駄理雑言 '97/7月上旬



7月15日/新車のバス

 数日前、いつも通勤に使っている阪急バスに新車が一台入りました。ふと乗ったらいわゆる「新車の匂い」がして気がついたのです。阪急バスには製造年度の独特の見分けかたがありまして、この車はまさに1997年製。

 それでなぜ匂いで新車だと気付いたのかといいますと、この路線では最も古いのは1988年製の車が走っているのですが、車内外の姿がこの十年前のものとまったく変っていないから、見た目には区別がつかないからでした。もちろん造作が新しいから使いふるしかどうかは分かるのですが…。

 ま、阪急電車のほうでは三十年近く前の車輌がまだ現役なので、バスはまだ寿命が短いとはいえるわけですけれど、自家用車の使い捨て具合を見ていますと、これはやはりもっとモノを大事にせにゃならんのとちゃうか、などと、新しいバスの静かでクーラーのよく効いた車内でうつらうつらしつつ考えたのでありました。

7月14日/セミ

 たしか去年の夏もセミが元気だったと思います。

 ひさしぶりに雨があがった北摂では、はやくもセミが鳴きだしました。セミしぐれとまではいきませんが、それでも日没直後くらいまではちょっとうるさいくらいです。

 職場である病院からすぐそこに見える山のところで一家4人が生き埋めになったなんて信じられないくらいに晴れ上がった午後、その現場でもきっと鳴きはじめているのでしょう。

 いよいよ夏です。

7月13日/生活のリズム

 今年になってから当直勤務が月に土と日の一回づつか、どちらか一回という状況になっています。これは来月からの異動と関係したシフトなんですが、それまでの毎週当直というころから生活リズムがかなり変ってしまいました。

 まず、強制休肝日が少なくなった ^^; いままでですと週に一度は必ず全く酒気がない夜があったのですが、いまはそれが月一程度になってしまいました。

 それから、いつもしなければならない行動のうち、当直だとしなくていいことと当直でもしなければならないことの区別がつきにくくなっています。三宝さん(*1)の水を替えてお参りするのは当直のときにはしなくていいのです(祭壇がありませぬ)。でもこの日記は当直してても書かなくてはならないのに、いままでつい忘れていたのですね。

 これって、やはり物忘れのひとつなのでしょうか。


    (*1)サンボォサン、といいます。三宝荒神。仏・法・僧の三宝を守護
    するという神さまです。不浄を払うということで「かまどの神」とし
    て台所に祭ることとされていて、祖父母の代からずっと我が家では清
    荒神さんをお奉りすることになっています。

7月12日/略礼服

 来月、どうしても礼服を着用しなくてはならなくなりました。

 ここ数年はずっとネクタイは着用していますから、ふつうのスーツ姿ということであれば別にどうということはありません。明日にでもやれます :-)

 しかし、結婚式に列席しなければならない時期はとっくに過ぎ、まあもう数年すれば子どもの世代のそれが始まるでしょうから礼服が必要になるとは思います。身内の不幸はさいわいずっとありません。ですから今は礼服の必要性がなく、持っている略礼服は、かつて肥満していたころの、スラックスを履いてみたら腹に座布団が二枚くらい入るようなものです。

 でもそういうわけで来月はぜったい必要とのことで、今日ちょっと洋服量販店を覗いてみました。驚いたのは、略礼服はもうほとんどダブルしかないのですね。私はダブルのスーツの押つけがましさがたいへん嫌いでして、一枚も持っていません。うーむ、いまや若者でもダブルの略礼服なんだそうで…。なはは、服にニンゲンがぶらさがってるような按配でしょうな。なんだかバブリイな匂いがしてかなり不愉快であります。

 私がダブルの略礼服なんか着たら、ほとんど××の世界ではありませんか?

7月11日/祭や祭や

 用件があって夕刻から大阪北に行ってました。

 帰り道にお初天神の境内を通ろうとしましたら、天神祭のお囃子、鐘太鼓の聴きなれた音が響いてきました。境内では、天神祭の地車や舟渡御で囃す練習が熱心に行なわれていたのです。明日は第二土曜で学校が休みだからでしょう、子どもたちの懸命な練習も感激しました。

 二週間後の天神祭へ向けて、大阪北は雰囲気が高まっているのでありました。

7月10日/車に文句をいうたんねん(1)

 自宅の近くのバス停のあたりは、地域の幹線道路が交差していて、バス路線が錯綜し、だからけっこう賑やかな交差点になっています。で、当然というか、店が集まっていて、ちょっとした賑わい場所になっています。

 それで、買い物やなにやの人が、このご時勢ですから、車でやってきて、そのあたりに駐車しまくってはります。幹線道路とはいえ、たかだかセンターライン付きの片側一車線の道路ですから、イホー駐車されますとたいへん狭くなってしまいます。

 乗用車同士程度ならすれ違うことはできますが、片方がバスだったりしますと、もうあきまへん。そうして、バス通勤している私は、つねにこの動きにくいバスから道路を見ているわけですな。んで、無神経というか厚顔無恥というか我が物顔というか能天気というか、そういう車(の運転者)に毎日毎晩腹をたてているわけである。

 道は、車のためだけのものではおまへんねんで、ほんま。

7月9日/飲み会

 新たに発足するメンバーで会議のあと飲みにいきました。

 さくさくと飲んで、なんだか家に帰って、気がついたら朝だった、というようなんでしょう。おそらく今日は…。

7月8日/単純な男

 ちょっといつもより退勤が遅くなって、しかも風呂の石鹸が切れているので駅前の自然食品店に寄って石鹸を買わねばならない、そのためにバスを一便乗り遅れてしまいました。

 時間潰しに自然食品店の隣のレンタルビデオショップに立ち寄ってぶらぶらしていますと、ふと「楢山節考」が目につきました。緒方拳さんと、この映画のために歯を抜いてしまったといわれている坂本スミ子さん主演の、ま、暗いしつらいし悲しい、今年またカンヌで受賞した今村昌平さんの監督作品の映画です。いちど二度と手に取ったものの、いろいろと忙しい今、こんなに濃い映画を見る集中力があるかどうか自信がなかったので、けっきょく借りませんでした。

 そのかわり、バス停までの途中にある書店に立ち寄って、つい「楢山節考」深沢七郎、新潮文庫を買ってしまいました。なんとも単純な男です、私。

7月7日/ちと中休み

 ずっと好天だったのに、たなばたの宵が皮肉にも梅雨空になった北摂でした。

 懸案が終わって、今日はほぼいつもの平穏な日常。私が企画した二番目のフォーラムである「在宅ケアフォーラム」の正式オープンの日でもありますが、ニフティの「今週のお知らせ」日程の都合で、入会ラッシュはおそらく明日の夕刻以降だろうと見込んでまして、じっさい今のところそのようであります。

 在宅ケアフォーラム発足の多忙があり、そのままいろいろの懸案事項が続きますので、今日は、梅雨は中休みから復帰ながら、私は中休みに突入といった按配なのでありました。

7月6日/たいくつ

 ひさしぶりの、予定のない休日でした。

 パートナーは仕事、娘は期末試験準備で図書館の自習室にでかけていきまして、ま、ごろごろと起きるでもなし寝るでもなししていたのですが、いやはや暑くなってきて寝転んでいられなくなってきまして、しゃあないのでトロトロと起き上がってきました。

 ベランダの植木にたっぷりと水をやり、ついでにマンション玄関の寄せ植えにも散水し、うーーんとノビなどしたところに患家から経管栄養のチューブが詰まったという電話。このお宅、自宅から歩いて5分ほどのところなので、さっそく処置に向かいました。でも外は灼熱の午前11時。モンベルの安物のキャップをかぶりサングラスをして横浜中華街のエスニック衣料店で買ったドハデな綿シャツを着て往診。このお宅はしばしばこういう形でお邪魔しますので、この「場末の中年チンピラ」のような格好に驚かれることもありません。

 やれやれちょっと時間が潰せたと思いながら帰宅、ふと思いついて、1時間に1〜2本しかないバスで千里中央にでかけました。とはいえたいした目的があるわけでなし、某パソコンショップを覗き、昼飯にサラダ冷麺を食い、書店で水上勉さんの「良寛」(中公文庫)を購入。夕食の食材を買ってまた数少ないバスで帰宅。

 うーん、わんど殺すにゃ刃物はいらぬ単なる休みをやればいい、なんてね。

7月5日/ストレス

 私の職場が主催したシンポジウムがありまして、私はいつのまにかコーディネーターにまつりあげられており、これは未経験だつたのでかなりストレスになっていました。ニフティで在宅ケアフォーラムをオープンすることになっているのですが、その正式オープン日をそのために7月7日に延ばしていただいたくらいに気遣いしていました。

 んで、なんとか今日それをクリア。どっと疲れました。

 何かしなければならなくなると、それが経験したことでない場合でも、なにごとも勉強という考えで引き受け続けています。しかし、そのそれぞれでストレスは当然あります。ま、そのストレスがいい意味で老化を防ぐのだろうなと思っているわけで、だからこれからもストレスを甘んじて受けることに変わりはないわけではあります。

7月4日/めっちゃ暑いぞー

 今日は朝からもうたいへんな暑さでした。原則的にエアコンはつけない生活をしているので、朝のじたばたしているときから暑い。

 バス待ってるときも暑い。バス乗ったら涼しい。バス降りたら暑い。駅に行く道はヒトが多くて暑い暑い。電車に乗ったら涼しい、でもひと駅だけ。電車を降りたらまた暑い。ようよう職場に着いて、やれやれ涼しいところに入れると思ったのに、部屋はけっこう暑い。あわてて室温を調整して、冷たい麦茶を飲んで、団扇でパタパタやってたらようやく涼しくなった。

 なったと思ったら時間がきて、デイケアのお迎えクルマに乗らねば…。クルマはまあ暑い。

 はーー。

7月3日/海底二万哩

 つい先日からビデオレンタルの始まった「海底二万哩」を借りてきて見ました(のんきにビデオ見てるときではないのですがね、ほんま)。ジュール・ヴェルヌ原作の古典SF。

 ディズニーが作った、ネモ船長がたしかカーク・ダグラス(マイケル・ダグラスのおとうさん)の映画は、封切り時からビデオ、レーザーディスクで何度も見ましたし、ハヤカワSFノベルズのペーパーバックも手あかがつくくらい読みました。

 こういう、なんべん読んでも/見てもオモロイというのはいくつかあります。ネモ船長などはその草分けみたいです、私にとっては。

 で、最新の二万哩、原作からかなりリライトはありますが、それはそれで今ふうになっていて楽しめました。なによりも、エンディングのあともノーチラス号はまだ走りまわっていそうだという名残が楽しい。

7月2日/えらい蒸し暑いぞー

 ラジオなどでは「ようやく梅雨らしい天気になりましたね」などとエアコンの効いたスタジオで言ってた今日でした。

 外来診察も訪問診察もデイケアもない珍しい日だったので、薄いグレーのTシャツのうえにちょっと派手なシャツを着てノーネクタイででました。ネクタイをしていないぶん、風通しがいいはずです。

 しかし、夕刻に家に帰るまで、なんだかいつもよりもずっと汗みずくになってしまいました。今日の天候が激しかったのか、服装がだらけて気もゆるんだのか、それとも単に服装の組み合わせが悪かったのか、風呂に入るまできわめて不快。

 うー、まだ蒸し暑いぞー。そのうえ東京湾では原油流出ですって、ううう。

7月1日/文庫本

 バスや電車の中で本を読むためには、本が小型軽量であるというのはありがたい。おなじ内容なら値段も安いほうが嬉しい。

 そういうわけで、私はできるだけ文庫本で読むことにしています。特別に興味を惹かれた場合はともかく、普通はそういうことにしています。ま、単行本が文庫化されるには何年かかかりますので、情報として見れば鮮度に乏しいものになるのはやむを得ないのですが…。

 でも、最近も勢いとまらず新たな文庫が創刊されています。ハルキ文庫や幻燈社文庫などという切り込みもあって、じょじょに文庫のための書き下ろしというものも増えています。

 片手で読めるのはほんとにありがたい。





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