mamono-tachi no yoru 魔物達の夜
COMICクラフトvol.3(白夜書房 漫画パチンカー1990.11月号増刊)
単行本未収録
ベテラン中年とルーキー、二人の刑事が夜回りで張り込んでるようなイントロで、ゆるりと始まる。「いやな夜だ」「きっとこんな夜 地獄のカマの蓋が開くんでしょうな!」と、賢先生お得意のケレン味たっぷりのやり取りが始まる。(後にゲッターで使った「地獄のカマ」のセリフがココで初出)
詳細は明らかにされないが、「あの戦争」以来、世界は大気が狂い時空が裂け、人間の中に眠っていた潜在能力が目覚めている、というのだ。
刑事たちはタバコをくれ、という男に話しをし始めるが、突如刑事たちの体からは異形の羽や巨大な口を持つ化け物が出現、醜く顔を歪めながら相手の男を喰い始める!…が、その男はさらに巨大な化け物に変身していく。
冒頭の抑制した調子とは裏腹に、変身してからは石川エスカレーションのエッセンスを抜き出したような、過剰な変身合戦と血しぶきバトルの応酬が、スピード感たっぷりに描かれてて○。「ドゴオーン」「ズゴオオオ」「バキ バリバリ ベキ」など擬音もステキだぜ。彼らは男の「生きた頭」だけ残して他のパーツを食い尽くしてしまう!頭は生かしておいて自供させるというワイルドな刑事さんたちだ。
実は彼らの正体は「魔獣刑事」。人を喰う魔物を、魔物の力を持った人間が追い詰めていく…という壮大なストーリーのプロローグ、とも見える。もしかしたらこの話もまた『虚無戦記』か『魔獣戦線』の一コマなのかもしれない。
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