K2000R


電源が入らないというジャンク品のK2000Rを発売から20年以上たった今、買ってみました。 サービスマニュアルがあるので直せるのではないかと微かな期待を抱き、もし動かなくても基板を眺めることができるし、K2000と共通のパーツも多いので保守用に使えるかもと思いました。

FUSEが飛んでいました。 20年以上たっているのでFUSEの劣化も考えられます。 内部を開けてみた感じは K2000と大幅な構成の差はなく、特に部品が破壊された気配もないので試しにK2000で使用している 1AのFUSEと同様のものに交換して電源ONして見ました。 結果はやはりFUSEは飛んでしまいました。

これはまずいと思いトランスを電源回路がある基板からはずし2次側オープンで再度 FUSEを交換して電源ON。 結果またFUSEが飛びました。 K2000は1AのFAST ACTING FUSEに対してK2000Rは1.25AのTIME LAG FUSEを使用すると明記されています。 TIME LAG FUSEと言うことで突入電流が大きいということなのでしょうか。 両者の回路規模の違いは単に出力DACの数がK2000が2に対してK2000Rが4という違い程度しかありませんのでアンペアはともかくK2000RだけTIME LAG FUSEと言うのも解さないですが。 トランスは同一のものでなくK2000Rの方が大きいです。

TIME LAG FUSEを買おうと秋葉に行き、該当するTIME LAG FUSEを置いてある店をなんとか見つけ 250V/1.25AのTIMELAG FUSEの購入。 TIME LAG FUSE装着後 トランスの2次側無負荷状態で電源ONでFUSEは飛ばなくなったので、次は電源回路のついた AUDIO BOARDを装着したところ見事にFUSEが飛んでしまいました。 やはり基板側に問題ありのようです。 K2000Rは電源基板が独立していないので原因をさぐるにもやっかいです。

K2000Rの電源は+5V系統に7.5V--GND--7.5Vの2次出力がまたアナログ用の+/-12V系統に 14V--GND -- 14Vの2次出力が割り当てられています。 +12VについてはDIGIATLの12Vも大元はここからとっています。 +/-12Vは3端子REG構成で+5V系統はディスクリート構成となっています。 整流回路はそれぞれ 両波整流でDIODEがそれぞれ2個づつ使われています。 +5V系統の整流DIODEは3端子の形をしていて放熱板に取り付けられています。

まずはテスターのDIODEチェックを使って各DIODEを調べて見ると +12V用のDIODEの1っが順方向電圧0Vとなっており導通すなわちショート状態となっているのでここが原因か。 壊れていればオープン状態になるかと思っていましたが、頻度は低いものの整流ダイオードのショート・モード破壊と言うのがあるそうです。 両波整流回路の2個あるシリコン・ダイオードのうちの1個がショートを起こすと、交流波形の半サイクルがショートしたことになりますのでFUSEが切れるのも当然です。

+12Vサイドのダイオードは3AタイプのIN5401が使われています。 あいにく3Aタイプのダイオードは手持ちでないので手持ちの10Aのブリッチの中の1個のダイオードを利用して該当箇所を修復し電源が載っているAUDIO BOARDをつないで再度電源ONするとFUSEは飛ばなくなり、ファンが動き出しました。

これで大丈夫と思いSOUND ENGINE BOARDをつないで再度電源ONても問題なし。 これならだいじょうぶと思い残りのケーブル類をつないで再度電源ONしたらFUSEがまた飛んでしまいました。 これにはあせりました。しばらくして冷静に考えてもまだ問題があるとも思えないのだが。 ここで手持ちのTIME LAG FUSEが無くなってしまいましたが、2Aの普通のFUSEを装着してケーブル類をはずして再度ONすると問題なし。 結局あわててケーブルの接続が2箇所間違っていたようだ。 K2000Rは同じピン数の端子が近接してあり、思い込みで端子を間違えていたようです。 FDのケーブルをつなぐべき端子を間違えて近接するAUDIO IN端子に接続してしまい電源ラインの一部がGNDにつながってしまいショートしたようです。

とりあえずは安心したものの仮つけのDIODEの交換、FUSEの購入と最終的には定常状態で1次側のACにどれだけ電流が流れているのか調べるためにワットチェッカーを購入しょうと 思いました。 後日FUSEの交換、DIODEの交換後、ワットチェッカーを装着して電源を入れると立ち上がり時の突入電流はMAXで1.2A程度、小さい時は0.6A程度あります。 定常状態での1字側電流はは0.5A強程度です。 Full optionの K2000が定常状態で0.5A程度です。 またK2000の方が突入電流は少ないです。 トランスのサイズが少しK2000Rの方が大きいのが影響しているのでしょうか。とりあえずジャンクなK2000Rが動くようになり、一安心です。

発売から20年以上たったさらにはジャンク品ですが当時 full optionのK2000を買った時の価格の1/70程度で入手でき修理の結果ほぼ問題がない状態になりましたし色々勉強にもなりました。

 

AUDIO BOARD側に電源回路がついており巨大な放熱板もついています。 このBOARDには ELのインバーター回路も載っているのですが部品はマウントされておず、実際のインバータ回路は別基板になっています。 SOUND ENGINE BOARDはK2000と同じものですがコネクターの形状が異なります。