番外編=「ドキュメント/金時山」(1998年4月22日の手紙から)   


前略
 この度は結構なものを頂戴しまして、ありがとうございました。
あの日は、登っている途中から雷が鳴り、雪が降ってきて、それも結構激しかったりして、かみさんと「どうしようか」と言いつつ、それでも登っていったものでした。しかし、小生は古いテニスシューズで底がつるつる、まさか残雪も残っているとは露知らず、初春の金時山を甘くみておりましたことをいまでも後悔しております。ともあれ、金時小屋に着くころには、青空が広がり、眼下に芦ノ湖もよく見え、真正面には富士山と、久しぶりの山行を満喫したものでした。

    


 さて、汗もやっとひいて、おでんに缶ビールのあと、乙女峠に向かって下山を始め、急な斜面の雪にてこずりながら10分ぐらい行ったときでしょうか。ベストが落ちていたのは。
 何でこんなところに?と拾い上げ、(失礼ながら)ポケットをちょっと見ると、車のキー。「どうしよう、多分、下に車を置いて登ってきた人が、落とし主だ。きっと困っているよ」と私。「どこに落としたかも分からず、探しているかも。このまま置いておけば」とかみさん。「そうもいかないだろうよ。とりあえず持っていくしかないだろう」と若干の口論。

 ひざがガクガクするころ、やっと下まで降りて、金時神社の駐車場(小生も停めていた)で、もう一回中身を点検(失礼)。今回の金時山山行のメモがあり、責任者らしき人(或いはご本人)の携帯電話番号を発見、わきのゴルフ練習場から電話かけるも通じません。その場でジッと下山してくるであろうグループを待っているわけにもいかず、大体、ベストを掲げて「落とした方いませんか」と大声で叫びつづけるのも抵抗あるし、かみさんからは「余計なことをするからよ、どうするの」と責められるし、「じゃあ、交番さがしにいこう」と仙石原方面に車を走らせたのです。

 T字路の先に、「あった!あった!」と交番を見つけ、落とし物を届けたのですが、おまわりさんも、「また登山客のトラブルか」と迷惑そうな様子。よくいろいろな事故がおこり、山小屋で酒をどんどん出すものだから、酔っぱらって転落したり、そんなことでしょっちゅう駆り出されるそうです。結局30分ぐらい色々、話をしたり、聞かされたりして、汗もかいたことだし、「どこか近所にいい温泉ありませんか?」と聞いたところ、すぐそばの(歩いて30秒)の「温泉民宿せりざわ荘」を教えてくれたのです。
 これが結構穴場的な温泉で、露天風呂、サウナあり、お休み処(大広間)もあり、日帰り入浴料は大人1000円、子供500円。駐車場もスペース広く、われわれが入ったのは2時過ぎだったから食事はできなかったけれど、金時山登山のあとにはここが定番になるかな、といった感じで、ちょっとお湯がぬるかったのが残念だったが、清潔感あふれる箱根仙石原のおすすめ温泉ではないでしょうか。

(写真入る予定)TEL&FAX/0460(4)8158  定休日/毎木曜日

 ところでOさんは、車のカギ、落とされてどうされましたか?落とされた方もドラマがあったと思いますが。拾った側にもドラマがあったのでした。とにかく無事にベストが戻ってよかったですね。
 これからも愉しい山行をしてください。とりあえずお礼方々、あの日、1998年3月15日のことを書き綴ってしまいました。                                                                                          草々

これは今年4月中旬、浦和のOさんから送られてきた「おせんべい」に対してしゅうちゃんがしたためた手紙の写しです.事実をもとにドキュメントタッチで再現、山と温泉の番外編としてご紹介しました。



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