* ARP CHROMAの VCFの構造 *


* CHROMAの LPF/HPF切り替え

上図にCHROMAのAUDIO信号系のルート図を示します。 CHROMAのVCFはCEM3350の1/2 unitを使いunit 1個でLPF/HPFの切り替えができる構造になっています、 CEM3350ではLPFとHPFでは構成ががかなり異なってしまいますが CHROMAではこれを避け実質 SELECTOR SW 1個のみでLPF/HPFmodeを切り替える構造になっておりこの為CEM3350 の推奨回路とは異なる回路を採用していおりここまでくるともはや SVFといえるかどうかも分からない構成になっています(*1)。

特徴的なのはSallen& Key Filterの正帰還ルートのように 本来 GNDに接地するCap.の端子側から信号を入れています。 この際 CEM3350の推奨回路では 470pと0.02uFの Cap.で印加信号の分圧ができるのに対して CHROMAでは0.02uFをそのまま利用しているので10Ωと1Kの抵抗で分圧して入力しています。

ARPの VCFにおいては 4023 VCF moduleもSVFの変形で凝った形式である前例がありますが このCHROMA VCFもcurtisの専用 VCF chipを使いながらもオリジナリティを発揮しています。 それだけ CEM3350は自由度の高いVCF chipといえるのでしょう。

*1:
実際通常のSVFや CEM3350のオリジナルの動作とは若干異なる動きをします。 通常のSVFのように HPFが積分で BPFになりさらにBPFが積分でLPFになりそれが逆相で印加信号とMIXされ再度HPFになるという流れではありません。 特徴的なのはQの大きさにより最終出力以前の場所で特性が変化するのはCEM3350の基本動作と同じです。

実は上記の回路で(5)番ピンと(3)番ピンを取り違えしてシミュレーションをしていました。  filterとしては HP/LP modeとも正常に動作するので間違えを疑っていなかったのですがどうも回路動作が複雑すぎるとは思いました。 一応このpageを書き終えて最後に overload reductionの項を追加する際に間違えに気づき全面的に内容を書き換えたのですが、回路が間違っていても普通に動作してしまうのが不思議です。


以下に各 mode時の動作と汎用OTAでシミュレートした特性を示しします。 CEM3350はQ調整用のOTAの CVはFcとトラッキングする要素が入っていますが以下のシミュレーションにはその要素は入っていませんのであくまで動作を理解するためのシミュレーション結果です。 


HPF mode


* HPF modeの回路

CEM3350のHP/BPF modeと同様 入力信号と2次LPFの逆相MIXに際してOP AMPの加減算回路を省略して電流MIXしているのが特徴。 構造は CEM3350の推奨回路に較べてさらに複雑です。

GmF1の入力に印加される電圧は(+)端子が最終出力を1/200に落とした電圧(すなわち0.02uFのCap.に直接入れている印加信号の(1/2) が印加され、(-)端子にはGmF2の出力で基本BPF特性が印加されます。 このGmF1の電流出力まわりの電流の重畳がとても複雑で簡単には理解できませんでした。

VCRと0.02uFまわりの電流の重畳は基本CEM3350と同じでGmF1の定電流出力をへ定電流入力型の並列1次filterに通してLPF成分とHPF成分に分解してVCR,Cap.に分配しています。 CEM3350と違い入力印加信号を Cap.側から入力してHPF特性の電流をCap.、 VCRに流しています。

このため 上記のCap.の分流分とは逆相、 VCRとは同相でMIXされます。 定電流出力は基本1次HPF特性でそれが並列filterにより BPF成分とHPF成分に分離されます。 2次HPFに関してはピークが強く、HPFというよりはHPFの通過帯域が棚になっているBPFという形状です。 以下にに特性の変化の原理を示します。



Fig3:
定電流出力の1次HPFが並列filterによりBPF特性とピークの強い2次HPF(棚付きBPF)に分解される。

Fig1:
VCRを流れる電流はBPF特性の電流とSIG INからの1次HPF特性電流の同方向MIXになるが位相特性からFc以前はBPF特性が1次HPF特性にけずられ、Fc以降は加算となりピークを持つ2次HPFが生成。

0.02uFのCap。を流れる電流は2次HPF特性の電流と逆方向からの1次HPF特性電流。 MIX結果は1次HPF特性となるようです。

GmF1のnodeの電圧特性はVCRの電圧降下であるのでVCRを流れる2次HPF特性となる。 また0.02uFの両端子電圧はMIX電流が1次HPFになるので積分電圧は1次LPF特性。 ただしQが大きければ1次filterであってもFcで大きなピークができます。

2次HPF特性なので積分すればBPFまた1次HPF特性の積分で1次LPF特性になりそれを合成すればQが大きい時は Qの大きい1次LPFでQが小さければQの小さい1次LPFということです。

Fig2:
図は1次LPF/HPFと印加信号の関係図でLPF特性 + フラットな印加信号でHPF特性になることを示している。 これに沿えば上記の Cap.の両端子電圧特性は1次LPFだがGmF1の出力nodeとGND間では2次HPF特性になる。 これは VCRとCap. (+SIG IN)の並列接続なので両者が同じ電圧特性にならなければならないので当然の結果となるがSIG IN - 1LP = 2HPというのがいまいちよくわからない。


以下に実際の電流特性の変化を示します。

*: 下図のY軸はリニアスケールなのでQを大きくすると図がわかりにくいのでQが大きい時と書いてありますが実際はQがそれほど大きくは無い値です。



* Qが小さい(VCRが小さい)時のGmF1の出力の分流(Y軸リニアスケール)


* (Y軸:LOG)
白: GmF1定電流出力 (1次HPF)
緑: LPF成分( VCRに流れる電流 BPF)
桃: HPF成分( Cap.に流れる電流 2次HPF )
青: 並列1次filter特性(LPF/HPF)

GmF1出力は2次HPFでなくピークを持つ1次HPF特性でありLPF分流成分はBPF特性、HPF分流成分はHPF特性となる。



* Qが小さい(VCRが小さい)時の各電流特性(Y軸リニアスケール)


* (Y軸:LOG)
赤: SIG INからの1次HPF電流
黄: Cap.を流れる全電流(1次HPF)
水: VCRを流れる全電流(2次HPF)

SIG INからの1次HPF電流に較べてGmF1の出力電流は小さいので1次HPF電流が支配的な特性になっている。



* Qが大きい(VCRが大きい)時のGmF1の出力の分流(Y軸リニアスケール)


* (Y軸:LOG)

GmF1電流特性は1次HPFだがQが大きく通過帯域振幅が小さいので BPFのように見える。 VCRを流れる電流はBPF特性、 Cap.の分流分は元の GmF1に近い特性。 うまい具合にピークの大きいBPF、HPFが生成されている



* Qが大きい(VCRが大きい)時の各電流特性(Y軸リニアスケール)


* (Y軸:LOG)

SIG INからの1次HPF電流とGmF1の出力電流の差は大きくはなく GmF1出力はピークが強いのでピーク部分は GmF1の分流成分が支配的で Fc以降はGmF1の分流成分に 1次HPFの通過帯域成分が付き分流成分の通過帯域振幅の少なさを補填して普通のピークの強い2次 HPFができあがる。

問題はQの大きさをコントロールしている要素はなにかということですが、VCRのRの値が小さい時は 1次HPF特性電流がGmF1出力に較べて多くなる。 1次HPF特性にはピークがないので合成電流のFcでピークはできにくい。

GmF1電流が多くなれば、GmF1出力電流は GmF1の入力電圧が基本 BPF特性とこのfilterの最終出力の電圧との差なのでピークを持った 1次HPF特性が出力されているので1次HPFとのMIXにおいてはFc付近ではこのピークが有効となる。

GmF1 outが分割されそれに1次HPF特性電流がMIXされるがVCRとCap.まわりは並列接続なので両者の電圧値が同じになる必然がある。 通常のSVFにおいてはQのコンとロールは Fcでの notch filterの効き具合であるがこの場合は SIG INからの電流の強さによってQが変化していることになる。


以下にQの値による

1:GmF1入力電圧の変化
2:出力電圧とGmF1の 0.02uFのCap.電圧の変化

のグラフを示します。


1: GmF1入力電圧


* GmF1の入力加算特性(Q=LOW)


* (Y軸: LOG)
白:(-)入力(BPF特性)
黄:(+)入力(2次HPF特性)
桃:両端子電圧差(1次HPF特性)



* GmF1の入力加算特性(Q=HIGH)


* (Y軸: LOG)


まず GmF2の積分器の電圧出力は必ず BPF特性になっていてQの大きさに応じて振幅が増大して山が急になっておりそれがGmF1の(-)端子に印加されます。 一方の (+)端子に印加される電圧は差動の OP AMP出力の1/200のレベルが印加されこれは基本HPF特性(*1)で通過帯域のGAINはQの大きさによって変化しませんがFcでのピークは(-)端子の BPF波形に追従した形になっています。

OTAは OP AMPにように帰還がかかっていないので(+)と(-)端子の電圧差を単純に反映したものがOTAの定電流出力になります。 上図から両端子の差は逆に両端子電圧の加算結果になっておりこれは両信号の位相差を反映したものでしょう。

1:
この電流出力は基本1次のHPF特性なのですがQが小さいと上図のように1次HPF特性になりQが上がっていくと1次HPF特性のままFcのピークが上昇する1次HPFという珍しい特性になります。 すなわちこの電圧MIXは最終出力の2次HPF成分とそれを積分したBPF成分を同時にMIXした特性だということです。


2: 出力電圧


* GmF1Cap.の両端電圧とGmF1出力nodeの最終HPF出力電圧特性(Q=LOW)


* (Y軸: LOG)
白: GmF1 0.02uF両端子電圧(1次LPF)
黄: 出力電圧(2次HPF)
桃: GmF2 0.02uF両端子電圧(BPF)



* GmF1Cap.の両端電圧とGmF1出力nodeの最終HPF出力電圧特性(Q=HIGH)


* (Y軸: LOG)

上図に示すのは GmF1とCap.により構成される本来の積分特性とGmF1の出力nodeの電圧の比較です。 両者は特性が反転していることの他によくみるとFcでの特性が特にQが低い時には異なっているのがわかります。



LPF mode


* LP modeの回路

HPFと同様入力信号との電流MIXが差動AMPの前にありますがこちらの方が複雑です。

HPFと違う点は2点。 OP AMPの(-)端子には印加信号の分圧分を印加しています。  もう一点はVCRが HPFではGmf1 out --- GNDだったのが GNDでなく信号MIX nodeにつながっています。 これはCEM3350の LP/BPF modeと同じです。 これによってHPFではSIG INの電圧と VCRとCap.で1次HPF電流が生じていましたがこのLPFの場合はその電流が発生しないので単純な定電流入力型の並列filter特性になります。

正確には CEM3350の推奨回路ではGmF1の入力端子に印加信号電圧を与えてVCRの一端はここに戻しているので1次HPF電流が VCRとCap.に生じますがこのLP modeでは生じないのでその分簡単な構造になります。 ただしこのLP modeではOP AMPの最終出力の1/200をGmF1の(+)端子にHP mode同様戻しています。

GmF2出力はHP modeではBPF特性でしたがLPFでは基本2次のLPFになっているところがなんとも不思議です。 GmF2の出力電流は2次HPF特性でQが高めになるとBPFのような特性になるのですが単純に考えれば 2次HPFが積分されてBPF特性になると思われ、HPF mode時はGmF2出力は同様に2次HPF特性で積分後はBPF特性になっています。 ちょっと理解に苦しみます。

電流出力がBPFなら積分して2次LPFでいいのですが。 もしかして2次HPF特性をBPFと1次 HPFに分解すればそれぞれ BPFと1次LPD特性でそれをあわせて2次LPFかとも思いましたがそれならHP mode時もそうなわけでこの部分はわからないのでペンディングです。

上記問題解決しました。 電流MIXの様子がわかり易いようにY軸をリニアスケールで表示していたのでQの高い1次filterと2次filterを間違えて見ていました。 具体的には

GmF1の電流出力 2次LPF(X) -------Qの高い1次LPF
OP AMPの(+)端子 2次HPF(X)------Qの高い1次HPF
GmF2(積分器)の電圧出力 2次LPF(X)-------Qの高い1次LPF

ということで積分のつじつまは合うようになりました。 Qの高いすなわちFcにピークを持つ1次Filterが生成されることがちょっと特殊なことだと思います。 積分結果がOKはよいのですが今度はOP AMPの差動MIX部分が変です。 Qの大きい1次HPFと印加信号(SIG IN)の合成で2次LPFになってしまうのです。 この部分もよく見ると(+)側の入力電圧と(-)側の入力の差が 0.02uFのCap.の両端子電圧と同じ2次LPF特性になっていますので当然出力は2次のLPF特性でした。




* LP modeの電流、電圧特性

上図にGmF1出力まわりの電流、電圧特性の変化を示します。 この部分は問題なく理解できます。 VCRの値が小さいと1次並列filterのFcがあがるので入力された1次LPF特性電流の分割において HPF側の BPF成分が少なくなり、VCR側の2次LPFの成分が大きくなります。 その結果積分器のFcでの Qが小さくなるように動作するようです。

0.02uF Cap.の両端子電圧とOp AMPの(+)端子特性が逆転するのはHPF時と同様。 LPF modeでは最終出力は 2次LPF特性なので 0.02uFの両端子電圧を取り出すように差動OP AMPに入力。 この際、分圧電圧とLPF特性の通過帯域の振幅電圧値は同じ値。



以下に実際の電流特性の変化を示します。



* Qが小さい(VCRが小さい)時のGmF1の出力の分流(Y軸リニアスケール)


* (Y軸LOG)
白: GmF1定電流出力(1次LPF)
緑: LPF成分( VCRに流れる電流 2次LPF)
緑: BPF成分( Cap.に流れる電流 BPF)
青: 並列1次filter特性(LPF/HPF)

GmF1出力は1次LPF特性。 VCRのRが小さい時、Cap.側の BPF成分の割合は少なくほとんどVCR側の2次LPF成分でこれにRの値をかけた値がCap.の積分電圧と同じになる。



* Qが大きい(VCRが大きい時の各電流特性(Y軸リニアスケール)


* (Y軸LOG)

Cap.側のHPFで分離したBPF成分が大きく立ってくるのでQが大きくなる。



以下にQの値による

1:GmF1入力電圧の変化
2:出力電圧とGmF1の 0.02uFのCap.電圧の変化

のグラフを示します。


1: GmF1入力電圧


* GmF1の入力加算特性(Q=LOW)(Y軸:リニアスケール)


* (Y軸:LOG)
白:(-)入力 (1次LPF特性)
黄:(+)入力 (2次LPF特性)
桃:両端子電圧差 (1次LPF特性)

片側入力の信号は逆相になり両端子電圧差は入力の加算結果となる。



* GmF1の入力加算特性(Q=HIGH)(Y軸:リニアスケール)


* (Y軸:LOG)

上記の Q=LOWと同じ加算結果となる。 加算結果は(-)端子のピークが反映。



2: 出力電圧


* GmF1Cap.の両端電圧とGmF出力nodeの最終HPF出力電圧特性(Q=LOW)(Y軸:リニア)


* (Y軸: LOG)
白: GmF1 0.02uF両端子電圧(2次LPF)
桃: GmF2 出力電圧(1次LPF)
黄: GmF1 出力nodeの最終HPF出力電圧(1次HPF)
青: SIG INの分圧電圧

Qが小さいほどGmF2の電圧出力GAINが大きい。



* GmF1Cap.の両端電圧とGmF1出力nodeの最終HPF出力電圧特性(Q=HIGH)


* (Y軸:LOG)

最終出力電圧特性(LPF)の通過帯域のGAINはQの値にかかわらず一定でQの大きさに応じてピークの高さ急さが変化します。 これは CEM3350のQに対する特性変化(通過帯域が下がってFcのQの山の高さが一定)とは異なる。



Overdrive Reduction





ARP CHROMAについて

Chromaは ARP最後の synthesizerであり、またARP初の完全な poly synthでもあります。  開発は SCI Prophet5が登場した後の1979年から始まったようで1981年頃1980年(*1)プロトタイプが 出来上がったようですが、その後 ARPは倒産してしまい、量産機は Rhodesブランドから 発売されました。

ARPの polysynthへの挑戦は strings KBD に単体 VCFを取り付けたsemi polysynth OMNIに始まり、試作機段階で頓挫した幻の polysynth Centaur、Odysseyに Hex fuzzを 付けた形の Guitar synth Avator、OMNIの発展型 Quadra等がありましたがいずれも Polysynthとしては不完全なものでした。  その後 ARPはARP PIANOを開発するのですがこれは 4voice PIANO / 16Voice PIANOと言うようにkey assigner方式のPolyphonic 音源のようですがpoly synthではありませんでした。  ARPがpolysynthの開発にもたついている間に新進メーカである SCIが computer controll の Prophet5を発表してしまいます。

Chromaは polyphonic synthで SCIに遅れをとった analog synthの老舗 ARPの意地が感じ られる作品で、ARP初の 本格的なcomputer controllによる Key assigner/ program memory / Auto tune 等の機能をクリアし、当時の analog synthとしては最新の soft modulatorによる matrix modulation / Compute I/F 、 APR pianoで導入された velocity sense 対応の 木製KBD after touchの対応、 ARP初の lever式 Bender、Modulation 機構を装備していました。

analog voice部分は 1VCO/1VCF/1VCA時 16 Voice音源として、 また 2VCO/2VCF/2VCA時は 8 voiceになってしまいますが、 信号経路の組替えが algorithmにより可能で 2基ある VCF を直列、並列にならべたりVCAをVCFの前にもってきたり RING modulationや Sync、filter FMができる 等音作りの自由度があがる設計になっています。  また Sweep Gen.(LFO)が各 voiceで 独立している(total16基)というのも当時の poly synth としては画期的です。

Chromaは program毎に voice moduleの出力を 1/2/3/4のいずれかに選べ、必要に 応じてその出力を外部 effectorに通すことが可能であるとか、多くの knobを持たず parameterを選択し1っの sliderで parameterを editするとか、 後のoberheim Xpanderにつよい影響を与えた software matrix moduration等々、 現在の synthに通じるいくつかの機能を始めに搭載した synthであります。

1980年当時で16音polyphonicを実現する為、1voice分の構成はかなり簡略化された回路を使っておりこのVCFにおいてもCEM3350 1個で LPF/HPF切り替え方式のVCFを2基搭載する形になっています。 簡略化した voiceと言うことではKORGの PS3XXXシリーズに共通するセンスも感じます。 CEMのIC等を使っていてもやはりARPの音がするsynthだと思います。  1981年当時の ARP社のデモンストレータの方による CHROMAのデモビデをを所有していますが CEMのICを使っていてもARPの音がするし、Analog synthにしては広範囲の音色を網羅できるすぐれたsynthだと感じるVIDEOです。


Chroma は後のsynthに影響を与えた要素をいくつも持っています。ARP PIANO直系の木製鍵盤は後にKurzweil K250や MIDI boardに採用された木製鍵盤そのものでこれはK250開発に際してARPの元エンジニアが参加しているからでしょう。

Soft wareによる soft modulator、Matrix modulationは後のOberheim Xpander等に影響を与えており、 AUDIO信号系の可変アルゴリズムはKurzweil K2000のVASTに、さらにVioce出力のMULTI OUTに対する選択は後の PCM synthでは標準的な仕様になり、parameterのEDIT方法、フィルムルタイプのSWなどを含めたLooksはYAMAHA DX7に強く影響を与えているように思えます。また Slave音源を追加して32voice polyphonic化が可能と言う部分もMIDIの先駆けとも言えARP analog synthの集大成的な機種ではないでしょうか。

自分の場合1995年ごろまだnetに出回っていないころ、Chromaのservice manulaを入手しました。 当時はこの VCFの構造がまるで理解できませんでした。 そもそも CEM3350自体も理解できていなかったので当然のことですが。

20年ほど前にChromaのVCOを自作したことがありますので今度はVCF/VCA部分を自作してmono phonicでもいいので Chromaのvoice構造を実体験したいものです。CEM3350やこのChroma VCFにおいてまだよくわからない部分も多々ありますので。


* 製作した Chroma Dual VCO + RING MOD.


最近のできごととして CEM3350が alphaから復活するそうなのでCEM3350も少しはメジャーな chipになるかも知れません。



*1:

* 1980/10 USA KEYBOARD誌に掲載された画像

調べて見ると1980年08月?の NAMM showで発表されたようで、上記の写真にはKORGのX927すなわちTrident の下に Chromaが写っています。 プロトタイプは黒の革張りのケース一体化の仕様のようでARP PIANOの流れを組むデザイン。 この1980年の NammにはROALNDのjuptor8がデビューしています。 その他 crumar GDS、Teisco SX400、YAMAHA GS1などもデビューしています。




<2018/02/13 rev0.22>
<2018/01/14 rev0.0>