日々雑談 '96/12月上旬



12月1日/寒い日に散髪をしてしまった

 天気予報どおりの寒さになりました。
 よりによってこんな日に散髪に行ったので、帰りはとっても堪えました。美容師さんの話では(わはは、私は髪のカットを美容院でやってもらっておるのだ)、9月末にきたきりだということで、どうりで頭がうっとおしかったわけです。それをバッサリやっていただいたので、よけいに寒さを感じたのでした。
 明日はハーフコートでも着用しなければならないかなと思いつつ、いやいや私は寒さにはつおいはずだと虚勢も張る師走の宵。
 あ〜あ、今年もあと一ヶ月、来年は自分の干支だ。

12月2日/初雪が初冠雪になりました

 雪の朝というのはいつも驚きます。ましていかに寒かったとはいえ、まだ12月に入ったばかり。関西では雪などまだまだと思っていたのですが、初雪がいきなり初冠雪になっていました。そして当然のことながら、交通機関はガタガタになっていたようです(左の写真は今朝の新御堂筋から箕面の山を見たもの)。たかが数センチ積もっただけなのに…。
 私の出勤ルートにはなにも障害はありませんでしたが、それでも職場の最寄り駅に着いたときには水っぽい雪が降ってきて、すっかり濡れてしまいました。この冬はじめてコートを着用していたのでまだ我慢ができたのでしたが…。病院の外来はかなり空いていたようです。川西の北のほうから出てくるのはちょっとたいへんだったようです。そちら方面からのバスはチェーンを着けていました。
 退勤のときには寒さはもうかなり緩んでいました。しかし、今夜は朝の雪を思いだしつつ、いただきものの「越の寒梅」(写真右)の燗酒などチビチビと。

12月3日/とうとう蔵書をごっそり売った

 大阪の古書店の老舗であるT書店に蔵書を売りにいきました。
 震災以来、持ち物の少ない生活を目指していまして、その一環(笑)として本を処分することにしたのです。
 本は、所蔵していても、辞書や資料的なもの以外はほとんど二度と読むことはありません。そのわりには場所をとりますし、またその場所も一等地を占有しがちです。処分しようかとしばしば思うのになかなか決断できないのは、なんだかそれらの本は自分の歴史の遺物のような気がするからかもしれません。つまり、蔵書を処分するというのは、これまでの人生を清算するようなものだという…。
 シェイプアップ生活のために、最近は文庫や新書以外の本の購入はできるだけ避けて、読みたいものは近所の図書館にリクエストしていたのはこの日記にしばしば書いたとおりです。ですから、最近の単行本の所蔵はあまり多くありません。
 そして、いつかは…と考えていたのですが、ついに決心して今夜売ってきたというわけです。ダンボール箱13ケほどを持ち込んで、いただいたお金が12万円あまり。ま、そんなものかと思います。考えかたをリセットしたあとですので、自分の歴史が12万円か、などというしょーもないことを思ってはいません。
 家はずいぶんすっきりしました。
 ところで、今夜は「越の初梅」純米酒です。

12月4日/知明湖は渇水を忘れたように満水だった

 往診ルートの都合で、ひさしぶりに川西市の水瓶である一庫(ひとくら)ダムの貯水湖「知明湖(ちみょうこ)」沿いの道をずっと走ってきました。水は満々とありました。
 昨年の夏、極端な渇水のために、この湖では底が見え、その底が堆積した土砂のために上げ底であることが見え、そういう上げ底になることを隠していた官庁の魂胆が見え、水がないのに危機感のない市民の能天気さが見え、なんだかいろいろ見えていたのですが、今のようにたっぷりと水がありますと、なにもかもが見えなくなっていて、これではまるで現在の日本のようではないかと思い、怒りつつ、いちおう湖の景色をデジカメに撮ってきたりしたことでありました。
 見た目には満々と水をたたえているような知明湖、底は浅いというのを、私は知っておる。



12月5日/無神経なドライバー

 「無神経なドライバー」といっても行儀のよくないウインドウズ95のデバイスドライバーのことではおまへん :-)
 今朝の北摂はかなりな雨で明けました。出勤途上、バス停に向かっていますと、走ってきた車からどっさりと水しぶきをかけられてしもうたんです。それも何台にも。
 雨が降ると濡れるのがイヤさに車で移動しようとする人たちで道路はいつもより混雑して渋滞がひどくなっとるように思います。自分が濡れるのがイヤやのに、人に水をぶっかけることに何の配慮もない、そういう無神経な輩が増えているような気がしまんねん。
 いや、ドライバーが無神経だということではありまへん。無神経な人でも運転免許がとれるような、ええのんか悪いのんか分からんような世の中やなあ、と思うんですわ。そういう意味では、このネットワーク通信なんかでもおんなじです。車で水を撥ねあげて走っていきよるのとおんなじように、無神経な書き込みして平然としたはる。あ、ちょっと脱線してしもうた。
 駅前のバスターミナルのバスの降り場でうしろに満員のバスがきてるのに悠々と人を降ろしてはるドライバー、病院の救急外来の入口に駐車していってる人、足元のおぼつかないご老人にクラクションを鳴らして速度も落とさず走りぬけたおばさん運転、すれ違いするのに左側の余裕の感触を把握できない人、回りの状況おかまいなしに路肩駐車していくオヤジ…。
 世も末やわ。

12月6日/私は教祖かもしれぬ

 今日は午前が予約診療の、午後が一般受付の、外来診察でした。金曜日は、私には地獄の一日なのです(私は仕事が嫌いだからねえ)。
 で、今日の午前についてくれたのは、私の診察に初めての看護婦さんでした。午前の診察がすんで彼女がいわく「なんだか教祖さまみたいですねえ」。
 それは、当たらずといえども遠からず、自分でもふと思うことがあります。診察というのは、ある種マインドコントロールのようなところがあって、薬や注射で治せるものでない場合(これがけっこう多い)、私の口先でなんとか楽にしてさしあげようとしなければならないことが少なくありません。これを隠語で「ムンテラ*1) 」といいます。
 私の風貌を教祖然としているという人が少なくないうえ、診察も教祖みたいという評価をいただいて、うーむ、私はけっこう嬉しがったりしています。「わんど教団」というのも語呂は悪くないなあ :-)
    *1) ムンテラ=ドイツ語の「ムント・テラピイ」の略。ムントは「口」
    テラピイは「治療」。つまり、口で癒す術、というわけです。

12月7日/たまには日記もお休みしよう

 平々凡々、周囲に観察眼をめぐらす暇もなかった今日は、うむ、お休みとします。たまの週末、ま、ええか :-)



12月8日/



 大阪府のいちばん北に能勢町があります。この町は(意外に知られていないのですが)浄瑠璃が盛んなところでして、町役場の隣に「浄るりシアター」(写真)というホールまであります。この日記にときどき能勢町のことが出てきますように、私は訪問診察にこの町まででかけています。
 今日、浄瑠璃シアターで「鬼太鼓座」の公演があり、ずーっと楽しみにしていて、そして期待のとおり楽しませていただいてきました。音楽の論評を私のつたない文章で伝えられるなどとは間違っても思いませんので、ともかくそういう経験をしてきたということだけの報告にとどめておきます。でも、それにしても、ほんとうに久しぶりに非常にエキサイティングなジャムセッションを見、かつ聴きました。力技、格闘技のようなステージでありました。まだ高揚感が残ったままで、今夜は眠れないかもしれません。
 で、眠れないと困るので今夜の酒は秋鹿酒造の「摂州能勢・特別純米酒」 :-)


12月9日/車内の居眠りは至福

 2年を経てようやく電車/バス通勤に慣れてきたのか、最近は車内で居眠りをする術を獲得してきました。
 私はこう見えてもけっこう神経質なタチでして、夜も暗黒にしないて熟睡できないくらいです。だから、明るく、騒がしく、寝過ごしてはならない車内で眠るなどということは、以前にはほとんどできなかったのです。夜行列車でも眠りにくいくらいでした。まあ、高校のころには、立ったまま眠るという技も持ってはいたのですが。
 出勤の車内ではさすがに居眠りはしませんが、帰りや、大阪へ出るときにはもうほとんど睡眠不足補充居眠りになっている今日このごろ。

12月10日/来年グッズか…

 今日は公務員のみなさまのボーナス支給日だったのですね。例の前次官さんの 320万円がニュースの話題になっていました。
 ボーナスの話題や百貨店の歳暮セールでいよいよ押し詰まってきたなあと思うこのところ、店や企業がカレンダーや手帳を配るのが目につきます。毎年思うのですが、これ、もったいないですねえ。手帳なんて一冊あればいいわけだし、だいいち私などは自分で選んだ市販品を使っていますから、まったくいらないんです。カレンダーにしてもなかなかいいものがありません。
 もう少し違ったアプローチをしたら…と思っていたら、今日はカレンダーのスクリーンセーバーをフロッピーディスクで配っている会社があって、ちょっと感心しましたが、しかし残念ながらマック用のみ。ま、医者はマックが多いらしいですから…。

12月11日/霧中のドライブ

 今日は当直明けでしたが、午前中は系列の病院に用があり、午後はそのまま訪問診察だったために朝から往診用の車で病院を出ました。
 雨あがりで暖かいのはよかったものの、混雑を嫌って山寄りの道をとりましたら、けっこう濃い霧に包まれてしまいました。これがフリーな日ならある意味では気分のよい朝になったことでしょうが、スレジュールに追われている今朝は単にイラつく対象になっていただけでした。
 こういう霧の朝のドライブでは、ずーーーっと昔、ひとりであちこち車旅行をしていたころに、鹿児島県の、文字どおり「霧島」で経験した深夜の濃霧を思い出します。なんとなく寂しくなって、その後の予定を変更して翌日別府からフェリーで帰阪してしまったことでした。

12月12日/いったん挫折しましてんけど

 帰りの電車でハイキング帰りと見える熟年男女のグループと乗り合わせました。みなさんたいへん明るい顔をしてお元気そう、でもなんだかちょっと雰囲気が違うなあ、と思いながら、とりあえず私のほうは「噂の眞相」に読みふけっていました。で、ふと気がついたのが、賑やかそうなのにえらい静かだということ。
 あらためてその人たちのほうに目を向けてみてようやく合点がいきました。
 その10人ほどのかたがたは、みなさん手話でダベっておられるのです。そして、失礼かなと思いながらしばらく観察させていただいていて、その手話の速度が猛烈に早いことがわかりました。要するに私たちがワアワアとしゃべっているのと同じスピードの手話会話なのです。
 じつは、私も手話を勉強しようと思ったことがあります。しかし、この歳になりますと、新しい外国語やプログラム言語を会得するのにたいへん苦労するのと同様に、手話の学習もけっきょく挫折してしまっているのでした。そういう経験をしているだけに、車内の手話ダベリングの盛り上がりにはちょっと感動してしまったのでありました。
 そういえば、朝刊に、某タレント女性教授が講演の邪魔ということで視界に入らぬところに手話通訳者を追いやったという記事が出ていました。手話ってどういうものなのかを理解しておられないのかと悲しくなります。
 というわけで、もう一度じっくりとトライしてみようかな。

12月13日/忘年会だ

 忘年会のシーズンです。
 若いころには、誘いを受けた忘年会のすべてに参加していたもので、この季節、ほとんど毎日のように飲み歩いていました。その連日さを嘆くふりをしつつ、嬉しがっていたりもしたのですが、もともとおおぜいで騒ぐ酒があまり好きではないために、最近は「寄る年波には勝てない」という理由をつけて参加する会を選ぶようになっています。だいたい3ヶ所くらい。
 今夜は職場全体の忘年会。毎年12月の第二金曜日と決まっている、参加人数が 300名を越える大パーティです。この宴会だけはここ14年ほど一度も欠席したことはありません。しかし、来年は同じ法人の別組織に移っているはずで、つまり今年が最後の参加になることになります。ちょっと寂しい気分でした、さすがに。
 さて、いまのところあとの忘年会の予定はない。

12月14日/ほんとに疲れたら朝寝ができるもんだ

 雑用かたづけと、明日は休日の日直当直、前夜が忘年会、という条件を考慮して、今日は有給休暇をとっていました。パートナーは夜勤、娘は期末試験真っ最中ながら第二土曜日で休み、という条件。ここのところずっと寝不足ぎみだったので、目ざまし時計をセットすることなく寝ていましたら、じゅうぶんに朝寝してしまいました。
 最近は休日でも朝早く目覚めて悲しいと思っていたのですが、ほんとうにぐったりしてきたらちゃんと朝遅くまで眠れるようです。ということは、いつもはたかだか平均5時間程度の睡眠時間が続いていても、それはそれで睡眠は足っているということなのかもしれません。
 そうかそうか、これでいいのだと納得したことでした。
 もっとも、それでも起きたのは9時過ぎだったのですが…。

12月15日/師走も半分すぎてしまった

 押し詰まってきて、なんだか世間は騒然となってきているような気がします。私自身は、いつものように年末も年始もお歳暮も年賀状も関係ありませんが、道路の混雑や事故の増加でそれを感じてしまいます。
 ちょっとまとまった買い物などがあって、先週今週と週末に盛り場へ出てきました。そこの状況はもう言うまでもありません。用件がなければぜったいに近寄りたくないところです。たまたまお歳暮の特設会場を通る機会がありまして、ははあ、最近の付け届け品ってこういうふうにして売っているのか、と初めて知りました。大手パソコンショップで商品を買うのといっしょなんですね、カードをレジに持っていく方法(いや、パソコンショップのほうが百貨店のマネなのか…)。ま、これからも恐らく縁はない。
 以前ならこの騒然が大晦日までテンションを上げていって、元旦にドッと弛緩していたわけですが、最近は元旦営業の大手スーパーが増えてきましたし、正月も営業する宅配が出現したり、またケジメがなくなってしまいそうです。




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