腰痛

 最近はペットのイヌやネコが長生きするようになって、彼らにもボケや白内障(そこひ)やガンや糖尿病などがおこることをよく聞きます。でも、彼らにはあまり腰痛はないようです。つまり、ほとんどの腰痛は「二本の足で立って歩く」ことが原因なのです。

 腰痛については本が一冊できるくらいですからここでは詳しくは触れる余裕がありませんが、高齢のかたが悩まされる腰痛は、骨などの老化とそれによる背骨の変形のために足のシビレや排尿障害を伴うタイプと、骨の変化に伴う背中や腰の筋肉の負担が原因の、症状としては腰痛だけのタイプにざっと分けられます。しかし、多くはありませんが、たとえば胆石や尿管結石、子宮や膀胱のガンなどの内臓の病気でも腰痛をおこすことがありますので、あまり油断してもいけません。

 腰痛のために医者にかかるときには、「腰が痛い」とばくぜんと訴えるだけではなく、「急に痛くなったのかじわじわと痛んできたか」「腰のどこが痛いか」「腰の痛み以外に何かあるか」「どんな痛さか」「どんなときに痛いか」「痛さはだんだんひどくなっているかマシになっているか」などを説明することで適切な治療を受けられやすくなります。もっとも、そういうことは患者さんの側から言うまでもなく、医者が質問すべきことではありますね。こういう細かいことを聞いて治療してくれないようなら、医者を代えるほうが賢明かと思います。

 ところで、高齢のかたの腰痛の八割は、治療をするかどうかにかかわらず三ヶ月くらいでマシになるといわれています。強い鎮痛剤には胃を荒らす副作用がありますし、腰への痛み止めの注射をくり返すこともけっして安全ではありません。治療の基本はまず「安静」。コルセットの使用などは専門医に判断してもらわなくてはなりませんが、痛い間はなるべく腰に負担のかかるような行動をつつしむくらいの自己管理はしたいものです。ただ、寝込んでしまって結果的に寝たきりになっては元も子もありません。

 なによりも腰痛を予防する、悪化させないことが大事です。いつまでも若いつもりで無理な動作をしないこと、ちょっとした行動も慎重にすること、とくに前かがみになるときや物を持ち上げるときなどは要注意です。

 私は数年前に一念発起して体重を二割近く減らしました。当然出っ張っていた腹は凹みました。すると腰痛はほとんどなくなってしまいました。体重そのものが減って腰の負担が軽くなったこと、腰の前方の「出っ腹という荷物」がなくなったことが腰痛が消えた理由だと実感したことです。


「ゆとり」の目次へ
原稿集の目次へ
湾処屋のホームページへ