世紀末・わんど覚え帳/4月下半期


玄関先のフジの鉢植え(1999/4/20)



4月30日(金)/寅さんかぁ

 慰安旅行などで貸し切りバスに乗ると、たいてい「男はつらいよ」のビデオの二、三本があった。黙っているとガイドさんはそれをかけるのが普通だった。しかし、以前はその映画のわざとらしさというか、型にはまりすぎさというか、そういうものがうっとおしくてあまり好きではなかったのだった。

 ところが、いつのころからか、要するに安心して見ていられる、あるいは何も考えずに口をあんぐり開けて見ていられる、なんだか分からんけど、ともかくなぜか見るようになってしまっているのである。

 今夜のデレビの映画の「寅次郎ハイビスカスの花・特別編」も、そういうわけで冷や酒を片手に見入っていたのである。元気なころの渥美清さんがじゅうぶんに見られたのもなつかしかった。なにしろシリーズ最終作では、医者の目でみると体調の悪さが隠しようもない状態だったから、あまり楽しめなかったのである。

 それにしても、自分の嗜好の変化に自分でも驚くようなものである。そういえば、ベランダのハイビスカス、ぼつぼつ新芽が出てきてもよさそうなのになあ。

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4月29日(日)/みどりの日

 私の世代にはまだ「みどりの日」といわれてもピンとこない。「ほにゃらら誕生日」といわれたほうが通りがよい(同じ理由で12月23日が祝日だというのにもなじんでいない)。しかし考えてみれば「みどりの日」になってからもう10年を越えているわけではある。

 ひさしぶりに朝寝をして10時を過ぎて起きてみると、風が強くて気温が低いものの、突き抜けるような青空、遊びに出かけるひとたちにはとてもいい日和だろうと思いつつ、しかし自分はだらだらと一日を過ごしてしまったのだった。

 それでも夕刻から宝塚の植木屋さんにでかけて、小さなハーブの鉢をいくつか購入。これから楽しい季節である。

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4月28日(水)/嗜好

 職場の飲み会が串カツ屋さんであった。総勢20名ほど。

 テーブルがふたつに分かれて、私のほうは(当然というかなんというか)それなりの年配者が集まったのである。私と同年輩かそれに近い看護婦さんや介護職の女性。

 で、あちらの若者テーブルではつぎつぎに出てくる串カツをワシワシと食べているのだが、こなたのテーブルでは途中からめっきりと手が出なくなってしまった。こちらのテーブルのメンバーの何人かとは昔からのつきあいがあるので、かつての元気さがなつかしい(お互いさまではある)。年とって嗜好が変化しちゃってるのである。

 こっちの串カツを若者テーブルにお譲りして、しばししっとりとお茶など飲んでいるのがこっちのテーブルなのであった。

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4月27日(火)/北新地

 パートナーが午後から大阪へ行くというので、ひさしぶりに大阪で食事をしようということになった。

 北新地周辺で夕食をとって、二次会に新地のどまんなかあたりのワインバーをめざした。阪急電車が出版した「ワインなお店」という本に載っているお店が目的である。

 しかしなあ、新地本通、堂島上通あたりをウロウロしていたのだが、あたりを歩くのは若者グループなどが大勢。オミズ風のお姐さんやタキシード姿のお兄さんたちが客待ちで異様なほど辻立ちなさっていた。いわゆる「社用族」的なヒトたちはほとんど見かけず。うーむ、不況なんですねえ。

 十年ほど前の新地の賑わいを知っている私としては、ちと寂しい気がするのと同時に、ザマミロとも思うのであった。

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4月26日(月)/勧誘電話

 しばらくなかったのに、今日は午後早くと宵の口に勧誘電話があった。

 午後のは金融商品。電話口でがなって聞き取りにくく「ファンド」という言葉を理解するのにマジにしばらくかかってしまった。電話勧誘だとすぐに分かったものの「サンド」と聞こえたので、うーむ最近は小豆相場ではなくサンド豆相場なんてのがあるのだろうかと、ほんとに真剣に考えたのだった。

 この電話は、会社の名前を最初に聞いておいたので、いろいろしつこくしてるスキにパソコンでエンジェルライン検索して会社の電話番号や所在地、支店などをぜんぶ割り出し、あんまりうるさいと会社に苦情入れるでぇ、とそれらのデータを電話でまくしたてた。さすがにそういう対応をされたことが初めてだったようだった。

 宵の口にはいまどき時代遅れのマンションの勧誘。それも東京渋谷の物件だという。購入して節税のご説明をというのをさえぎって、その仕組みをこちらから話してしまう。そういうこと面倒やねん、というのと、セールストークって「客がああいえばこーいう」で繋ぐのだと思うが、臨床の医者はそのうえをいって「ああいえばこーいうからそういう」ことに訓練されてるから、こんな電話は時間の無駄だよということで撃退。

 客も学習していくのだ。

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4月25日(日)/市会議員選挙(2)

 統一地方選挙の後期、ようやくうるさい選挙カーの音がやんだ好天の日曜日の昼前、投票所に出向いて権利を行使、あるいは義務を果たしてきた。

 しかし、市会議員という、いちばん身近であるはずの議員さんを選ぶのに、もうほとんど何も判断材料を持っていないのは、これは私の不勉強なのだろうか。これから4年間の生活を委ねることにもなるわけなのに。

 介護保険のことがほとんど争点になっていなかったのが印象的だったし、某政党候補はともかく特別養護老人ホームを作れの一辺倒。入れ物さえできればなかで働くヒトは涌いてくるように思っているのだろうか。

 いずれにしても、市会議員選挙のたびになんだかシラけてしまうのは困ったもんである。

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4月24日(土)/ウグイス

 ちょっと天気は悪かったが、緑が目立つようになってきた能勢方面の訪問に出かけてきた。府道からはずれてすこし里道を入ったところにある集落に訪問先の一軒があり、そこへは車を降りて少し歩かなければならない。

 雨上がりで草の濡れた匂いを楽しみながら歩いていると、棚田の向こうの林からウグイスの鳴き声が聞こえてきた。そして、反対側の里山からも返事のような鳴き声。

 しばし命の洗濯気分。

 つぎの訪問先ではそのお宅で採れたキクナとシイタケ、それにすでにあく抜きをしたゼンマイとワラビとタケノコをいただいてしまった。

 春である。

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4月23日(金)/ジャスミン

 昼前から在宅療養中のかたの訪問に宝塚東部方面にでかけた。このあたりは植木屋さんが集まった地域で、シロウト向けのガーデニングショップもたくさんある。ひさしぶりにそういうショップのなかの行きつけの店に目的もなくついでに立ち寄ってみた。いつもは水曜日にこの方面を訪問するのだが、この店は水曜日が定休日なのである。

 ハーブ類もたくさん入荷しているし、なによりも花を咲かせているものが多くて、天気はよくなかったものの気分はいい。

 広い売場をふらふらと見て回っていると、ほんのりとなれ親しんだ香りが漂ってきて、みると小さなポットに密集して植えられたジャスミンが目に入った。家のベランダにはだいぶ大きくなったジャスミンがあって、ぼつぼつと咲きかけている。しかし、香りに誘われるようにして、そのポットを3つばかり買ってしまったのであった。

 職場に帰って自室の窓際に置いた。すこしは穏やかな気分になれるであろうか。

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4月22日(木)/携帯電話

 大阪での用件をすませて午後9時前に梅田駅に向かっていた。

 旭屋書店の前の地下街への入口のところでふと回りを見ると、サラリーマンのおじさんや若い女性が立ち止まって携帯電話でしゃべっている。そういう景色はいまやたいして珍しくもないのではあるが、このときはなんと10人くらいが携帯してはったのである。異様な景色。

 私も携帯電話と PHSを常時持っているので人のことは言えた柄ではないのかもしれないが、それでもやはり異様である。

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4月21日(水)/冷やし素麺

 今日の当地は好天。気温も上がりほとんど初夏の気候であった。介護支援専門員の実務研修のため昼前に尼崎市へ、駅から会場まで15分ほど歩いたらけっこうじっとりと汗をかいてしまった。

 で、夕食には今シーズン初めての冷やし素麺。大阪は、奈良の三輪兵庫の揖保香川の小豆島などの産地に恵まれているからか、ものごころついてからずっと素麺にはなじんできているし、私の大好物でもある。夏などは冷やし素麺さえあればほかは何もいらんほどである(ただしビールは必要だ)。

 三束もゆがいて、もうひとつの好物である木綿豆腐といっしょに氷水を張ったガラスの器に盛った。ああニッポンの夏。

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4月20日(火)/フジの花

 数年前に植木屋さんで花がいっぱい咲いたフジの小さな鉢植えを買った。その年はしばらく花を楽しむことができた。

 翌年、少し大きな鉢に植え替えてかのシミにしていたが、鬼は大きくなり、葉がいっぱいつき、蔓がとてつもなく伸びたものの、けっきょく花は咲かずであった。

 今年は春先からこれまでと違った芽の出方だと思っていたら、先週あたりから大きな花が咲く予感がし、そしてこの数日の暖かさで一気にツボミが膨らんできたのである。

 帰宅すると、パートナーが鉢を裏のベランダから玄関先に移していて、しばらくは朝晩楽しめそうなのである。

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4月19日(月)/市会議員選挙

 昨日から当地でも市長と市会議員の選挙が始まった。東京から帰って午後から自宅にいたら、もうとんでもなく選挙カーの拡声器がうるさいのである。なにしろ面積が小さい市なのにそれなりの人口があるから、一度に3〜4台の選挙カーの音が聞こえてしまうので、何を言ってるのか分からないまま単なる騒音になっているのだ。

 そして今朝である。わが町には電車の駅が二ヶ所しかない。そして市内のバスはすべてこの二つの駅に向かう。そこで、駅に着くと、改札へ向かういくつもの経路に、それぞれの候補者が陣取って辻立ちをなさっているのである。

 これはまあうるさいというほどのこともないのだが、いっせいにおじぎをする人の列の間を歩くのはなんとなく照れくさい。

 一週間、こんな毎朝だと思うと気が重いぞ。

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4月18日(日)/留学生

 東京からの帰路の新幹線で、タイから慶応大学に留学しているという若者と隣合わせになった。国の家族が観光に来日したので、みんなで大阪見物に行くのだという。

 うーん、大阪にそんなにいいスポットはないですよと言ったものの、アメリカ村や海遊館、新梅田シティを見物して、日本橋のでんでんタウンを覗き、道頓堀あたりで食事をしたいのだという。なかなかツボを押さえておられるのである。新梅田シティは天気が悪いのでおそらくよくないから、南港のコスモシティ、ATC あたりがいいのではないかと勧めておいた。ネイティブ大阪人の私だからの情報も提供したものの、ハードロックカフェを知らないかとの質問にはさすがに窮したのであった。

 ひらがなとカタカナは大丈夫だが漢字は難しいとのこと。しかし最近は大阪でも多国語の案内が整備されているので、地下鉄で移動するのもそれほどたいへんではない。新大阪駅で分かれたのだが、なかなか礼儀正しい好青年であった。きっとエリートなんだろう。

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4月17日(土)/西新宿

 ニフティの行事のためほぼ毎年、しかも年に一度、この時期に西新宿にくる。

 例のダンボール村の騒ぎから2年になるのか、たしかに今年はほとんどみかけなかったようだが、そのかわりにダンボールハウスができそうな場所は工事現場のような柵で囲ってしまってある。ダンボール村で美観が…というような話があったように記憶するが、いの囲いもぜんぜん美しくない。おまけに地下通路ではダンボールで囲いを作るなという放送がうるさい。

 いずれにしてもくるたびに思うのは、この新宿西口側の景色の無機質なことである。先のほうに中央公園があるとはいえ、なんとなく人の気分を乾燥させるような場所だというのは、私だけが感じることなのだろうか。

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4月16日(金)/酒びたり

 オープン以来いっしょに苦労してきてくれた相談指導員が、いろいろな経緯があって退職することになり、今日が最後の勤務ということで、ほなちょっといこかと事務長や残るケースワーカーさんたちと飲みに出た。当然ながらメートル上がり、時間は早かったものの、けっこう出来上がって帰宅すると、パートナーのほうも宴会があって、その二次会を家でやっているではないか。

 そりゃあおつきあいしないわけにはいかなかわいな、というわけで、深夜には久しぶりに酒びたり。ああ、明日が怖い :-)





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