matrix modulation)
  Attack (matrix modulation)
  Decay (matrix modulation)
  Release (matrix modulation)
 *Segment
  Attack数
  Decay数
  Release数
 *EnvelopeSetting
  Time (segment分)
  Value (segment分)

segmentは必要分だけ動的に生成される。


・LFO
 *Shape
 *Phase
 *Rate (matrix modulation)
 *Min
 *Max

・FUN
 *Function
  (Sum/Sum Scale/Diff Scale/Scale3 Add/SCale3 Diff/ultioly3
   Subtract3/InRange/Diode/Track/Sample&Hold/Lowpass/HighPass
  Quantize/AbsoluteValueDiode/Cosine/And/Or/Limit/MaxFun/MinFun)
 *Input1
 *Input2
 *Input3

FUNのinputは3系統に強化されている。

Mini K2000 / K1000+ 的な内容のparameter群です。
matrix modulation / modulatorはK2000より強化されているようです。 これは CPUが68301から68330に強化されているからでしょう。


* ISA BUS 上の Pinnacle sound card etc.

いくつかのsound card用に2018年現在でもISA BUSのPCを保管しています。
左側がPinnacle、右側はCT1920でE-MUのEMU8000 sound chipを使った音源ですがE-MUのproteus2000等ではこのEMU8000chipを音源 chipとしてではなくEffect用として使用しています。

現在はCT1920は取り外し代わりになつかしの gravis Ultra sound を取り付けています。 と言うのもE-Muのsound fontは E-MU の soft synth ProteusX2等で読めるしそちの方が高音質です。 Proteus X2もWinXPまでの対応ですが XP機を用意してあるので問題無し。


* Gravis Ultrasound PnPはよいですね。
* ISA bus PCが生きている間は使えます。
* Ulreasoundの不要なIreqを殺しているのでPinnacleと2枚挿しで使用できています。

*参考文献
・Pinnacle Patch Editor/Manual (Turtlebeach)
・Apex Software Developer's Manual(AVM)
・MASS System Description(May/16/ 1995 AVM & Kurzweil)
・PC88(MX) service manual
・AVM summit manual (日本語/English)
・Keyboard report Kurzweil PC88 1994/10 Mark Vail Keyboard USA


・HOMAC(RAW30/RAW35)


PinnacleにはWave blaster互換のconnectorがあり、pinnacle project sutadioというパッケージにはMIDI doughter boardとしてkurzweil HOMACというboardが追加されていました。 これはKurzweilの2Mbyte SOUND ROMと音源chip+CPUとEffect processorで構成されていて chip自体はRockwell製でRockwellから外販されました。 外販用のICとしてはMA-1より使い易いのではないでしょうか。 sound chipの parameterは公開されていませんのでどの程度のsynth engineなのか MA-1のsubsetかどうか等は残念ながらわかりません。

* RWA30: Rockwell WaveArtist (sound engine+GM processor)
* RWA35: Rockwell WaveArtist (effect processor)

 

RWA30はKurzweil製のsound engineとGM処理用のCPUが内蔵されたchipだと思われます。 両者とも外販chipですがTurtlebeachのHOMAC board以外では使われたのを見たことはありません。 HOMAC boardはとてもコンパクトな構成でした。 kurzweilのsound ROM搭載といえど2Mbyte(非圧縮)のサイズでGM音色をカバーしてるため音はかなり薄めな感じでKurzweilの特徴は薄まってしまいます。 chip自体はROM sampleとは別にsample RAMを8Mbyteまで搭載できる仕様なので本格的な音源になる可能性も持っていたわけなのですが。

所有のboardはXtalの端子がおれてしまい代替のXtalもちょっと発振周波数が特殊なので入手ができず残念ながら音が出せません。



ETC.


・Kurzweil Chip set


ARNORD (12Voice)
K1000(2)/K1200(2)

CALVIN+HOBBOS (24voice)
K2000/K2000R(1+2)

JANIS+HOBBOS (24voice)
K2000J/K2000RJ (1+2)
K2500/K2600/K2661(2+4)

LISA(KDFX/KB3/DSP chain)
K2500(1)
K2600(5)
K2661(4+(1?))
K2500KDFX option(4)
PC2(1)
PC1(1)

HOMER+MARGE (32voice+FX)
PC88/PC88MX(VGM board)/Micro PIANO/ AVM summiit

MA1(32voice+FX)
Turtlebeach Pinnacle / AVM Apex

MABEL2(MA2)(32voice+FX)
PC1/PC2(2)
ME1/KME61/RE-210/SP-76(1)

MARA(64voice+FX+KB3+DSP chain)
PC3(2)
FORTE(2)
SP2/SP4/SP5/PC3LE(1) etc

LENA(128(256)voice+FX+KB3+DSP chain etc)
SP6/PC4/Forte SE/K2700 etc


netにある基板画像、service manualからそれぞれの機種に使われているKurzweil社のsound processor chipを調べてみました。 K2XXXシリーズごろまでは複数chipで構成しておりこの時代では KB3 mode/KDFX/DSP chain等にはLISAが使用されています。 それ以降は機能の統合化、 voice数の拡大されたchipが開発されています。おそらくHOMERとMARGEの機能を統合したものがMA1ではないかと想像しますがいかに。

MA1以降は FXが chipに内蔵されるようになったようですが KB3 mode等が搭載されているPC2はsound chip + LISAの構成それ以降の現行のスタンダードであるPC3等に対してはMARAが使われLISAの機能も内蔵されているようで1chip 64voiceなので64voice機種はMARAが1っ、PC3等の128voiceではMARAが2個使われています。 最新のLINA chipでは1chipで128voiceが実現されています。 ベースとなるprogram構造は K2000シリーズの構造が継承されているようです。

MA1でもVASTのsubset的な機能は内包していますのでそのMA1の改定版がMA2ではないかと想像しますが....。

初代のARNORDが12voiceでK1000シリーズは2個使い、K2000のCALVIN/JANISで倍増の24Voice、K2500/2600では複数使用で48voice、HOMERは32voice、HOMERとMARGEを統合した形?のMA1が同様の32Voice、それの改良型のMA2も32voice、その次の世代のMARAが64voice、PC3等ではこれを2個使いで128Voice、さらに次の世代のLENAは128(256)Voice polyphonyという流れ?。



参考文献
・K2000/R service manual(1992(1992)).....JANIS(Calvin)+HOBBOS
・PC88(+MX)service manual(1995((1995)).....HOMER+MARGE
・K2500/R service manual((19971997)).....JANIS+HOBBOS+LISA
・K2600/R service manual(2003(2000).....JANIS+HOBBOS+LISA
・K2661 schematics((2003)).......JANIS+HOBBOS+LISA
・PC1 schematics(2003).......MABEL2 +LISA
・PC2/R service manual(2004(2000)).....MABEL2 + LISA
・RE-210(KME-D1) service manual(2005(2004)).....MABEL2
・PC3 service manual(2008(2007)).....MARA
・SP2X service manual (2007(2007))....MARA
・Mark ProTwoi service manual (2007(2007))....MARA
・PC3LE schematics(2009).......MARA
・SP4-7 service manual(2011(2010))....MARA
・SP5-8 service manual(2013(2012))....MARA
・FORTE Musician's Guide....MARA
・各基板画像(PC3/PC2/PC2 Expansion/SP4/PC88/PC88MX/K2XXXX etc)


・KME-61


Kurzweil KBD synthで最も安価であったLowend機種KME-61(2003)について触れておきます。  ME-1のKBD versionでいくつかのmaster KBD機能をそなえていますのでmodule版のME-1に比べて使い勝手が格段よいと思われます(*3)。 KBD本体はK2661、PC161といった61鍵と同タイプのものでKey先端におもりがあるタイプを廉価機種ながら採用、形状は同じですがK2000の中間におもりがあるタイプとは異なり、K2000の鍵盤ほど静音ではありません。(*2)  Low costながらaftertouch sensorがついているのと CC=06の data entry sliderが付いているので操作感はK2000に近いです。 なおsliderとmod wheelはCC Noを変更可能でこれもK2000等と同じ。 PC88以降のperformance controllerはmaster KBD機能としてMIDI boardを継承してZONEは4っなのですがこのKME-61は3ZONE仕様でこの部分もK2000シリーズと同じ構成です。

sound chipはMABEL2でこれはPC1やPC2と同様でありますがchipは1個のみ。 sound ROMはPC2のbase setの16Mbyteを搭載(*0)。 CPUは68331、 DACはAK4324VF。 上記のturtle beach PinnacleのMA1 + 68330という構成のversion upのような構成に感じます。 はたしてMABEL-2(MA2)というのはMA1の後継機種なのでしょうか?。

KME-61はPC1とchip構成がほぼ同じでbase ROMも同一なようですが 内蔵FXについてはだいぶ違います(*1)。 OSのROMはさすがにこの時代なのでFLASH memoryになっていますがversion upはユーザー自身ではできない仕様のようです。 最終versionは2.0とのことで所有のKME61もそれでした。  netを見渡してもKME-61の中身画像は発見できなかったのでいくつかを以下に示します。


 
* KME61 engine board          rear bord output付近



*0: この時代で16MbyteとKurzweil synthのPCM ROMサイズはかなり小さいです。
  これはKME-61/ME-1に限ったことでなく他機種でもForte以外は大きくない。
  PCMのsample数が少ないのもkurzweilの特徴ですがPC1やPC2はOptionで
  ROMを搭載できるためそれを前提としてかbase ROMにおいてはない音色も多く
  さらにPC2はKB3 modeを持っていることもあってかbase ROMのprogramでは
  ORGAN音色も充実してはいないです。 KME-61に対して12年ほど昔の機種
  K2000と比べるとStereo sampling音色の追加とTriple strike PF、あとはTake6
  あたりが追加された感じであとは大幅な違いはないようです。
  K2000では option ROMであったpercussion関係はこのbase ROMには結構入って
  いるようです。

  KME-61で外部からコントロールできるparameterはSliderとWheelによるものだけ
  ですがBase PCM ROMと音色ProgramがPC1と同一なのでそれ以上にPC1と同様
  な、PC1のマニュアルにある外部Controller No を受けるものと思われます。
  PC1 はVR controllerが4っに対してKME-61はWheelをあわせて2っという制約から
  表向きはオミットされているのであれば隠し仕様的でおもしろいですが?。

 PC1 Knob / PC1 SW
   A: CC91 / octave
   B: CC93 / CC09
   C: CC06 / arp
   D: CC13 / CC29
   Ribbon: CC21
   Mpress: CC33
   MWheel: CC01
   Pedal: CC11

* KME61との対応
   Ribbon --> MPressure
   Knob C --> Data slider
   Knob ABD --> 対応無し
   SW ABCD --->対応無し

調べて見たところKME-61でPC1のDのCC13に対応しているprogramと対応していないprogramとがありましたがおおむね対応している感じです。


*1: KME-61ではFXは30種類に対して ME-1は10種類。 PC1では180種類程度
  (実態は2系列FXでReverb 5type/Delay 2 typeと Chorus/Flangerの計9種類
  のバリエーションとコンビネーションで30種というだけで、ME-1とKME-61
  の違いはDelayとflangerがあるという違いだけです。)

  PC1とこれだけ違うとPC1はLISAが搭載でKB3modeは未使用なのでしょうか?
 (PC1の基板画像やservice manualを所有していないので詳細が不明ですが)

 その後PC1の回路図を入手して見るとPC1はMABEL2*2 + LISAであることが判明
 KME-61とPC1はchip構成が異なりPC1とPC2がほぼ同じであることが判明。
 すなわちPC1のFXはLISAも関与しているから豪華ということらしいです。

*2:
  Key Touchは悪くないですが、戻る時の反力が強めで静止前に振動がけっこうする
  タイプです。  同じ先端におもりがあるタイプでもこのような振動があるのは
  手持ちのKBDではCMEの中華鍵盤くらいで国産物のKAWAIや松下のの鍵盤等は
  このような振動は無い。  個人的には真ん中位置におもりのある鍵盤(ENSONIQ
  ESQ-1/ Kurzweil K2000/YAMAHA FS鍵盤)の方が好みです。



engine boardはPC2の Polyphony Expansion BoardからMA2を1個とROM拡張connectorを除いた形に近い構成です。(netを探すとPC2のExpansion Board画像がみつかりますがとても似ているのがわかると思います。) out putのmute回路にはLowCost機種ながら Tr.でなくリレーが使われています。

電源まわりは9V AC - AC アダプターからDigital用+5Vを作り、analog用の+5Vは78L05ACMでマイナス電源用のreg.はみあたらないようですが...。(*) 出力のaudio用のOP AMPは5532が2個のみのたいへんシンプルな構成に見えます。 これはanti alias filterをAKM4324VF内のSCFにまかせているからでしょう。 Sound engine boardは上をKey assignerケーブルが通過するため、全体がアルミシートでシールドされています。 全体的に見て他社のlow end機種に比べてしっかりした作りのように見え好感触です。

*: analog用電源は半波整流 + ケミコンだけの非安定化 +/-12Vのようです。
 78L05ACMは DACのRef.電圧用ではないかと思います。

KME-61のservice manualは所有していませんが同社のRE-210(KME-D1)が(*3)sound engine 部分は KME-61と同じだそうでRE-210のservice manualは入手できました。 RE-210が別名KME-D1というのは非常にわかり易いです。 PC-2Xも別名PC88-MKIIだそうでlooksもそっくりです。

*3:
RE-210は韓国側の設計のようで、CPU(MC68331)、MA2、PC1 Base ROM等のSoundEngineまわりが同様ということです。(電源 DACまわりは異なります。RE-2010はSP付きDigital PFですが出力はDACで変換されるわけではなくDigital AMPにダイレクトに入力されSPにOUTPUTされます。 Line OutとHP Out用にTlV320AIC3100を使用。)


* シールドされたmain基板

これを見てKAWAIのK11もKey scannerの noise対策でmain基板に上記のようなシールドが施されていたことを思い出しました。 時代は異なりますが現行機種時の両者の価格がたまたま同じくらいでした。



*3: program/setup/MIDI/master modeの 4modeを持っています。

基本preset音源なのでprogram parameterのEditはできませんがFX type level等は変更できそれらは同一program Noに対してのみ保存できます。 また各programに対してslider/wheelに割り当てられたparameterのみ可変可能。

program mode:
・preset 音色の選択(2bank:1bankあたり128音色 directにSWで選択)
・presetに対応して MIDI program no / Bank no / CC91 / CC93 / volume値をMIDI出力
・対応MIDI chの note出力、各controllerの出力。
・KBDに対して MIDI CH / Octave / note shiftが指定できる。
・program editとしてpresetに対してMIDI vol./ Effect level/Typeのみ指定ができる。
*: よってprogram modeでは1program音色のvolume値は調整できない。

set up mode
・setup Noの選択(2bank: preset:16+user:16 directにSWで選択)
・最大で3layerまで指定できる。(layerは1っでもよい)
・layer select時 各layerに対応したMIDI vol / prog no / bank noをMIDI出力
・note out / controller out は対応layer CH分出力。
・各layerに対してprog No/note range/shift/volume/MIDI CH/FX send levelの指定
  FX Typeは全体で1っ指定
*: setupmode 時 slider/Wheelに対するCC No /pressure ON/OFF等を変更できる。

MIDI mode
・Local offとなり KBDと内蔵音源がきりはなされる。
・1 page: MIDI Note monitor
・2 page: MIDI OUT select( CH/ BanK/ Prog No)
・edit page: 内蔵音源対して FX type select /各CHに対するFX level/ CH mute指定
  MIDI inとしてFX関係は CC90(Fxselect)/91(FXA L. )/93(FXB L.)を受ける

MASTER mode
・MasterTune / Key touch / bulk data Send /recive / system reset

Diagnostics
・各種Hardに対する自己診断機能
・(+)と(-) Keyを同時に押し電源ONでこのmodeに入る

上記のようにME-1に比べて音源に対しての使い勝手はよいですし、Kurzweilの他のPCxxほどではないですがMaster KBD機能もそこそこ付いているのがわかります。 program No指定がダイレクトにSW指定できるのがメリットかと。  setup mode時がMIDI conterollerとしての機能が多いのでsetup modeで1layer指定で使うのがよいかと。



発売当時からME-1及びKM-E61に使われているSoundChipが何かということに興味がありました。 想像ではMA1 chipがKurzweilの単品synthにおいては使われた例がないことや、LowCost synthの規模からいってもMA1あたりが適任なので、もしやMA1が使われているのではないかと長い間想像していました。

kurzweilによると PC2のbase ROM soundが両者には搭載されているということでした。 PC2の service manualを入手して回路図を見るとsound chipはMABEL-2が使われているのでME-1もMABEL-2である可能性が高いとは思いましたが確証はありません。 たまたまKME-61のmanualの自己診断機能のpageを見るとMABEL chipの動作 checkという項目があるのでやはりMABEL-2(MA2) chipが使われていることが確定、あとは実機で確かめてみたいという欲望はありました。

個人的には MA-1を使ったsound boardを1997年に苦労して購入した思い出があったのでそれの発展系ともいえそうなMA-2 chip使用のlow cost KBD KME-61が中古ですが購入できたことに感慨があります。  現行商品時の価格が$850-程度ということは当時の国内価格は10万ちょっだったのでしょうか。 Low endとはいえそんなには安くないです。

あとはMA1の正式名称が MABELであるかどうかが気になるところです。 netを検索してみましたがMA1に関する情報は自分が持っていた以上の情報は得られません。

 

* MA2とMA1
概観やNo.、製造年からは同系列の chipのように思えますがいかに?。 MA1はVAST部分とP-RAM部分が弱いのでLM用途にその部分の強化したver. かなにかではないのかとも想像しますがいかに?。MA1のドキュメントにMA1=Mabelという表記があるのでそうなのではないかと思います。

MA-1....1995年
MA-2....1996年

PC88/PC1/PC2/KME

PCシリーズの元祖PC88に使用されている ChipはMultimedia用のHOMER+MARGEでkurzweilの主力機種のchipとは異なる系列でMicro Pianoも同音源chip。後継機種のPC1、PC2は同様にメインの機種とは異なるMA2 chipでmultimedia用のMA1 chipの後継だと思われる。PC1、PC2ともににMA2 chip使用でさらにLISA chipが搭載されています。 KMEはMA2 chip 1個と限定化された仕様ですがPC1、PC2、KMEのベースROM(16Mbyte)やMA2 chip使用という基本は同じとなっています。KMEはPCM ROM追加不可ですがPC1、PC2はPCM追加可能、PC2はvoice expansion Card追加可能。 LISA搭載のPC1、PC2ではありますがPC1はKB3 mode不可でKDFXののみ可能。 PC2とKME61のみRack版のPC2R、ME1があります。

SliderKnob、SW類、Mod wheel、LED、LCD等はPC88でのパーツを継承しているのがシリーズとして統一されている感じで好感触です。 PC2Xなどは筐体もまんまPC88と同じ別名PC88MKIIという名称も理解できます。PC88は当時Kurzweil KBD初のAC Adaptor機種でしたが これらの機種も同様にAc-ACAdaptor仕様。


実質8年ぶりくらいのこのpageの更新はKME-61とkurzweil sound chipについてです。 K2000発売から26年経過し自分が買った最後のKurzweil KBD が1995年のPC88なので23年ぶりのKurzweil KBD としてのKME-61購入。  また予期しなかったことにPC用のmaster KBDとしても使えそうです。 というのもKME-61の右端の空きスペースにマウスがおけパネルの傾斜もきつくないのでマウスが落ちることもありませんし奥行きもそんなにないので ASCII KBDの配置も無理がない。 あとは8CH程度のMIDI-faderかVRを用意してあげればMIDI controllerのように使えそうです。

PC3発売から10年以上が経過して最新のLENA chipを使った lowcostのSP6やflagshipのFORTEシリーズが存在するわけですがなぜかジャンルとしては Stage PIANOばかり(実質はVAST synthですが)、国産メーカーと異なりLCD表示装置が前時代的とか(この部分はPC用のEDITOR softで補ってはいるのですが...)、ラインナップが多いわりには選択肢が必ずしも多く無い等の理由でDynamic VAST等は魅力ですがなかなか最新の Kurzweil KBDを購入にふみきれません。 現状では個人的にはFORTE7とSP6しか選択肢が無い。(FORTE7は昔K2000単品(option無し)を購入した時とほぼ同じ価格でSP6の方はPC88購入時と同じ位の価格ですが。) さらには国内ではkurzweilを扱っている業者自体も昔よりもさらに減少とか個人的にはKurzweil synthの購入の敷居が昔より高くなってしまいました。

stge PIANO以外のsynthすなわちPC3シリーズの後継機を熱望したいところですが実質FORTEのVer3などを見るとこれが後継機なのでしょう。 ならばせめて61鍵VersionかSP6の76鍵verの追加を願いたいところですが望み薄。 2018/6月現在、NEWモデルのSP6の国内価格16万でFORTE SEとsound engineは同等はかなり魅力的でkurzweil熱が再燃しそうではありますがもう少し待ってみようと思います。


その後...
上でKurzweil KBD synthで最も安価であったKME-61と書きましたがKurzweilのsiteを見てみると現在の最低価格のKBDにKP-100というYAMAHAのポータサウンドやCASIO Toneのような機種があり、価格は$299だそうでPOP KBDにもかかわらず128Voiceの音源、 Triple Strike Piano対応 LOOKSも中々、この分野は後発なゆえかYAMAHAのポータによく似た作りになっているように見受けられます。  sound chipには何が使われているのか128voiceだともしや最新のあのchipが使われているのか気になってしまいます。

さらに安いKP-70という機種がありこれは32voiceですが1.8万程度の価格だそうです。 この最廉価KBDのChipも気になりますがPCMのsizeがどのくらいかも気になるところです。 もはやKME-61の容量をしのいでいるかも知れませんが....。 最上位のKP-200は約4万とか。 さすがにこれらPOP KBDは国内販売はなさそうですがKP100あたりは欲しいかなと思ってnetに上がっているvideoを聞いた限りではkurzweil色は薄くポータサウンド的な音に聞こえます。(SPからでなくlineどりしているのだと思いますが)  kurzweilのsiteにはsound demoが無いのもわかるような気がします。 一方でSP6のkurzweil siteのsound demoを聞けばその差は歴然です。 しかしPOP KBDにkurzweilも進出というこの状況を見るとさらにFlag Ship系KBDの開発にまわせるMan powerがそがれるようでPC3の後継機種は絶望的に思えてきますが...そうでもないのか?いかに。



Kurzweil PC4

2019年のメッセで発表になったようです。 2019年初頭のNAMMでは4は4でもPC4でなくFORTE Ver4でしたが。 待ったかいがあったか?。 基本SP-6/SP-1の筐体と似たような物を使っていることから軽量でしょう。 YAMAHA/KORG/ROLAND等の軽量KBDと同様の発想でやはり電源は ACアダプターです。 Basicな Hard wareも SP-6/SP-1と同じLENAベース(*2)だと思われます。 液晶はFORTEと同様?なカラー液晶、ここはいまだに国産synthに負けています。 SW類はかなり安っぽい感じでかつてのPC3LEな感じですがSlider * 9 /VR *9、ROMも2Gbyte、User Flash 2GByteで FORTE SEと同じ規模。早い話が SP-6をEditできるようにしてWorkstation Typeにした形。AUDIO IN/RIBBN INも付いています。 AUDIO OUTは2系列。

結局の所、国産のsynthもそうですが基本的なスペックはフラグシップの上位機種と同じにして部分的に下位機種はグレードを落とす商品展開に各社なってきているということで開発リソースの共有化を図っているのでしょう。 256Voiceということでは dynamic VASTの真価が発揮できる仕様だと思います。

個人的には88鍵でなく76鍵がほしい所ですが低価格のシリーズ?であればそれはないかも知れません。 個人的にはプラスチック筐体は好みなので88鍵は置き場に困るということをぬきにすれば買うしかないでしょう。 発売が待たれます。はたしていくらか?、SP6がかなり低価格だったこともあり期待できるのでしょうか。 せめて20万台中半から後半を望みたいがいかに......久々のワクワク感が。

概観デザインはアメリカンでなくアジア的?なことがちょっと残念です。 特にTACT SWの代わりにLowcost品によく使われているおそらく導電ゴムのSWが耐久性があるのか、感触も悪そうなのか気になります。 これでもある程度廉価であればしかたがないかも知れませんがそうでなかったらちょっとやだな。ここらへんのセンスはLOW COSTであってもそこそこなYAMAHAのMODXのSWなどを見習ってほしいものです。

07/24
ようやくPC4の詳細が正式にアナウンスされたようでKurzweil siteにはmanualがダウンロードできるようになっています。 重量は13KgでほぼSP6と同じなプラスチック筐体。 基本forteと同じような機能のようでFM音源部分はモジュレータに対してKeyMapが使える仕様になっているようです。あとは価格がいくらになるか。 但し液晶以外は forte SEクラスであるが256Voice。

08/03
Sweet WaterのサイトにPC4の価格が出ています。 $1995だとか。 SP6の価格が$1295からするとその約1.5倍と言うことになりこれと同じ比率で国内価格が推移するならば25万位で買えるのでしょうか。 上の予想とほぼ同じですが実際はどうなるのか。であればSW類のチャチさも目をつむることもできそうです。 はたして国内リリースはいつになるのか、昨今の状況を考えるとちゃんと国内に入荷するのか心配になってしまいます。

あとは上の方でも書きましたが76や61鍵バージョンははたして出るのか。 Lowcostシリーズとして考えるなさそうですが従来のPCシリーズとして考えるとどうなのでしょう。

10/17
PC4の国内価格は税抜きで25万、税込みで27万5千円だそうで上記の予想が税抜きでは当たりでした。 実際の発売はいつごろになるのか。

11/30
PC4 11/30ようやく国内発売だそうです。 4月の発表から発売まで約8ヶ月。 国産synthのNewモデルの発表から発売までのLAGと比べて異常に長いです。

2021/05/01
SweetwaterでPC4-7の価格を見ると$1799-とありPC4との差は$200-。 単純に鍵盤の価格差のようです。 単純為替レートでいくと約19.6万円。 これだとそこそこお買い得ですが実際国内価格はどれほどなのでしょうか。 おそらく25万前後と予測しますが。

PC4-7の発表が2020年の9月ですから半年たって発売ですが、国内での価格、リリースはまだ発表されていません。 PC4発売時(2019/11月) Kurzweil Japanに問い合わせしたところPC4の76Key versionは発売の可能性ありとのことでした。 個人的には88Keyでなく76Keyが欲しいと思いましたが早くても1年程度は後であろうという話でしたが現実はさらに遅くPC4発売から1年半たって登場です。 かまぼこ鍵盤で重量わずか8.8Kgというのは魅力的かも。 筐体の強度がPC4は弱そうなので88KeyのPC4よりはPC4-7の方が強度的には安心か?。 

2021/05/28
PC4-7の国内価格は231000円で6月発売とか。 税抜き価格で88鍵盤のPC4とは4万円の差。 税込みでは4万4千円の差。 上記予想のPC4との差2.5万より大きい。結構この価格差は大きくUSAの価格差より国内価格差の方が有利です。 これであれば個人的にはPC4-7の 方が魅力的です。

PC4の国内発売が2019年11月なので1年7ヶ月たってやっと76Key versionが発売。 国内synthでは考えられないリリースの遅さです。 自分はこれにまてずPC4を2019年11月に購入してしまいましたが同時発売であれば断然PC4-7を買ったことでしょう。

2021/08/02
7/21にOSのUpdateがアナウンスされました。 Update OS 1.11。 新機能は特に無く Bug FIXが主たる項目のようです。K2000の時代と異なりFLASHなので簡単にup dateもできるのでよいのですが Bug FIXが主たる項目と言うのを見ると、K2000時代よりOSが複雑になっている、開発製品が多いことなどが原因で開発側のpowerはだいじょうぶなのかと心配してしまいます。 というかver upによる機能追加はK2000時代のように期待できるのかと不安が残ります。

2022/05/20
5/10にOSのUpdateがアナウンスされました。 Update OS 1.12。 新機能はほぼ無く 今回もBugFIXが主。 ほぼ同様な仕様のForte/K2700/Pc4SEも同時にOS update。

2022/08/01
7/26付けでOS update OS 1.13だそうで今回もBig Fixが主なようです。

2023/05/09
OS update OS 1.14
K2700と同時update。 FORTE/PC3がline upから消えてしまいました。それに較べてDigitalPIANOはとてもたくさん。 これではPC4/K2700のメジャーversion upは望むべくもないような。

2024/01/14
OS update OS 1.15
今回もbugFIXが主なようで新機構は大枠無し。5年目を迎えても大きなVersion UPは無し。
余談:
国内でほぼ唯一のKurzweil販売店と思われるSOUND FIZが閉店とのこと。この先国内でKurzweil製品は購入できるのかと不安になる。メーカー直販とかになるのかも?。

2024/02/17
OS update OS 1.16
1.15からわずか1ヶ月あまり。 bugfixがメインのよう。STDMIDI file type1の出力ができるようになったようです。



Kurzweil K2700

2021/01/17
Kurzweil K2700が発表されました。 K3000ではないようです。 K2XXXシリーズという名称の復活は18年ぶりくらいになるのでしょうか。少なくともperformance controllerという名称ではない。

LIVE用に重点をおいてか筐体の強度を上げて、ACアダプターでない内蔵電源、長いリボンコントローラ付き、鍵盤はFatar、Memory強化、DrumPad追加、USB AUDIO I/F搭載だそうです。 価格は高くなりそうですがエンジン部分はPC4と同一だと思われます。マニュアルをざっと見たところでは大きな差は見られません。 ほぼ同じではないでしょうか。 LCDもいまだにTouch対応でないPC4/Forteと同一なもの。 重量は24KとForteに近い。 デザインはPC4よりはましですがSWはPC4と同じチャチな自照式のゴム接点のSWのようです。 つまるところForteのマイナーチェンジとして見れば納得できるような気がします。

K2700という名称はめでたいですが従来のMara ChipベースからLENA chipの移行過程でのラインナップ修正的な意味合いを感じます。FORTEのMARA chipをLENAにさしかえるべく変えて外観デザインをマイナーチェンジして新Flag Shipにしたように感じるしだい。

基本機能が同様なFORTEとPC4、一方がMaraもう一方がLenaではVer Upするに対してもたいへんではないのかと想像します。 新Flag ShipのK2700が最新のLenaを採用すればその部分が楽になる?。 なによりLenaはMaraの6倍の処理能力があるそうなので、さらなるOS/機能のver. upののびしろがありK2000時代のようにPC4ともども序所に進化してくれれば.....。

2021/05/04
K2700がいよいよ米国で発売のもよう。 Sweetwaterで約$3000- K2000の1991年当時の価格と同じ値。 PC4の1.5倍の価格です。 K2700を新たなフラグシップとすればその普及versionのPC4が2/3の価格とみるべきか。 OSや基本Hard部分は共通でしょうから、おそらく共通にversion upしていくのでしょう。 FORTEとのからみはいかに。  $3000-マシンとしては見た目も安っぽい感触もよくないSWが個人的にはネックです。

2022/01/11
K2700発表から約1年後、国内販売価格 418,000円だそうです。 きょうびとしては大変高価な価格と感じますが30年前のK2000の実売価格が43万(定価48万)でしたのでそれよりは安いですしFORTEよりも安い価格。PC4より15万高いです。



Kurzweil SP7 GRAND

2022/06/10
SPシリーズのnew model SP7登場、Kurzweil初のTouch wide液晶使用機種がやっと登場。本来であればPC4/K2700で採用してほしかった。やはり開発power不足が原因か?。筐体デザインは明らかにPC4よりよいです。 重量もPC4より3Kg重く写真で見る限りPC4より強度がありそう。と思いきや鍵盤がFATERのTP100LRGが原因のようです。ただデザインはもはや昔のKurzweilのイメージはまったく無い別メーカーのようなたたずまい。 マニュアル等はupされていないので詳細はわからずですがVASTではない音源のようです。PCM容量は2GでPC4と同じ容量で256Voice。 LENAとは別系統のCuston ASICが投入されているようです。PC系のVASTとStagePF系が別音源というのは正しいように思います。SweetWaterによると予価$2499とPC4より2割程度高い価格でPC4とK2700の中間。


Kurzweil K2061

2024/02/04
NAMM2024で61keyのK2061というのが登場したようです。はたして新製品となるのか単なる試作機なのか。 個人的にはこのようなコンパクトな機種がほんとうに望んでいた機種ですが。製品化されたとしてSoundFizなきあと国内発売はあるのでしょうか。

2061という型番からするとロープライスモデルかと想像します。PC4の内部を見てもとても基板はシンプルなのでLENA chip使用の初61Key modelとしては期待してしまいますが国内メーカーに較べて商品展開の遅さを実感じます。 k2088というのもあるようですがK2700、PC4との差別化がいまいちよくわかりません。 Kシリーズということで?ACアダプターでなく内部電源のようでよいです。 SW類はかなりちゃちな印象。

しかしPC4発表からすでに5年が経過しているわけでsynthに対してのやる気の無さを感じますが61Key modelが出るのであればやはり歓迎です。理想的にはKORGの最近の製品のようにmoduleが出るのがベストですが....。

2024/03/05
KurzweilのsiteにK2061/88の予告?のアナウンスが。K2000のライブラリー互換をうたっているようです。はたしてK2000のオリジナルPCM dataも内包するのか。 まあK2600のPFのPCM Dataを入れてもたかだか28Mbyteにすぎないので昨今の大容量PCM dataを持つsynthとしては可能なことでしょうし、すでにPC4等の2G PCM dataの中にもK2000由来のものはありそうですし。K2000の.KRZ fileを読み込むことも最新機種でも基本構造が変わらないので変換は楽なのではないかと。KシリーズはSamplerでもあるのでSamplingも可能になるのでしょうか。K2000の資産をKDFXを通すこと、最新の32Bit DACを通してHiFi化といったところか?。少ない変更でセールスポイントを増すには有効な仕様かとは思います。

PC4/K2700等の機種とK2000系列では出音のキャラクターが違うので同じ音はしないと思いますがK2000の資産を受け継ぐことはできそうです。ただこれはPC4やK2700でも可能なことだと思うのですが差別化としての手段なのか。 まだ詳細はわかりませんが、PC4などでもK2000由来のpreset programは皆無な状況ではあります。PC4などの今の機種ではとにかくlayerがあまりの多く10layer程度は普通の状況ですがK2000では特別なprogram以外は多くとも3Layerだった。



K2600以降のKurzweill synthの構造について



K.T
<2021/07/31>
<2021/01/17>
<2020/05/06> LENA Voice数修正
<2020/01/09>
<2020/01/01> K2600以降のKurzweill synthの構造
<2018/05/30> chip set一覧/KME-61
<2015/05/05> 
<2013/06/05> 間違い修正(K2000 hobbes/calvin/janisの項)
<2010/06/03> 追加(K2000 engine/audio説明)
<2004/05/07> KFM etc
<1998/02/08>


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