介護保険が始まりますよ

 今回もすこし毛色の違うお話です。

 いよいよあと半年ほどすれば介護保険が実質的に始まります。制度そのものの実施は来年の四月からですが、その前準備は今年の晩秋あたりからになるはず。「認定」の申請受付と認定事務作業がそのころから開始されると予想されているのです。

 かんじんの保険料や給付額などは、この原稿を書いている時点では『まだ』決まっていません。ほんとにどうなるのかと、私のような業界の人間はやきもきしているわけですが、それでもすでにいくつか確実に決まっていることがありますので、いざというときにあわてないように、ある程度は知っておかれたほうがいいでしょう。

 まず、介護保険は「強制加入の掛け捨て」の保険だということがあります。いいやわしゃ保険なんかいらんから保険料は払わへんといっても、介護保険の保険料を滞納すると医療保険(健康保険)も停止されるというしくみになっていますのでたいへんです。  しかも、年金受給者の場合は、保険料をその年金から天引きされます。来年の4月以降、年金の受けとり額は保険料の分だけ少なくなります。

 保険を使いたい場面になったとき、医療保険なら保険証を医院や病院に持っていけばすぐ医療を受けられますが、介護保険の場合は、まず市町村に認定の申請をし、市町村が障害の具合を個別に調査します。そしてその結果を市町村に設置された介護認定審査会で認定し、認定された障害の程度に応じた介護サービスを介護支援専門員(ケアマネージャー)が組み立てて、やっと実際のサービスが受けられるという手順になります(*1)。

 何かと批判も少なくない制度でありますし、これだけの大きな制度の改変で混乱する恐れもあるでしょうが、しかしそれぞれの個人としては、被保険者としての権利をしっかり使うために準備しておかなければなりません。「こんなはずではなかったぞ」というようなことにならないために…。

(*1)実際にはいくつかの違った手順も可能ですが、いちばん基本的なものはこれです。


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