鴻海(ホンハイ)精密工業の郭董事長(テリー・ゴウ会長)とシャープの高橋興三社長が共同記者会見を開いた。郭董事長はシャープ再建について「方向性は明確だ。シャープの技術を迅速(じんそく)に、コスト競争力も高く製品化できるようにし、グローバルな消費者ブランドになれるよう支援する」と述べた。具体的には今後2〜4年で経営再建を果たすことに自信を示した。

一方、シャープの高橋社長は「鴻海との戦略的提携で、世界トップクラスの高品質かつ洗練された商品を世界展開できるようになる」と話した。「10年、100年にわたって必要とされる新しい価値を提供し続ける企業を目指す」とも語った。

2016/4/3付日本経済新聞 朝刊



ホンハイ会長の「シャープの技術を迅速(じんそく)に」「コスト競争力を高く」「グローバルな消費者」は、シャープの将来を暗示する。

つまり、シャープの技術をコピーして、安価な製品・サービスをつくりまくり、世界で売りまくり、大量生産・大量販売(大量消費)する。

こうすると、どうなるか

コスト(経費)を削減せざるをえない。
コストとは、何か、まさに「人件費(従業員の賃金)」だ

こうして、シャープの従業員が貧困化

しかし、今、先進国の消費者(とくに富裕層)が求めているのは、安価な粗悪品ではなく、「安全・安心・高付加価値・高品質」な製品やサービスだ。

つまり、シャープの高橋社長が記者会見で述べた戦略「世界トップクラスの高品質かつ洗練された商品を世界展開」することが求められているのだ


これは、コストを削減して、スピーディに実現できるものではない。消費者の「安心・安全」は、コスト競争では得られない。


シャープがホンハイによる買収契約に正式調印した段階で、ホンハイのテリー・ゴウ会長とシャープの高橋社長の方向性がまったく違うのだが…
シャープはお金がないとなんでも呑(の)むだな

追記1:
中国人は、技術を開発しないで、技術を買う

中国企業の売上高に占める研究開発費の比率は1%に満たず、日本の約3%を下回る。(中国の)ある家電大手幹部は「技術は買う。人を教育している時間はない」と言ってはばからない。イノベーション(技術革新)に不可欠な人材教育や研究開発を軽んじる風潮が漂う。2016/2/9付日本経済新聞 朝刊

追記2:
中国は、この期間(1992〜2008)中に、世界をリードするような技術革新は何も生み出していないし、国際的な競争力のある産業を何ひとつも育てなかった。たとえば、中国の自動車産業は独自の技術開発よりもむしろ合弁(共同出資)の道を選び、もっぱら外国企業の技術を頼りにしている『これが本当の中国33のツボ』p132 石平 海竜社 2008/3/17

追記3:
中国は、軍事技術は発達しているが、民生技術は立ち遅れている。中国には世界をリードする民生技術がほとんど一つもない。軍事技術をふくめて中国ではどんなに優れた技術でも、その核心技術には決まって外国の技術がはいっている。飛行機のエンジン、スーパーコンピューターのCPU、ロケットのチップ、宇宙船の外殻などはいずれも外国の技術である。

民生技術は、(2013年までの)この30年の間、おどろくほど進歩が見えない。たとえば、全世界のポールペンは約90%が中国で製造されているが、ペン先にある小さな玉は外国から輸入しなければならない。人工衛星まで打ち上げる技術があるにもかかわらず、ボールペンのペン先を作れない。
『いま中国で起きている大破局の真相』p114,115  邱 海涛(きゅう・かいとう) 徳間書店 2013/10/23


追記4:

スマホで代用できないデジカメ

2016/4/9付日本経済新聞 夕刊




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