まとまる時は一気に出るモノで、「漫画サンデー」の村祭まこと先生掲載号が
ヤフーオークションにどかどか出てきてしまった。しかもリスト未掲載作品
『落語バカ壱八』(読み切り)や『とんでもピカロ』(連載)掲載号まで
出てくる始末。それより『拳 -ナックル- 漢方医緒形拳庵』掲載号探しているんだけど、
こっちは出てこない。中々世の中思い通りにならないものだ。うーむ。
ともあれ、この村祭マンサン期は俺が高校生から大学生にかけて。なかなか
オヤジ雑誌にまで手が回ってなかったので、今になって取り戻している始末だ。
同じ時期に『まんだら屋の良太』が連載されてるんだけど、この作品は友人が
狩っていた単行本で追っかけていたので、本誌はほとんど見てなかったんだよな…俺の阿呆。
豪ちゃんが『バイオレンスジャック』連載していた「漫画ゴラク」くらいか、
オヤジ雑誌で確実に読んでいたのは。やっぱりおっさん雑誌は自分がおっさんに
ならないと、その魅力に気付けないっつーコトさね。賢先生の『自家発電ゼンカイ』
(リイドコミック掲載)なんてのもその一つ。マイペースで狩ってます。
▼で、落札した「漫画サンデー」が到着。開いてみれば、別の雑誌の広告が載ってたりして、
案の定未だ知らない村祭作品タイトルやカットが目に入ってしまう。「サンデーまんが」って、
確かに表紙見た覚えがあるんだけど、手に取った記憶がほとんどない。いやあ、まだ未開拓の宝の山
が次々出てくるぜ!
それに伴い、分かった範囲で
おのまこと先生リストを更新。
『とんでもピカロ』『落語バカ壱八』『スモウ人生 ごっつぁんす物語』3作品が新たに入りました。
▼『とんでもピカロ』は逆タマに乗ったサルそっくりの顔したサラリーマンの話。
大企業の社内派閥の話とか、得意先と絡むことで起こるドラマなんだけど、
こりゃオトナにならないと確かに面白そうに見えないね。主人公の奥さんや
同じ部署にいる女性社員などヒロインもかわいいし。結構色っぽいシーンもあったりして、今よりも
少しギラついた感触がする。でも、結構長い連載時期のたった2本しかまだ手に入ってないんだよなあ…。
▼『落語バカ壱八』は真打ちにはまだ届かないけれど、それなりに修行を重ねてきた
中堅落語家が夢を諦めそうになりながら、大物落語家の死に際を看取るコトで
改めて落語を発見し、再起する話。結構真正面からのテーマを真正面から
描いてるんだけど、村祭タッチのために重くならずに読めるカンジ。
最終ページ欄外に「村祭先生にどんなテーマのマンガを描いて欲しいか募集しています」
と興味深い募集記事が。村祭作品って確かに、どんな職業をテーマにしても
いい意味で庶民感覚に落とし込む強みがあるんだな。往々にしてスポーツマンガは
勝敗の行方とか特訓の厳しさがクローズアップされる傾向があって、それこそ「本道」。
他の職業モノでもこのスポーツマンガ的メソッドが流用される傾向が強いでしょ。
得意先を巡ってライバル社と競り合うとか、出世政治の人間模様をスポーツでの精神戦
チックに描くとか。いやそれも図抜けていれば面白いんだけど、大概の場合アスリート目線・
プロフェッショナル目線で構築されたドラマに、リサーチした結果がトリビアを誇る如く
織り込まれてたりして、自然じゃない例も見受けられる。
村祭作品の凄いところは、そういった仕事の現場も描くんだけど、
オフタイムに起こるドラマを主流に組んで、そこからにじみ出る人間の姿を描いている
ところだ。極端な話、会社でも家でもなく、通勤電車の中とか、毎朝立ち寄るキオスク
の軒下だけで一本できてしまうような、細かい観察眼。蘊蓄が登場人物たちの日常に
すんなり織り込まれた状態で話も進んでいて、より感情移入しやすい。
地道なリサーチが恐らくベースになってるんだろうけど、その視線の優しさはダイナミック系
だけでなく、マンガ界の中でも希有の才能だと思う次第。
▼もちろん現在の『同心五七五』でもその辺は遺憾なく発揮されているし。
新作『〜江戸職人噺〜 大工寅次郎』がまた、細やかなリサーチを感じさせててグッド。
コレは続編を期待したいよ。
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