mandara-story 曼陀羅Story

COMICクラフトvol.1(白夜書房 漫画パチンカー1990.8月号増刊)

COMICクラフトvol.1 曼陀羅Story
単行本未収録

引用した1ページ目を見ると時代劇のようだが、実は『芸夢E2』や『雀狂戦記』と同じ流れにある近未来SFモノ。8ページの短編だが描き込みの量は半端じゃない。

戦国時代、奇怪な魔物に次々と理不尽なまでにいたぶられる男。彼の立つ世界は戦国の城の前かと思いきや、空間は歪み、城は宙を飛び、異空間が大きな口を開き…とオチを決めておいて、後はイメージの膨れるままに広げたような石川賢異空間のビジュアルが楽しい。

ほとんどネタバレになるけど、被害者だと思われた主人公が、実はプロット上重要な加害者だった…というひっくり返しが利いている。




mamono-tachi no yoru 魔物達の夜

COMICクラフトvol.3(白夜書房 漫画パチンカー1990.11月号増刊)

COMICクラフトvol.3 魔物達の夜
単行本未収録

ベテラン中年とルーキー、二人の刑事が夜回りで張り込んでるようなイントロで、ゆるりと始まる。「いやな夜だ」「きっとこんな夜 地獄のカマの蓋が開くんでしょうな!」と、賢先生お得意のケレン味たっぷりのやり取りが始まる。(後にゲッターで使った「地獄のカマ」のセリフがココで初出)

詳細は明らかにされないが、「あの戦争」以来、世界は大気が狂い時空が裂け、人間の中に眠っていた潜在能力が目覚めている、というのだ。 魔物達の夜

刑事たちはタバコをくれ、という男に話しをし始めるが、突如刑事たちの体からは異形の羽や巨大な口を持つ化け物が出現、醜く顔を歪めながら相手の男を喰い始める!…が、その男はさらに巨大な化け物に変身していく。

冒頭の抑制した調子とは裏腹に、変身してからは石川エスカレーションのエッセンスを抜き出したような、過剰な変身合戦と血しぶきバトルの応酬が、スピード感たっぷりに描かれてて○。「ドゴオーン」「ズゴオオオ」「バキ バリバリ ベキ」など擬音もステキだぜ。彼らは男の「生きた頭」だけ残して他のパーツを食い尽くしてしまう!頭は生かしておいて自供させるというワイルドな刑事さんたちだ。

実は彼らの正体は「魔獣刑事」。人を喰う魔物を、魔物の力を持った人間が追い詰めていく…という壮大なストーリーのプロローグ、とも見える。もしかしたらこの話もまた『虚無戦記』『魔獣戦線』の一コマなのかもしれない。


石川賢ROOM
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