仏教は、じつはかつて障害者や弱者を差別し見捨てていたのではないかというのが、私のひそかな考えです。だからこそ、良寛禅師などがことさら弱者を救済したと称えられているのではないでしょうか。ともかく、全国の神社仏閣に出かけてみて、障害者や高齢者などの、身体的弱者はアクセスできないような構造ばかりであることに驚かされます。

 足元の悪い参道や、果てしない急な階段など、それを克服することが成就の道であるような精神主義で満ちているような印象すらあります。

 
 写真は、宝塚市にある「中山寺」です。中山寺は、京阪神では安産祈願で有名で、妊婦さんはここで祈祷された腹帯をつけて安産を願う、そして無事出産したら、こんどは子どもの無事の成長を祈るために「お宮参り」をします。階段の上にあるのが、本尊である観世音菩薩を安置してある本堂。

 で、階段の右側に屋根がついている部分にはエスカレータがあります。寺の参道にエスカレータが作られたことで評判になりました。とはいえ、先に書きましたように、このエスカレータは、中山さんの大得意さんである妊婦さんの便宜のためというのが本来のもの。

 ま、こういうお寺もあるということで…。



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1999/04/23