70年代/80年代Analog synthのレプリカ



*1998/8 Future Music誌 MINIMMOGのレプリカ

1994年ごろの analog synthの復活のきざしはTB303のクローンの出現現象でもありました。 当時いくつものTB303クローンが販売されていましたが sequencer込みのものは無くAnalog synth部分のみのものでした。(後にSEQ込みのものも登場します)

別の項でも書きましたが1994年ごろ1998年MINI MOOGのレプリカがUKのFuture Music誌に紹介記事が載っていました。 また90年代中ごろからはMOOG Modularのレプリカがガレージメーカの数社から販売になっていました。 現在の3Uユーロラック Modularの元祖Doepferも303のクローンを意識したMS404を発売していましたがこれの内部回路はMOOG rogueにとてもちかいものでした。

このころ今でも活動している synthesizer.COMが登場し MOOGの5U仕様のパネルを用いたModular synthを販売しますがこれはMOOGのレプリカモデルではなくオリジナルのUNIT群です。 当時ここでブランクパネルを購入しました。

またMOOGの元エンジニアが作ったMOOG Custum Engineeringでは90年代、2000年代においてもオリジナルのMOOG Moduleを製造販売していてオーダーがあれば手作りで製作されていました。 さらにはStage Electronicsというメーカーから音源本体は1Uのラックで操作部が独立したパネルのMINI MOOGのレプリカのような機種がNAMM Showで発表されましたが確か発売にはいたらずだったような。


* Stage Electronics MINI(1997年)


国内ではKORGがこの時期 analog synthを復活さようとする動きがありましたが90年代には実現できず、2000年初頭にまずMS20の Soft synthを発表しそれのコントローラとしてMS20のMINI筐体を出現させました。 数年後、学研の大人の科学シリーズで簡易型のリアルanalog synthが登場しますがその流れを受けてというかおおいに影響されてKORGが MONOTRONシリーズを発表、さらにVOLCAシリーズを出すと同時にMS20 MINIというMS20の復刻版を発表します。

その後どういうわけか ARP ODYSSEYの復刻版をKORGが発表するわけです。 大手メーカが過去の他メーカーのsynthのレプリカを作るとはおどろきでした。ODYSSEYということでYMOファンが企画を練ったのでしょうか?。それとも?。  どちらにせよKORGとしては21世紀の時代のanalog synthの製造ノウハウを着々と整えていったのでしょう。さらに2021年になって ARP2600、自社のanalog synthの初号機たるMINI KORG700Sの復刻&機能追加版を発表するにいたります。

80年代に入って国内メーカのanalog synthの優位やその後のDigital Synthの台頭を受けて海外analog synthメーカーは消滅していきます。先頭を切ったのはARPで1980年代初頭, 、経営難で国内メーカー等に身売りを打診しますが国内メーカでは引き取り先がみつからず結局Rhodesブランドが当時ARPが開発したChromaをRhodesブランドから発売します。その後よりローコストなChroma Polarisを日本国内生産という形で発表。 ChromaはanalogVCO Synthとしては実に多彩な音色の出るSynthでした。

MOOGもMemory MOOG発売後はおそらく新製品を出せずこの時代MOOG Rogueなどというローコストなsynthを出してお茶を濁しいつのまにか消滅?。この時期MOOGの名前はゲームセンターのゲーム機器の音源に使われていたようでMOOGのロゴを配したゲーム機があったような記憶があります。  Oberheimも Matrix6以降はMatrix1000を出すもすでにTom Oberheimがかかわっていないブランド名だけのOberheimとなり90年代になって最後にDon Buchlaが開発に関わったというOB-MXをリリースするも消滅?。

最後にSCIですが1980年代中盤、Prophet VSを最後としてメーカーは消滅、技術陣は一時期YAMAHAに移るも継続せずKORGがKORGUSAのR&D部門として引き受けるに至ります。

国内メーカーはYAMAHAが1981年に早々にAnalog Synthの開発を終了、ROLANDは1986年のMKS-70あたりが最後のanalog synth、KORGは1985年のEX-8000か1986年のDSS-1が最後でしょうか。

KAWAIはやはり1986年のK3が最後。 唯一後発のAKAIが1990年代初頭まで analog synthを作っていましたがこれは主にWind ControllerEWIの音源としてのものでした。

ヨーロッパのメーカはどうであったか、詳細は調べていませんがやはり80年代中期まででしょうか。

海外では1990年代Big Briarという名称で Thereminを作っていた MOOGが Moooger FoogarというEffectorを販売した後に2000年代になって21世紀の MINI MOOGたる MINI MOOG Voyagerを発表し社名もMOOGに戻りました。さらには2010年代になって MINIMOOGの復刻版の発売、MOOG 55 35 15などの moduler syntheも限定復刻発売されました。

またSCIがProphet5のRev4を2021年に発表します。実にProphet5発売から43年後の現在。 KORG、MOOG、SCIが自社の過去のモデルの復刻をなしえたわけです。 あとは上記のようなガレージメーカーがいくつかのレプリカを過去に出しました。OberheimのSEMもありました。

互換 synth IC

Prophet5 rev4の登場はCEM synth Chipの復活無しには実現できなかったできごとでしょう。 これらの synth chipも近年になってレプリカが盛んに登場してきていることも10年前には想像できないことがらでした。 CEMの互換 chipは CoolAudio /ALFA など数社から出ていますしSSMのSSM2044などもCoolAudioで製造しています。 Coolaudioはベリンガーの親会社傘下の ChipメーカでCEM3340/CEM3320/SSM2044/SSM2164の互換chipは現在では秋葉の秋月電子でも購入することが可能というとんでもない時代になっています。 とても安価です。

秋月電子で売っている synth IC(2018年から取り扱い)

CEM3340互換 V3340 chip  \980 (SOP) VCO
CEM3320互換 V3320 chip  \480 (SOP) VCF
SSM2044互換 V2044 chip  \260 (SOP) VCF
SSM2164互換 V2164 chip  \440 (DIP) QUAD EXPO VCA
MN3102互換 V3102 chip   \80 (DIP) BBD
MN3205互換 V3205 chip   \370 (DIP) BBD
MN3207互換 V3207 chip   \110 (DIP) BBD
LM13700互換 V3700 chip  \100 (DIP) OTA
AL3201互換 V1000 chip   \540 (SOP) FX DSP

その他 spin semiconductorのFV-1とかPhotocoupler VTL-5C3などsynthにゆかりのあるchipが秋月にある今日このごろ。 3340も結構安いし、 2044などは破格的に安いです。 SOPであることと3340、2044はオリジナルchipを多数持っているので購入することは自分としてはないですがDIYにはかなりの朗報であることは確かでしょう。 そのうち秋月でTempco抵抗、SSM2040や3046も販売となったらすごいですが。

個人輸入というか海外のサイトを使えばCEM3394/CEM3372/CEM3360/CEM3350などCEM3340/SSM2044ほど汎用でない互換chipも購入できる今日です。 DIY的には SOPがちょっとやっかいではあります。 ALFAの chipはDIPもあるので扱いやすそうですが。

SSM chipは80年代当時でもごく限られたルートでは入手可能でしたがCEM chipはその限りではなかったはずです。 40年後の現在これらの汎用 chipでもない chipが互換品とはいえ新品でかつ安価に入手できるのはすごいことだと思います。

* 2023/05/26
秋月でなんとALFAのCEM/SSM 互換Synth Chipが入手できるようになったようです。(05/22から販売)
* CEM3340互換 chip ....AS3340....\380
* SSM2064互換 chip ....AS2164...\650

どちらもDIPであること、3340は380円ととても安価で夢のよう。ALFAはDIPのsythICも多い。今後、秋月で販売される機種がはたして増えることがあるのでしょうか?。40数年前にタイムリープした心境。 CEM3340はたくさん所有していますがA3340はとても安価なので購入してみようと思います。個人的には感動的な出来事。とてもうれしい気分です。

2164はCoolAudioのよりも高い。 AS2164販売になってCoolAudioの2164は取り扱いが無くなったようです。3310/3374/3350/3360/3394/3372/3379等の互換ChipはALPHAで確か製造していますが知名度は3340に比べると下がるので販売されるかどうか。40年前のDIGISOUND80を作って見るのもいいです。



ベリンガーのレプリカ synth

一方ベリンガーが数年前から70年代、80年代の analog synthのレプリカを精力的に開発、販売しています。 とても低価格で販売されており、ほぼ元の回路に忠実なようでLOOKこそオリジナルと全く同じわけではないのが難点といえば難点ですが音的にはかなり満足のいくものがこの時代に低価格で購入できるのはすごいことだと思います。 時代を反映して単体使用の他、3UのユーロラックにマウントしてModuleとして使用することも考慮されている機種が多いのも特徴です。3Uサイズにコンパクト化されているため自分のようなオールドファンからするとこの部分がつまみをいじるにはやはり小さく不満が残る点ですが色々な意味でオリジナルと差別化している点なのでしょう。このSiteでは主に70年代、80年代のsynthの話題を扱っているのでやはりベリンガーのsynth群には興味はあります。

唯一残念なのがこれらのsynthは当時の analogsynthと違い、小さな表面実装部品で作られているので気軽に中身をいじれない点で、高密度な基板の実装を見てもanalog synthというよりはDIY的な要素がほぼ介在できないdigital synthに近いという印象も持ってしまいます。さらには長い目で見ても故障しても自分では直しようがなさそうです。

現状でのベリンガーのレプリカ機種を調べてみると、

Modular Synth
MOOG Modular (55/35/15等の第二世代Module)
ROLAND SYSTEM100M Modular
ARP 2500 Modular
ARP 2600 semi Modular
KORG MS20 semi Modular

よく知られた100MやMOOGについては外観が3Uということもあってかなり物体としては違和感があります。 またARP2600に関してはKORG製のほぼ本物と遜色のないレプリカにくらべてベリンガー製は違和感あり。 自分としては一度も本物を見たことのないARP2500はこの中では本物のイメージを残しつつ、一番違和感がないデザインで魅力的に感じます。


Mono synth
MOOG MINI MOOG(Model D / Poly D)
ARP ODYSSEY
Octave CAT
Electronic Dream Plant WASP
Roland TB303
ROLAND SH101
SCI PRO1
KORG MONO/POLY

MINI MOOG、ODYSSEY、TB303のお買い得感が大きいです。一方PRO1などは当時でも10万ちょっとで売られていたと思いますので鍵盤無しで4万だとお買い得感はないのですがLooksはオリジナルを凌駕しているように感じます。 CAT、WASPはマニアックな機種なので存在価値大。 なんでWASPかと不思議に思いますがWASPはUKでは大変ポピュラーなsynthであったことが原因かと思います。


その他
ROLAND vocoder plus
ROLAND TR808
ROLAND TR606

があります。 TR808のレプリカも大変安価でC/Pは高いです。 Polysynthはまだ発売にいたっていませんが Oberheim/SCI/YAMAHA/KORG等のsynthが開発中のようでその他 Sorina/VCS3/Linn drumなどの機種も開発中のようです。 有名どころはもれなく登場?。 OB8、prophet系はCEM chipの互換 chipが安価に入手できるので早々に登場してくるものと想像できます。 Cool AudioがSSM2044互換chipも作っていることからPPG Wave2.3も標的にはいっているもようです。 2044使用ではKAWAIのpolysynthもありますがそこまで手を出すかは??。個人的にはKORG MS50などもあればいいと思いますが。

この中から以下のものを購入してみました
・Behringer 921B(MOOG modular 921B レプリカ)
・Behringer Model D(MINI moog レプリカ)
・Behringer ODYSSEY(ARP ODYSSEY レプリカ)


MOOG modular 921B VCO(Behringer 921B)


* 当時のMOOG Modular Catalog

MOOG modularはVCO/VCF/VCA等のModuleに基本的にAtt. VRがついていない設計でAtt.は別panelになっています。 VCOは2種類あり921と921A/Bがあります。 921の方は単独で使用できますが921Bの方は基本、921AのOscillator Driverと組み合わせて使用します。

921B単体ではJack 入力は AC MOD / DC MODがありますがこれは LIN FM入力であって 1V/oct入力Jackは存在しません(MOOGオリジナル)。 これは1V/oct INとPWM INは921A の入力を使用するためです。 921Aのout putが複数の921Bに対して並列につながる構造です。 921Aのoutputは -0.5V/octになって921Bに渡されます。 これらの結線は外部に出ていなく内部結線される構造です。

ベリンガーの921Bは上記AC MOD/DC MODに加えて LINK FREQとLINK WIDTHというJackが付いておりFREQは -0.5V/oct1V/oct 入力になっています。 ベリンガーの921AにはCVとPWMのoutputがjackに出ていますのでこれを921Bに対してじゅずつなぎする構造になっています。

MOOGのオリジナルではすなわち921B単体ではFREQ CVは1V/octの信号は入力できない構造になっています。 これに対して921は単体で普通に1V/oct入力できます。

*: MOOGオリジナル921Bとベリ921Bの違い
てっきりMOOGの921Bが内部接続で-0.5V/octなのでベリの921Bも同じだと勘違いしていました。 ベリのマニュアルには1V/octとあります。(現状ではKBDをつないだ音だしはしていませんので間違いました。)

と言うことは921AもMOOGのオリジナルが-0.5V/oct出力のところベリの方は1V/octということです。 そもそもMOOGのオリジナル921Bは1V/octの入力Jackが存在せず921Aを介さなければ機能しないがベリの方は Freq Jackが出ておりここが1V/octになっていて単独使用が可能だということ。 ではあるがオリジナルと較べて CV MIXER用の OP AMPの段数がオリジナルと異なる構成ということでしょうか(*1)。

*1:
オリジナルは921A入力はOPAMPの反転AMPで出力し921B側にさらにOPAMPの反転AMPでantilogampにつながりますがベリの場合921Aと921Bの両方とも1V/OCTなので921A側も反転AMP2段、921Bも反転増幅2段になっているのではないかと想像します。

現実的にはこの方が便利であり、921AをつなげばMOOGのオリジナルと同じ使い方ができるわけだ。ただ921AにMIXER Panel ModuleをつなぐとMIXER module側で反転増幅2段、さらに921A、921B側でも同様に2段反転増幅が必要になり1っのCVがantilogにとどくまで6段の反転増幅OP AMPが介在されることになってしまいなんだか気持ちが悪い感がる。

そもそもMOOGのオリジナルは内部結線で921Aと921Bの受け渡しが-0.5V/octなのであろうか。

以下にMOOGの921Aと921Bの関係を示します。


* 921A/921B分圧フロー

オリジナルMOOG Modularでは内部結線の部分がベリのmodularではユーロラックの制約からJackに出さざるおえないためオリジナルに較べて煩雑というかスマートでありません。 オリジナルのCP3A OSCILLATOR CONTROLLERでは1/2/3/4の入力に対して921Aの初段のOP AMPの(-)端子につながる為passiveですがベリ版ではおそらく2段のOPAMPが入っているものと思われます。またオリジナルの921Bは-0.5V/octで設定されているのをベリ版では1V/octniしているため921Aから921Bへの経路でおそらくOP AMPの段数が増えています。

オリジナルMOOG 921 VCOとCVの関係はとてもわかりずらいので整理してみます。921Aに対してCP3A Pannelが1:1で対応しておりCP3A左側のSW1/2/3/4を介してKBD CV等の固定CVが接続されておりこれが921Aに内部的に接続されています。4はATT.がついてINPUT端子が装備されています。

CP3Aの右側はCV/AUDIO兼用のMIXERでこれは内部的にはどこにも接続されていません。921AにはCVINが3個装備されているのでKEY CV等のCV1/2/3/4以外のCVはここにCP3AのMIXEROUTをつなぐというわけです。 Att.付きのCV INが1個ですむ場合は SW側の4の外部CV INを使えばMIXERは使用しなくていいということになります。

このため921B VCO本体に関しては直接CVを入力することはできず必ず921A OSC Driver側からCVを入力しなければなりません。 すなわち921Aにつながった複数の921Bは同じCVしかかからないと言うMINI MOOGと同様なしくみということになります。 ベリの921Bに関してはその限りではなくオリジナル的な結線もしくは一般的な独立した結線も可能ということです。

MOOG Modular 15/35/55としては MAIN VCOは921A/複数の921Bであって921はLFOとしても利用できる2nd VCO的な存在です。すなわちMOOGのVCOというのはModularであってもMINI MOOGの VCOのように複数のVCOに対して共通のCVがかかる構造で個々の921BにV/octのCVをかけることのできない構造になっています。

さらに蛇足ながらMOOG Modularの特徴としてVCO/VCF/VCA等のAudio信号系のレベルが1Vpp程度のいわゆるAudio信号レベルで通常のMOdular Synthの10Vppとかの信号レベルではないので他メーカのmoduleと共存するような場合の注意点となります。

購入経緯
MOOGのレプリカとしてベリンガーMOOG Modularを構成したいのであれば921A/921Bが基本ですが単にMOOG VCOの音が欲しいだけであれば921 VCOの方がリーズナブルです。 この為当方もベリのMOOG VCOを買うのであれば921だと思っていて、さらに921と921Bはメーカの参考価格はUSAでどちらも$99、国内でも\12700-と同じ価格であればなおさらです。

ところが某所でベリMOOGのModule価格を見てみると921Bが\8000以下で売られていて、 さらに921は\1.5万もする。 他のお店を見るとどちらもメーカ参考価格と同じ\12700程度となっておりびっくり。 この921Bは並行輸入品なのかなんなのか疑いましたが\5000も安いとなれば誘惑に勝てず購入。 届いたものは正規代理店経由のものでした。 ただ取説の紙がどこにも入っていなかったので一瞬不安に思いましたがNETを見ると取説が入っていない場合もあるとのことで一安心。

なんでこんなに安いのかわかりませんが上記のように本来921Aとついで買わないと1oct/V VCOとして機能しないので人気が無いのか?。

基板
当方 Euro ラック synthは持っていないので気軽に動かす環境にないのでまずは早速基板を眺めて見ることにします。以下に C/R以外の主要部品を示します。

OPAMP
072 * 1 (Dual)
4580 * 2 (Dual)
SGM82732 * 1 (Dual)

IC
13700 * 1
3046 * 3
1496 * 1
LM337 * 1
G2C?? * 1 (IC2)

Tr. * 13?

半固定pot
1: FREQ ADJ. *
2: HIGH ADJ. *
3: SCALE *
4: TRI Adj.
5: RECT WIDTH
6: SIN SYM
7: SIN SHAPE
8: PL offset
9: SIN Offset
10:CARRIER Offset
1: oct Scale(panel基板)

オリジナルは OPAMP 6個に対してベリ版は8個です。上記のようにオリジナル921Bは-0.5V/octに対してベリ版は1V/octなのでその関係で余計な反転AMPがあるためだと思われます。

とてもpotの数が多いですがVCO発振周波数にかかわるものは4っ。 そのうち3っが多回転pot。 実際はさらに921Aの方にもpotがいくつかあるので調整箇所が多い印象。 KORGやTeiscoのさらにはCEM3340等のシンプルなVCOと較べると別世界の感がありますが当時の921VCOの国内価格が32万ですのでやはりHigh End VCOなのでしょうか。(921Bは当時19万)


* 4580と3046にはさまれた赤い抵抗が1KのTempcoらしい
* 謎のIC chipは左下のIC2
*oct Adjust potはPanel側の基板に実装(左中央の矢印)

CA3080*2が13700に796が1496に変わっています。 796と言うと山下synthのRing modulaterを思い出しますが796と1496は同じものです。  +/-12VのEurorack電源から-6Vを得るためにSOP 8pinのLM337が使われています。 +12V側はは外部電源の+12Vをダイレクトに使用するわけでないようで10pの電源コネクタの+12v端子とOPAMP等の+Vcc PINとは導通がなく、初めは安価なので?こわれているのかと疑いました。 部品の実装密度が高く、基板のパターンもよく見えないのでどうなっているのか色々調べてみたらこのG2Cと刻印のあるIC2の1端子とVccのつながりを発見。G2C?という謎のICのOUTを介して 供給されるようですが最終的に +電圧は外部印加電圧と同じになっています。 ここらへんはどうなっているのかベリの回路図は無いし基板も複雑なのでよくわからず。



動作 CHECK
Euroラック環境はないですがとりあえず動くことを確認するために手持ちの電源と フラットケーブルのEuroRack コネクタを接続して動作を確認。

RECT Outは90%?程度のPulse波形がWIDTH Jackに何も入れていないと出ています。 またSync Jackに何もささずにSYNCをONすると波形が奇妙に変化します。 これは通常のSynthにはない現象で921B Syncの独特のものなのでしょう。

各波形の出力レベルは1.4Vpp程度ありましたのでSIN波の実効値は1V程度になりいわゆるラインレベルであってROLANDの100Mとかの10Vpp程度の信号レベルとは大きな差があります。MOOG Moduleの集合体で使用するならなやまないでしょうけれど他のEuroRack Moduler等と混ぜて使用するととまどうことでしょう。実際 MOOG modularのAudio信号レベルはこのようなライン信号レベルで設計されておりVCF、VCAの信号レベルもそのようになっています。 これは昔 MOOG 904VCFの回路でVCFを自作した時(白砂氏の本からの製作)の経験からも知ってはいました。

MOOG Moduleは回路的にはVCO以外の VCF/VCA/EG等は規模もそれほど大きくないのでDIYすることも可能かと思いますがことVCOに関しては大変な気がします。 この部分が安価に購入できたので自作のMOOG VCA/EGくらいは作って921B VCOをcoreとして小規模なModularを作ってみたい気がします。(904VCFは以前作った)

現実的には921B VCO * 2 と自作VCO driver + MIXER/Att. Panelを作ってあとは以下に示すベリンガーのMINI MOOG Dと組み合わせれば手軽なSystemができそうな気もします。921Bはsyncを有効に使うためには2台は最低必要ということですでに2台購入。 上記のように安価に購入できたので921A VCO driver分のcostはういたのでdriverはDIYでなくともいいとは思いますが、921Aを買うのなら921を買った方がメリットは大きいか。 まずはVCO Driverを自作して様子見でしょうか。

現状ではVCO driverが無いのでKBD CVをつないだcheckができず。LIN FM入力側にKORG/YAMAHAのHz/V KBD CVをつなげば動作するでしょうけれども未check。と思ったらベリの921Bは1V/Oct仕様なのでKEYCVをつなげばcheckはできますね。

とはいえModuleを格納するケースぐらいは用意しないとなにもできません。Netでユーロラックの電源付きケースを調べてみると最低でも2万から3万程度はします。 本格的にユーロラックSYNTHを導入する気もないのでこれは高価かなと思います。値段はともかくACアダプターINがフロントパネルに付いているタイプの物は生理的になじめないです。 幸い1998年ごろにFORMANT MODULARをコピーしようと思った時にそろえたアイデアルのユーロラック(サブラックユニット)が未使用のまま放置してあります。これはラックシステムになるよう側版も購入しましたがFORMANT MODULARに準拠して9Uあり少々大掛かりなのでその中のWフレームとバーナットのみを二組、使って暫定的なケースをでっち上げてみました。

ケースのサイドと上下板には手持ちの100均の木材を利用したのでコストはほぼ0円。あとは電源ですが317/337を使った基板をケースに内蔵してトランスは外付けにすればいいと思います。確か317/337の電源KIT基板があったのでそれを使おうかと。 これも手持ちのものを利用すると言うことでコストは0円です。


* とりあえず作ったケースと921B * 2。
* 921B以外の取り付けたパネルは昔FORMANT用に買ったタカチのパネル。
* サイドパネルは100均の版画用の板が加工無し(穴あけのみ)で使用。
ベリのModuleについていたビスとアイデアルのバーナットとは径が違いました。

上記のModuleにプラスして921VCO,904AVCF.902VCA*2,911EG*2が搭載できるスペースはこの43cm幅のラックで十分確保できます。 そうなればFIXED Filter BANK/NOISEを除いた MOOG SYSTEM 15程度の規模となるでしょう。問題はCV MixerとAtt.ですが自作Moduleを3Uパネルで作っても違和感があるので3Uの直下位置に43cm幅のアルミパネルを取り付けてMOOG風にすればそこに複数のMIXERと921A的な物とPortamentoあとはNOISEを作ればそこそこのものはできそうです。その規模でベリのMOOG Moduleの追加分価格を計算して見ると、

921VCO *1.......\13860
904A VCF*1 .....\13860
902VCA *2.......\8800*2
911EG *2.......\8800*2
-----------------------------
TOTAL \62920-になります。 すでに購入した921Bが一台約\8000-でしたので電源/Case/ CV MIXER等を自作して全部で\78920となります。SYSTEM 15クラスと考えれば安いのですがベリのMODEL Dと較べると高価な感じがしてしまいます。 こう考えるとベリのMODELDがいかに安価であるかがわかります。

まず初めは電源を確保して921BとVCO driver/CV MIXERを追加しただけの構成で試してみようと思います。


2024/02/17 追加
* 921VCO
921VCOが1.1万円(新品)で売られていたのでやっと購入しました。netで価格をcheckしていても1.6万から2万の範囲で売っているのが普通なのでかなりお買い得でした。買ってからしばらく放置して1週間後に動かし高級VCOであることを認識、もう一台欲しいかと思い1週間後に見てみると2.1万に上がっているという、野菜の価格並みの変動におどろきます。921B * 2と921VCOでsystem15並のVCOとなったのでこれでよしとすることにします。BehringerからのアナウンスのあったMODEL15というのはどうなってしまったのでしょう。


早速基板を眺めてみようと後ろのねじをはずそうとするとかたくてねじが取れません。使われているネジは+ネジですが精密ドライバーでないと入らないサイズのねじだったので普通のドライバーが使えず、精密ドライバーを使うも力が入らずだめ。握りの太いものだったらいいのだがそれがないのでしかたなく、プライヤーでネジ頭を緩めてその後ドライバーを使うことで何とか取れたのですが、6個あるネジの最後のネジがとてもかたくそれゆえプライヤーに力をかけすぎてすべってしまい基板パターン部分を少し傷つけてしまいあせることに。


少しいたんでいるパターンがどこにつながっているのかスルーホールをたどるも高密度の両面基板でありスルーホールが絶縁コートされているとテスターで導通checkもできず、あぶなそうな4本のLine中2本の接続がわからず。 Behringerのservice manual/schematicsはModelDのようにnetにはなさそうなのでMOOG Modularの回路図をみながら見当をつけるがClanp回路まわりの2本は接続がわかるが他の2本の線のつながりcheckは断念。

その後電源をつないで波形を確認したところでは正常動作しているようですが、しばらく使っていなかったanalog オシロが絶不調で安定していません。 2時間程度オシロの電源を入れてほおっておいたらなんとか安定して動くようになって一安心。


*:PANELの隙間に全部品がマウントされたとても高密度な基板

マウントされているIC/pot一覧
*:LM337*1(-6V発生用 DIP 8pin type)
*:cool audio V411(analog SW)*1
*:072*2
*:4580*3
*:coolaudio V13700*2
*:LM3046 *2
POT
*1:range
*2:freq
*3:fine
*4:tri
*5:clamp
*6:rect W
*7:sin shape
*8:HIGH(裏面:多回転)
*9:SCALE(裏面:多回転)
921Bの多回転potが3っに対して921は2個。SIN SYMが無い?。

80KHz以上まで発振できる実力はあるようです。(CV-0VでFrequencyつまみMAX(+/-6oct mode)で80Khz発振です。 変換後の波形自体はかなり変形してしまいますが源波形であるところのSAW波はしっかり波形を保っています。(これはオリジナルのMOOG 921を上回る値です *1)  さらに外部CVを与えて験したところ2.5V程度は反応しているようで最大450KHzまで源波形のSAW波は発振しています。 その他の変換波形は原型を保っていませんが波形はでていますがRECTはだめでした。

*1: MOOGの仕様では40KHzがMAX。

coase SWがAudioでscale SWが+/-6oct mode時 CV=0で Vol miniで32feet時 1Hz、Volmax 1feetで79KHzを発振。本体だけで17octaveが指定できます。さらにそこから2.5V程度のCV inに追従するので20octave近く発振可能です。1Hzから80KHzまでの間のoctave Spanのずれは0から1%程度で可聴帯域を越えた範囲でもこの程度の値です。さすがMOOGが言うところのState of the ARTシリーズのhigh end VCOといったところでしょうか。


* 880Hz発振の波形(単独出力)


* 80KHz発振の波形(単独出力)


* 80KHz発振の波形( (-) out jack...OPAMP通過)


* 450KHz発振の波形( 単独端子)


* 450KHz発振の波形( (-) out jack...OPAMP通過)

OUTPUT LEVEL
AUX OUT
SAW: 8Vpp
RECT: 5Vpp
SIN: 8Vpp
TRI: 8Vpp
単独OUT
SAW: 1.75Vpp
RECT: 1.2Vpp
SIN: 1.5Vpp
TRI: 1.5Vpp

AUX OUTはROLAND等の通常のmodular synthに近いレベル。 単独OUTは通常のaudio信号レベルになっています。AUXOUTはCVとしての使用を考慮してのことでしょう。一般的なmodular synthの考え方としてはケーブルの引き回しが頻繁になるのでなるたけ出力信号レベルは大きく取り受けのmoduleのinputで減圧させる思想ですが、MOOGは違うということです。

総じて921Bより使い勝手がよいです。特にScaleの切り替えSWは便利で通常のFinetuneと連続可変のcoaseとして2通りに使えるメリットは大きいと思います。 また回路的にはLFO用のSub/Audio SWは発振器のCapacitorの値を直接切り替える方式でオリジナルと同じです。これは実機を見て初めて知りました。 当然線の引き回しはオリジナルに較べて最小 でその他の回路においてもSW/VPOTとの引きまわしは最小というメリットがbehringer版にはあるということでしょうか、そうであるからこそ両面基板のパターンの細さもデメリットにはならないのでしょうか。

ちなみに921B VCOの方は921Aの接続が無い状態(CV=0)で17Hzから1.2KHzの発振範囲です。通常のAudio range(演奏レンジ)に対応という所でしょうか。Frequency VOLも+/-3octave可変なので921より微調整はやりやすい。このように同じFREQUENCYという名前でも可変レンジが異なる仕様ということを初めて知りました。

behringerr921ですがMOOGのオリジナルの5Uサイズと違いまた基板のマウント方法がパネルと平行に設置している関係からとても高密度な両面、表面実装部品で構成されているため容易に部品の交換改造等はできずDIYer的な観点から見るとかつてのanalog synthとは別物の機材のように思えてしまいます。その点がなんともさびしいというか。そのかわりとしてMOOGの高級VCOがわずか1万円で手に入り手軽に使用できるメリットはありますが。

下記のように1976年時点でも921VCOの価格は1基32万円です。1$ 360円時代とはいえまことに高価。それと機能的には同等な物が約1万円なので1/32の価格で購入できるのはすごいことだと思います。願わくば5Uサイズであったら感動も数倍UPしたでしょうに。


オリジナル921VCOと921BVCOの関係
Syncの回路が違うこと以外は core部分は同じ(ようです)。921の方は1V/oct inのCVを-0.5V/octにする OP AMPの反転MIXERとPWM CV MIXER、Output Selector AMPが921Bに追加されたような形でしょうか。 921Bに付いている Linear CV 入力は921にはありません。また921のSelect Out PUT(AUX Output)のレベルは単体波形outputの3倍程度ありこれはVCOをAudio 信号に使う以外のLFOとして使う場合を考慮したものでしょう。このAUX OUTPUTを使うのなら通常のModular synthと同じ感覚で使えますね。これらのMOOG VCOは analog synthのVCOとしては最大規模の回路です。 これ(921B)が\8000-程度で購入できてしまうことは驚異的。

921の方はLFOとしての機能も考えられているので921のsyncはClampと呼ばれSync信号が入ってきたら波形のどのポジションから開始(リセット)するかを指定できる他のsynthにはない構造をしています。 一方921BのSyncは機能的にはWeakとStrong SyncがありROLANDの700や100Mと同じような機能になっていますがそれの実現方法は複雑でRing modulatorに使われる796(1496)とOTAを使う構造になっておりこれでPLLを構成しているようです。 動作原理は調べたことがないのでよくわかりません。これを機会に調べようと思います。 昔、購入した servicemanualとUser Manualが役に立つ時がきたような。


* 95年ごろ購入したService Manual類
* これ2冊でベリの921Bが買える価格でした。

ベリの921VCOを購入しても Att. Unitが無いと実質VCOとして機能しないので結局ATT. Panel(module)は必要ですが他の Moduleとの関係でこれがそこそこの値段がしてしまう。DIYすれば安価ではありますがデザイン等統一したけでば買うしかないとなるとMOOG Modularを機能させるためにはベリのレプリカといえど結構コストがかかるということになるわけです。かっこうにこだわらなければこの部分はとても安価にできるのですが。 上記921Bについても921AとATT.込みの Unitを自作すればとても安価にVCOが構成できることになります。

メーカのアナウンスでは
SYSTEM-15 $1,599
SYSTEM-35 $2,299
SYSTEM-55 $3,599

だそうです。MOOG55だと当時の国内価格の1/15程度。 オリジナルと同じ5Uでデザインが全く同じであったのなら買うでしょうが3Uであり、微妙に形も違うので買わないでしょう。

MOOG MODULEの中ではVCOはやはり部品点数が多くSequencerをのぞけばcostは一番かかっていそうですが商売上、部品の少ない921Aが約1万と921Aと921Bの価格差があまり無い。 921A基板はは複数の4個程度のOPAMPと少しの部品で反転MIX AMP等が作られているだけなのですが。 当時のMOOG modular の各Moduleの価格を以下に示します。


* 1976年時の MOOG Modular Module価格

これを見ると921Bは1基19万とありますので今回の購入価格\8000以下と較べると実に 1/24の価格で同等の機能のものが手に入ったということになります。 国内販売価格ですからUSA本国に較べればかなりぼった価格とは思いますが.....当時は夢の価格(機材)です。 ちなみにSystem15/35/55に採用されている921VCOはそれ以前の世代であるMOOG IIIなどに対して State of The ARTシリーズ新型VCOと呼ばれていました。

921 .......32万
921A.......9.5万
921B.......19万

オリジナルMOOG Modularの価格を見ても921と921A+921Bの価格はほぼ同じ。 これに対してベリの方は921A+921Bの組み合わせが 2.3万、 9321の価格が1.3万となり、単にMOOG VCOを欲しいだけなら921を買ったほうが有利なのでしょう。

実際 921、921BのVCO回路は複雑でservice manualの回路をちょっと眺めただけでは動作の詳細よくわかりません。 基本となる回路はCap.に溜まった電荷をTransisterのSWでリセットする回路ですが。 さらにサービスマニュアルの表記は1page内にうまく回路全体をおさめるためのレイアウトになっており動作を理解するための配置にはなっていないのでこれが解読をじゃまします。

* シンセサイザーの実験と工作本について
1979年に出版された 白砂先生の本にあるMOOG VCO(M215VCO)は921をベースにしていて詳しく見ていくとほぼ同じ回路でした。 異なる点は tempco未装備とantilog AMPまわりが3046を使っていない点が違う、一部の半固定Potが省略されているくらいで clamp回路も同じでした。

この本は今から42年前の本ですがこれと今回購入した実体としてのVCOがあれば色々楽しめそうです。 やっとこの本の有効な利用法が見つかった感じ。 この本の回路図も書籍の1pageにおさえるためとても小さく(A5サイズ?)老眼でなくとも判別が難しいので拡大して見ることにします。ですがMOOGのオリジナル回路に較べて見易く初めにMOOGの service maualを見た時の複雑さは解消しました。 また誤植も一部の回路で見受けられますのでMOOGのservice manual1を併用する必要がありそうです。

それにしても1979年当時の何も情報が無い時代にMOOG 921 VCOをそのままコピーした書籍が出版されていたことにいまさらながらおどろきです。この本はその意味でも貴重な物ですが当時はオールトランジスタに近い回路だったので敷居はたかく下記のようにプリントパターンも掲載されていますが これを追試するまではいたらず。 当時からMOOG modularの回路と知りつつ手が出ませんでした。 これを機会に製作に挑戦するのもいいでしょうしベリンガーの921 VCOの方をこんどは購入するかという気にもなってきました。。


* 実験と工作パターンとマウント図
* 抵抗は縦つけでかなり高密度な基板になっています。


* M215VCO core

* 実験と工作VCO回路(SAW波発振部分のみ)
* SAW波発振とクランプ回路のみ列挙。 基本921VCOと同じ。
* かなりみやすくなりました。これなら理解しやすいです。

* offset補償はOP ampのFBループ内にC-E間をいれIcを一定に保つ方式とは異なり、 Tr.とOPAMPのコンパレータによるサーボ回路でIcを一定に保ちます。 知る限りHillwoodのSY1800のVCO antilogがこの形式だったと思います。さらにこのTr.のエミッタ電位の変化を利用して高域のトラッキング補正(エミッタバルク抵抗&コンパレターのデッドタイム補正?)する回路が入っています。

MOOG 921VCOはantilog ampの加算器、分圧器が何段にも重なっているのでわかりにくいので上記の回路を元に整理してみます。 1V/octになるには 1000mVが最終的に18mVに分圧されればいいわけですが。

* 1段目の加算器で1000mVが470mVに分圧
* 2段目の加算器で470mVが100mVに分圧
* antilogの前のScale分圧で最大 (320/1320)*100mV=24mV
* antilogの前のScale分圧で最小 (220/1320)*100mV=17mV

よってPOTの真ん中付近で20mVになる計算(18mVでないのはなぜ?)。 Tempco抵抗はOPAMPのFB抵抗に装備されている。 tempco抵抗はantilogの前の2つの抵抗のGND側の分圧抵抗に配置するのではなくOP AMPのFB抵抗側に配置されています。 ここに入れることによっても温度上昇に比例してOPAMPのGAINが上昇するので同じ作用となります。

改めてMOOG modularのVCO自作するのはたいへんなように思いますので今回の921B購入はよかったと思います。 オリジナル回路を見つつベリンガーのMOOG VCO(実体)を見るとありがたみがさらに増大します。

オリジナルのMOOG modularは大変高価だったので所有している方々はそれほど多くはないでしょうから、安価に買えるベリのMOOG Modularの存在価値は大変高いものだと改めて感じます。 また最上位機種のMOOG55 systemでさえ 7VCO/2VCF/5VCA/5EGの主moduleとFixed Filter Bank/ Sequencer / Mixerなどで構成される systemなので以下に示すMini Moog Model Dのレプリカ(patching可能な)を2台すえてあとはいくつかのレプリカ moduleを足すことによってかなりのMOOG 的なModular systemが安価にできるような気がします。

個人的に残念なのはFixed Filter BankがオリジナルのLC filterでなくOP AMPのFilterである点とCV Mixerまわりがオリジナルの雰囲気からかけはなれている点です。


MINI moog Model D(Behringer Model D)


* 当時のMINI MOOG Catalog

抜群(驚異)の C/P。 音源部の他に MIDI/USB/CV が付いている形で昔購入したMINI MOOG用のlintronics MIDI/CVとほぼ同じ価格で本体が付いてきた感じ。 3万程度で購入。 サイズが3Uなのが難点。 下のODYSSEYのようにFull size、鍵盤付きだったらさらによいのだが。 回転Selectorが硬いというかギクシャクするのが不快。後に出たpoly Dはfull size鍵盤付きだがつまみはやはり小さくデザインも微妙な感じをうける。ということでオリジナルMINI MOOGの価値はゆるがないが手軽にMINI MOOG soundを味わえるこの機種は便利。 MINI MOOGにはないLFO搭載でありこのLFOは13700によるVCLFOである点も評価できる。


* Main board裏面
* まさしく one board Synthesizer
* オリジナルの複数の基板、結線がとびかう構造とは別物
* 同じ one boardのかつてのWavekit SA13の基板と価格がほぼ同じでおどろく。

ベリンガーModel Dの最大の興味は電源回路でした。  SW ACアダプターは12Vでメイン基板側の電源ソケットはEuroラック互換の10Pinでこれはmodel Dをラックマウント対応にするためです。 このことから本体基板には外部から+12Vのみ供給され、ラックマウント時は-12Vは使わない仕様になっていて本体基板で +/-10V、+5Vその他の電圧を発生させています。ここらへんは回路図がNetに出回っているので助かります。


* VCF/VCA付近
* 小さくまとまったTr. Ladder VCFが見える。

ちなみに70年初期/中期のMINI MOOGの国内価格は65万、70年末期のUa726使用の後期versionが47万くらいであったのでKBD付きではないがコストは1/16くらいである。65万の寝ガンと比較すると約1/20です。


* 1976年時点で65万円

Patch Jackが付いているのである程度の拡張性もある。 CV/Gate outが付いていないのが残念である(*1)が回路図も公開されているので自分でDIYして引き出せばいいのであろう。Selectorの感触は悪い。 これは921Bのselectorも同様。 たとえばこれを2台そろえてそれをベースにしていくつかのMOOG Moduleを自作すると安価な Moog Modularができるのではないかと思われる。

Model D 2台で6VCOなので system55とほぼ同じ VCOの数。VCF/VCA/EGも数的には55に近い。 となると FIXED Filter BANK、SequencerとCV/Audio MIXERをそろえればかなり大掛かりなMOOG Systemがそれほどコストをかけずに作れるでしょう。 上に書いたようにベリンガーのsystem55相当のシステムは$3599-でおそらく国内価格は45万くらい?。 問題はケース/電源をどうするかだがベリンガーの純正ケース電源のEURORACK GOが3.7万だそうでこれをつかえば楽そうであるが、自作電源+ケースでもいいかも知れない。 その場合 model Dは元のケース電源をつかえばいいと思う。

*1:ベリのPro1にはCV/Gateがあるので単にスペースの都合で省略された?。

INPUT
mod source
Oct/V CV
LFO CV
EXT SIG IN
VCF CV
VCF EG GATE
VCA EG GATE
VCA CV

OUT PUT
LFO OUT(TRI)
LFO OUT(RECT)
MIXER OUT
VCF EG
VCA EG
MAIN OUT
Phones OUT

LFO/MIDI-CV
Behringer ModelDにはorignalに無いLFOが付いているのでLFOを使う際にVCO3を犠牲にしなくてすむわけですがこれはstudio electronicsのMIDI MINIからついたのでしょうか。と思ったら1980年にMINI MOOGの改造を行うRMS社のMINIMOOG MODでもLFOが追加されていました。 さらにはMini MOOGをMIDI化するLintronics MID-CV 基板においてもSoft LFOが装備されていました。要はMINI MOOGの音源部分にさらにこれらのMIDI/USB I/FとLFOが付いて3万円ちょっとの値段で買えるわけです。


* RMS MINI MOOG mod   Lintronics MIDI-CV基板

ROLANDのSE-02もMINIMOOGのレプリカですがanalog 部分は STUDIO ELECTRONICS製で音色のMemoryができるのが特徴ですが6.5万程度の価格です。SUTUDIO ELECTRONICSのMIDI-MINIに較べればはるかに安価です。Behringerniくらべてサイズがさらに小さいのが購入意欲をそそりません。 なおMemory対応のMINI MOOGレプリカは上の方でも書いたStage Electronics MINIが最初だと思います。

* 2024年現在では4.2万程度に値上がりしています。


ARP ODYSSEY(Behringer ODYSSEY)


* 当時のARP Catalog

これも抜群(驚異)の C/P。 音源部/鍵盤の他に MIDI/USB/CV /FX/Seqiencerが付いている形。鍵盤がよいが黒鍵はかたい。白鍵は錘付きだが黒鍵盤はおそらく錘なし。しっかりした筐体 Full sizeなのがよい。。 Slide VRの先端がいたいのでオリジナルのようなCapの方がよかった。FXは ALESIS(Spin Semiconductor)の1chip(*1)でFXの音はよくない。MIDI INの他に本体鍵盤情報のMIDI OUTも付いていて便利。

MIDI INのnote eventに対応してanalog OUTとしてCV/GATE/TRIG電圧を発生するのでMIDI/CVconverterとしても機能します。

*1:実際は互換ICの CoolAudioV1000。秋月電子で\540で売っているICです。

 
* FX用DSP V1000とcodec V4220M / ARM CPU

電源アダプターは SWの15V9Vで上記のModel Dの12Vとは異なります。このODYSSEYは3Uラックマウント対応でないので12Vにしばられることもないということなのでしょう。(内部 Anlog回路電圧はオリジナルと同じ +/-15V。)

筐体デザイン的にはベリンガーのレプリカの中では一番オリジナルと較べても違和感が少ないように思う。 筐体の大きさは上下方向がARPの本物より圧縮されていますがかなり重いです。これを思うと現代的な環境でKORGのようなはミニ鍵盤仕様もありかとも思います。1970年代中期のODYSSEYの国内価格が約50万なのでこのレプリカはその1/10程度の価格。

ODYSSEYに関してはSliderが光ることとFX/Sequencer以外は余計な物がついていず 上記 MODEL DのようなCV in 等のJackはない。 3Uユーロラックにマウントできないからの仕様でしょうし元々 CVのselectorも多く付いているし patchingしたければ2500/2600を買ってくれと言うことか。KORGのと同様 3種類のVCFが選択できるのが便利。


* 全基板
* 黒塗りのため配線パターンが見えません。


Behringer ODYSSEYは当然ORGINALのアナログ回路をベースにしているでしょうがVCFが3type搭載されているとかMIDI/USB対応と言うことでは先に発売されたKORG ODYSSEYを踏襲しているようにも思えます。価格的にはBehringerの方がかなりお買い得ではあります。 ORIGINALと同じ外観を望むならKORG版でしょうがそれにこだわらなければかなり安価なBehringer製でもいいいのではと思い購入。

KORG ODYSSEYの方はARP社の2代目社長であったDavid Friend氏の監修というお墨付きがありますが...。David氏はたしかARP社が苦境にたたされた時代の社長だったような記憶があります。(Vintage Synthsizersの本に記事あり) ARP QUADRA / SOLUS等の企画も同氏であったような。実際のKORG ODYSSEYの設計担当責任者はKORGの池内氏のようでWebの記事とかKORG ODYSSEYのservice manulal(Webの某サイトにありました。)に名前がありました。 この世代の方(70/80年代にanalog Synth設計経験のある)が責任者ということに安心感を覚えます。 はたしてBehringe版はどなたが設計しているのでしょう。 KORG版の service manualを見るとDC -- AC/ACコンバータの回路がわかります。Behringer版も回路図がほしいところです。


ベリンガーのレプリカsynth、有名なsynthもありますがそうでないsynthもあります。 マニアックな以下のsynthについてオリジナルの回路構成は以下のようなものですがどれだけ忠実に再現してしているのかが気になります。

EDP WASP(1978)
Chris Hugett氏のデビュー作たるWASPはおもちゃのsynth的なLOW COST SYNTHでした。 LOWCOSTゆえVCOは使わずDCOですがGLIDEが可能な設計。Hugett氏はその後本格的なSynth、OSCARを設計します。これもVCOではありません、いまだに現役でNOVATIONと組んでSynthを発表していますね。 

Oscillator 555 + CMOS GATEによるCounter(DCO)
4046PLLによるGLIDE回路
VCF CA3080 OTAによるstate variable VCF
VCA CA3080 OTA
EG analog SW+SR-FF+transistorによる AD type
LFO C-MOS gate ICによる function gen.
NOISE C-MOS Shift reg.+ExOR gate
Keyboard C-MOS gateによる touch keyboard
電源 DC5V(内部)

Waspの回路は片電源+5Vで動作する為か、OP AMPの代わりに ノートンアンプのLM3900 が使用されており、また C-MOS gateを analog 的に AMP等として随所に使用していま す。このこともあってかとてもfatな音が出ます。LOWcostの功名。counterを使ったDCOとKey decode回路はCMOS gateによるディスクリート回路。 OSC modはMaster Clockの555をVCOとして使うことで実現。DCOでありながらPLLのCD4046を途中に挿入することでGLIDEを実現。 Lowcost機種でありながら他メーカーとは異なる独自の回路が目に付きます。Glideが可能なDCOとしてはROLANDのJUNOよりかなり早い時期に世に出ています。

ROLAND JUNOと同様基本波は矩形波でそれをSAW波に変換する回路もにたような回路になっています。オリジナルはLOW COST Synthですがベリンガー版も販売価格は他機種よりは安価。オリジナルのマニュアルはWASP本体のキャラを反映しているようでおもしろい。


* wasp manual表紙


OCTAVE CAT(1976)
ARP ODYSSEYとparameterが一緒なsynthで訴訟問題になったとか。 回路は全く別物なので音は違います。

function CAT SRM CAT SRM II
VCO Discrete SAW発振 VCO
antilog AD821Dual TR+tempco 抵抗 &
CA3046+tempco 抵抗
CEM3340 VCO+Sub octave用 4013 D-FF
VCF SSM2040 4pole VCF SSM2044 4pole VCF
VCA OTA CA3080 VCA OTA CA3080 VCA
EG Analog SW+CMOS gateによる AD/ADSR Analog SW+CMOS gateによる AD/ADSR
LFO OP 2個使用の Function Gen.
+ CA3080による 正弦波 converter+delay
OP 2個使用の Function Gen.
+ CA3080による 正弦波 converter+delay
NOISE MM5837 MM5837
Keyboard 高音/低音優先回路による 2note hard logic+6Bit D/Aによる
digital encord KB 2note出力

普通に考えてベリンガーのはSRM IIの回路でしょうか。気になります。


RFS KOBOL EXPANDER (1981)
イタリアのメーカーRSFのKOBOLのラックマウントバージョン。 EXPANDERとEXPANDER2が存在しました。 EXPANDERは1981年という比較的新しい時代の機種。 ちなみにRSFは創業者のRuben and Serge Femandezの略。EXPANDERは4Uのラックマウント。

・LFOIIでは異なるタイプ
・NOISE/sample & hold Digital noise/ CMOS analog SW
・Voltage Processor Lag time(II).
・VCO1+VCA antilog uA726  discrete VCO+CA3080 VCA
・VCO2+VCA antilog uA726 discrete VCO+CA3080 VCA
・VCF SSM2040
・VCO WaveShaper ( CA3080*3 ) * 2
・Voltage Prosessor
・ADS1 SSM2050 (IIはADSR)
・ADS2 SSM2050
・Mixer OP AMP
・VCA CA3080
・RING MODULATOR(II) MC595
・Gate Delay (II).
・LAG(II).

現在ではNETを探せば回路図は入手できますが自分の場合97年ごろUKの業者からSchematicsを購入しました。 とてもきたない回路図でがっかりした思い出があります。NETで手に入るSchematicsも同じものです。ちなみにこの回路図の作成年月日は1980/9/15

発売予定?のようなRSF KOBL EXPANDERですが、EXPANDERとEXPANDERIIで若干仕様が違います。ベリンガーのものはIIがつくのかつかないのか写真からはIIではないようです。uA726はおそら使っていないでしょう。2040はちゃんと使っているのかどうなのか。はたしてPolyphonic versionのPOLY KOBOLも出てくるのか。KOBOLをだすくらいなら個人的にはSYNTONのSyrinxを出してほしいところですがCoolAudioはCEM3350互換 chipを作っていないのでむりそうですね。

訂正:
長年EXPANDER IIはEXPANDERのマイナーチエンジモデルと勘違いしていましたがEXPANDERIIはEXPANDERの拡張UNIT的性格の物でそれゆえVCO/VCFは搭載されていず、そのかわりに
・ADSR EG
・RINGMOD.
・EnvelopeFollower
・LAG processor
・Gate Delay
・VCA
・MIXER
・NOISE S&H LFO
がついたUNIT。

さらにこのEXPANDERはRSF KOBOLのラックバージョン的な意味ずけもありラック版はEXPANDER用のProgrammerがあるようです。ここらへんのノウハウを得てPolyKOBOLができたのでしょう。 と思ったらKBD版のProgrammable KOBOL(1980)の方が先のようです。


追記: 2023/09/02
RFS KOBOL EXPANDERが発売になりました。$199ですが国内価格は32800円のようです。 この価格なら買う価値がありそうです。 パネルをあらためてみると必要最小限のつまみかつ使い勝手が考えられたparameter郡に見えます。 IN/OUT Jackもかなり合理的でここらへんは同じsemi modularのMS20との共通点があるような感じ。 特徴としてはEGのparameterを外部CVでコントロールできること、VC resonanceなことVCOの後のLevel VRがVCAになっていてさらに単独Out Putできる等がありますが他機種にない最大のポイントはVCOのwave selectorとしてのWaveform Shaperでしょう。 せっかく多くのVCAを使っているので、Volumeでの選択の他に外部CVでコントロールできるのがユニーク。

TRI --(TRI/SAW) - SAW -- (SAW/RECT) -- PW -- PWM(Filter EG)

基本波形はTRI / SAW / RECT(PW) の3波形ですが3っのVCA(CA3080)を使ってMIX比をWave Form Vol.で可変する構造になっているようです。(schematicsが粗いのでよく回路がわからないのですが) このようにKOBOLEXPANDERはVCA(30380)が多く使われており計10個程度は使われています。 おそらくベリ版では13700を使っていると予想します。この違いは大きいかも。


* originalのPANEL(以前はカタログを所有していたが紛失..)

EXPANDERは KBD CVに対してportamentoが搭載されていません。ベリ版も同様。Rack仕様のSemi Modularとしたら普通の仕様ですが、単体で完結するには問題かと。 EXPANDER IIではlag Moduleが追加されていますが。 このためportamentoを使用したい場合はKBD CV側で準備しなければなりません。

連続可変のWave selector
知る限りMOOGのmicro MOOGが初めてではないでしょうか。MICORMOOGの場合はTr.を使用したシンプルなMIX方式のようです。 おそらくこのMICRO MOOGに影響を受けてKOBOLのWave Shaperができたのではないかとかってに想像しますがいかに?。

CV VRは必要最小限しか付いていない(とはいえMOOG Modulerよりはまし)のでCV MIXerを自作すればsemi modular moduleである本機でもかなりの拡張性はあり。 KBD CV/Gate outが付いていないのが残念ですが panel Jackを見た限りでは容易に基板位置が探せそうですが...。 はたしてVCF Chipはオリジナルと同じSSM2040なのか CEM3320互換品なのか... UA726はおそらく未使用かと。(そのうち情報は出てくるでしょうが)


OriginalのEXPANDEの回路等について

EXPANDERの回路図は1997年ごろ入手しましたがあまりに荒く汚い回路図なので真剣には見ていませんでした。今回あらためて回路図を見て気づいたのは始めのProgrammableのKBD KOBOLがあってその後にEXPANDERが出来ているのでprogrammableを前提としたsemi Modularだったということです。 このため上記のように専用のProgrammerも存在していました。

ということはCV Att.も含めほとんどのparameterが Voltage Contoroll可能でEGの各parameterも同様です。EXPANDERでは外部CV inのCVは本体のVRとMIXされるような仕様になっています。 但しVCOに対する LFO Modulation Att.は電圧制御ではありません。これはおそらく KBD版のKOBOLがLFOは Wheelを介してAtt.として使用するためだと思われます。

このためKOBOL EXPANDERは12個ものCA3080を使用しています。
・(VCO)*2 .... * 8 ....(Vave Mix *2 / VCA Volume *1 / EG PWM *1) *2
・VCF ........... *3......CV Att. *2 / Resonance Att. *1
・VCA ........... *1
 計12個

本来programmable用のVCA郡ですのでpatch cordを使わない使用法であればprogrammable synthとしても使える可能性はある。ですがModular Synrthなのでpatchはするでしょうしそこまではprogramできませんが通常のmodularとは違った使い方の可能性ももできるわけです。かなりDIYerよりのsynthとも言えます。


・Shape VOlとVCO波形OUTの対応


・VCO Wave shaper(cross fade mixer)の構造

analog synthならではのトリッキーな回路だと思います。SAW波をTRI波とRECT波に変換する回路の後にそれぞれVCAが付いておりこれらのクロスフェードで波形を切り替えているようです。 TRI波グループにはSAWがVCAの前でMIXされる形になっています。 TRI波クループのVCAは1個ですがTRI波発生回路のOFFSETをずらすことでTRI波の有効部分をコントロールして結果波高値を変化させています。pulse波はpulse widthとPWMを連続可変できる構造でPWMはEG2のみと思ったらLFOでも可のようです。(回路図ではEG2のみになっています... そもそもLFOの回路図が見あたらない)。

0; WaveShapeVol.が0の時 TRI波のgainはMAX、
  RECT波VCAのgainはMINなのでTRI波が出力(SAW波の出力は消える?)

1; TRI波のOffset変化、SAW波が優位、TRI波VCAgainは下がっていく
  RECT波VCAのgainは上がるがpulse幅は0?

2; TRI波のOffset MAXでTRI波は0、SAW波のみとなる。 TRI波gainは減少
  RECT波VCAのgainは上昇。

3; TRI波のOffset MAXでTRI波は0、SAW波のみとなる。 TRI波gainは減少
  SAW波の振幅低下。 RECT波VCAのgainは上昇でRECT OutPUT増大。

4; TRI波VCA gain減少で出力(SAW)は0、RECT波VCAのgainはさらに上がり
  かつpulse幅上昇(50%?)で出力はpulseのみ

5; TRI波出力0、
  RECT波VCAのgainはさらに上がるがpulse幅減少、出力はpulseのみ

6; TRI波出力0、
  PWM VCA gain上昇,出力波形はPWMのみ。

OPAMPの加算器、PWM回路、TRI波OFFSETの設定値、さらにはTRI、SAW、RECT波の最大波高値間の設定がシビアな感じがします。2種類の波形のクロスフェードは難なくできるとも 同時にPWの幅も可変さらにはPWMもかみされている部分、さらにはSAWとTRI波のクロスフェードを1個のVCAで行うこと。これがどの程度うまくいっているかは実機を入手しなければわからないでしょう。

出回っているschematicsが汚く、抵抗値というかRnoが読めないのが残念。 さらに回路図と実機で微妙に違いがあってよくわかりません。完全な回路時図がほしいところです。 あとはオリジナルな部品との対応はどうなっているか。uA726、SSM2050、SSM2040の代替は?。今更ながらですが興味深いsynthであることは確かです。

EXpanderのservice manualが1980/9となっているのでKBD版のkOBOLがおそらく1978/79年ごろの設計になるでしょうからその時点では海外のsynth ICで流通しているのはSSMだったろうしSSMの初期のVCF ICとしてはSSM2040、EG ICは2056や2055でなく2050ということなのでしょう。時期的にもProphet5のRev1やRev2の時期ですし。 VCOに関してはuA726使用以外ほぼOberheimのSEMのコピーのようです。くしくもSEMもEXpander Moduleですね。使われているOPAMPはLM324です。基板は大手に較べて手作り感が強いです。

ついでにRSFのsynth一覧を以下に示しておきます。

・ KOBOL ...... programmble mono synth (KBD)
・ KOBOL EXPANDER (1981)
・ KOBOL EXPANDER II (198?)
・ KOBOL Programmer
・ POlY Clavier ......CV/Gate KBD
・ POLY KOBOL(1980) ....... programmable Poly Synth
・ POLY KOBOL II (1983).... programmable Poly Synth
・ SERIE 11(full modular synth)

POLY ClavierはROLAND 100Mの4CV出力KBDと同じようなもの。複数台のEXPANDERを使いPolyphonic化させるシステムの一員。netに写真があがっていますがKORGの旧CX3似のかっこいいルックスの機材。これに上記programmerを使用すればprogramable polyphonic modularができるといったことなのでしょう。


2024/03/24追記
9月に購入予約していたexpanderが6ヶ月後の3月末やっと到着。本物はさわったことがないイタリアのシンセです。荒めの音を想像していたが第一印象は想像していたより普通の音と言うかひかえめな音と言うか。CA3080がV13700になっていることも関係あるのか?。その後いろいろいじっているとつまみの回転に対する値設定(parameterの値)が自分の感覚と一致しないというか違和感があることを感じる。なれの問題なのだが。 さらには可変範囲がちょっとせまいというかSweet Spotを探すのが難しいがさがせればとてもいい音がする。微妙なセッティングが必要?。各parameterのfinetune VRが欲しいところ。Youtubeのとある動画を見るとその実力に納得。

VCOの出力レベル自体はわりと小さくSAW波で3Vpp程度だそうです。もう少しVCOの出力レベルをあげてやればよりよく歪んで2040のキャラクター(*1)が出るかも?。 簡易的にはVCO outをVoltage processeorに入れるかAudio OutをVCF sig INに入れればよい。Voltage processeorが2倍のGAINを持っているとかもよく考えられている。

*1:behringerのEXPANDER VCFはdiscreteの2040クローンなのでSSM2040とは厳密には違うが後日いろいろ験してみようと思います。ついでにSSM2040を使ったVCFも作ろうと思う。


* 豪華なOneBoard Synth

最小限のつまみ数のわりにはいろいろなことが出来るというか可能性を持っている機材だとは思う。これはAUDIO信号Module側のCV in側には最低限のAtt,しかついていないが VCO/LFO/EGの出力側にvolumeが付いている形になっているからでこのタイプはけっこうめずらしくEMSのsynthなどと同じである。最低限はついているというのがMOOGModularとは違う所でDIYする際の使い勝手というかつまみの数と機能のバランスを考えのに参考になる。

構成としては 2VCO / 3VCA / 1VCF / 2EG / 1LFO / 1NOISE / 1VP の構成でつまみは23個におさえています。JacKは32個。

このためVCO/VCF等の CV in側にはAtt.がついていないのでより複雑に複数のCVを加算するにはCV MIXERを用意すればいいのでよりこのEXPANDERを有効に使う場合は簡単なCVMIXERを追加すれば容易に拡張できるだろう。3UサイズだがVoumeは2段構成なのでつまみは楽にいじれるので操作性はよいというかベストな間隔。3Uのユーロラックになじめない自分としてはKOBOL EXPANDERは違和感がなくいいです。

KOBOLEXpanderの最大の特徴であるWave Shaper(selector)だがきちんとつまみ位置によって波形が変化していくのには感激する。 ただ回路の制約として信号レベルが一定でないのが残念。 このような非常に複雑なanalog回路をつくらなくても各出力及びMIX出力を4053とつまみ位置に対応したマルチレベルコンパレータを使えばCPUを使わなくともより簡単に対処できるようにも思う。 KORG PS3200のWave selecterはそのようになっています。 behringer版は当然オリジナル準拠。





上記の波形が連続可変で変化します。 最後右にまわしきるとPWMになります。PWMの変化幅は固定(*1)ですがLFO LFO+EG EGの選択ができます。4番目の波形はピッチが2倍になっていますがこれは矩形波とMIXしているので道理。KORGのTridentなどのOCT up波形生成か岐路と同様の結果。当然連続可変なので実際は上記の波形の中間波形もあります。4番目は設定具合によってはHard Syncに似た波形にものなります。

*1: このようなPWMの変化幅の割り切りとかがつまみを最小限におさえる工夫。

VCF resonance


* resonance大と発振寸前時の波形

負帰還でResonanceを得るTypeのVCFなのでresonanceをあげていくと振幅が下がるのがやはり不便。 またつまみ位置をかなり全開近くにまわさないとResonanceの元の減衰振動波形が出ないのが使いにくい。 ちなみにVCOは38KHzくらいまでは発振しますし、VCF発振も33KHzまで発振し、低域と高域のVCF発振振幅も変化分は10%程度でかなり一定しています。MIDI KEY信号は8octve程度はMIDI/CVが受けるようでそれ以上はMIDI CVが反応しません。VCOのScaleはきっちりしていてcheckした8octaveは大丈夫でした。

VCFはKeyCV=0、EG mod=0時 FC volumeが0からMaxすなわち左端から右端もで反応しますがKEyCV/EGMOdが大きくなると全範囲は反応しなくなります。KeyCVはMAX200%指定、EG modはcenterで0で左で(-)、右で(+)なので(+)の可変範囲は狭くなります。


オリジナルのKOBLが使っているパーツの再現。
CA3080: V13700
uA726: tempco抵抗で対処。
SSM2040VCF: Tr.とV3046によるディスクリートによる2040回路の再現
SSM2050: 7555(CMOS)と4053 + おそらく(可変定電流源)による再現か?(*1)
Digital NOISE IC(MN5837): Tr.によるAnalog回路
電源は+/-14.5Vとオリジナルは(+/-18V)なのでユーロラックの+/-12Vではない。このためTIの54240等がanalog3端子Reg.の前に入る。

*1:originalのSSM2050ではEGのCV化はVCRによる物と書かれているが基板からは何を使っているのかわからない。想像ではVCO的な発想の電圧制御EGでありKORGのVCEGのように電流源ではないかと思うがいかに??。 originalの回路とレプリカの回路はほぼ同じとしてもEGに関してはかなり違うのでこの部分の回路図を見てみたいものです。


* VCFとEG

OPAMP: 074/4580/324
電源IC: 317/337/TI54240
CPU: ARM
HPAmp:TPA6139
V13700/V411/V3046 /4052 /4066 etc

半固定:
多回転VR 6個
1: VCO1 scale
2: VCO1 Offset
3: VCO2 scale
4: VCO2 Offset
5: +14.5V Adj.
6: -14.5V Adj.
--------------
1: TRI offset Adj.1
2: LFO PW
3: Pulse Adj.1
4: TRI offset Adj.2
5: Pulse Adj.2
6: VCF offset
7: VCA rej.
8: ADS Ctrl. Center
9: ADS To PWM Adj.
10: VCF Scale Adj.
11:VCF KBD Adj.
計17個の半固定pot.

上のほうで述べたように多くのparameterが電圧制御(*1)になっていることがメリットのsynthであると思います。ただVCOのrange指定はFeet切り替えも併用してあればより使い勝手が高いとは思います。最小限のつまみを有効利用しょうという発想に好感が持てます。たとえばCV Att.Volは最低数ですがその代わりに2inのVoltageProcessorがありこれはdefaultでは1っ目の入力は+10Vが接続されておりここにはVolumeが付いていてもう一方はVolume無し。 そのかわりにGain調整用のVolumeがあり0から2倍まで可変できます。さらに反転出力も可能。よって外部拡張無しにつかう分にはこのつまみ数でもあまり不足を感じないのでしょう。

残念な点はVCOのVCFに対するON/OFFが無いこと。1っのVCOでもいいからこれがあったら戸思うのと(*2)LFO outにもVCAが付いていればさらによいと思いますが、これはBehringer製のKOBOL Expanderのレプリカであるのでオリジナル厳守なのでしかたがないですが。こんなこともあってオリジナルはEXPANDER IIがあとから登場したのでしょう。なおMIDIに反応するのはKeyCVとGateとBenderのみ、上記のようにLFO outにVCAfが無いのでModWheelには反応しません。

USAでは$199の定価だとか。円安でなければ3万以下でこのようなものが買えてしまうのがすごい(*0)。 Kobol EXPANDER IIも製品化してくれればいいのにとは思いますが無いでしょうね。このKOBOL EXPANDERのレプリカを見るにつけてKORG MS50とSQ10のレプリカを出してくれたらうれしいのにと改めて思いますね。SQ10の方はbehringerで試作機が出ているようですが。なお取説はとてもシンプルでparameterの説明以外はほぼない内容。半固定potの調整指示などは無し。

Kobol EXpander、semimodularながら結構、単体でもpatchingの楽しみが味わえます。 kobol Expanderと基本部分が同じでmemory機能が付いたKobolやそのPoly phonc版のPolyKOBOLもよさそうですがはたしてレプリカが作られるのか?。

0:
半年まってようやく届いたと思った矢先、3月末になると20%OFFの実質\2.7万で売っている。予約しないで入荷してから買った方がお得だったという不条理!!。上記921VCOの時といいBehringer製品の価格変動幅の大きさに驚く。

*1:全parameter中LFO outとCV MIXのvoltage processorとFinal Volumeのみ非電圧制御。その他のparameterは電圧制御です。

*2:
VCO OUTはPlugを挿してもVCO1信号はVCFにいくがVCO2OUTはPlugを挿すとVCO2信号はVCFにいかないようです。 さらにVCO2OUTはStereoJackを挿すとVCO2outを外部に出せてさらにVCO2OUTから他の外部信号を入力できるすなわちFXout的なSend-Returnが出来るようです。
これはパネルに印刷された結線図を見ればわかるのですが始めは気づきませんでした。実際このパネルフロー図があるのでつまみ間隔に余裕があるのですがわかりやすさとデザイン性も兼ねているということです。

CV in Jackはinitial(manual)CVと並列になる構造ですがオリジナルの回路図からEGのDecayのみ直列に入る構造のようです。

Software SW
PCからsynthへのいくつかの設定が可能

MIDI in CH
Pitch Bend Range
Key Priority
Multi Trigger
Gate in Reverse
Clock Foward
Channel Message Forward
Poly chain

Gate in Reverseすなわち + ONのGateと GND ONのGate両方に対応はorignal KOBOLの機能であるがBehringer版はPCのSOftからFlashMemoryに書き換えで対処。


SSM2040 VCFについて

SSMのFirst VCFであるところのSSM 2040VCFですが使用されているOTA CellはOTAのpageでも述べた簡易型の差動回路+カレントミラーで構成される回路のようで1990年代の古くから海外のDIYerがdiscreteでこのVCFに近い物を製作していました。どこで等価回路の情報を得たのかですがネタ元はE-MUのRossum氏のUSAの特許3969682の中にある回路図らしいのです。antilog 部分の詳細回路は特許に書かれていないので少なくとも簡易OTA cell部分は同様と言うことだと思いますがはたして。

SSM2040は少なくともbehringerグループのcool audioでは作っていないchipなのでdiscreteで構成したようです。他メーカーも作っていなのかと探すとSound Semiconductorで改良型のSSI2140というのがあります。21世紀に復活したprophet5 Rev4でもSSM2040をdiscreteで構成していたと思います。

実はこのタイプの簡易OTA cellを使ったVCFは1976/9のErectronic Design誌(*1)にも製作記事が載っています。Rossum氏の特許申請が1974年だそうです。特許自体は1976年。OTAのpageでも書きましたがSSM2024 + Buffer + EXPO converterの組み合わせでもできそうです。当初予想ではVCAの後継機種のSSM2164ならEXPO VCAなのでこれを使ってKOBOLのCloneはSSM2040もどきを作るのかと思っていましたがオリジナルSOUNDを表現するにはdiscreteだったのでしょうか。 SSM2040は1980年の刻印のchipが手持ちで4個ほどありましたので(上図)これを契機に2040VCF moduleを作りたくなりました。44年前のchipですが。

*1:

* Electronic Design 1976/09より

昔調べたSSM2040を使用したSynth一覧

DIGISOUND:2000(SSM2040)
DIGISOUND:80(SSM2040)
OCTAVE: CAT(SSM2040)
SCI: Prophet5(rev.1/2..SSM2040)
RSF: Kobol/Expander/polyKOBOL?(SSM2040)
EMU: Modular2000(2110VC-HPF..SSM2040)

EMU: SSM1600 chip Voice Demo Board(SSM2040)
*未確認
EMU: Audity(SSM2040?)

もっとあるかと思いますが意外と少ない。Kobol EXpanderは貴重なSSM2040使用synthということになります。

SSMのVCF IC
SSMのVCF chipはSSM2040の後、lowcostなSSM2044がありこれはLadderVCFに近い回路のようです。 さらにはSSM2045、SSM2047の2機種がありますがこれは単にVCF+VCA+MixVCAの複合chipなのでVCF自体はSSM2044と同じようです。この2chipはあまり有名でなくE-muのsamplerとかヨーロッパの一部のsynthに使われた程度です。


Pro VS MINI
一時期停滞していたBehringerのanalog Cloneがぼちぼち出てくるようになってきました。特に海外ではすでに販売されていたいくつかの機種もやっと国内で販売開始。そのなかでも$99のLowcost MINISynthシリーズの販売も開始。第一弾としてまずPRO VS MINIが発売。 これは従来のレプリカ路線とは違う物でKORGのVolcaシリーズのコンセプトのパクリ的な意味合いがあるようで筐体サイズもほぼ同サイズでかつ静電容量対応のタッチKBDをそなえています。


* originalとのサイズ比較

Prophet VSは全体が厚めの鉄板、鍵盤が松下のおもり付きということもあってとても重いです。一方のVS MINはは400gだそうです。

original VSを所有していることもありかつ発売が延びたこともあって少なくともレプリカ音源として(*1)のVS Miniには興味がありませんでした。ただこれだけ低価格な製品ということもあり中身を見たいという興味はありました。3月末、某所で定価の2割引で買えることを知って興味が出てきました。 netで動画を見るにつけまず筐体デザインのスマートさ意外とかっこよいLooksに興味がわき購入。実質 \12800-程度。実物がきてきちっとしたデザイン、Behringerによくある安っぽさがありません。手持ちの KORG Volca KEYと較べるとよくにているとあらためて感じます。Volcaの方は電池搭載スペースがあるのでもっさりしていますがVS MINIはスマートです。この価格でprogramable/LCD表示&波形表示という点も購入動機です。

Prophet VSはanalog synthの評価が下落した時期のsynthであることで analogイメージをなくすためか、さらには従来のanalog synthに較べてparameterが増大したこともあってかつまみが大幅にはぶかれつまみが2個と1個のDater sliderのみで全体の印象がCASIOのCZみたいだと当時感じました。SCIではHome UseをねらったSIX Trak/Max/MultiTrakからLowcost化のためにつまみを極力廃止たデザインになっておりPropht VSもその延長線上にあるデザインです。さらに言うとProphet VSはSCIがLowcost路線から再度Pro Use 路線に戻った時期のsynthなので筐体も頑丈、スペックも気合の入ったsynthだったのです。とはいえ現在VSのfullcopyクローンをUB-8のような形で出しても売れるほどの人気機種ではないのでこのような製品におとし込むのはベストな選択かも知れません。

MultitrakなどはParameter Editがmatrix SWになっていますがVSの場合はつまみがない分SWをたくさんつけることによってEditが少しは楽になるような作りでありこれがCASIOのCZ likeだということです。 これに対してVS MINIはpanel上に14個のKnobがついており、OSCのような複数あるpartはSWと併用するタイプになっています。

ただおさまりきらないいくつかのparameterはFunctionKeyを押しTouchKBDからparameterを呼び出しEditする形になる為、ここで急にEditがめんどくさくなります。 特にVCF EGのVCF AMTレベルがpanel上でできないのにはストレスを感じます。あともう一個つまみがほしかった。あとOSCのwave selectのみエンコーダーですがこれの耐久性はいかに。

筐体はプラスチック製。パネルのみアルミ。うらのビスをはずすとそのまま基板が取り出せます。PANELは珍しくトルクスネジでとりつけられています。プラ筐体のためか少しゆがんでいるようで平らな机においても少しガタつきますが少しおさえつけたりしていたら直りました。 I/FはMIDIとUSB-C、電源もUSBからとります。 HPoutとSync INがついています。 超小型のLCDはOELDなのではっきりみえます。この小さな液晶にprogram選択mode時のみオシロ波形が表示されます。EDIT時LCDに表示されるのはEG/LFO/WAVEのparameterでPANEL上のFc/Resonance/LFO/Chorusの数値は出ません。LOWプライス機種のためかUSBCケーブルは付属していません。(* netを見ると付いているケースもあるようですが....)

Volcaとコンセプト、価格帯が同じ。 VolcaはMonotronの流れからきていますがBehringerの場合はそのような経緯がないので価格の制限もあり使用ChipのARMの性能範囲でできる音源を出したのでしょう。Behringerも多くのレプリカ音源にはARMが使われてますがMIDI-CV程度ではCPU powerは充分あまっている。VCFとVoice数をけちれば80年代のHybrid音源がARM中心でできるとふんだのでしょうか。Prophet VSは当時のHybrid synthとしては他社にないVector Synthsisという特徴があるのでおもしろいと。それにしてもつまみといい電源SWの形、位置までVolcaそっくり、Sync inもついていますし多機能なのに簡略化されたManualもそっくり。せめてMIDIのインプリ、Sysexの詳細くらいはほしいところ。

*1:
オリジナルのクローンではないので基本部分だけをまねた音源となっています。仕様は4VoiceでVCFは1個の今ではparaphonicと呼ばれる、いわゆるうそPOLY音源。各EGはADSRの簡易版。オリジナルVSのようなMatrix modulationはなくMODもLFO1 / 2とFilterEGのみ。AMP EGは4Voice分搭載しているのでKORG Poly800とかと同じタイプ。

ちょっとorignalのVSと音を較べてみようと普段使っていないVSを出してきました。かなりしばらく電源を入れていなかったせいかまともな音が出ません。おそらくbattery Lowかとも思いますがLCDに表示は無しで各patchで音はそれらしいのは出ますがふにゃふにゃな感じ。電源を入れると異臭がする。VSはとにかく複雑なsynthなのでcustom部品が死んでいたらもう直せないでしょう。中を開け電池電圧を測ると3Vあるので電池の問題ではなさそうだ。 capacitor等の寿命やconnectorの接触不良であればいいのだが。service manualは昔購入した覚えはあるがどこにいったのかわからず(netにあるのはschematicsのみ)。メンテはとりあえずペンディング。1986年製だとすると38年前のsynthなのでしかたがないとも言えるのですが。やっかいです。このような状況に直面するとおもちゃ的なVS MINIはともかくとしてBehringerがOB8とかの有名synthのレプリカを精力的に安価に作ってくれることには感謝したいと思います。

poly synthの第一弾としてpro800やUB-Xaが出ているがこの先も順調に他の機種も続くのだろうか。試作段階ではCS80/Prophet5/Jupiter8/PolyKobol等があるようだがはたして。個人的にはSEM*2のユーロラックサイズの試作機があったがこれが2個あればディスクリートなOberheim 4Voiceになるわけでmemory無しでもかなりリーズナブル&コンパクトではないかと思う。CEMのICを使う以前のdiscrete Oberheim SEMのpolyが最強ではないかと個人的には思う。

ProphetVS

original Prophet VSについて

VSは1986年analog synth終末期のころ、Digital synth(FM/PD/NLS)/Digital Sampler全盛時代にDigi/Ana Hybrid synthとして登場、SCI最後のsynthsizerです。この時代各社がHybrid synthを発売しており、
KORG:DW6000/8000 (NJM2069)
KAWAI:K3(SSM2044)
CASIO:HT6000/3000etc (NJM2090)(4osc/voice)
ENSONIQ: ESQ1/SQ80(CEM3379)(3osc/voice)
SCI: Prophet VS / VSR (CEM3379)(4osc/voice)

などがありSQ80を除く各機種が1周期のPCM波形を音源として後段はanalog VCF/VCAという構成です。同時期のSamplerでもFilterまでDigital処理している機種は少なく(*0)Hybrid synthと同じような構成のsamplerが多かった時代。1987/88年になるとFilterもDigitalな完全なPCM Digital Synthに移行していきます。

analog VCF使用のSampler
KORG:DSS1/DSM1
ENSONIQ:MIrage
EMU: Emulator1/2/3/E-Max
SCI: Prophet2000/3000
AKAI:S900(SWITCHED CAPACITOR)
YAMAHA/ROLAND/CASIOはDigitalFilter。

orginalのVSはProphet2000で使われたSampler用のChip()を4個使い計32基の1周期PCM音源を搭載したVector音源8voiceの音源でVCF/VCAにCEM3379を使用しています。当時のSCIのFlagship synthでした。国内の当時の価格は約97万円。USA価格が$2999(50万円相当)。

このVSのDigital音源部分は専用のSampler chipを使っていますがOutputはVCFの前でいったんdigital波形をAnalogに戻した後にVector Synrthsis用のWaveMIXをAnalogで行っていることもあってanalog CV用のS/H回路が102個必要になるというかなり膨大な回路規模になっています。CV S/Hは基本 CEM5530*2と5510*4を使用しています。VS MINIは当然そのようなことをしていないわけでVector MIXまでARM内で処理されているのでしょう。

*0:
OSC.のDigital化に較べてDynamic FilterのDIGITAL化、特に従来からあるVCFクラスの性能を有する物の実現には敷居がたかかったのでしょう。FilterがDigital化された後であってもここちよいresonanceが実現できるためにはさらに時間がかかりました。メーカーによってはresonance無しのFilterだったりしました。

Behringer Pro VS MINIの構成
Pro VS MINI
* Digital音源部: ARM(STM32H750)によるsofWare音源/4Voice 16 Oscillator
* VCF: V3340 1個使用
* 32 preset Memory
* 4Vector EG/ 1VCF EG / 4AMP EG
* 2LFO
* Chorus FX
* sequencer/arpeggiator内蔵

このBehringer Pro VS MINIは Digital部の回路構成もそれ以降のVCF chipもoriginalとは異なりますのでレプリカでは当然なく、VSのコンセプトの簡略版です。

音源処理は上記のようにARM CPUとV3320 1個というシンプルな構成、静電容量のtouch KBD用にCypressのchipを使っているのもVolcaと同様、 あとの主なIc chipはたくさんのLED(35個?) Drive用のHoltech HT16K33とDACのBB PCM3006T。 ARM CPUの有効利用とVCFを1基におさえることによりこの価格を実現できたのでしょう。FXとしてoriginalと同様Chorusが付いていますが基板を見ても専用の回路(chip)はなさそうなのでARMで作っているのでしょう。

KORG VOLCA Keyと同様panel上のsynth parameterはMIDIのCCで操作可能です。しかしpanelの制約上VCF EG Depthとか一部のparameterはFUNC keyを押してtouch KBDで指定する仕様です。簡易なmanualを見る限りこれらはCCでは指定できないようです。KORGのVOLCAと較べると電池が無くてもUSBで電源が供給できる/MIDIがなくても同様にUSBで通信できるのが便利です。 ORIGINALのVSと回路等も違うので同じ音はでませんがPatchによっては近い音も出るわけです。VSに限らずこの時代のhybrid Synthは鐘の音がきれいなのですがpresetにはそのような音がありませんでした。

Original Prophet VS
cpu:68000(16bit)
PCM波形:128(32RAM/96ROM)
PCM波形User生成機能
PCM bit数:12bit
DAC:12bit
analog CV out: 102ch
VCF/VCA: CEM3379 * 8
Chorus: BBD 2相 chrous
EG:5pointのRate/Level /Loop/Repeat (計24基)
LFO: 1/2
Program: 100
Matrix Modulation
Dual/Split/Unizon
Arpeggiator
Portamento
Pan modulation

Behringer VS MINI
cpu:ARM(32bit)
PCM波形:128
PCM bit数:??
DAC:16bit
VCF: V3320 * 1
analog CV out: 2ch?(VCF fc/resonance)
Chorus: software
EG:ADSR (計9基)
LFO: 1/2(LFO1=AMP/LFO2=OSC)
Program; 32
step sequencer/ Arpeggiator
波形表示機能

VCFがoriginalはCEM3379、MINIがV3320です。CEMでも1st VCFである3320と後期のVCFである複合chipとしての3379のVCFではキャラクタが違います。といいつつもMIN の VCFはresonanceを上げても通過帯域の低下がほとんど無いので3320を使いつつも3379の感じをシミュレートしているのかも知れません。

* 基板裏側(右側:ARM/V3320 左側:Holtech HT16K33 中央:Cypress CY8C)

  
* ARM/V3320      基板表


Pro VS MINIのEditについて
取説が簡易すぎてvector synthsisの基本がほぼ説明されていません。 特にMIX EGの使い方が書いてありません。さらにVector Synthsisの作用というpage(6page)のJoystickの図が説明および現物(右側の本体図)とちがっており説明がおかしくなっています。(左の図は他からの引用で文面が整合しない)蛇足ながらmanualに書かれている各波形の日本語訳もひどい。(訳す必要ないのに)
「ジョイスティックを上側に動かすと、オシレーター B のレベルが上がり、オシレーター D のレベルが下がります。A および C は変化しません。」

とありますがこの時点で図との整合性が無い。この図を現実のpanel図にさしかえても動作説明がおかしい。すなわち、AC軸のBD軸に対する割合はstickがBに近づくと変化するので結果A-Cのレベルは変化するのでこれは間違いです。A及びCも両者同じ値で減少しますが正解です。そうでないとA/B/C/Dの合計が100%になりません。 なおこの場合joystickのAC側のPANの値としては物理的には値は変化していませんがMIX比の計算上は変化するということです。本体をちょっといじれば明白なことをmanualで間違えるとは??。なので以下にjoystickの動作とMIX比の関係を整理して示します。

Vector MIX EG
Vector MIXは X/YJoy stickを用いますがJoystickは2個のVRで構成されており1個目のVRにはA-oscとC-oscの出力がもう一方のVRにはB-oscとD-oscの出力がつながっているイメージでPanPotと同様の原理でA/CのバランスをまたB/Dのバランスをとる構造になっており(*1)これがX軸/Y軸の2次元構造になっているというイメージです。A + B + C + Dの値が常に100(%)で一定しているという条件が付きます。 これがポイントです。2個のVRは直交しているので他方の動きの影響を受けることが単なる1次元のPanPotとは異なる点です。すなわち常に4っのOSC.を足した結果が100%のMIX出力になるというか合成ベクトルが常に100となるようにAC軸(X)とBD軸(Y)に成分が分配され、AC、BDの各軸に対してはPANPOT的なバランスでさらに分配比が設定される。

*1:実際はstickの値をA/D変換後CPUで読んでWaveMIXは他で行わる。

簡単な例を以下に示します。

0;
図のようにJoystickが中央(ニュートラル)にある時はA/B/C/Dのバランス、すなわち両VRのPANがセンターなのでA/B/C/Dの割合は全てで同じだから各Levelは25%づつになりA/B/C/D =25/25/25/25=100です。

1: StickがB方向に最大値のBのマーク位置までくるとA/B/C/D = 0/100/0/0となります。B-D軸のバランス的には100%というのはわかりますがこの時A-C軸に対しては割り当てが0になるということです。 すなわちこの場合A-C軸はBにstickが近づくにつれてY軸側とこのX軸側の分配比がニュートラル時と変化してY軸側の全体値が増え、X軸側はその分減少することになります。分配比はニュートラル位置で50%、StickがBの位置までいくとA-C側は0になります。

2/3:
最大値のままStickを動かすことは同心円を描くことです。Bから円周上をCに向かって動かすとBとCの円周上の距離差によってBとCに配分される比率が変化します。同じ距離差であればA/B/C/D = 0/50/50/0となります。最大直径の円周を動いている時はY軸ではB=100%でD=0%、同様にX軸ではC=100%、A=0%なのでAとDは0だから 0/\50/50/0です。 Stickがこの円周上のC点にいけばA/B/C/D = 0/0/100/0となります。これはStickがCの位置ではA-C軸側とB-C時期側に配分される比率が0:100になるのでB=0ということです。

4:
stickがB-D軸のBとDの分配比のMAX値の75%にある場合、ニュートラル位置のA-C軸配分の86%(COS(30度))となるので0.5*0.86=0.43となりB-D軸側には0.57となるので
B=0.75*0.57=0.43
D=0.25*0.57=0.14
A=0.43/2=0.215
C=0.43/2=0.215
となり A/B/C/D =21/43/21/14の分配比となるのではと思われます。

なおProphet VSのManualににもA/B/C/DのMIX比の生成原理は書かれていないので上の説明で正しいとは思いますが間違いがあるかも知れません。

またMIX EGの各positionに対するJoystckのMIX具合はpanel上のMIX EGのつまみではEDITできず、EditできるのはPositionに対するRateのみ。各positionに対するMIX比は Function Modeに入ってからTouch鍵盤の13番のMIX EGの項目の中の EG pointsを呼び出し各positionを+/- keyで選択した後 Joy stickを動かし設定します。 OriginalのVSのEGはMIX/Filter/AMP EGが同じparameterですがVS MINIのEGはfilter/AMPがADSR、MiXEGが 4pointのP1/P2/P3/P4に対して各rate R1/R2/R3/R4を指定する方式です。

MIXEGの概念は現在の各OSC.のMIX比がrateで指定された時間経過後次のPositionに移動して移動した際にそのpositionでのJoy Stickで指定されたMIX比に到達するというものです。 すなわち4っのOSC.の振幅は2点間を補完して動くということで内部的には1voiceに対して4EG、各OSCに対してMIXEGが付いているイメージになるのでしょうか。なおFunction mode時は本体のTouch鍵盤が鍵盤として機能しないので使い勝手がわるく、EditするのはMIDI KBDをつながないと面倒です。

Function Modeでしか設定できない Synth音色用parameter
MIDI Tx Ch.
MIDI Rx Ch.
MIDI Velocity ON/OFF
MIDI CC ON/OFF
BulK Dump
Factory Reset
LFO WAVE TRI/RECT/SAW/S&H
OSC Tune Coas/Fine
VCF EG AMT
MIX EG Loop
MIX EG Repeat
MIX EG point MIX Bal.(P0/1/2/3/4)
NAME
Prog Initialize
Store

これらはMID CCでは指定できないのでおそらくSysEXでは指定できそうですがSysEXは公開されていません。PC Editorがないと EDITはたいへんですね。

Panel上のparameter
VCF EG: A/D/S/R
VCA EG: A/D/S/R
MIX EG: R1/R2/R3/R4
LFO1: Rate/AMT(AMP Mod)
LFO2: Rate/AMT(OSC Mod)
OSC A: WAVE/TUNE
OSC B: WAVE/TUNE
OSC C: WAVE/TUNE
OSC D: WAVE/TUNE
VCF: Fc / Resonance
Chorus: Rate/ Depth
Octave UP/Down(*1)(Function Mode)

*1:本体のKBDのみに作用。MIDIには無反応。

Prophet VSとPro VS MINIの違い
PCM WAVEはOriginalとVS MINIでは異なるようですが(少なくともPCM Noと名前は異なる)Prophet VSでは0..31までのWaveはRAMで32..127までがROM Waveです。 Prophet VSの機能としてRAM Waveはユーザーが作成することが出来る機能を有します。A/B/C/DのROM wave(またはRamWave)を選択して再度MIX比を設定してそれを新波形としてRAMに格納できる機能ですが VS MINIにはないです。あと大きな違いはportamentoがないこと、Matrix Modulationがないこと、Layer/Split/Voice panがないこと、4voiceでVCFが1個なこと。とはいえOriginalは8voiceです。わずか$99のVS MINIでもかなりのoriginal VSの機能は網羅していることに驚きます。当時のProphet VSの国内価格の約 1/75の価格のおもちゃ的synthと思いきや侮れない製品です。PC Editorを出してほしいとろです。 所有しているProphet VSの調子がわるいので音の違いは調べていませんがProphet VSの方がダークで深みがあるとは思いますがEditしだいではMINIの方もよい結果が得られるような気はします。 なおVS MINIにおいてはFc全開の状態で源波形のSAW波をとってもかりきたないリンギング が出ている波形です。これが故意に作った波形でもないように思いますが。これが本機のキャラクターに反映しているようです。(ここが$99 syynthたるところか)


* Pro VS MINI No33 SAW / No34 RECT


* No33をFcを下げて resonanceを上げた時。(元のリンギングは消えます)

以下にoriginal Prophet VSのparameterを示します。

 



<2024/04/06 rev0.23>
<2024/03/29 rev0.22>
<2024/02/18 rev0.21>
<2023/09/04 rev0.20>
<2023/05/26 rev0.19>
<2022/11/26 rev0.18>
<2022/06/08 rev0.17>
<2021/11/10 rev0.16>
<2021/10/27 rev0.15>
<2021/08/28 rev0.14>
<2021/08/27 rev0.13>
<2021/08/26 rev0.12> 921B間違い修正
<2021/07/20 rev0.11>