いろいろな情報があふれています

 これまでこのコラムでもときに触れてきましたが、テレビや週刊誌を通じてさまざまな健康法や代替医療に関する情報があふれています。そのうえさらに最近は、インターネットというある種「野放し」の場が玉石混交の情報を発信するようになっています。

 医師が行う医療以外のものを「代替医療」とおおざっぱにここではいっておきますが、このような代替医療に頼ろうとする人たちがあとを立たないのは、私たち医師にも問題と責任があることは当然です。しかし、医療にかかわらず、耳ざわりのいい言葉には気をつけなければなりません。残念ですが、現実にはそんなに「いいことばかり」があるわけではありますまい。

 そのうえしばしば困ったことに、医師である立場の人が一種の代替医療的な治療法をおこなっている例もあとをたちません。もちろん、保険診療以外のものがすべて危ないということはありませんが、「藁をも掴みたい」くらいに困っている患者さんの「弱みにつけこんで」いるのではないか、あるいは、単に名前を売りたい、金を儲けたいという動機で裏づけのない治療を売り物にしていたりする人がいます。

 いま医療の世界では、「情報の公開」「病気や治療についての正しい説明」「患者さんの自己決定」という大きな流れが定着しつつあります。このことは「ひとつしかない自分の健康・命は自分で守る」という患者さんの要求が、閉鎖的な医療界を動かしている結果だろうと思います。

 だからなおのこと、代替医療や健康法にも「性格な情報を得て公正な説明を受けたうえで自分の責任で選択する」という姿勢が求められるはずです。

 「専門家に任せておけ、シロウトは口だしするな」的な場面に出会ったら、その相手が医師であれ代替医療家であれ詐欺師であれ、とりあえず眉に唾をつけてみるのが自分の身を守る方法であると、私は思うのですが、さて。


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