永井豪ROOM
ハレンチ学園

良きにつけ悪しきにつけ、「永井豪」の名を世に知らしめた作家代表作だ。

ちなみにコレは、集英社ジャンプコミックス(JC)2巻初版。JCレーベルの4冊目だったりする。
JCは初版1〜4巻に帯がついていたというコレクター泣かせな仕様。
俺はハレンチ学園のカラー原稿だと、この絵が一番好き。(JC全巻画像はこちら


徳間コミック文庫版(1995年・全7巻)

1〜7巻全て/5.31初版


20世紀中では、収録エピソードが最も多かったバージョン。 ただし加筆修正が多少あるため、「週刊少年ジャンプ」の連載により 近いモノというならば、JC版か、集英社漫画文庫版を手に入れる必要がある。

より完全な収録はこの下にある小池書院バージョンだが、この文庫版には 巻末に永井豪ロングインタビューが収録されており、この作品に留まらず 当時の状況がよくつかめるテキストとなっているので、コレクター的には必須。

特に目立つ修正は、第三部開始時「新装開店ハレンチ学園の巻」。 80年代のKCDX以降復刻分では、高倉健が登場するコマが恐らく肖像権・著作権の 関係でばっさりカットされ、新たに描き下ろされたキャラが入っている。 徳間版で言うと、5巻収録分。

このバージョンをお持ちの方は3巻を開かずに持ち、「小口」と呼ばれる背表紙の逆側を見て欲しい。 後ろのページがそれまでと打って変わって真っ黒に見える。コレはハレンチ大戦争の真っ最中に、 山岸とイキドマリが「永井豪はたとえ主人公でも容赦なく殺す」と語り合い、直後に「いやだ!」 と逃げたイキドマリが爆死するくだりから。この辺から牧歌的だった永井豪の絵柄も豹変、 ご存知のダイナミックな絵柄へ急成長する。もはや枠線を跳び越え始め、我々の知っている 「永井豪」が生まれたという、「黒」なのである。 (ちなみにJC版だと、かなり広めに枠線の外側まで印刷しているため、ココまで顕著に黒く見えません)


小池書院版(2007年・全6巻)

1巻/8.29初版 2巻/9.20初版 3巻/10.25初版

4巻11.29初版 5巻/12.28初版 6巻08.1.25初版

現在のところ、収録エピソードが最も多いバージョン。

特に第5、6巻の、コレが初単行本収録となる『平成ハレンチ学園』 が見逃せない。「少年誌では許されなかった"本番"よーっ!」…と、 叫ぶヒゲゴジラのセリフが嬉しくなる。ゴラク版はオリジナルを トレースした形で、教師となった山岸たちを描いている一方、 オカルト研究会の銅磨火美子・ミレーヌ大草・流魅子・法印大子登場の マンサン版が新味もあり楽しい。

なおこのバージョンだと3巻がハレンチ大戦争。各巻末には「外伝」 として連載終了後の発表分も収録、『ハレンチゴルファー十べえ』以外の 全てがこのバージョンにある。


「『ハレンチ学園』はキャラが全滅して打ち切り」とするテキストが見られるが、それは事実と異なる。 全滅の後も、雑草のような勢いで21世紀まで甦った掲載状況を整理しておこう。
第一部 「少年ジャンプ」
1968年8/1創刊号
〜「週刊少年ジャンプ」
1970(昭45)7/20(30)号
読みきり掲載にてスタート。短編を挟んだ後、連載。「少年ブック」「増刊少年ジャンプ」にも掲載されている。 「モーレツごっこ」にて当時の流行として採り上げたスカートめくりが話題に。ハレンチ漫画の代名詞として、 新聞を賑わしワイドショーにも担ぎ出される。その体験が原動力となって、「良識」を謳うオトナと ハレンチ学園側の全面戦争「ハレンチ大戦争」編が生まれ、登場人物が全滅して終了。 また、連載を一定ページずつまとめて「別冊少年ジャンプ」に再録もされた。 この時期にドラマ化されるが第一部の中期だったため、大戦争は映像化されていない。
第二部 「週刊少年ジャンプ」
1970(昭45)8/24(35)号
〜1971(昭46)2/8(7)号
「ハレンチ大戦争」より3年後。成長した妹マミや十ベエと聖ハレヤカ学園〜ハレンチ女学園で騒動を起こす。 十ベエは髪が伸び柳生家の剣士である教師として登場、山岸に比べてデザインがかなり変わる。 最後は逃亡劇の果てに白銀のスロープを滑り降り、舞台は未来へ。年老いた山岸と十ベエがハレンチ学園を懐古して終わる。
第三部 「週刊少年ジャンプ」
1972(昭47)1/1(1)号
〜9/25(41)号
15歳で結婚した山岸と十ベエ。舞台は「ハレンチ学園中学部」へ。 主人公二人以外は総とっ替え。二人は同居しているが、十ベエが昼間主婦を担当しているため、 学校へは山岸のみが通う設定。お陰で当初はドラマを転がす二人が一緒に出ないという妙な展開だった。 ヒゲゴジラはいなかったが、その人気に押されてか途中から何食わぬ顔で教師として合流している。
(第四部) (調査中) 第三部は、間に「ヒゲゴジラ伝」と呼ばれるヒゲゴジラの伝記中心のエピソードが 挟まってストーリーが中断している。再開された折に「第四部」と称されたが、現在はそれが一本化され、 「ヒゲゴジラ伝」も分けて第三部終了後に収録されているため、「第四部」という分け方が消失した。
番外編1 「月刊少年ジャンプ」
1976年11月号
「制服きまる!?」の巻。上の徳間版にて単行本初収録。 JCや集英社文庫(旧)、KCDXには未収録。雑誌掲載時はオール2色カラー。
番外編2 「週刊漫画ゴラク」
1994年5/13、8/26号
「週刊漫画サンデー」
1995年12/5〜12/12号
正式タイトル『平成ハレンチ学園』。小池書院版(2007)に初収録。 掟破りというべきか、山岸が教師になり、イキドマリも復活。 教師になるアイデアは実際は連載中に構想だけされていたようだ。同タイトルの実写ドラマビデオもリリースされた。
番外編3 WEEKLYパーゴルフ別冊「コミックビッグゴルフ」
vol.1〜6/ 2003〜04年
正式タイトル『ハレンチゴルファー十べえ』。十べえの髪型が「ハレンチ大戦争編」までのモミアゲバージョンであるコトから、第一部の直接的な続編である。同作の他、『あばしり一家』や『けっこう仮面』も合流。永井豪ハレンチの総決算的内容でもある。
番外編4 ビジネスジャンプ、BJ魂/ 2007年 正式タイトル『ハレンチ学園2007』『ハレンチ学園 〜ザ・カンパニー〜』。永井豪の筆ではなく、脚本:近藤雅之・漫画:有賀照人にて描かれる。会社員になった学園のメンバーが主役。

ちなみにコレが「制服決まる!?」の巻掲載号。



『けっこう仮面』15話「鉄椀オツム大登場」と同時掲載だ。そのため多忙もあってか、『ハレンチ』のペン入れはよしかわ進の手で行われている。横の『けっこう』で分かるように、この時期の豪ちゃんの絵柄は特にシャープだった。一方で、本編初期のテイストでありながら、エロパワーを上げてアレンジしているよしかわタッチだけに、比較するとメリハリの利いたお楽しみになっている。この時期月刊ジャンプでは「永遠の名作シリーズ」として過去作の続編を掲載する企画を展開しており、『ハレンチ学園』は企画8回目の登板だった。


こちらが『ハレンチゴルファー十べえ』単行本。


学習研究社GSコミックス(全1巻)
2005.4.26初版


「コミックビッグゴルフ」に盟友石川賢の『超護流符伝ハルカ』とともに連載。この雑誌はダイナミックファンにとって「罠」だったとしか言いようがない。初回の「30年以上前に PTAや教育委員会と戦争してつぶれたって聞いてたけど まだあるのねえ」という通りすがりの主婦の会話が印象的。『あばしり一家』『けっこう仮面』のクロスオーバーの他、ゲッターロボ・パンダーZ・鋼鉄ジーグのパロディキャラや、『デビルマン』のデーモン一族までアレンジされて登場。21世紀にも変わらぬ豪ちゃんギャグを描いてみせた。

この単行本には短編『ピンクのグリーン』同時収録。


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